売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05211 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間におけるわが国の経済への新型コロナウイルス感染症の影響は、5月の5類移行に伴いおおむね正常化されました。しかしながら、世界的な政情の悪化、急速な円安の進行や資源価格の高騰に伴って物価高が顕在化しており、個人消費動向や企業収益における不確実性が高い状況となっております。インターネット業界においては、生成AIやそのビジネス利用が注目され、各種コンテンツ生成に加え、そのデジタルトランスフォーメーション(DX)における活用から関連市場が広がっております。

 

 こうした環境下、当社グループは動画ソリューション事業において、各種イベントのインターネットライブ配信や、社内情報共有・教育等のオンデマンド動画配信ニーズに対応し、主力サービスである「ライブ中継サービス」や「J-Stream Equipmedia」、コンテンツ配信サービスに関連するシステム開発、運用受託等を中心に提供を進めました。

 

 販売面においては、戦略市場を医薬業界のEVC(Enterprise Video Communication)領域、医薬以外の金融等各業種のEVC領域、放送・メディアコンテンツ業界を中心としたOTT領域、と3区分して営業活動を展開しました。

 

 EVC領域(医薬)においては、主力となるWeb講演会用途のライブ配信や、イベント実施に伴う集客や諸手配といった領域において、薬価改定への対応や円安に伴う日本市場の相対的な地位低下等の要因から、注力の度合いがコロナ期対比で低下した状況が継続しております。過年度において繁忙期であった第3四半期連結会計期間においても需要の増加は相対的に小幅となりました。当社の主要顧客である企業においても、予算の制限からライブイベントの実施件数の絞り込みがある一方、より効果測定を重視する傾向、並びにマーケティング効果を重視した広告、集客に関する需要が高まる結果となりました。ライブ配信、関連するWeb制作、映像制作等のサービス全般を含めた本領域全体の売上は、製薬企業を主顧客とする連結子会社を含め、前年には及ばない結果となりました。

 

 EVC領域(医薬以外)においては、新型コロナウイルス感染症の5類移行が引き続きあらゆる企業活動のリアル回帰を後押ししました。販売促進のためのウェブセミナーや、企業や団体内でのライブイベント等のスポット的利用については、第3四半期連結会計期間において大口の案件も見られましたが、期を通じては前年比低位に推移しました。これに伴い、ライブイベント実施やネットワーク流量に伴う売上も低調なものとなりました。同様の要因から、Web制作、映像制作等の需要も低水準となりました。各種情報の配信インフラとしての機能を持つ主力サービスである「J-Stream Equipmedia」や「J-Stream CDNext」等の、社内外情報共有や広報・採用用途での利用は比較的堅調に推移しました。

 

 OTT領域においては、放送業界におけるシステム開発、サイト運用や関連するWEB制作業務、配信ネットワーク売上が中心となりました。コロナ環境下での巣ごもり消費で根付いたネット視聴習慣や、視聴端末、動画配信サービスの普及を背景に、同領域におけるサービス開発には引き続き高い需要があります。当社グループにおいては、放送局のネット配信サービスメニューの拡充に伴うシステム開発や、前年度において大口のコンテンツ配信システム開発納品があった専門チャンネル事業者に対する運用サービス提供が継続的な売上要因となっており、この領域全体の売上は堅調に推移しました。

 

 費用面においては、売上連動で外注費が減少しました。足元の営業見通しを鑑み、採用計画を抑制したほか、その他の経費についても大幅な見直しを実施しました。累計では開発人員の増加から労務費は増加しましたが、売上原価は前年同期を下回る水準となりました。販売費及び一般管理費についても節減を進めておりますが、販売促進のための営業支援にかかる費用が増加していることから、累計では前年同期比2%程度の増加となりました。

 

 以上の結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、連結売上高8,493百万円(前年同期比9.8%減)、連結営業利益522百万円(前年同期比61.4%減)、連結経常利益542百万円(前年同期比59.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益295百万円(前年同期比64.3%減)となりました。

 

(2) 財政状態の状況

 (資産)

 当第3四半期連結会計期間末における流動資産は9,557百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,004百万円減少いたしました。これは主に配当金の支払及び子会社株式取得に伴う現金及び預金の減少によるものであります。

 固定資産は2,888百万円となり、前連結会計年度末に比べ486百万円増加いたしました。これは主にのれんの増加及びソフトウエアの取得等によるものであります。

 この結果、総資産は12,446百万円となり、前連結会計年度末に比べ517百万円減少いたしました。

 

 (負債)

 当第3四半期連結会計期間末における流動負債は1,464百万円となり、前連結会計年度末に比べ354百万円減少いたしました。これは主に未払法人税等の減少によるものであります。

 固定負債は129百万円となり、前連結会計年度末に比べ84百万円減少いたしました。

  この結果、負債合計は1,593百万円となり、前連結会計年度末に比べ439百万円減少いたしました。

 

 (純資産)

 当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は10,852百万円となり、前連結会計年度末に比べ78百万円減少いたしました。これは主に配当金の支払により397百万円減少したものの、親会社株主に帰属する四半期純利益295百万円を計上したことによるものであります。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

 当社グループでは、当社のプラットフォーム本部が中心となり、新サービス開発の前提となるソフトウエアや技術力のある企業の調査、実証実験、ネットワーク運用実験などを実施してまいりました。当第3四半期連結累計期間における研究開発費は、26百万円となりました。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。