売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05017 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものです。

 

(1) 業績の状況

当第3四半期連結累計期間における国内景気については緩やかな回復基調となったものの、物価上昇や、国際情勢不安、世界的な金融引締めにともなう景気の下振れリスク等の影響が懸念され、先行きは依然不透明な状況です。

当社グループが属する情報サービス業界では、新たなビジネスモデルの創出や変革に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)関連のIT投資ニーズが底堅く、引き続き堅調に推移するものと見込まれます。

このような環境のなか、当社グループの業績は、システムマネジメント(注)、ITインフラおよびサイバーセキュリティ・コンサルティング・教育が堅調に推移したため、売上高は241億6百万円(前年同期比4.7%増)となりました。

収益面においては、従業員への還元などを進めたものの、増収にともなう増益や、利益率の高いDX関連ビジネスの拡大などがあり、営業利益は21億53百万円(同16.0%増)、経常利益は22億37百万円(同15.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は13億29百万円(同18.8%増)となりました。EBITDAは、26億6百万円(同12.9%増)となりました。

 

(注):第1四半期連結会計期間より、従来のサービス名「システム運営管理」を「システムマネジメント」に変更しています。なお、サービス名の変更は事業内容の変更をともなうものではありません。

 

なお、当社の事業セグメントは単一セグメントであり、サービスごとの業績を以下のとおり記載しています。

 

(単位:百万円)

 

前第3四半期

連結累計期間

 (自 2022年4月1日

   至 2022年12月31日)

当第3四半期

連結累計期間

 (自 2023年4月1日

   至 2023年12月31日)

前年同期比

増減額

 増減率(%)

システムマネジメ

ント

売上高

10,103

10,845

742

7.3

売上総利益

2,210

2,419

208

9.4

売上総利益率

21.9%

22.3%

0.4P

ソフトウェア開発

売上高

8,545

8,629

83

1.0

売上総利益

1,910

1,630

△280

△14.7

売上総利益率

22.4%

18.9%

△3.5P

ITインフラ

売上高

1,908

2,111

202

10.6

売上総利益

477

602

125

26.3

売上総利益率

25.0%

28.5%

3.5P

サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育

売上高

2,122

2,276

153

7.2

売上総利益

450

724

274

60.9

売上総利益率

21.2%

31.8%

10.6P

その他

売上高

343

244

△99

△28.8

売上総利益

40

43

3

9.3

売上総利益率

11.7%

17.9%

6.2P

合計

売上高

23,023

24,106

1,083

4.7

売上総利益

5,088

5,420

331

6.5

売上総利益率

22.1%

22.5%

0.4P

 

① システムマネジメント

大手ITベンダーへの営業強化による新規案件の受注や既存取引の拡大などにより、売上高は108億45百万円(同7.3%増)となりました。

 

② ソフトウェア開発

公共関連顧客における一部案件の終了があったものの、大手ITベンダーへの営業強化による取引の拡大や、金融関連顧客における受注拡大などにより、売上高は86億29百万円(同1.0%増)となりました。

 

③ ITインフラ

金融関連顧客における大型案件の受注や、大手ITベンダーにおける取引の拡大、運輸および製造関連顧客における受注拡大などにより、売上高は21億11百万円(同10.6%増)となりました。

 

④ サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育

大型サイバーセキュリティ案件の構築が終了し、今期保守フェーズへ移行したことによる反動減があったものの、コンサルティングにおける受注拡大、サイバーセキュリティにおける新規案件の獲得などにより、売上高は22億76百万円(同7.2%増)となりました。

 

⑤ その他

製品販売における受注拡大があったものの、一部案件のサービス区分変更の影響などにより、売上高は2億44百万円(同28.8%減)となりました。

 

《経営施策の取組み状況》

当社グループは、前中期経営計画において、デジタル技術に精通した技術者育成と各領域におけるサービスの高度化に取り組み、今後に向けた成長基盤を構築しました。そして2023年3月期からは、

①「顧客のDX推進支援の強化」と「自社のソリューション開発」という当社DXポートフォリオに沿ったビジネスモデルの展開

②高付加価値創出に向けたパートナーシップの強化

③管理部門の高度化と事業部門への人材シフト

の3つの基本テーマをもとにさらなる収益性向上を図るべく、中期経営計画「Next 50 Episode Ⅱ 『Ride on Time』」(2023年3月期~2025年3月期)を策定しました。

この中期経営計画では上記3つの基本テーマの実現に向けて、「ITサービス戦略」「人材戦略」「ニューノーマル戦略」「SDGs戦略」の4つの基本戦略を掲げています。

 

※画像省略しています。

 

※BP(ビジネスパートナー):プロジェクトをともに遂行していただくITパートナー

 

 

 

