売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E30002 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当社グループは著作物を公正利用のもと、できるだけ広く頒布し著作者に収益を還元するという「著作物の健全なる創造サイクルの実現」をミッション、「ひとつでも多くのコンテンツを、ひとりでも多くの人へ」をビジョンに掲げ、日本における文化の発展及び豊かな社会づくりに貢献するため、積極的な業容の拡大と企業価値の向上に取り組んでおります。

 日本国著作権法第一章 総則の第一条に謳われる『著作物は文化の発展に寄与』、『著作物の利用と保護の調和』を第一義に、デジタル化された数多くの著作物をより多くの人に届け、その利用における適正な対価を著作者に還元し、また新たな著作物が創造されるよう“著作物の健全なる創造サイクル”の一翼を担うことを目的に事業を行っております。

 

① 経営成績

 当第1四半期連結累計期間においては、各出版社・電子書店のキャンペーン数が回復基調にあったことに加え、2024年2月に獲得した新規商流の業績寄与もあり、電子書籍流通事業の売上高が好調に推移しました。他方、戦略投資事業においては、再建に向けた抜本的な改革に着手したことに伴い一時的に収益が悪化した日本文芸社を含むインプリント事業の影響を受けたことにより前年同期比でセグメント損失が拡大しましたが、期初計画に沿った推移となっております。

 その結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は25,113百万円(前年同期比11.0%増)、営業利益は475百万円(前年同期比2.1%減)、経常利益は490百万円(前年同期比11.0%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は244百万円(前年同期比5.0%増)となりました。

 当第1四半期連結累計期間のセグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 

(電子書籍流通事業)

 電子書籍流通事業については、引き続き「コミックシーモア」「Amazon Kindle」等の電子書店への電子書籍の取次や電子書籍配信ソリューションの提供を行いました。2024年2月末時点で、取引先としての出版社は2,200社以上、電子書店は150店以上、取扱コンテンツ数は210万点以上、出版社や電子書店とのキャンペーン管理数は年間1.7万件以上にのぼっており、当社グループは国内最大の電子書籍取次事業者として出版業界の発展に貢献しております。近年、電子書籍市場が拡大するなかで出版社と電子書店が取り扱うコンテンツ数とキャンペーン数は増大し続けており、電子書籍の流通にかかる運用コストは年々増加しております。電子書籍取次の存在意義が高まるなか、当社は基幹システムの連携や時流に合わせた新規のシステム開発を行うほか、取次に関して蓄積されたノウハウに基づくきめ細やかなサポートを通じて、電子書籍の円滑な流通及び出版社と電子書店の業務の効率化、配信事故率の低減に貢献することで、電子書籍市場そのものの拡大と、流通シェアの拡大を目指しております。

 当第1四半期連結累計期間においては、2024年2月に獲得した新規商流及び既存商流の売上高が好調に推移する等、再び成長基調に回帰しております。

 その結果、売上高は23,235百万円(前年同期比11.8%増)、セグメント利益は1,260百万円(前年同期比3.9%増)となりました。

 

(戦略投資事業)

 戦略投資事業は、FanTop事業、インプリント事業、IP・ソリューション事業、国際事業の4事業で構成されております。

 FanTop事業については、紙書籍に資産性のあるNFTデジタルコンテンツを付帯し、自社開発・運営を行っているNFTマーケットプレイス上にNFTデジタルコンテンツを流通させることで、出版業界及びコンテンツ業界の活性化を目指しております。引き続き発行部数の多い雑誌へのアプローチを強化した結果、2024年5月末までの累計発行部数は246万部を突破し、出版物の売り伸ばしに貢献しております。

 インプリント事業については、出版社の日本文芸社での魅力ある作品づくりのほか、小説投稿サイトのエブリスタで発掘した作品のノベライズやコミカライズ、これらのマルチメディア化を推進することで、コンテンツ市場のさらなる拡大に貢献することを目指しております。特に、日本文芸社においては、新たな経営体制のもと各電子書店とのリレーション強化や適切な製本流通を管理するための組織改革を断行する等、安定的に利益を稼得できる企業体質への転換に向けた諸改革を推し進めております。

 IP・ソリューション事業については、出版社から消費者まで幅広く電子書籍に関するサービスを展開することで、主に国内出版市場の拡大を図り、相乗的な収益機会の獲得を目指しております。書籍の要約サービスを提供するフライヤーは、SaaS型のビジネスモデルを展開しており、累計の法人契約数は1,000社を超える等、着実に顧客基盤を拡大しております。2024年5月には新たに従業員サーベイサービス「flier成長組織ナビ」の提供を開始しました。既存サービスとターゲット層が合致する新規サービスの提供によりさらなる顧客拡大を図ってまいります。

 国際事業については、米国の5大出版社を含む欧米の出版社に対して、DXサービスをSaaS型のビジネスモデルで提供しており、欧米の出版社とのネットワークを構築するほか、海外の出版DXのノウハウを将来的に日本の出版社に展開することを目指しております。顧客となる出版社の契約数が着実に増加しており、既存顧客の解約率も非常に低いことから、法人契約数の積み上がりとともに収益が改善しております。当第1四半期連結累計期間においては、Firebrandグループにて新サービス「FLYWHEEL」の提供を開始しました。米国の書籍販売の約60%を占めるAmazonのアルゴリズムに特化した出版社向けAI書籍マーケティングツールで、自社の販売傾向と市場トレンドを自動で分析・予測することにより書籍の効率的な販売促進を実現します。

 FanTop事業、IP・ソリューション事業、国際事業においては成長投資が一巡し、赤字幅縮小や利益増加となりましたが、日本文芸社での体質改善に向けた取組みは今下期以降からその本格的な効果が期待できるものであることから、インプリント事業においては前年同期に比べ損失が増加しました。その結果、戦略投資事業全体としては、売上高は1,832百万円(前年同期比1.0%減)、セグメント損失は364百万円(前年同期はセグメント損失331百万円)となりました。

 

② 財政状態

 当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、受取手形、売掛金及び契約資産が300百万円増加した一方、現金及び預金が252百万円減少したこと等により、前期末と比べ271百万円増加し、51,883百万円となりました。

 負債合計は、支払手形及び買掛金が950百万円増加した一方、未払法人税等が504百万円、長期借入金が321百万円それぞれ減少したこと等により、前期末と比べ218百万円増加し、35,622百万円となりました。

 純資産合計は、為替換算調整勘定が157百万円増加した一方、332百万円の配当実行等により利益剰余金が純額で88百万円減少したこと等により、前期末と比べ52百万円増加し、16,260百万円となりました。

 

(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(3)経営方針、経営戦略及び対処すべき課題等

 当第1四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針、経営戦略及び対処すべき課題等について重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(4)研究開発活動

 当第1四半期連結累計期間における研究開発費は軽微であるため、記載を省略しております。