株式会社北の達人コーポレーション

ブランドなど:カイテキオリゴ北の快適工房
化学ネット通販プライムTOPIX Small 2

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E26549 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の法的位置づけが5類へと移行されたことでコロナ渦からの社会経済活動の正常化が進む一方、エネルギーや原材料価格の上昇、供給面での制約、円安・ドル高、金融資本市場の変動等により、景気の先行きは未だ不透明な状況が続いております。

当社グループの主要市場であるEC市場におきましては、2023年8月31日に経済産業省が公表した「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によれば、2022年の日本国内における物販系分野のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は13.9兆円(前年比5.4%増)まで拡大し、引き続き大きな成長を示しております。

このような経済状況のもと、当社グループは、ミッションとして掲げる「びっくりするほど良い商品で、世界のQOLを1%上げる」の実現に向け、自社オリジナルブランドの健康美容商品や美容家電等を販売する主要事業「ヘルス&ビューティーケア関連事業」において、人員の増員、組織力強化及び複数の販促施策を展開し、特に主要ブランドである「北の快適工房」での新規顧客獲得人数の増加を図りました。さらに、連結子会社である株式会社SALONMOONのオリジナルヘアケアブランド「SALONMOON」では新商品の複数リリースや大手バラエティショップへの出品等を通じ業績拡大に取り組んでいるほか、これらに続く新たなブランドも順調に拡大を見せております。

以上の結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高11,299,852千円(前年同四半期比63.5%増)、営業利益1,075,956千円(同49.7%増)、経常利益1,098,934千円(同48.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益753,216千円(同55.4%増)となりました。

セグメント別、ブランド別の売上高は下記のとおりでありますが、当社グループは、ヘルス&ビューティーケア関連事業を主要な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。

(千円)

セグメント

ブランド

第1四半期

第2四半期

第3四半期

当第3四半期

連結累計期間

(合計)

ヘルス&

ビューティーケア

関連事業

北の快適工房

3,558,776

3,431,152

3,041,472

10,031,401

SALONMOON

226,871

195,752

199,256

621,880

その他ブランド

37,506

158,209

94,233

289,949

その他事業

108,159

116,953

131,507

356,620

合計

3,931,313

3,902,068

3,466,470

11,299,852

 

なお、ブランド「北の快適工房」及び「その他ブランド」から構成される当第3四半期累計期間における個別業績に関しましては、売上高10,321,415千円(前年同四半期比69.9%増)、営業利益1,047,315千円(同42.6%増)、経常利益1,068,718千円(同37.1%増)、四半期純利益756,980千円(同43.1%増)となりました。当社の連結業績は個別業績が占める割合が大きいため、以下では個別業績の詳細な経営成績の説明を行います。また、当第3四半期連結累計期間においてセグメント間取引等が発生しておりますが、その金額は軽微であるため、以下の各ブランドの数値はセグメント間取引消去等の調整を行わず実額にて記載しております。

 

個別業績を構成するブランド

当社の個別業績は「北の快適工房」と「その他ブランド」から構成されます。なお、「SALONMOON」は連結子会社である株式会社SALONMOONのブランドであり、連結業績を構成しているものの個別業績には含まれません。

オリジナルブランドである「北の快適工房」では、顧客ニーズに対して具体的に効果を体感しやすい化粧品や健康食品等を、主にインターネット上で一般消費者向けに販売しております。「びっくりするほど良い商品ができた時にしか発売しない」という方針のもと、学術的データだけではなく、モニター検証による実感度を重要視した厳しい開発基準を設け、高品質な商品を取り扱っております。40代以降の男女が主な顧客層であり、基本的には商品が一箇月で使い切る設計で開発されております。売上の約7割が定期顧客によって支えられており、継続的に購入していただけることで安定成長する収益構造を実現しております。

