E00818 Japan GAAP
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
当第3四半期連結累計期間における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間の世界経済は、景気の緩やかな持ち直しの動きが続いたものの、世界的な金融引締めに伴う影響、中国経済の減速、物価上昇、ウクライナ情勢の長期化など、先行き不透明な状況のうちに推移しました。
当社グループの主要市場でも一部で需要の回復傾向がみられたものの、その回復が緩やかなものにとどまるなど、厳しい事業環境となりました。このような環境の中、当社グループでは、需要が伸長する製品については販売機会を着実に捉え販売数量を伸ばすとともに、収益改善に向けた取り組みの加速、徹底したコストダウンなどを実施してまいりました。
当第3四半期連結累計期間の売上高は4,142億76百万円(前年同期比2.4%増)、営業利益は444億87百万円(同21.7%増)、経常利益は481億71百万円(同21.1%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、投資有価証券売却益などにより、442億9百万円(同49.6%増)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
なお、第1四半期連結会計期間より、従来「メディカル・ヘルスケア」に含めていた化粧品原料1,3-ブチレングリコールを、「マテリアル」に変更し、「セイフティ」に含めていた新規医療デバイス研究開発機能を、「メディカル・ヘルスケア」に変更しております。
前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
ライフサイエンス事業は、キラル関連製品の販売が増加したものの、前年度末に医薬品開発製造受託事業の子会社を売却した影響により、減収となりました。
コスメ・健康食品事業は、インバウンドの増加などにより販売数量が増加し、増収となりました。
当部門の売上高は、104億96百万円(前年同期比15.3%減)、マーケティング活動に伴う経費の増加などにより、営業利益は9億9百万円(同30.3%減)となりました。
液晶表示向けフィルム用の酢酸セルロースや高機能フィルムなどのディスプレイ/オプト事業は、高機能フィルムの販売数量が減少したものの、需要が低迷する中でも液晶パネルの在庫調整が進んだことや、海外向けの販売拡大により酢酸セルロースの販売数量が増加し、増収となりました。
電子材料向け溶剤やレジスト材料などのIC/半導体事業は、半導体や液晶パネル需要の低迷が継続したことにより販売数量が減少し、減収となりました。
当部門の売上高は、226億32百万円(前年同期比2.5%減)、利益面では、販売数量の減少や移動平均差の影響などにより、営業損失18億23百万円(前年同期は営業損失2億9百万円)となりました。
自動車エアバッグ用インフレータ(ガス発生装置)などのモビリティ事業は、半導体不足の緩和などにより自動車生産が前年同期より回復し販売数量が増加したことにより、増収となりました。
当部門の売上高は、727億23百万円(前年同期比17.1%増)、販売数量の増加などにより、営業利益は23億85百万円(同74.2%増)となりました。
アセチル事業の酢酸は、主要誘導品の酢酸ビニルや高純度テレフタル酸の需要減少による販売数量の減少、酢酸市況の軟化により、減収となりました。
酢酸誘導体は、電子材料や液晶ディスプレイ向けなどの需要減少により販売数量が減少し、減収となりました。
アセテート・トウは、原燃料価格上昇や需要増加を受けた販売価格の是正、為替の影響などにより、増収となりました。
ケミカル事業は、インバウンドによる国内化粧品向け需要の回復により1,3-ブチレングリコールの販売数量が増加したものの、カプロラクトン誘導体の中国のウレタン向けなどの需要減少による販売数量の減少、エポキシ化合物の電子材料や液晶ディスプレイ向けの需要減少による販売数量の減少により、減収となりました。
当部門の売上高は、1,348億55百万円(前年同期比14.7%増)、販売価格の是正や為替の影響などにより、営業利益は306億81百万円(同137.5%増)となりました。
ポリアセタール樹脂、PBT樹脂、液晶ポリマーなどポリプラスチックス株式会社の事業は、前年度から続く自動車部品の在庫調整の影響が第2四半期初めまで続いたことや、IT関連産業の需要低迷などにより販売数量が減少し、減収となりました。
ABS樹脂、エンプラアロイ樹脂、包装フィルム、水溶性高分子などダイセルミライズ株式会社の事業は、OA機器の需要減少などにより販売数量が減少し、減収となりました。
当部門の売上高は、1,695億38百万円(前年同期比7.4%減)、販売数量の減少などにより、営業利益は121億21百万円(同41.9%減)となりました。
その他部門は、防衛関連事業からの撤退などにより、減収となりました。
当部門の売上高は、40億28百万円(前年同期比34.4%減)、営業利益は2億12百万円(同32.5%減)となりました。
財政状態は、次のとおりであります。
総資産は、受取手形及び売掛金や建設仮勘定等の増加により、前連結会計年度末に比し396億34百万円増加し、8,052億41百万円となりました。
負債は、短期借入金等の増加により、前連結会計年度末に比し71億40百万円増加し、4,623億11百万円となりました。
また純資産は、3,429億30百万円となりました。純資産から非支配株主持分を引いた自己資本は、3,278億48百万円となり自己資本比率は40.7%となりました。
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
当第3四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は、179億38百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7) 経営成績に重要な影響を与える要因
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について重要な変更はありません。
資金需要
当社グループにおける主な運転資金需要は、製品製造のための原材料の購入、労務費などの製造費用と、製品の仕入、販売費及び一般管理費等の支払いであります。
当社グループでは、製造設備の増強および更新などのほか、安全向上対策ならびに現業各設備の合理化・省力化を継続的に行っております。当第3四半期連結累計期間の設備投資額は前第3四半期連結累計期間に比し121億60百万円増加し、527億64百万円(前第3四半期連結累計期間比29.9%増)、減価償却費は前第3四半期連結累計期間に比し11億35百万円増加し、232億51百万円(前第3四半期連結累計期間比5.1%増)となりました。
財務政策
当社グループは、設備投資計画に照らして、必要な資金を銀行借入や社債発行により調達しております。短期的な運転資金は、キャッシュマネジメントサービスを通じてグループ内で余剰資金を活用しておりますが、地域、通貨、金利動向等を考慮した結果、銀行借入等による調達を行う場合があります。当第3四半期連結会計期間末における借入金、社債およびリース債務を含む有利子負債の残高は3,228億5百万円であります。
利益配分に関しては、中期戦略『Accelerate 2025』におきましては、収益力強化に加え適正在庫化などキャッシュコンバージョンサイクル削減効果で資金創出力向上を図ります。また、政策投資株式売却などにより資金創出力をさらに高め、余裕資金を成長投資や株主還元に活用します。株主還元は総還元性向40%以上とし、自己株式取得も視野に柔軟に対応してまいります。