① ITサービス戦略

ニーズの高い技術領域を定め、パートナー企業との連携による顧客のDX推進支援や成長分野を対象とした自社ソリューション開発に努めます。昨年3月に鳥取大学と締結した共同研究契約をもとに、整形外科におけるX線画像診断AIシステムに関する研究を進めています。また、「ChatGPT」のAPIを利用した企業専用の対話型AIチャットサービス「ID AI コンシェルジュ」を開発、社内利用を進めるとともに8月にはLite版の販売を開始し、規程等の社内データを参照した回答も実現したセキュアなPro版の1月の販売に向けて研究を重ねました。さらに、かねてより開発を進めていたバーチャルオペレーションセンター(VROP)のパイロット版をリリース、1月のサービス開始に向けて開発を進めました。

 

② 人材戦略

DXサービスの拡大や高付加価値化の実現に向けて、研修制度のさらなる充実を図り、中上級技術者および企画提案型人材の育成を加速させます。具体的な取組みとして、経済産業省とIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が策定した「デジタルスキル標準」をベースに、DXを推進する人材の役割(ロール)ごとの育成ロードマップを整理し社内に展開しています。また、グループ全社員のAIリテラシー強化を図るべく、フェローによる社内研修を実施するとともにオンライン学習プランを約300名の社員に提供しています。さらに、若手社員100名を対象に認定サイバーセキュリティ技術者(CCT)のハンズオン研修を提供するなど、ニーズの高い技術領域で活躍できる人材の育成を積極的に進めています。

 

③ ニューノーマル戦略

社内基幹システムの刷新などによる業務の効率化・高度化に努めるとともに、スマートな管理部門の構築を図ります。管理部門業務のデジタル化および部署間・業務間の連携自動化、情報の一元化などを進め、セキュアで柔軟な社内ネットワークへと変革すべく、ゼロトラスト環境を構築しました。さらに、業務の効率化とシームレスなコミュニケーションを実現し、グループ全体の生産性を向上させるため社内システムを刷新しました。持続的な業務改革活動にくわえ、山陰BPOセンターへのさらなるバックオフィス機能の移転も計画しており、管理部門業務におけるよりいっそうの効率化を図ります。

 

④ SDGs戦略

事業活動をつうじてサステナビリティへの取組みを進め、「社会課題の解決」と「企業価値の向上」の好循環を目指します。人的資本経営にかかる取組みの可視化を目的として、グループ全体の人的資本情報や取組みをコーポレートサイトのサステナビリティ「人的資本経営に向けて」のページに公開しました。また、さまざまな人が利用可能な「誰でもトイレ」を本社ビルに設置したほか、「睡眠」にフォーカスした健康経営セミナーの開催や社員の禁煙をサポートするなど、社員の働きやすい環境作りと健康推進に取り組んでいます。さらに、社会貢献活動や文化芸術活動支援として、昨年度に引き続き「IDグループ献血DAY」、クラシックコンサートを開催したほか、ビーチクリーンボランティア活動に参加しました。11月にはダイバーシティや人権尊重、人的資本経営にかかる取組みが評価され、日経「スマートワーク経営」調査、「SDGs経営」調査において星3つ半に認定されました。

 

(2) 財政状態の分析

 

(資産の部)

当第3四半期連結会計期間末の資産の部は、契約資産の増加8億35百万円、投資有価証券の増加4億39百万円および未収入金の増加2億25百万円などがありましたが、売掛金の減少7億78百万円、現金及び預金の減少5億15百万円およびのれんの償却による減少3億33百万円などにより、前連結会計年度末に比べ61百万円減少し174億58百万円となりました。

 

(負債の部)

当第3四半期連結会計期間末の負債の部は、有利子負債の減少9億26百万円などにより、前連結会計年度末に比べ10億2百万円減少し60億84百万円となりました。

 

(純資産の部)

当第3四半期連結会計期間末の純資産の部は、期末および中間配当金支払いによる減少8億52百万円がありましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益の増加13億29百万円およびその他有価証券評価差額金の増加3億1百万円などにより、前連結会計年度末に比べ9億41百万円増加し、113億73百万円となりました。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上および財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は90百万円です。

従来より進めていたAI関連の研究が結実し、「ChatGPT」のAPIを利用した企業専用の対話型AIチャットサービスを開発、社内利用を進めるとともに、8月の「ID AI コンシェルジュ」の販売開始に繋げることができました。また、9月には当社初となるブロックチェーンを利用した診療情報の共有管理ソリューションに関する特許を取得、今後は本特許技術をもとにした診療情報管理システムの実現に取り組んでいきます。

なお、当社グループの報告セグメントは「情報サービス事業」の単一セグメントであり、セグメント別の記載を省略しています。

 

(5) 資本の財源および資金の流動性についての分析

当社グループのおもな資本の財源は、内部資金および金融機関からの借入です。当第3四半期連結会計期間末現在、短期借入金の残高は8億円、1年内返済予定の長期借入金の残高は2億円、長期借入金の残高は2億円です。

なお、当社グループは、資金調達の機動性と効率性を高めるため、取引銀行5行と総額20億30百万円の当座貸越契約を締結しています。