また、「北の快適工房」に続く主力ブランドの創出のため、新規事業企画室を設置し、同室発のブランドを「その他ブランド」として計上しております。優れた事業プランを有し、かつ起業への熱い思いを持った人材を複数名採用し、新たなブランドやD2C事業を立ち上げていくためのプログラムであります。なかでも、2021年10月に立ち上げたニコチン・タールが一切含まれず、副流煙も発生させない電子タバコを取り扱うブランド『SPADE』が伸長しております。『SPADE』はインターネット上でのみ販売しており、同じく定期購入型のビジネスモデルであります。

 

業績予想との比較

当第3四半期累計期間における個別業績の業績予想との比較は、下記のとおりであります。

(千円)

 

業績予想

実績

増減額

売上高

10,841,509

10,321,415

△520,093

売上総利益

8,326,878

7,903,047

△423,831

販売促進費等

5,301,758

4,887,658

△414,099

販売利益

3,025,120

3,015,388

△9,731

営業利益

1,016,178

1,047,315

+31,136

当社では、広告の投資効率を一目で可視化できるようにするため、独自の管理会計を行っております。上記の表では、当社の事業の状況をより正確に説明するため、管理会計上の利益管理数値である「販売利益」を使用しております。

販売利益は、売上総利益から販売促進費等を差し引いた金額となります。販売促進費等とは、注文連動費(カード決済手数料、送料、梱包資材費、同封物及び付属品等、注文に応じて必ず発生するコスト)及び新規獲得費(当社の場合、ほとんどが広告宣伝費)から構成されます。注文連動費は全体売上高に対して基本的に一定の割合で推移しますが、新規獲得費は新規集客の増減により割合が変動するため、販売利益は新規獲得状況の影響を大きく受け、直近の事業状況がダイレクトに反映される指標となります。また、販売利益から人件費や家賃等の総運営費を差し引いたものが財務会計上の「営業利益」となり、直近の事業状況に加え将来の事業拡大に向けた投資状況等の影響も受けます。

当第3四半期累計期間においては、売上高は10,321,415千円と業績予想を520,093千円下回った一方で、販売利益は業績予想通りに着地いたしました。売上高が業績予想を下回ったにも関わらず販売利益は同予想通りに推移している要因について、下記のとおり「北の快適工房」及び「その他ブランド」に分解したうえ、説明を行います。

(千円)

 

北の快適工房

その他ブランド

業績予想

実績

増減額

業績予想

実績

増減額

売上高

10,639,518

10,031,406

△608,112

201,991

290,009

+88,018

売上総利益

8,191,578

7,730,123

△461,454

135,299

172,923

+37,623

販売促進費等

5,159,838

4,650,558

△509,279

141,920

237,099

+95,179

販売利益

3,031,740

3,079,564

+47,824

△6,620

△64,176

△57,555

 

 

「北の快適工房」における販売利益の業績予想差異要因

(千円)

 

業績予想

実績

増減額

売上高

10,639,518

10,031,406

△608,112

 

①発送遅延分の過大計上

 

 

 売上高

320,731

188,084

△132,647

 

 売上総利益

246,886

144,386

△102,499

 

 販売促進費等

19,209

18,386

△822

 

 販売利益

227,676

125,999

△101,676

 

②定期及びその他

 

 

 売上高

6,994,088

6,609,616

△384,472

 

 売上総利益

5,490,265

5,139,062

△351,202

 

 販売促進費等

342,381

342,600

+218

 

 販売利益

5,147,883

4,796,462

△351,420

 

③新規獲得

 

 

 売上高

2,239,880

2,050,465

△189,414

 

 売上総利益

1,552,813

1,454,188

△98,624

 

 販売促進費等

4,528,843

3,979,960

△548,882

 

 販売利益

△2,976,030

△2,525,772

+450,258

 

 ROAS(注1)

50.7%

54.2%

 

④ECモール

 

 売上高

1,084,818

1,183,240

+98,422

 

 売上総利益

901,613

992,485

+90,872

 

 販売促進費等

269,402

309,610

+40,208

 

