売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E03465 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

 2020年1月のWindows 7 サポート終了後、国内のビジネス向け新規PC出荷台数は反動減となりましたが、当社のITサブスクリプション事業(※1)は順調に拡大しました。これは、PC調達方法としてのサブスクリプションの認知度向上、IT部門の業務負担軽減ニーズの高まりを背景としてビジネス向けPCのサブスクリプション利用率が年々上昇し、新規PC出荷台数が減少する中でもその市場が拡大していることによります。

(※1)ITサブスクリプション事業:

法人・官公庁が業務で使用するPC等のIT機器サブスクリプション、IT環境の運用保守、ヘルプデスク、クラウド等のITサービスで構成。サブスクリプション型サービスが大部分を占めています。

◆IT機器サブスクリプション(中長期レンタル中心)

◆ITサービス(運用保守、通信、クラウド系ソリューション等)

 

 今後については、2025年10月のWindows 10 サポート終了に向けて、2024年からPC更新拡大期に入ると予想されています。PC更新拡大期に入ると、法人のIT部門の業務負荷が増大するため、サブスクリプションへのシフトがさらに進むとともに、IT機器管理全般を外部委託するLCM(※2)サービス、データ消去等のITAD(※3)サービスのニーズが高まり、当社事業の成長速度の上昇が見込まれます。

(※2)LCM:

Life Cycle Managementの略。PC、Wi-Fi、モバイル機器等の導入、運用・管理、使用後のデータ消去・適正処分を管理する仕組み。

(※3)ITAD:

IT Asset Dispositionの略、IT機器の適正処分の意味。情報セキュリティ上安全、かつ適法(環境法、国際条約、資源有効利用促進法等)な処分は、コンプライアンス・ガバナンスにおいて経営上の重要事項と位置付けられ、欧米で一般化しています。

 

 この事業環境を踏まえ、以下を重点課題として先行投資等を行っております。

①成長機会に備えたサービス提供インフラの整備(人材・設備・DX)

②サブスクリプション型サービスの拡大(ITサブスクリプション、ITAD、LCMサービス全般)

③SDGs支援強化(当社事業そのものがSDGs直接支援となる)

④資産効率・収益性の向上

 

 

 当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高の過去最高を5期連続で更新いたしました。前年同期に一時的な売上高・各利益の増加要因(※1)があったため、前期比では4.2%の増収にとどまりましたが、重点課題であるストック収益は、着実に成長しております。また、営業利益は、前述した前期の一時的増益、今期の積極投資による先行コスト増加の影響を収益性向上策でカバーし、25%以上の増益となりました。

 なお、当第3四半期連結会計期間の減益については、前第3四半期にコミュニケーション・デバイス事業での大型販売による売上高・利益の増加があった事と、当第3四半期に、東京カスタマーセンター新設と福岡支店の移転に伴う一時費用を計上したことが主な要因です。

 

 セグメント別では、国内のビジネス向け新規PC出荷台数が伸び悩む中でもITサブスクリプション事業は順調に拡大いたしました。ITAD事業(※4)は回復の遅れから前年同期比で減収でしたが、収益性が向上し増益となりました。コミュニケーション・デバイス事業(※5)は、旅行業界の回復と連動して改善基調となりました。

(※4)ITAD事業:

使用済みIT機器のデータ消去、適正処理サービスです。

◆使用済みIT機器のセキュアな回収、データ消去

◆リユース・リサイクル販売(高価値品はテクニカルセンターで製品化し、リユース販売。リユース困難な機器については分解して素材化し、当社の監査基準を満たすリサイクル業者へ販売し、廃棄物削減と適正処理を推進)

 

(※5)コミュニケーション・デバイス事業:

イヤホンガイド®関連サービスです。国内の旅行関連市場では当社グループのイヤホンガイド®が、ガイドレシーバーのシェア90%以上を有しています。

◆イヤホンガイド®の製造販売、レンタル

◆イヤホンガイド®の保守・メンテナンスサービス

 

 投資面では、2025年10月のWindows 10 サポート終了に伴うPC更新需要の拡大を見据え、戦略投資を前期よりも拡大し、先行コストが増加いたしました。具体的には、人的資本への投資(人事・給与制度の全面改正、昇給、IT人材の積極採用)、DX強化、新規商談獲得のための大規模展示会への出展を積極実施するとともに、各エリアでの事業拡大と人材確保を目的として札幌支店・名古屋支店・福岡支店のオフィスを都心部へ移転いたしました。また、東京カスタマーセンターを本社近隣に新設し、ヘルプデスク等のサービスと人材確保の強化を図りました。

