売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E03521 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 業績の状況

当第3四半期連結累計期間(2023年4月1日~12月31日)における国内経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の位置づけが5類感染症に移行し、社会経済活動の正常化が進む中、個人消費の回復やインバウンド需要拡大の動きが見られました。

一方、物価上昇の長期化や金利・為替変動の影響など、国内外の経済情勢の先行きは、依然として不透明な状況が続いており、引き続き注視の必要があると認識しています。

こうした中、当社グループは「お客さまの暮らしを豊かにする“特別な”百貨店を中核とした小売グループ」の実現に向け、中期経営計画(2022年度~2024年度)に基づき「“高感度上質”戦略」、「“個客とつながる”CRM 戦略」、「“連邦”戦略」、「百貨店の科学(収支構造改革)」の取組みなどを着実に推進しました。

国内百貨店では、エムアイカード・三越伊勢丹アプリの会員拡大による顧客の識別化、地域百貨店における伊勢丹新宿本店・三越日本橋本店からの商品のご紹介など、個のお客さまのニーズを具現化するための取組みを推進しました。更に、インバウンド需要の拡大に先回りした商品構成の修正や外国顧客担当による個別ニーズへの対応を強化したことも収益の拡大に繋がっています。

グループ関係会社では、店舗の広告・装飾、改装工事を受注する内製化の取組みや外商などを通じたBtoBの外販活動の拡大など、各社の専門性や独自性を高めながらグループの力を最大化するための連携を強化しています。

サステナビリティに関する取組みでは、社会・環境に配慮したモノ・コトをご紹介する「think good」を拡充したほか、お取組先行動規範を制定し、持続可能なサプライチェーンの構築に向けた協働の取組みを推進しました。また、株式会社三越伊勢丹では、女性の活躍推進の取組みに対し、厚生労働大臣が認定する「えるぼし認定」において、最高位となる3つ星を取得いたしました。

その他、当社グループがマニラにおいて共同開発している商業施設「MITSUKOSHI BGC」が、世界の優れた不動産プロジェクトを表彰する「第18回PropertyGuru Asia Property Awards」の2部門で最優秀賞を受賞いたしました。

当第3四半期連結累計期間の連結業績は、売上高は401,771百万円(前年同四半期比9.4%増)営業利益は40,939百万円(前年同四半期比66.7%増)経常利益は44,976百万円(前年同四半期比75.6%増)親会社株主に帰属する四半期純利益は31,108百万円(前年同四半期比59.0%増)となりました。営業利益及び経常利益は、当第3四半期連結累計期間の比較において2008年4月の三越伊勢丹ホールディングス発足以来の最高益を更新し、中期経営計画に掲げた「百貨店の再生フェーズ」が前倒しで進展しています。

この状況を踏まえ、百貨店を中核とした複合用途に、当社グループならではの提供価値を組み合わせて、ユニークな顧客体験を提供する「“まち化”戦略」についても、引き続き進めてまいります。

 

 セグメントの業績は次のとおりであります。

①百貨店業

当第3四半期連結累計期間(2023年4月1日~12月31日)における国内百貨店は、入店客数が全国的に前年実績を大きく上回り、コロナの5類感染症への移行後初めて迎える年末商戦にて打ち出した数々のキャンペーンや品揃えの拡充が奏功し、ラグジュアリーブランドのほか、秋冬物の衣料品や化粧品、食品などの幅広いアイテムが良く動きました。その結果、免税売上高が過去最高を記録するとともに、外商やエムアイカード会員など当社が識別できる顧客(以下、「識別顧客」)をはじめとするインバウンド以外のお客さまによる売上も好調に推移し、総額売上高は大きく伸長した前年実績を更に二桁以上上回り、コロナ禍前の2018年度の水準に回復しました。