 販売利益

632,210

682,874

+50,663

販売利益

3,031,740

3,079,564

+47,824

①発送遅延分の過大計上

前事業年度において、一部商品における販促活動が好調だったことで注文が殺到したため、受注済みであるものの製造が追いつかず発送までに数箇月待ちとなっておりましたが、第1四半期会計期間に遅延が完全に解消しお待たせしていた全てのお客様に商品を発送しております。ただし、当該遅延解消による売上高の計上額を見誤っており、当第3四半期累計期間における業績予想へ過大に織り込んでおりました。発送遅延により計上された販売利益は125,999千円であった一方で、業績予想には227,676千円と過大に織り込んでおり、予想を101,676千円下回ることとなりました。

なお、当該発送遅延分の発生及び業績予想への過大計上は、いずれも第1四半期会計期間に発生したものであり、第2四半期会計期間以降は発生しておりません。

②定期及びその他

定期及びその他とは、既存のお客様によるリピート購入、定期購入、その他の調整項目等となっており、当第3四半期累計期間の売上高は、業績予想を384,472千円下回っております。

1点目の要因といたしまして、下記③「新規獲得」に記載のとおり、当第3四半期累計期間における新規売上高が業績予想を下回ったことで、定期売上高が想定通りに積み上がらなかったためであります。当社は新規獲得において厳格な広告投資基準を設けており、基準内での新規獲得ひいては新規売上が拡大し十分な先行投資を行えた際は定期売上が着実に積み上がる一方、新規売上が減少した際は定期売上も縮小いたします。

事実、第1四半期会計期間(2023年3月1日~2023年5月31日)の新規売上高が業績予想を上回った結果、「第1四半期会計期間において獲得したお客様による当第3四半期累計期間(2023年3月1日~2023年11月30日)の定期売上」は業績予想を上回りました。その一方で、第2四半期会計期間以降(2023年6月1日~2023年11月30日)の新規売上高は業績予想を下回り、「第2四半期会計期間以降に獲得したお客様による当第3四半期累計期間の定期売上」は業績予想を下回りました。後者の影響の方が大きいため、当第3四半期累計期間の定期売上全体も同予想を下回りました。

2点目の要因といたしまして、当第3四半期累計期間では商品発送後の返品が想定以上に発生いたしました。この経緯として、前事業年度に実現したクリエイティブ部門のスキルアップにより、より訴求力の強い広告を制作する体制が構築されました。一方で、生み出す広告の訴求力が増したことの反動で、新規顧客の「衝動買い」や「誤注文」が増え、返品、キャンセルが当初予想より増加しました。

これらの要因により、当第3四半期累計期間の定期及びその他売上高は業績予想を384,472千円下回りました。なお、広告クリエイティブに関しましては、外部コンサルタントによるレビューも参考にしつつ改めて結果を分析のうえ、「衝動買い」「誤注文」を招かぬよう、より一層表現の最適化を図っております。

この売上高減により売上総利益も減少いたしましたが、加えて、一部商品における使用期限切れ等に伴う棚卸資産評価損や商品廃棄損の業績予想に織り込んでいなかった費用計上等により、売上総利益は業績予想を351,202千円下回り、販売利益が351,420千円下回ることとなりました。

③新規獲得

当第3四半期累計期間において、新規顧客獲得人数が減少しております。ROASは業績予想より3.5%改善いたしましたが、新規獲得費の投資が業績予想通りに進まなかったことで、新規獲得による売上高が同予想を189,414千円下回りました。売上高の減少等により売上総利益が98,624千円減少しましたが、主に新規獲得費が抑制されたことで販売促進費等も548,882千円減少しており、これらの差額である450,258千円が販売利益の業績予想を上回った金額となります。

販売利益は業績予想を上回っておりますが、将来の定期売上をもたらす新規顧客獲得のための先行投資が減少した結果であり、ポジティブな増益要因ではありません。

④ECモール

当第3四半期累計期間において、従来からの継続的な取り組みに加え、新商品の取扱い開始、受注過多により販売を停止していた商品の販売再開、モール型フルフィルメントサービス(注2)の活用等により、ECモールの売上高は業績予想を98,422千円上回りました。

