売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E36635 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

 あらゆる情報がデジタル化されビッグデータ化する中で、当社グループは「見える化プラットフォーム企業」のビジョンのもと、先進的なテクノロジー活用によるデータを可視化する技術を武器に、ビッグデータ活用による企業の業務効率化や意思決定を支援するサービスを展開しております。

 

 当第1四半期連結累計期間においては、企業のデジタル化シフトや働き方の見直しに伴う業務の自動化・効率化などへの取り組みが続いており、それらを支援するソフトウェアについては高い需要が維持されております。特に当社グループが手掛けるSaaS型クラウドサービスは、イニシャルコストを抑えて短期での導入が可能であることや、システム更新などの運用負荷を軽減できることから導入へのハードルが低く、企業規模や業種を問わず投資意欲が高く、市場成長をけん引しております。

 

 当社グループでは、2008年5月にスタートした見える化エンジンにより高収益を確立しながら、2011年7月に立ち上げたカスタマーリングスでは安定成長を継続し、2016年9月に参入したタレントパレットで高成長を続けながら、2023年10月には新規事業となるヨリソルを立ち上げております。いずれも継続収益が大部分を占めるSaaS型サービスであり、それぞれの事業による収益が上乗せされる形で成長を継続しております。ヨリソルを除く全ての事業は黒字化しておりますが、高収益の安定事業、安定成長事業、高成長事業の組み合せにより、全社ベースで高い成長率と利益率を同時に実現しております。

 また2022年10月からは株式会社グローアップが子会社となり、タレントパレットとの連携を図りながらグループの成長に寄与しております。

 

 新規顧客を獲得するための活動としては、マス広告やWeb広告等によるオンラインマーケティング、展示会やWebセミナー等へのイベント参加により、当社グループのサービスに関心をもつ顧客を集客し、導入を検討する企業にはサービス説明や分析手法の紹介などのデモを実施しながら、顧客の導入意欲を高めることにより受注を獲得しております。またインサイドセールスやアウトバウンドなどの手法も活用し、潜在的な顧客に対して積極的に提案を行うことで、新たな顧客層の開拓を推進しております。

 

 以上の取り組みの結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は3,062,216千円(前年同期比24.3%増)となり、前年の高成長を継続しております。また将来の大きな市場獲得を見据えた人材採用やマーケティング投資などの積極的な成長投資を継続した結果、営業利益は1,028,590千円(前年同期比35.0%増)、経常利益は1,030,325千円(前年同期比35.0%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は702,494千円(前年同期比38.7%増)となっております。

 

 セグメント別の経営成績は次の通りであります。なお、当第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。

 

<マーケティングソリューション>

 当セグメントは「見える化エンジン」および「カスタマーリングス」に関わる事業により構成されております。

 見える化エンジンでは、コールセンターやマーケティング部門に集まる顧客の声に加え、近年拡大してきたソーシャルメディア上での口コミを分析できるツールを提供しております。当サービスでは「顧客体験フィードバック」のコンセプトのもと、企業が顧客に提供したい顧客体験と、顧客の感じ方のギャップを分析する仕組みを提供しており、企業の商品・サービスの企画および改善を支援するソリューションとして事業展開を図っております。

 主力顧客である製造業からの受注は引き続き堅調であるほか、サービス業などでも顧客の声をマーケティングに活かす取り組みは着実に浸透しつつあることや、コロナウイルス感染で抑制されていた観光・レジャー業などの活動が回復していることなどにより、見える化エンジンへの引き合いは堅調に推移しております。またツール単体としての提供だけでなく、分析ノウハウや分析結果の活用方法などをコンサルティングとして提供しつつ、顧客内の幅広い部門での活用を促す取り組みを強化した結果、受注案件の大型化が進んでいるほか、既存顧客についても活用シーンの拡大とともに顧客単価は堅調に推移しております。

 カスタマーリングスでは、主にEC事業者や通信販売事業者向けに、顧客の属性、購入履歴、メール配信への反応等の情報に基づき、最適なキャンペーンを実施できる統合マーケティング・ツールを提供しております。当サービスでは「実感型デジタルマーケティング」のコンセプトのもと、データの効率的な活用にとどまらず、オンライン施策が顧客行動に与える影響を分析・見える化することで、次の施策決定を支援し、また分析した結果を直接マーケティング施策に活用できるソリューションとして事業展開を図っております。

 電子商取引市場の拡大により、顧客とのデジタル接点から収集した情報をマーケティング施策に活かす取り組みが広がってきている一方で、成長市場であるデジタルマーケティング分野は新規参入も多く、競争環境は厳しくなってきております。そのような環境の中で、当社グループは多様な条件設定によりリアルタイムに有望顧客を抽出・可視化することで顧客に合わせたきめ細かなマーケティング・シナリオ構築と最適アクション実施を実現できるツールとして差別化を図っております。

 当サービスへの引き合いは堅調に推移しており、顧客数の増加に加え、既存顧客の利用度拡大に伴うプランアップや従量課金の増加により顧客単価は上昇傾向にあり、収益拡大に寄与しております。

 

 以上の結果、当第1四半期連結累計期間におけるセグメント売上高は927,109千円(前年同期比11.0%増)、セグメント利益は409,834千円(前年同期比2.8%増)となりました。

 

<HRソリューション>

 当セグメントは「タレントパレット」と「ヨリソル」に関わる事業、および子会社のグローアップにより構成されております。

 タレントパレットでは、企業内に散在する社員スキル、適性検査結果、職務経歴、人事評価、従業員アンケート、採用情報などの人材情報を集約して分析・見える化できるプラットフォームを提供しております。働き方改革や労働人口減を背景とした人材活用プロセス(採用、教育、配置、評価)の質的向上や効率化を目指した人材管理のソフトウェア市場は急拡大しております。当社グループでは、顧客基盤の拡大に向け、先行的に積極的な人員採用やマーケティング投資を実施しており、導入社数は急速に増加しております。

