売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05201 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当第3四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)業績の状況

(経営成績)

 当第3四半期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症における行動制限の緩和など社会経済活動の正常化が進む一方、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、円安の進行、物価の上昇などにより依然として先行き不透明な状況が続いております。

 サイバーセキュリティ業界においては、コロナ禍を通じ進展しているテレワークなど働き方の変化やDX推進によるクラウドシフトが進展するなど、サイバーリスクの及ぶ範囲は大幅に拡大しており、実際の被害報告も増加し続けています。特にランサムウェアによる被害公表数は拡大を続けており、2023年の被害公表件数は最大となりました。その中でも大きく報道されたのが、2023年7月に発生した名古屋港ターミナルにおけるランサムウェア感染による全ターミナルの機能停止となった事件です。名古屋港に関連する物流が丸一日停止した事態を受け、11月には政府がサイバーセキュリティ基本法において定められている「重要インフラ」に「港湾」の追加を提言するに至りました。その他でも、サプライチェーンやクラウドに関連する被害報告が大きく増加していることが報道されるなど、サイバーセキュリティ対策は国民生活や社会経済活動にとって重要な課題となっております。

 このような環境の下、当社は、飛躍を図るべく、次代を先取りしたオンリーワン商品の投入と、当社セキュリティ・ノウハウを組み合わせたハイブリッド型サービスビジネスを加速させると共に、これまで培ってきたイスラエルとのコネクションを生かした投資育成事業を推進させることに注力しております。また、公共やエンタープライズ向けのITセキュリティ分野に加え、全く新しい市場が立ち上がるIoT及びコネクテッドカー分野を含めたセキュリティ市場を対象に、グローバルな新潮流を体現した独自のポジショニングの確立を図ります。その上で、経営スローガンである「One Step Ahead of the Game ~ その一手先へ」を掲げて、経営理念を軸とした理念経営を推進していくことで、中長期的な成長基盤を築きます。

 当第3四半期における主な活動内容としては、2023年11月に公表した「アズジェント中長期成長戦略」の施策として、最新セキュリティ商品の投入やサービスメニューの拡充を加速させるとともに、サービス基盤となるSOC拡張のためのインフラ増強や人材採用などを推進いたしました。また、デジタルマーケティングによる顧客へのアプローチも継続して推し進めてまいりました。

 具体的な活動としては、「アズジェント中長期成長戦略」に沿った新商品投入の第一弾として、攻撃者と同じ視点でIT資産の状態をチェックできる「ASM(Attack Surface Management)チェックアップ無償分析サービス」の提供を2024年1月より開始いたしました。クラウド利用の拡大、リモートワークの増加に伴い、組織のIT資産が増加すると同時にサイバー攻撃の起点も増加しており、攻撃対策としてIT資産を適切に管理し、リスクの洗い出しを行うことが必要です。ASMチェックアップ無償サービスは、情報セキュリティ担当者が不在の組織においても自組織の問題点を理解することが可能となり、リスクへの対策を適切に講じることができるサービスです。当社は、これを機に顧客接点の拡大を図り、今後新たに投入する商品も含めた販路拡大につなげてまいります。その他、2023年10月にはランサムウェアなどの最新サイバー攻撃の現状とWebセキュリティ対策をテーマに当社顧客による実例スピーチも合わせて紹介するセミナーを開催したほか、2023年11月には経営者向けのセキュリティ啓蒙セミナーに警察と共に参加するなど、各種セキュリティ関連イベントでのプロモーション活動も積極的に実施しております。

 業績につきましては、クラウド化の急速な進展に伴うセキュリティニーズの変化によるエンドユーザー側における対策検討の長期化と、既存導入製品のリプレイス需要が端境期に入ったことによる一時的な案件数減少による影響があり、売上高は1,765百万円(前年同期比20.0%減)となりました。一方で、第3四半期会計期間においては前年対比で売上増加に転じており、プロダクト関連、サービス関連共に大型案件の動きが出始めるなど需要回復の兆しが出ていることから、今後に期待が持てる状況となっております。

 一方、「アズジェント中長期成長戦略」に沿って人材採用やSOCも含めたサービス基盤増強などの投資を推進していることによりコストが先行して発生しております。その結果、販売費及び一般管理費941百万円(前年同期比10.4%増)となり、各段階利益につきましては、営業損失246百万円(前年同期は87百万円の営業損失)、経常損失246百万円(前年同期は101百万円の経常損失)、四半期純損失255百万円(前年同期は109百万円の四半期純損失)となりました。現状は、上述の「ASMチェックアップ無償分析サービス」をはじめとした新商品の投入に向けた準備やサービス基盤拡張のためのインフラ増強によりコストが先行しているものの、収益力回復に向けた構造変革は着実に進捗しております。市場ニーズを先取りしたスマートサービスを早期に展開していくことで業績の回復を図ります。

 なお、当社では事業セグメントをネットワークセキュリティ事業のみとしております。

 

(財政状態)

 当第3四半期末の総資産額は1,786百万円となり、前事業年度末に比べ398百万円減少しました。これは主に、売掛金が262百万円、商品及び製品が147百万円減少したことなどによるものであります。

 負債合計は794百万円となり、前事業年度末に比べ150百万円減少しました。これは主に、買掛金が39百万円、前受金が89百万円減少したことなどによるものであります。

 純資産合計は991百万円となり、前事業年度末に比べ247百万円減少しました。これは主に、四半期純損失255百万円の計上があったことなどによるものであります。その結果、自己資本比率は55.5%となり、前事業年度末比で1.2ポイント減少しております。

 

(2)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期累計期間において事業上及び財務上において新たに対処すべき課題について発生した事項はありません。

 

(3)研究開発活動

 該当事項はありません。

 

(4)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し

 当第3四半期累計期間において、経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通しについて、重要な変更はありません。