これにより、販売利益も業績予想を50,663千円上回ることとなりました。

 

以上、4点により「北の快適工房」における販売利益は3,079,564千円となり、業績予想を47,824千円上回りました。

 

「その他ブランド」における販売利益の業績予想差異要因

「その他ブランド」においては、『SPADE』が軌道に乗りはじめており、今後の新たな収益の柱となることが期待されます。

当第3四半期累計期間においては、大手電子タバコメーカーのデバイス製造を担っている企業との共同開発でデバイスのリニューアルを実施し、これにより製造にかかるリードタイムの大幅な短縮や原価率改善等が実現しました。さらに、電子タバコ関連商材の出稿がNGだった大型の広告媒体での出稿解禁、かねてから出稿していた広告媒体にてノウハウの蓄積により投資効率が改善したことで新規の獲得が拡大いたしました。

これにより、想定を上回る新規獲得費を投資した結果、販売利益は業績予想を下回りました。なお、新規獲得費を増やしたものの、ROASは当初の想定を上回っており、広告投資効率は維持したまま先行投資を拡大できております。

こうした取り組みにより、2023年7月には同ブランドにおける最高月商を記録しております。ローンチして間もない事業規模の小さなブランドであるため、新規獲得費をはじめとする販売促進費の売上高に占める割合が高く単月の販売利益は赤字が続いておりましたが、定期顧客が順調に積み増しされたことで定期売上の割合が大きくなっており、2023年8月以降は単月の販売利益が黒字で着地しております。

以上の結果、当第3四半期累計期間における『SPADE』をはじめとする「その他ブランド」の販売利益は、業績予想を57,555千円下回る△64,176千円となりました。

なお、販売利益は業績予想を下回っておりますが、将来の定期売上をもたらす新規顧客獲得のための先行投資が拡大した結果であり、ネガティブな減益要因ではありません。

 

以上、「北の快適工房」においては販売利益が業績予想を47,824千円上回り、「その他ブランド」においては57,555千円下回ったことで、個別業績における販売利益は業績予想3,025,120千円に対し実績は3,015,388千円とほぼ予想通りに着地いたしました。

 

 

ヘルス&ビューティーケア関連事業における主要ブランド別の詳細な事業の状況は以下のとおりであります。

 

(北の快適工房)

広告宣伝費の投資額の推移

当第3四半期連結累計期間における広告宣伝費の投資額の推移は、下記のとおりであります。なお、広告宣伝費のほとんどが「自社広告による獲得」によるものです。

月次

22年

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

23年

1月

2月

広告宣伝費

(百万円)

120

133

158

198

221

242

236

328

325

410

553

485

 

 

23年

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

 

544

617

601

478

405

386

334

284

227

 

各指標の開示方法及び開示区分について

「北の快適工房」における主な獲得チャネルは、当社が独自に運営するECサイト経由の「自社サイト等(注3)」とAmazonや楽天市場等の「ECモール」となります。当第3四半期連結累計期間における売上高のうち、約90%が自社サイト等によるものです。自社サイト等は、先行する広告投資により、初回収支はマイナスになりますが、継続的に購入されることで収支がプラスになる定期購入型のビジネスモデルであり、将来の定期売上の源泉となる「新規顧客獲得人数」が重要な指標となります。一方、ECモールは、一度の購入で収支をプラスとする単品買い切り型のビジネスモデルであり、同指標の重要性は高くありません。収益化の仕組みが根本的に異なるモデルであるため、第1四半期連結累計期間より別掲のうえ記載しております。

また、「自社サイト等」は、「自社広告による獲得」と、アフィリエイト経由等の獲得である「その他」から構成されますが、自社広告による獲得構成比が高くなってきたこと及び当社における投資効率を正確に計るため、広告投資効率指標においては自社広告による獲得のみの数値を記載しております。

