売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E04496 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。

 また、セグメントの業績につきましては、当社はISP事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当第3四半期累計期間(2023年4月1日から2023年12月31日まで)におけるわが国の経済状況は、外国人観光客などのインバウンド需要や新型コロナウイルス感染症の制限解除など景気は緩やかに回復しつつあります。一方で半導体不足によるサプライチェーンの供給制約、エネルギー価格の上昇、物価高抑制のための金利上昇など、将来に向けては先行き不透明な状況が継続しております。当社が事業を展開する通信業界、教育業界においては、デジタル化(DX)への取り組みによる生産性向上や業務効率化の改善に加え、生成AIを活用したビックデータやIoTへの先行投資が続くと捉えております。このような状況下において、当社は社会的なインフラであるインターネット接続事業者として安定した通信環境とお客様に満足いただけるサービスの提供を維持し続けるための行動に努めております。

 

業界の動向

 ISP(インターネット・サービス・プロバイダ)業界においては、2023年9月末のFTTH(光ファイバー)の利用者数は前年同期比187万契約増(4.9%増)の3,997万契約となり増加しております。また、FTTH契約数のうちNTT東西の卸電気通信役務(サービス卸)を利用して提供される契約数は1,695万契約となっており、FTTH全体契約数に占める割合は前年同期比1.3%減の42.4%となりました。

 MVNOサービスの利用者は、前年同期比433万契約増(15.7%増)の3,193万契約となりました。そのうち高速モバイル通信やIoT(Internet of Things)およびM2M(Machine to Machine)に利用されるSIMカード型の契約者数は前年同期比58万契約増(3.8%増)の1,577万契約となりました。eSIM(イー・シム)を含む通信モジュールの契約者数は前年同期比160万契約増(16.4%増)の1,141万契約となりました。

 1契約あたりのダウンロードトラフィックは、総務省が2023年8月に公開した2023年5月分の集計結果では、固定系ブロードバンド契約者1契約あたりのダウンロードトラフィックが前年同月比90.3kbps増(15.3%増)の681.8kbps、1カ月あたりのダウンロードトラフィックは約208GBとなりました。インターネットトラフィックのピーク時間帯が19時から21時に集中する傾向に変化はありません。トラフィックの伸びは平日より休日の伸びが強くなる傾向にあり、オンラインゲームや動画配信サービス等がトラフィックの伸びを牽引していると捉えております。トラフィック増加に起因する通信速度および通信品質の低下はISP業界に留まらず通信業界全体での課題となっています。デジタル社会の基盤となる通信インフラの重要性が高まっており、安定したインターネット通信環境が求められています。

 

インターネット接続サービスの状況

2024年3月期 第3四半期 インターネット接続サービス 売上高             (単位:百万円)

 

2023年3月期

第3四半期

2024年3月期

第3四半期

増減額

増減率

ISP「ASAHIネット」

6,647

6,561

△86

△1.3%

VNE「v6 コネクト」

1,264

1,469

205

16.2%

合計

7,911

8,030

118

1.5%

 

 当第3四半期のインターネット接続サービスの売上高は前年同期比118百万円増(1.5%増)の8,030百万円となりました。

 

(ISP「ASAHIネット」)

「ASAHIネット」インターネット接続契約数                       (単位:千ID)

 

2022年12月末

2023年12月末

増減数

増減率

FTTH(光接続)

454

460

6

1.3%

ADSL

6

3

△3

△53.7%

モバイル

47

48

1

2.1%

 

 ISP「ASAHIネット」においては、FTTH接続サービスの2023年12月末の契約数は前年同期末比6千ID増(1.3%増)の460千IDとなりました。FTTH接続サービスにおいては、NTT東西が提供する最大通信速度が概ね10Gbpsの光アクセスサービス「フレッツ 光クロス」の提供エリア拡大にともない契約数が増加しました。加えて、NTT東西と協業して販売している「マンション全戸加入プラン」の契約数も増加しました。マンション入居時にインターネットが備え付けらえている契約形態が増加しており、今後も契約数の増加が見込めるマーケットと捉えております。

 モバイル接続サービスの2023年12月末の契約数は前年同期末比1千ID増(2.1%増)の48千IDとなりました。モバイル接続サービスはSIMカード型で従量制のLTEと、モバイルWiFiルーター型で定額制のWiMAXの2つの接続サービスを提供しております。LTE接続サービスは、固定IPアドレスオプションと組み合わせることで遠隔に設置している機器にインターネット経由でアクセスするIoT/M2Mの需要が継続的に増加しております。

 ADSL接続サービスの2023年12月末の契約数は前年同期末比3千ID減(53.7%減)の3千IDとなりました。NTT東西のフレッツADSLの提供エリアが縮小したことにより契約数が減少しております。

 以上の結果、当第3四半期の「ASAHIネット」の売上高は前年同期比86百万円減(1.3%減)の6,561百万円となりました。

 第三者機関の調査により、利用者満足度の高いインターネット通信サービスを選出する「RBB TODAY ブロードバンドアワード2023」において、「プロバイダ部門(総合)」の部で10年連続の最優秀賞を受賞しました。また、今回から新設された「キャリア部門(エリア別総合)関東」の部でFTTH接続サービス「AsahiNet 光」が初の総合1位を受賞しました。当社が対処すべき課題として掲げる「増加する費用を抑え、利益が出せる構造を維持すること」「お客様に満足いただける品質のサー ビスを今後も提供し続けること」の両面を評価いただけたと捉えております。

 

(VNE「v6 コネクト」)

