売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E30002 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当社グループは著作物を公正利用のもと、できるだけ広く頒布し著作者に収益を還元するという「著作物の健全なる創造サイクルの実現」をミッション、「ひとつでも多くのコンテンツを、ひとりでも多くの人へ」をビジョンに掲げ、日本における文化の発展及び豊かな社会づくりに貢献するため、積極的な業容の拡大と企業価値の向上に取り組んでおります。

 日本国著作権法第一章 総則の第一条に謳われる『著作物は文化の発展に寄与』、『著作物の利用と保護の調和』を第一義に、デジタル化された数多くの著作物をより多くの人に届け、その利用における適正な対価を著作者に還元し、また新たな著作物が創造されるよう“著作物の健全なる創造サイクル”の一翼を担うことを目的に事業を行っております。

 

① 経営成績

 当社グループの当第3四半期連結累計期間における経営環境は、第2四半期連結累計期間同様に、全国的に都心部や観光地への人出が増加し、余暇時間の使い方に変化が起こる中、電子書店の多くがこれまでの大幅な割引や高いポイント還元などのキャンペーン施策を変更した影響もあり、前年対比成長率が鈍化する書店が多くなりました。また、第2四半期連結累計期間まで、前年度において電子書籍流通事業での主要取引先であったLINE Digital Frontier株式会社が運営する「LINEマンガ」向けのバックエンド業務が株式会社イーブックイニシアティブジャパンへ移管されたことによる減収影響を大きく受けております。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、株式会社エーアイスクエア株式の譲渡による投資有価証券売却益106百万円を計上しております。

 以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は69,315百万円(前年同期比11.2%減)、営業利益は1,466百万円(前年同期比20.1%減)、経常利益は1,437百万円(前年同期比18.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は861百万円(前年同期比95.1%増)となりました。

 当第3四半期連結累計期間のセグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 

(電子書籍流通事業)

 電子書籍流通事業については、引き続き「コミックシーモア」「Amazon Kindle」などの電子書店への取次や電子書籍配信ソリューションの提供を行いました。2023年2月末時点で、取引先としての出版社は2,200社以上、電子書店は150店以上、取扱稼働コンテンツ数は200万点以上、出版社や電子書店とのキャンペーンは1.6万件以上展開しており、当社グループは国内最大の電子書籍取次事業者として出版業界の発展に貢献しております。

 また、2022年4月に公表した新たな中期経営計画で掲げた目標の実現に向けて、出版社や電子書店の業務効率化や次世代システムの構築といったオペレーショナルエクセレンスを追求し、流通カロリーを一層抑制するための諸活動に引き続き取り組んでおります。

 当第3四半期連結累計期間においては、第2四半期連結累計期間同様に、屋外でのエンタテインメント需要などが増え人流が変化したことで、一部電子書店においてキャンペーン施策の見直しがなされるなど、成長率が鈍化する電子書店が多くなりました。電子書籍市場全体を見ても、2017年度以降20%を超える高い成長率で市場規模が拡大していましたが、直近においては2023年度予想6,481億円、2025年度予想7,344億円、2027年度予想8,066億円と市場規模の拡大に伴い成長率は1桁台となる見込みです。(※)

 このような市場環境を踏まえ、引き続き電子書籍市場成長への寄与と、当社の流通シェアを高めるべく、各書店のキャンペーン施策の支援強化や、商流切替の提案、シームレスな配信システムの構築を目指してエンジニアを出版社に参画させるなど、各取引先との更なる関係深耕を図るだけでなく、業務プロセスの効率化・高度化を推進しております。

 その結果、売上高は63,761百万円(前年同期比12.2%減)、セグメント利益は3,653百万円(前年同期比8.5%減)となりました。

※インプレス総合研究所「電子書籍ビジネス調査報告書2023」より

 

(戦略投資事業)

 戦略投資事業については、引き続き電子書籍流通事業に比肩する第二の収益の柱を確立すべく、FanTop事業や縦スクロールコミック事業を含むIP・ソリューション事業の成長に向けた事業推進に注力しました。

 FanTop事業については、2021年10月より開始したNFTデジタル特典付き出版物において、銘柄数150超、企画出版社数60、また累計発行部数は230万冊超と、着実に企画数が増加しています。特に、累計発行部数の増加は、FanTop上に流通するコンテンツ数と会員数の拡大に直結するものであり、マンガ雑誌をはじめとした発行部数の多い媒体での企画を増やすことによって、今後もコンテンツや会員の獲得を加速させてまいります。また、FanTop事業に関する認知を拡げるための取組みとして、2023年11月には、KYOTO BOOK SUMMITへの初出展のほか、出版業界・メディア向けのFanTop事業説明会を実施いたしました。イベントの実施をすることでFanTopの取組みに対する知名度が上がり、出版業界はもちろんのこと、リアル書店や音楽業界などの他業界からも「紙書籍にNFTデジタルコンテンツを付帯するビジネスモデル」への関心が高まり、新規の商談も数多く獲得することができました。

 IP・ソリューション事業における縦スクロールコミックについては、国外の有力作品の調達・翻訳・流通だけでなく、投資先である韓国の制作スタジオと共同し、メディアドゥグループのオリジナルの作品を制作し、流通させることで、グローバルで急拡大する縦スクロールコミック市場にアプローチをしております。特にオリジナル作品については、国内外の大手電子書店内のランキングにおいて1位を獲得する作品が出るなど、自社IP創出における一定の成果をあげ始めております。

 その結果、売上高は5,476百万円(前年同期比1.3%増)、セグメント損失は997百万円(前年同期はセグメント損失1,129百万円)となりました。

 

② 財政状態

 当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、現金及び預金が658百万円増加した一方、無形固定資産が105百万円減少したことなどにより、前期末と比べ601百万円増加し、51,483百万円となりました。

 負債合計は、未払法人税等が399百万円、預り金などの流動負債「その他」が169百万円それぞれ増加した一方、長期借入金が953百万円減少したことなどにより、前期末と比べ190百万円減少し、33,918百万円となりました。

 純資産合計は、利益剰余金が861百万円、為替換算調整勘定などのその他の包括利益累計額が376百万円それぞれ増加した一方、自己株式の消却などから資本剰余金が422百万円減少したことなどにより、前期末と比べ791百万円増加し、17,564百万円となりました。

 

(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(3)経営方針、経営戦略及び対処すべき課題等

 当第3四半期連結累計期間において、経営方針、経営戦略及び対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(4)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間における研究開発費は軽微であるため、記載を省略しております。