なお、前連結会計年度以前における各指標は、遡及して新たな基準で計測したものを記載しております。

※画像省略しています。

 

自社サイト等の新規顧客獲得人数推移

当第3四半期連結累計期間における自社サイト等の新規顧客獲得人数の推移は、下記のとおりであります。

※画像省略しています。

当第3四半期連結会計期間(2023年9月1日~2023年11月30日)における自社サイト等の新規顧客獲得人数は前年同四半期比44%増に拡大している一方、直前四半期連結会計期間との比較では21%減と縮小しております。

第1四半期連結会計期間において、前連結会計年度に実現したクリエイティブ部門及び広告運用部門のスキルアップによる集客部門全体の底上げや、新たに開始した施策等が好調だったことで、自社広告での獲得が拡大し、特に2023年4月の月間新規顧客獲得人数においては、当社創業以来の過去最高を更新いたしました。

一方で、第2四半期連結会計期間から当第3四半期連結会計期間にかけては、クリエイティブの疲弊対策が追いつかず新規獲得が縮小しております。新規獲得の拡大には、クリック率の高い広告や購入率が高い販売ページ等の「良いクリエイティブ」が必要であり、それらも一定期間を経過すると「疲弊(見飽きられる)現象」が生じユーザーの反応が悪化していくため、視点や切り口を変えた新鮮なクリエイティブを次々と作成する必要があります。そのため、当社ではクリエイティブ部門の整備と教育に長年に渡って取り組み、クリエイティブ全体の作成スキルは従来のレベルからは着実に引き上がっております。しかしながら、販売ページは広告と比べて新規作成の難易度が高くかつ多様なスキルが必要となり、さらに作成や検証作業に多くのリソースを必要としますが、これらに対応する体制整備が不十分であり、特に販売ページの疲弊対策が追いついておりません。

さらに、集客部門のリソース配分が適切ではなかったことも新規顧客獲得人数が縮小している一因です。掲げている新規獲得目標を達成するための戦略や施策は、常にPDCAを回しながら最適案を模索しますが、目標が高ければ高いほどPDCAを1サイクル回すためのリソースも相当程度必要となります。集客部門において、掲げていた高い目標を達成することにリソースを振りすぎてしまったことで、足元の新規獲得を維持・堅調に拡大することへリソースを十分に割くことができず、クリエイティブの疲弊以上に新規獲得を落とすこととなりました。

こうした状況を踏まえ、再度クリエイティブ部門の体制を整備してまいります。単にクリエイティブと一括りにしても、「広告」と「販売ページ」では求められるスキルが異なっており、人員の得手不得手を勘案し適正な人員配置を行うとともに経験者の採用等を通じ、販売ページの作成スキル向上を図ってまいります。さらに、集客部門の目標やリソース配分も見直し、まずは足元の新規獲得の回復を図りつつ、それらを維持したまま拡大施策にも取り組める組織基盤を構築してまいります。

 

自社広告による獲得の投資効率

採算性を度外視し広告投資を拡大すれば必ず新規顧客獲得人数は増加するため、広告投資効率の指標である1年ROAS(注4)を注視することが必要となります。一方で、1年ROASは広告同士や同じ広告の時期別レスポンスを比較するためのものであり単純比較はできず最適値は存在しません。そのため、広告の機会ロス及び採算割れチェックを行う指標である広告投資バランス(注5)にも注視する必要があります。広告投資バランスが1.00を下回っている場合は、実績CPOが上限CPO(注6)を下回っており広告投資における機会損失が生じている状態、逆に1.00を超過した場合は、実績CPOが上限CPOを上回っており過剰に投資している状態です。

