E00952 Japan GAAP
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、2030年に向けた中長期ビジョン「持続可能な社会をスペシャリティな製品とサービスで支え、成長する会社になる」を掲げています。2022年4月より2025年3月までの3年間を対象とする中期経営計画においては、①経営基盤(ガバナンス)の強化、②アジア・北米での展開を加速、③国内の深掘りと新領域への挑戦、④サステナブル経営の推進を基本方針として、持続的な企業価値の向上に取り組んでいます。
当第3四半期連結累計期間における当社グループの事業環境は、日本国内において旅行や外食およびインバウンド消費が回復する一方で、物価上昇による消費者の節約志向の高まりが見られました。海外では世界的な金融引き締めによる成長減速感や地政学リスクの高まりなど、不確実性の高い状況が続いています。
このような状況の中、当第3四半期連結累計期間の売上高は、国内食品事業、国内化成品その他事業が前年同期を上回る実績を確保し、690億58百万円(前年同期比17億54百万円、2.6%増)となりました。
利益面では、海外事業が販売数量の減少などにより減益となりましたが、国内食品事業および国内化成品その他事業において原材料等の高騰に対する価格改定の効果が出たことなどにより、営業利益は76億60百万円(前年同期比16億94百万円、28.4%増)、経常利益は83億96百万円(前年同期比18億88百万円、29.0%増)となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は60億80百万円(前年同期比11億88百万円、24.3%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
〔国内食品事業〕
『家庭用食品』の売上高は、前年同期を上回りました。海藻商品では2022年秋発売の新商品「ふりかけるザクザクわかめ®」シリーズがヒットし、乾燥わかめ「ふえるわかめちゃん®」の減少分をカバーしたことで、売上高は前年同期を上回りました。ドレッシングは、主力の「リケンのノンオイル」シリーズがTVCM放映時期の見直しや、2023年8月に価格改定を実施した影響で販売数量が減少しましたが、2023年8月に全国発売した「インドカレー屋さんの謎ドレッシング®」がSNSを中心に話題となり、出荷数量が100万本を突破するヒットとなったことが寄与し、ドレッシング全体の売上高は前年同期を上回りました。また、食塩無添加のだしの素「素材力だし®」の売上高も前年同期を上回りました。
『業務用食品』の売上高は、前年同期を上回りました。調味料類を中心に外食産業向けの需要回復による販売が伸長したほか、海藻商品でCVS向けの販売が伸長しました。また、原材料費や包材費などの上昇を受けた価格改定や商品の見直しを進めました。
『加工食品用原料等』の売上高は、前年同期を上回りました。価格改定による増収効果に加え、原料の供給不安や食品ロス問題への対応など多様化する顧客ニーズに合わせた食品用改良剤の提案により販売数量も回復傾向にあります。また、医薬品向けのマイクロカプセルの販売が伸長しました。
利益面では、食品原料の高騰の影響を受けたものの、価格改定効果や広告宣伝費の減少により、営業利益は前年同期を上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は、前年同期から41億57百万円(9.5%)増加した481億29百万円となり、営業利益は58億23百万円(前年同期比20億34百万円増)となりました。
〔国内化成品その他事業〕
『化成品(改良剤)』では、化学工業用分野(プラスチック・食品用包材・農業用フィルム・ゴム製品・化粧品など)において、顧客ニーズをとらえたソリューションビジネスを展開しています。化成品業界における需要減少の影響により販売数量が減少した一方で、前期中に推進した価格改定の効果により、売上高および営業利益ともに前年同期を上回りました。
『その他』の事業では、飼料用油脂の売上が前年同期を上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は、前年同期から5億42百万円(10.2%)増加した58億57百万円となり、営業利益は5億57百万円(前年同期比4億12百万円増)となりました。
〔海外事業〕
海外事業では、主に食品用改良剤、化成品用改良剤を世界各地に販売しています。サプライチェーンの安定化に伴う顧客の在庫調整や世界的な景気減速の影響により販売数量が減少したことに加え、油脂相場および海上運賃の下落を受けた価格改定を行ったことにより、中国を除く地域で売上高が前年同期を下回りました。中でも欧州や北米では前年同期に大きく増加した反動で大幅な減収となりましたが、北米のエキス製品については売上高、販売数量ともに伸長しました。利益面では、物流コストの減少が増益要因となったほか、日本の「アプリケーション&イノベーションセンター」と海外の「アプリケーションセンター」の連携によりスペシャリティ品の提案を進めましたが、販売数量減少の影響をカバーするには至りませんでした。
この結果、当セグメントの売上高は、前年同期から32億98百万円(17.0%)減少した160億81百万円となり、営業利益は17億23百万円(前年同期比5億87百万円減)となりました。
財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の総資産は1,151億73百万円となり、前連結会計年度末に比べ99億50百万円増加しました。主な増加は、受取手形及び売掛金44億12百万円、投資有価証券35億79百万円、現金及び預金10億47百万円であります。
負債は361億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ22億76百万円増加しました。主な増加は、短期借入金40億70百万円、その他固定負債22億7百万円、支払手形及び買掛金15億38百万円、主な減少は、長期借入金59億6百万円であります。なお、短期借入金の増加および長期借入金の減少には、長期借入金から短期借入金への振替45億円が含まれております。
純資産は790億46百万円となり、前連結会計年度末に比べ76億74百万円増加しました。主な要因は、利益剰余金が親会社株主に帰属する四半期純利益の計上で60億80百万円増加し、剰余金の配当で21億94百万円減少したこと、その他有価証券評価差額金が27億76百万円増加したこと、為替換算調整勘定が10億71百万円増加したことによるものであります。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、24億49百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した主要な設備の新設の計画は、次のとおりであります。
新設
会社名 |
所在地 |
セグメントの 名称 |
設備の内容 |
投資予定額 |
資金調達 方法 |
着手及び完了予定年月 |
完成後の 増加能力 |
||
総額 (百万円) |
既支払額 (百万円) |
着手 |
完了 |
||||||
天津理研維他 食品有限公司 |
中華人民共和国 天津市 |
海外事業 |
食品用改良剤の新工場建設 |
2,200 |
100 |
自己資金 |
2023年10月 |
2025年4月 |
生産能力 15,600t/年 |