売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05445 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。

 (1)財政状態及び経営成績の状況

 当第3四半期累計期間(2023年4月1日~2023年12月31日)における我が国経済は、インバウンド需要等を通じて飲食・旅行業界などの内需関連や大企業を中心に輸出関連企業の景況も回復傾向が続きました。しかしながら、円安の影響も大きく受けた各種輸入物価の上昇が消費者物価の上昇に波及してくる一方、実質賃金の上昇はなかなか進まず、企業と家計の景況感に大きな開きを見せたまま推移しました。一方、目を海外に転じると、米国では個人消費を中心に内需が堅調ながら欧州では中心となるドイツが低調な推移となっており、中国では不動産市場の低迷や個人消費の落ち込みなどにより景況感の悪化が進むなど予断を許さないほか、昨年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻が収束の兆しを見せず、さらにはイスラエルとハマスの軍事衝突勃発による中東情勢の悪化もあり、各種エネルギー価格、食料価格などは高止まる一方、各国中央銀行により行われてきた金利引き上げの影響で景気失速が懸念されるなど、先行き大きな不安を残しながら推移しました。

 このような中、当社の主要顧客業界である電子機器関連業界は、事業の再編を進めつつも、新興国向けに機能・性能を絞った製品の開発を進める一方、競争力の源泉である優れたアルゴリズムを用いた映像・画像・音声の圧縮伸張技術を追求し続けております。

 具体的には、携帯型端末においてはワンセグ機能に加え、より高画質、大画面の方向に向かっていることから、映像・画像の圧縮伸張コア技術であるビデオコーデックにおける優れたアルゴリズムを市場が求めております。また、デジタル情報家電においても、高画質化に加え高音質化が求められており、低消費電力と合わせてそれらを実現するオーディオコーデックが期待されてきております。さらに、動画像の配信・伝送分野においても、低ビット・レートでも高画質、高音質、低遅延を実現する圧縮伸張技術が必要不可欠のものとなっております。

 このような状況下、DMNAアルゴリズムを用いて高画質、高音質、低遅延はもちろん、地球環境にやさしい省エネルギーなグリーン製品群を提供している当社は、国際標準規格に基づく圧縮伸張技術の機能強化ならびに受注活動を行うとともに、独自規格のオリジナル・コーデックや圧縮してもデータが劣化しないロスレス技術、ソリューション製品としての各種低遅延伝送装置、映像鮮明化装置などをさらに国内外の市場に投入すべく営業努力を重ねております。

 当第3四半期におきましては、ライセンス事業ではソフトウェア部門、ハードウェア部門で評価ライセンスを各1件獲得したほか、ソリューション事業では、低遅延伝送装置/システムが国内外放送局のほか遠隔操作実験向け等に採用され、また、映像鮮明化装置2件、受託業務3件等の獲得に成功しております。

 一方、費用・損益面では、売上高の伸び悩みにより販管費などのコストを賄うことができず、損失を計上することとなりました。

 なお、当社の売上高は、主要顧客の決算期末(主として9月と3月)に集中する傾向がある一方、販管費等のコストは、各四半期とも大幅な変動はない、という特徴を有しております。

 

 以上の結果、当第3四半期累計期間の売上高は368百万円(前年同期比16.1%減)となり、経常損失132百万円(前年同期は経常損失34百万円)、四半期純損失134百万円(前年同期は四半期純損失36百万円)となりました。

 

 

 部門別の業績につきましては、次のとおりです。

 

(ソフトウェアライセンス事業)

 営業活動におきましては、単体IPでのライセンス営業から複数IPをモジュール化してのライセンス営業に力をいれました。

 主要な案件としましては、次のとおりです。

《評価ライセンス》

・映像鮮明化ソフトウェアIP:車載機器向け

・ハンズフリーソフトウェア:VRゴーグル向け

 以上の結果、当第3四半期累計期間の売上高は64百万円となりました。

 

(ハードウェアライセンス事業)

 営業活動におきましては、4K技術、ロスレス技術、H.265、スムージング技術を中心にライセンス営業活動、海外案件獲得活動を展開しました。

 主要な案件としましては、次のとおりです。

《評価ライセンス》

・JPEG XS エンコーダ/デコーダ for FPGA for 4K:TVディスプレイ向け

 以上の結果、当第3四半期累計期間の売上高は163百万円となりました。

 

(ソリューション事業)

 営業活動におきましては、当社の既存技術と開発力をベースに顧客のカスタム案件の獲得およびオリジナル・コーデックを用いて低遅延・高画質を両立させた小型版画像伝送システムや放送局向け低遅延送り返しシステム、映像鮮明化装置の販売活動を中心に展開しました。

 主要な案件としましては、次のとおりです。

・低遅延伝送装置関連の追加受注:米国放送局でのリモート・スタジオ用

・低遅延伝送装置:国内CATV局向け

・FPGA搭載基板の追加受注:業務用プリンタ向け

・Wi-Fi SyncViewer:株主総会向け

・低遅延伝送装置:防衛装備品向け

・低遅延伝送装置:防災プロジェクト向け

・低遅延伝送装置:5G技術実証実験向け

・Wi-Fi SyncViewer:教育機関向け

・映像鮮明化装置:防災プロジェクト向け

・低遅延伝送装置:遠隔操作実験向け

・映像鮮明化装置:防衛装備向け

・映像鮮明化装置:遠隔操作装置向け

《受託業務》

・メディアプレーヤ改変業務:次期MPU向け

・音声アルゴリズム実証業務

・HEVCドライバ開発業務

・MPEG2マルチモジュールカスタマイズ業務

・画像圧縮伸張処理システム拡張検討業務

・音声アルゴリズム関連業務

・MPEG2マルチモジュール追加業務

 以上の結果、当第3四半期累計期間の売上高は140百万円となりました。

 

・財政状態

 当第3四半期会計期間末における総資産は、現金及び預金の減少などにより前事業年度末より121百万円減少し2,177百万円となりました負債は前受収益の増加などにより前事業年度末より7百万円増加し102百万円となり純資産は四半期純損失の計上などにより前事業年度末から129百万円減の2,075百万円となりましたが自己資本比率は95.3%と高い水準を維持しております。

 

 

 (2)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

 (4)研究開発活動

 当第3四半期累計期間における研究開発活動の金額は、245百万円であります。

 なお、当第3四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

 (5)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社は、当第3四半期会計期間末において現預金を987百万円有しており、また、長短借入金等の有利子負債はなく、自己資本比率は95.3%と極めて高い水準にあります。IPの開発を主業務とし、また、ファブレスメーカーである当社の資金需要は、運転資金需要が主なものであり、それにはすべて自己資金で対応可能となっております。