当社グループでは、上質で豊かな生活を求めるお客さまの消費ニーズにお応えする「“高感度上質”戦略」を推進しております。10~12月においては、三越伊勢丹ならではの独自性ある商品にその品揃えの背景にある“物語”を添えてご提案する「THE STORIES」や、サステナブルなモノやコトをご紹介する「think good」(※)などのキャンペーンを店頭やオンラインで大きく展開したほか、「三越創業350周年」として、長年ご愛顧いただいているお客さまのニーズにお応えする特別企画商品を多数ラインアップし好評を博しました。また、「“個客とつながる”CRM戦略」として、エムアイカードへの新規ご入会やご利用促進に向けたさまざまな施策を実施するとともに、「三越伊勢丹・カスタマープログラム」における年間購買上位顧客を対象とした年末のスペシャルセールの品揃え強化を図りました。その結果、三越伊勢丹アプリのダウンロード数を含む識別顧客総数は順調に拡大しており、識別顧客による総額売上高(国内百貨店合計)も前年実績を上回りました。

免税売上高については、外国人観光客数の回復や円安基調が続く中、11月及び12月には月間の免税客数が2018年度の水準を上回り、国・地域別では韓国や台湾のほか、ゼロコロナ政策解除後初の国慶節を迎えた中国からの客数が大きく伸びました。これら訪日顧客の旺盛な消費ニーズを見越し、ラグジュアリーブランドなどの高付加価値商品の品揃え強化に引き続き取組んだ結果、免税売上高は首都圏の都心店舗だけでなく地域百貨店においても2018年度実績を上回り、国内百貨店計で当第3四半期連結累計期間の過去最高額を更新しております。

オンライン事業に関しては、歳暮期を迎えたギフトECが前年水準を維持するとともに、取組みの強化を図る「ISETAN DOOR(食品定期宅配)」や「meeco(化粧品)」、「三越伊勢丹ふるさと納税」などのカテゴリー別サイトが前年同期実績を2桁以上上回るなど堅調に推移いたしました。

これらの結果、当第3四半期連結累計期間において、首都圏の株式会社三越伊勢丹が引き続き大幅な増収となり、特に伊勢丹新宿本店の総額売上高は前年同期間において記録した過去最高額を二桁以上上回り、通期計画(3,727億円)の達成も視野に入ってきております。また、地域百貨店についても、岩田屋本店(福岡市)がクリスマス期に独自のお得意様ご招待会を開催しご好評をいただいたほか、「拠点ネットワーク戦略」として伊勢丹新宿本店・三越日本橋本店からのお取り寄せが伸びるなど、福岡や札幌、名古屋などの大都市の店舗を中心に、地域百貨店合計の総額売上高が前年実績を上回りました。

一方、経費面については、全国の店舗での徹底した「百貨店の科学(収支構造改革)」の効果により固定費の圧縮や売上連動経費の抑制などの経費コントロールが進みました。この結果、地域百貨店合計においても引き続き黒字を確保するなど、国内百貨店事業の収支は大幅に改善しております。

海外店舗の当第3四半期連結累計期間(2023年1月1日~9月30日)では、8月にオープンした寿司レストランが好調のオーランド三越(米国)や、クアラルンプール伊勢丹(マレーシア)においても新たに導入した日本食をメインとしたレストランフロアが集客に貢献しているガーデンズ店を中心に、堅調に推移しております。なお、中国・天津市内の2店舗(天津伊勢丹・天津濵海新区伊勢丹)については、構造改革の一環として、入居建物の賃貸借契約期間満了に伴い営業を終了する予定です(2024年春予定)。

このセグメントにおける売上高は337,017百万円(前年同四半期比6.7%増)営業利益は34,190百万円(前年同四半期比94.4%増)となりました。

※「think good」キャンペーンの一環として、さまざまな企業からご紹介いただいた残反などの素材を、国内外のブランドやクリエーター、アーティストの方々などの手でアップサイクルし、新しい価値のあるものづくりに活用する「ピース de ミライ」プロジェクトなどに取組みました。

 