当第3四半期連結累計期間の自社広告による獲得の投資効率は下記のとおりであります。

※画像省略しています。

2022年2月期においては、イレギュラーな事象による一時的な変動(注7)があったものの、2023年2月期以降は一定の水準で推移しております。

また、当第3四半期連結累計期間においても、基本的には最適値である広告投資バランス1.00を超過することなく推移しております。一部、広告投資バランスが1.00を超過している月もございますが、クリエイティブ部門によって新しい切り口の販売ページを新規作成し、多数の検証テストを行ったため、採算の合わない広告宣伝費の割合が一時的に増加したことによる計画的なものです。

今後も、最適な広告投資バランスである1.00を維持したまま新規顧客獲得人数の拡大を行ってまいります。

 

ECモールの売上高推移

当第3四半期連結累計期間におけるECモールの売上高推移は、下記のとおりであります。

※画像省略しています。

当社では、成長市場であるECモール商圏を積極的に取り込むべく、専任者を複数名配置しECモールの拡大に取り組んでおります。当第3四半期連結累計期間においても、引き続きECモールに特化した販促活動やクリエイティブの制作及び広告最適化、各ECモールにおけるセールへの参加、新商品の取扱い開始、受注過多により販売を停止していた商品の販売再開、モール型フルフィルメントサービスの活用にも努めております。

なお、ECモールのなかにも新規とリピート購入が混在しており、このうちECモール新規は基本的に自社サイト等の新規顧客獲得人数に連動する性質があります。先述の「自社サイト等の新規顧客獲得人数推移」に記載のとおり、当第3四半期連結会計期間における自社サイト等の新規顧客獲得人数は、直前四半期連結会計期間比21%減と縮小しておりますが、先述したECモールでの各取り組みの結果、ECモールの売上高は同9%減に留まっております。

今後も様々な施策を展開し、さらなる売上拡大に取り組んでまいります。

 

 

(SALONMOON)

当第3四半期連結累計期間におけるSALONMOONの売上高推移は、下記のとおりであります。

※画像省略しています。

当社の連結子会社である株式会社SALONMOONのオリジナルヘアケアブランド「SALONMOON」では、機能性に優れたヘアアイロン等をお手頃な価格で提供しております。20代から40代の女性が主な顧客層であり、ECモールを中心に展開しているほか、全国の家電量販店での店頭販売も行っております。

当第3四半期連結累計期間においては、Amazon、楽天市場やQoo10等の主力ECモール拡大のための販促施策を行ったほか、新商品のリリースにも注力いたしました。

各ECモールにおいて、検索エンジン最適化のための緻密な広告運用施策を行ったほか、特性やユーザー層を改めて分析のうえ最適なクリエイティブをECモールごとに作成、キャッシュバック施策等の独自キャンペーンも実施いたしました。また、商品ラインナップの拡充により新たな顧客層を取り込むべく、新商品やシリーズ品のリリースも精力的に行っております。さらに、2023年6月より大手バラエティショップ「ロフト」での一部の店頭での販売を開始し、2023年8月には全国の店舗に拡大したほか、2023年10月には総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」でも取扱いを開始する等、より一層のブランド価値及びブランド認知度の向上を図っております。これにより、「SALONMOON」ヘアアイロンシリーズの累計出荷台数は90万台を突破する等、順調に拡大しております。

以上の結果、当第3四半期連結累計期間における「SALONMOON」の売上高は621,880千円(前年同四半期比26.8%増)となりました。

なお、前連結会計年度においては、記録的な円安の進行や原材料及び輸送費等の相次ぐ値上げによる仕入れ価格の高騰等により営業損失を計上する期間も発生しましたが、販売価格の改定、輸入効率や在庫保管効率の改善を通じたコスト削減等を実施したことで、当第3四半期連結累計期間は従来の営業利益率の水準を維持しております。

2023年7月及び8月の営業利益率が低下しておりますが、施策による一時的な費用増加、販路拡大に伴う初期費用の発生、売上高に占める販売チャネル構成比の変動によるものであります。

 

 