「v6 コネクト」提携事業者数                              (単位:社)

 

2022年12月末

2023年12月末

増減数

増減率

提携事業者数

12

12

0

0.0%

 

 VNE「v6 コネクト」提携事業者数の2023年12月末の増減はありませんでした。当第3四半期の「v6 コネクト」の売上高は前年同期比205百万円増(16.2%増)の1,469百万円となりました。

 「v6 コネクト」はVNO事業者(電気通信事業者)に対してNTT東西が提供するフレッツ光を使ったIPoE方式によるIPv6インターネット接続を卸提供するサービスです。当社は主として基本料およびVNO事業者が利用したトラフィックに応じた従量課金額を売上として計上します。売上高の増収要因は主に2点から構成されます。1点目は提携事業者が取り扱うフレッツ光の回線数増加です。2点目は1回線あたりのトラフィック増加です。当第3四半期は引き続き1回線あたりのトラフィック増加が売上高を牽引しておりますが、トラフィックは緩やかな増加となりました。

 

インターネット関連サービスの状況

2024年3月期 第3四半期 インターネット関連サービス 売上高             (単位:百万円)

 

2023年3月期

第3四半期

2024年3月期

第3四半期

増減額

増減率

「manaba」

569

454

△114

△20.1%

「その他」

606

581

△24

△4.1%

合計

1,175

1,036

△139

△11.8%

 

 当第3四半期のインターネット関連サービスの売上高は前年同期比139百万円減(11.8%減)の1,036百万円となりました。

 

(教育支援サービス「manaba」)

「manaba」契約ID数と全学導入校数                          (単位:千ID)

 

2022年12月末

2023年12月末

増減数

増減率

契約ID数

818

785

△33

△4.0%

全学導入校数

100校

93校

△7校

△7.0%

(注)全学導入校数の集計対象は大学と短期大学です。専門学校や高等学校及び高等専門学校は集計対象に含めておりません。

 

 教育支援サービス「manaba(マナバ)」の2023年12月末の契約ID数は前年同期末比33千ID減(4.0%減)の785千IDとなりました。全学導入校数は前年同期末比7校減(7.0%減)の93大学となりました。当第3四半期の「manaba」の売上高は前年同期比114百万円減(20.1%減)の454百万円となりました。株式会社レスポンとの販売店契約が2023年3月末で契約終了したことおよび2023年4月以降に7大学の解約があり減収となりました。

 2024年3月期は下記3点を重点取り組みとして活動しております。1点目は変わりつつある学修環境に対応するための各種システムとの連携強化です。2点目は学修行動を分析するためのログの抽出です。3点目は学生の能動的な学修を促すための機能提供です。アクティブラーニングと呼ばれる学生が能動的な活動を推し進めるための機能開発を進めます。各種システムの連携強化の例として、学生が提出するレポートに対して剽窃チェックをおこなう類似性チェックツール「Turnitin Originality / Similarity」とのAPI連携を進めております。

 

(その他)

 「その他」はメールサービスやセキュリティサービス、その他関連サービスの売上高となります。当第3四半期の「その他」の売上高は前年同期比24百万円減(4.1%減)の581百万円となりました。

 

収益の状況

2024年3月期 第3四半期の業績                           (単位:百万円)

 

2023年3月期

第3四半期

2024年3月期

第3四半期

増減額

増減率

売上高

9,087

9,067

△20

△0.2%

営業利益

1,366

1,335

△30

△2.3%

経常利益

1,370

1,346

△23

△1.7%

四半期純利益

1,004

892

△111

△11.1%

 

 売上高は、VNE「v6 コネクト」は取り扱い通信量の増加により増収となりました。ISP「ASAHIネット」は会員獲得の強化により、FTTH接続サービスおよびモバイル接続サービスの契約数は増加しましたが、ADSL接続サービスおよびナローバンド等の「その他」の契約数減少による減収を補う事は出来ませんでした。教育支援サービス「manaba」は前四半期に続き減収となりました。2024年3月期第4四半期は固定IPアドレスオプションのリニューアルに伴い利用料金の改定を予定しております。

 売上原価は、今後も増加するトラフィックを効率的に処理するためのネットワーク構造の見直しを進めたことで通信費が低減しました。また、2023年11月にコンタクトセンターを刷新し、従業員が働きやすい環境を追及した新オフィスを開設しました。これにより一時的な費用を当第3四半期で計上しております。

 販売費及び一般管理費は、ISP「ASAHIネット」のインターネット接続契約数の増加に向けて、NTTチャネルおよびWebチャネル等への業務委託費や広告宣伝費を投下しております。

 以上の結果、当第3四半期の売上高は9,067百万円(前年同期比20百万円減、0.2%減)、営業利益は1,335百万円(同30百万円減、2.3%減)、経常利益は1,346百万円(同23百万円減、1.7%減)、四半期純利益は892百万円(同111百万円減、11.1%減)となりました。

 

財政の状況

 財政の状態といたしましては、当第3四半期会計期間末の総資産は有形固定資産の増加、無形固定資産の増加等により13,867百万円(前期末比1.5%増)となりました。

 負債は買掛金の増加等により1,811百万円(前期末比6.6%増)となりました。

 純資産は利益剰余金の増加等により12,055百万円(前期末比0.8%増)となりました。

 

(2)資本の財源及び資金の流動性

 当第3四半期累計期間において、資本の財源及び資本の流動性について重要な変更はありません。

 

(3)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期累計期間において、経営方針・経営戦略等に重要な変更及び新たに定めたものはありません。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(5)研究開発活動

 該当事項はありません。