②クレジット・金融・友の会業

株式会社エムアイカードは、百貨店売上の拡大に伴いグループ内でのクレジットカード利用が好調に推移し、グループ外加盟店での取扱高も社会経済活動の正常化により前年実績を大きく上回りました。これによりカード手数料収入が拡大するとともに、カードファイナンスの強化により割賦手数料収入も伸ばすなど、当第3四半期連結累計期間において増収となりました。また、収支構造改革を進める一方で、将来を見据えた基幹システム更改に伴う減価償却費の増加などの要因により営業費用が営業収入の伸びを上回り、第2四半期連結累計期間に続き減益となりました。なお、この分野における成長戦略として、百貨店事業を通じてつながったすべての識別顧客の暮らし全般に関わるご要望にお応えするべく、新たな金融サービスの開発を進めております。その一環として、損害保険会社と提携し、エムアイカード会員向けにポイントがお得に貯まる新たな総合自動車保険「エムアイくるまの保険」の提供を10月より開始しております。

このセグメントにおける売上高は24,403百万円(前年同四半期比6.1%増)営業利益は2,950百万円(前年同四半期比5.1%減)となりました。

 

③不動産業 

不動産業では、グループの保有物件におけるテナントの入れ替えなどにより引き続き賃料収入が減少しました。一方、建装・デザイン事業やコンストラクションマネジメント事業などを手掛ける株式会社三越伊勢丹プロパティ・デザインにおいて、ブランドショップのリニューアルや、都心の大型開発案件のホテルやオフィスなどの内装の相次ぐ完工により売上が拡大し、原材料費の高騰の影響を強く受けたもののコストをコントロールし、同社の収支は改善しました。

このセグメントにおける売上高は18,395百万円(前年同四半期比29.4%増)営業利益は2,015百万円(前年同四半期比32.7%減)となりました。

 

④その他

食品スーパーマーケット「クイーンズ伊勢丹」の運営や食品OEM製造などを手掛ける株式会社エムアイフードスタイルの損益が2022年7月より連結業績に加わり、このセグメントにおける当第3四半期連結累計期間の総額売上高を押し上げております。同社は自社工場を抱える強みを活かして高品質な食品のOEM受注拡大に取組むとともに、当社グループの顧客接点強化の一環として出店政策を進めており、10月には「クイーンズ伊勢丹新小岩店」をJR新小岩駅ビルにオープンさせております。

旅行業の株式会社三越伊勢丹ニッコウトラベルは、旅行需要の本格的な回復に対し、「セレナーデ号(ヨーロッパのリバークルーズ客船)」や「三越伊勢丹プレミアムクルーザー(10席のみの国内大型ラグジュアリーバス)」などの同社の強みを活かした高品質旅行や、三越創業350周年を記念した希少性の高い特別企画旅行など、国内外の高付加価値の企画旅行を数多くラインアップし引き続き増収となりました。当第3四半期連結累計期間は長引く円安や海外旅行先でのインフレなどの影響を強く受けたものの、コロナ禍における徹底した損益分岐点の引き下げが寄与し、第2四半期連結累計期間に引き続き黒字を確保しております。

メディア事業の株式会社スタジオアルタは、本年より百貨店の広告メディア販売事業を統合し、グループ総合ハウスエージェンシー化を進めております。特に当第3四半期連結会計期間(10~12月)では百貨店店舗内やアルタビジョン(JR新宿駅東口)などの広告販売が好調に推移したほか、引き続き販売管理費の効率化を図り、大幅な増収増益となりました。

 このセグメントにおける売上高は69,624百万円(前年同四半期比20.6%増)営業利益は1,689百万円(前年同四半期比154.3%増)となりました。

 

(2) 財政状態の分析

当第3四半期連結会計期間末の総資産は1,271,766百万円となり、前連結会計年度末に比べ54,458百万円増加しました。これは主に、季節要因により受取手形、売掛金及び契約資産が増加したことなどによるものです。

負債合計では681,905百万円となり、前連結会計年度末から17,116百万円増加しました。これは主に、季節要因により支払手形及び買掛金が増加したことなどによるものです。

また、純資産は589,860百万円となり、前連結会計年度末から37,341百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益を計上したこと及び為替換算調整勘定が増加したことなどによるものです。

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(4) 研究開発活動

該当事項はありません。 

 

(5) 従業員数

該当事項はありません。