(注1)ROAS

Return On Advertising Spendの略。広告出稿に対してどれだけ売上があったか成果を計る広告投資効率の指標で、ここでは「新規獲得による売上高」と販売促進費等のうち「新規獲得費」を用いて算定。100万円を新規獲得に使用し、90万円の売上が発生した場合のROASは0.90(90.0%)。1.00以下の場合、初回購入時の収支はマイナスだが、定期購入の場合は、継続的に購入されることで収支がプラスになる。

(注2)モール型フルフィルメントサービス

各ECモールが展開する、商品の保管、注文処理、梱包、出荷等の一連の業務を代行するサービス。

 

(注3)自社サイト等

当社が独自に運営するECサイトからの新規獲得(一部電話注文等を含む)。ECモール以外は全て自社サイト等に含まれる。

(注4)1年ROAS

広告出稿に対して1年間でどれだけの売上を見込んでいるかの予測として使用。100万円を広告出稿に使用し、150万円の売上を見込んでいる場合の1年ROASは1.50。

(注5)広告投資バランス

広告の機会ロス、採算割れを計る独自の指標。上限CPOに対してどの程度のCPOで獲得ができたのかを表す。広告投資が1.00を下回れば機会ロス、1.00を上回れば過剰投資、1.00が最適値となる。上限CPOの設定が10,000円、CPOの実績が9,000円だった場合の広告投資バランスは0.90。

(注6)上限CPO

新規顧客獲得1人当たりに要する広告宣伝費の金額である「CPO(Cost Per Order)」と、顧客が将来もたらす「LTV」(注8)の予測額との関連性を用いた、必要利益から逆算した新規顧客獲得1人当たりに使用可能な広告宣伝費の上限額。

(注7)広告投資効率の一時的な変動

2022年2月期において、アフィリエイト等での新規獲得が好調だったことで商品の認知度が向上し、これにより自社広告による獲得の効率性の向上へと繋がり、1年後ROASが一時的に引き上がった。また、新商品を同時期に複数リリースしたことで検証のために採算の合わない広告宣伝費が増加し、広告投資バランスが最適値である1.00を大きく上回る期間が発生。ただし、これらは一時的かつイレギュラーな事象であった。

(注8)LTV

Life Time Valueの略で、顧客がもたらす生涯売上高の金額。1年LTVは、顧客が1年間でもたらす売上高の金額。

 

(2)財政状態の分析

(資産)

当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末と比較して275,450千円増加し、8,054,925千円となりました。この主な要因は、棚卸資産が1,234,150千円増加した一方で、現金及び預金が903,247千円減少したこと等によるものであります。

(負債)

当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して289,059千円減少し、1,303,124千円となりました。この主な要因は、未払法人税等が270,585千円増加した一方で、買掛金が306,565千円、未払金が238,517千円減少したこと等によるものであります。

(純資産)

当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末と比較して564,509千円増加し、6,751,801千円となりました。この主な要因は、利益剰余金が544,564千円増加したこと等によるものであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ903,247千円減少し、3,924,793千円となりました。

当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間において営業活動の結果減少した資金は、573,501千円(前年同期は302,575千円の増加)となりました。この主な要因は、税金等調整前四半期純利益1,098,283千円が生じた一方で、棚卸資産の増加1,234,150千円、仕入債務の減少306,565千円、未払金の減少257,509千円が生じたこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間において投資活動の結果減少した資金は、115,304千円(前年同期は134,092千円の減少)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出64,657千円、無形固定資産の取得による支出53,460千円が生じたこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間において財務活動の結果減少した資金は、217,116千円(前年同期は355,143千円の減少)となりました。この主な要因は、配当金の支払額205,379千円が生じたこと等によるものであります。

 

(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(5)経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(7)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

当第3四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。

 

(8)研究開発活動

該当事項はありません。

 

(9)経営成績に重要な影響を与える要因

当第3四半期連結累計期間において、経営成績に重要な影響を与える要因について重要な変更はありません。

 

(10)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当第3四半期連結累計期間において、資本の財源及び資金の流動性について重要な変更はありません。