売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00525 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態及び経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間における当社グループを取り巻く事業環境は、米国では政策金利を据え置く中、堅調な個人消費が経済活動を下支えしましたが、中国では不動産不況の長期化や消費マインドの低迷により、景気停滞感が続きました。国内においては、自動車生産の回復やインバウンド需要の拡大により、景気は緩やかに回復しました。引き続き、世界的な金融引き締め政策の影響、中国経済の低迷、地政学的リスクの高まりが、景気回復に影響を及ぼすことが懸念されます。

 

こうした事業環境のもと、液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”、リチウムイオン電池セパレータ製造工程で使用されるVOC回収装置は、強い需要に牽引され販売を伸ばしました。一方、包装用フィルムは、需要の回復が遅れ流通在庫の調整が長引き、PCR検査用試薬は、コロナ禍からの正常化に伴い需要が大幅に減少しました。

 

以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比86億円(2.9%)増の3,073億円となり、営業利益は同46億円(47.8%)減の50億円、経常利益は同45億円(65.5%)減の24億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同82億円(83.9%)減の16億円となりました。

 

セグメント別の概況は、次のとおりです。

なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しています。以下の前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。

 

(フィルム)

当セグメントは、包装用フィルムの需要の回復が遅れ、増収減益となりました。

包装用フィルムは、原燃料価格高騰に対し製品価格の改定を進めましたが、需要回復の遅れにより低調な荷動きが続いたことに加え、新機台立上げの費用が嵩みました。

工業用フィルムは、液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”が強い需要に牽引され販売を伸ばしました。セラミックコンデンサ用離型フィルムは、本格的な需要回復には至らず苦戦しました。

 

この結果、当セグメントの売上高は前年同期比74億円(6.7%)増の1,174億円、営業利益は同5億円(25.3%)減の15億円となりました。

 

(ライフサイエンス)

当セグメントは、PCR検査用試薬の需要が大幅に減少したことにより、減収減益となりました。

バイオ事業では、新型コロナウイルス感染症の収束に伴い、PCR検査用試薬の販売が大幅に減少しました。

メディカル事業では、人工腎臓用中空糸膜の販売が堅調に推移しました。

医薬品製造受託事業では、FDAからのWarning Letterが解除されたことにより、GMP(医薬品等の製造および品質管理基準)対応費用が減少し、収益性が改善しました。

 

この結果、当セグメントの売上高は前年同期比41億円(13.8%)減の253億円となり、営業利益は同45億円(56.3%)減の35億円となりました。

 

 

(環境・機能材)

当セグメントは、中国向け電子材料での需要回復遅れ、原燃料価格高騰の影響がありましたが、VOC回収装置、エンジニアリングプラスチックの販売が増加し、増収増益となりました。

樹脂・ケミカル事業では、エンジニアリングプラスチックは、自動車生産台数の回復により販売を伸ばし、加えて製品価格の改定が進みました。工業用接着剤“バイロン”は、中国向けの電子材料用途の販売が低調でした。

環境・ファイバー事業では、環境ソリューションは、リチウムイオン電池セパレータ製造工程で使用されるVOC回収装置、および交換エレメントが第3四半期に販売を大きく伸ばしました。高機能ファイバーでは、“ザイロン”は建築補強用途、自転車タイヤ用途の需要が低調でした。不織布マテリアルは、衛材用途や土木・建築用途での販売減に加え、原燃料価格高騰の影響を受けました。

 

この結果、当セグメントの売上高は前年同期比37億円(4.5%)増の862億円、営業利益は同1億円(2.5%)増の30億円となりました。

 

(機能繊維・商事)

当セグメントは、衣料繊維事業の構造改革の推進と自動車市況の回復により、増収、営業損失縮小となりました。

衣料繊維事業は、不採算商材からの撤退完了と製品価格の改定が進み収益が改善しました。

エアバッグ用基布事業は、自動車生産台数の回復に伴い販売量が増加し、加えて原料価格の上昇に対する製品価格の改定が進み、収益性が改善しました。

 

この結果、当セグメントの売上高は前年同期比13億円(1.9%)増の689億円、営業損失は15億円となりました(前年同期は営業損失18億円)。

 

(不動産、その他)

当セグメントでは、不動産、エンジニアリング、情報処理サービス、物流サービス等のインフラ事業は、それぞれ概ね計画どおりに推移しました。

 

この結果、当セグメントの売上高は前年同期比2億円(2.7%)増の96億円、営業利益は同5億円(28.8%)増の21億円となりました。

 

資産、負債及び純資産の状況

総資産は、前年度末比45億円(0.8%)減の5,844億円となりました。これは主として設備投資により有形固定資産が増加した一方で、現金及び預金や受取手形及び売掛金が減少したことによります。

負債は、前年度末比40億円(1.1%)減の3,635億円となりました。これは主として支払手形及び買掛金が減少したことによります。

純資産は、為替換算調整勘定が増加した一方で、利益剰余金が減少したことなどにより、前年度末比5億円(0.2%)減の2,209億円となりました。

 

(2)事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(3)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は11,798百万円です。

なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。