 

 この結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高4,935,300千円前年同四半期比4.2%増)、営業利益403,246千円前年同四半期比26.3%増)、経常利益389,980千円前年同四半期比25.0%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益256,985千円前年同四半期比31.1%増)となりました。

 

 

 セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 

<ITサブスクリプション事業>

前年同期は一時的な売上高・利益の増加があったため(※6)、当第3四半期連結累計期間では前年同期比で売上高は微増、利益は微減となりましたが、重点課題である当セグメントの業績は順調に拡大していると評価しております。企業のIT部門の負担軽減につながる当社サービスへのニーズは強く、当セグメントの大部分を占めるサブスクリプション売上高は当第3四半期も順調に拡大しております。また、サブスクリプション資産(勘定科目はレンタル資産)は、引き続き高い稼働率での運用を実現しております。

(※6)前期の一時的要因は次のとおりです

    ・サブスクリプション資産(勘定科目はレンタル資産)の世代交代・売却に伴う売上・利益増

    ・サブスクリプション資産(同)の耐用年数変更に伴う減価償却費減少(利益増)

 

コスト面では、当第3四半期も投資 (サブスクリプション資産の調達、オフィス移転、人材の採用、DX推進等) を積極的に実行したことで先行コストは増加しましたが、PC更新需要に備えサービス供給力強化は進んでおります。

 

この結果、売上高3,550,503千円前年同四半期比6.8%増)、セグメント利益445,403千円前年同四半期比1.1%減)となりました。

 

<ITAD事業>

外部環境の影響を受けやすい事業構造からの転換を図るため、引き続きサービス収益の拡大を進めております。

国内の新規PC出荷台数の低迷により法人・官公庁からの使用済みPCの排出は本格回復には至らず、入荷量は前年同期比で減少したため、サービス以外の売上高(リユース販売等)は減収となりました。

一方、重点課題であるデータ消去・引取回収・排出管理BPOなどのサービス収益は、サービス範囲拡張や営業強化策により順調に拡大しました。また、リユース販売についても、採算性の高い使用済みPCの確保を進めるとともに、優良リユース品となる当社サブスクリプション終了品の販売が好調に推移し、収益性が向上いたしました。

以上の諸施策により、当第3四半期連結累計期間での売上高は減収でしたがセグメント利益は10%以上の増益となりました。

 

この結果、売上高1,268,483千円前年同四半期比10.0%減)、セグメント利益375,689千円前年同四半期比13.8%増)となりました。

 

<コミュニケーション・デバイス事業>

前年同期は、特定の旅行会社への大口販売による一時的な売上高・各利益の増加がありましたが、この影響を除くと、順調に拡大している状況にあります。

当第3四半期は国内旅行の閑散期にあたりましたが、訪日旅行向けレンタルや工場見学などの旅行業以外への販売は好調に推移しました。

 

この結果、売上高160,691千円前年同四半期比6.6%増)、セグメント利益17,142千円(前年同四半期は、セグメント損失1,397千円)となりました。

 

 

(2) 財政状態の分析

 当第3四半期連結会計期間末の総資産は、9,214,081千円前連結会計年度末比1,205,935千円増)となりました。

 この内、流動資産は1,928,199千円前連結会計年度末比34,640千円増)となり、主に売掛金が43,923千円、商品が10,414千円、その他が49,957千円それぞれ増加し、現金及び預金が71,367千円減少したことによります。

 固定資産は7,285,881千円前連結会計年度末比1,171,295千円増)となり、主にサブスクリプション資産(勘定科目はレンタル資産(純額))が1,068,364千円増加したことによります。

 負債は6,329,814千円前連結会計年度末比1,061,381千円増)となりました。

 この内、流動負債は2,968,874千円前連結会計年度末比245,907千円増)となり、主に1年内返済予定の長期借入金が293,461千円増加し、未払法人税等が146,357千円減少したことによります。

 固定負債は3,360,939千円前連結会計年度末比815,473千円増)となり、主に長期借入金が825,982千円増加したことによります。

 純資産は2,884,266千円前連結会計年度末比144,554千円増)となり、主に親会社株主に帰属する四半期純利益256,985千円、新株予約権の行使による資本金・資本剰余金がそれぞれ46,855千円増加した一方、剰余金の配当により205,940千円減少したことによります。

 また、当第3四半期連結会計期間末における自己資本比率は31.3%前連結会計年度末は34.2%)で、1株当たり純資産額は549円31銭(前連結会計年度末は531円99銭)であります。

 

(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はありません。

 

(5) 研究開発活動

 該当事項はありません。