 タレントパレットは、人材情報をデータで見える化し、分析的視点での人事戦略を実現する「科学的人事」のコンセプトのもと、継続的にサービスの機能強化を図っているほか、導入企業へのコンサルティングを通じて蓄積された分析ノウハウや活用方法などをサービス強化に結び付けております。足元では「ジョブ型雇用機能」「健康経営機能」「人的資本管理機能」などのサービス強化を図るほか、展示会への出展やセミナー開催などリアルの場を活用したマーケティング施策により引き合いが増加しております。新規に導入する顧客において、従業員数が多い大手企業が増えているほか、オプション機能の導入やプランアップによるアップセルを推進していることから、全体の顧客単価が上昇傾向にあり、収益拡大に寄与しております。

 ヨリソルでは、教育DXと教育データの見える化を実現する統合型スクールマネジメントシステムを提供しております。志願者、在校生、卒業生、保護者、教職員など、散在している教育に関する情報を一元管理できるほか、収集したデータを豊富な分析機能により見える化することで、教育機関でのデータに基づく施策の企画から実行の支援を行っております。

 トライアルの形で運営し、事業化の可能性を検討してきましたが、2023年10月より改めて新規事業として展開をスタートし、既に大学、中学・高等学校、塾・専門学校など、先進的な教育機関を中心に幅広く導入が進んでおります。

 株式会社グローアップが提供するサービス「キミスカ」では、企業と学生を結びつけるプラットフォームを提供しております。学生は無料でデータベースにプロフィールを登録し、利用企業は登録された学生プロフィールを閲覧しながら求人ニーズにマッチする候補者に直接アプローチする「逆求人」型のサービスを展開しております。利用企業にとっては、就職ナビ等を経由して企業に応募する「エントリー型」の応募では出会えない学生へのアプローチが可能となるほか、学生にとっては、自分の強みやスキル、価値観、経験などを評価してくれる企業からのオファーを得られるサービスとなっております。タレントパレットの導入企業がキミスカを通じて効率的に新卒学生とのマッチングが図れるための連携機能を強化しており、グループ連携を図りながら利用企業の開拓を推進しております。少子化に伴う労働力不足で採用の難易度が高まる環境下で、本サービスに対する引き合いは堅調に推移しております。

 

 以上の結果、当第1四半期連結累計期間におけるセグメント売上高は2,135,106千円(前年同期比31.2%増)、セグメント利益は882,526千円(前年同期比50.1%増)となりました。

 

(2)財政状態の分析

(資産)

 当第1四半期連結会計期間末における流動資産は9,554,875千円となり、前連結会計年度末に比べて147,207千円減少しております。

 これは主に、現金及び預金が96,214千円減少したことによるものであります。

 また、固定資産は2,362,574千円となり、前連結会計年度末に比べて48,617千円増加しております。これは主に、投資その他の資産に含まれる投資有価証券が99,999千円増加した一方で、のれんが32,430千円減少したことによるものであります。

 以上の結果、資産合計は11,917,450千円となり、前連結会計年度末に比べて98,589千円減少しております。

 

(負債)

 当第1四半期連結会計期間末における流動負債は2,209,812千円となり、前連結会計年度末に比べて254,356千円減少しております。

 これは主に、未払法人税等が350,877千円減少したことによるものであります。

 また、固定負債は100,830千円となり、前連結会計年度末に比べて5,306千円の減少となりました。これは繰延税金負債の減少によるものであります。

 以上の結果、負債合計は2,310,642千円となり、前連結会計年度末に比べて259,663千円減少しております。

 

(純資産)

 当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は9,606,807千円となり、前連結会計年度末に比べて161,073千円増加しております。

 これは主に、利益剰余金が153,653千円増加したことによるものであります。

 以上の結果、自己資本比率は80.6%(前連結会計年度末は78.6%)となりました。

 

(3)経営方針・経営戦略等

 当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 当社グループは、各事業部による既存サービスの新機能開発活動を推進しております。また、各セグメントに関連付けられない全社共通の研究開発活動として、情報技術・イノベーション本部によるテキストマイニング技術及びAI活用に関する研究開発活動、経営企画部主催の全社員を対象とした新規事業開発活動に取り組んでおります。

 毎年、新規事業創発のためのコンテストを開催しており、事業現場、技術部門、企画部門が連携することで、テキストマイニング、CRM・MA、タレントマネジメントに続く、「世の中を「見える化」する新サービス」の開発に努めております。

 

<マーケティングソリューション>

 見える化エンジンについて、顧客内での幅広い利用者による情報活用を可能とするためのプラットフォーム構築や大量データを可視化するための機能開発を行っております。

 またカスタマーリングスについて、市場変化に迅速に対応するため、業務の自動化、高速化、機能追加及びシステム安定化など、サービス基盤を強化するシステム開発を行っております。

 

<HRソリューション>

 タレントパレット、ヨリソル、キミスカについて、時代変化が顧客にもたらす課題を解決するための新機能開発やサービス品質向上を図るためのシステム開発を行っております。

 

<全社共通>

 大量の日本語を分析処理するテキストマイニングの基盤技術である自然言語処理エンジン「Waters」の機能強化や精度向上のためのシステム開発を行っております。また新規事業創造への取り組みとして、新規事業開発活動を行っております。

 当第1四半期連結会計期間末における当社グループの研究開発体制は、マーケティングソリューション4名、HRソリューション3名、情報技術・イノベーション本部1名であります。

 

 当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は31,131千円であります。

 なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。