売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05080 IFRS


 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営成績の分析

当社グループは、経営者が意思決定する際に使用する社内指標(以下「Non-GAAP指標」)及びIFRSに基づく指標の双方によって、連結経営成績を開示しています。

Non-GAAP営業利益は、IFRSに基づく営業利益(以下「IFRS営業利益」)から、当社グループが定める非経常的な項目やその他の調整項目を控除したものです。経営者は、Non-GAAP指標を開示することで、ステークホルダーにとって同業他社比較や過年度比較が容易になり、当社グループの恒常的な経営成績や将来見通しを理解する上で有益な情報を提供できると判断しています。なお、非経常的な項目とは、将来見通し作成の観点から一定のルールに基づき除外すべきと当社グループが判断する一過性の利益や損失のことです。その他の調整項目とは、適用する会計基準等により差異が生じ易く企業間の比較可能性が低い、株式報酬費用や子会社取得時に認識した無形資産償却費等を指します。

なお、第1四半期連結会計期間の期首よりIFRS第17号「保険契約」を適用しています。これにより、基準移行日である前連結会計年度期首時点に基準変更による累積的影響額を反映し、前第3四半期連結累計期間のフィンテックセグメントに係る数値を修正再表示しています。詳細は、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 2. 重要性がある会計方針」をご参照ください。

(注) Non-GAAP指標の開示に際しては、米国証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission)が定める基準を参照していますが、同基準に完全に準拠しているものではありません。

 

① 当第3四半期連結累計期間の経営成績(Non-GAAPベース)

当第3四半期連結累計期間における世界経済は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直しており、その先行きについては、世界的な金融引締めに伴う影響、物価上昇等による下振れリスクの高まりに留意する必要があります。日本経済については、個人投資や設備投資等が緩やかに持ち直しており、先行きについても、各種政策の効果もあって、景気の緩やかな回復が続くことが期待されています。

「情報通信白書」(注)によると、通信インフラの高度化やデジタルサービスの普及・多様化とともに、日本におけるネットワーク上でのデータ流通量は飛躍的に増大しています。新型コロナウイルス感染症拡大後、非接触・非対面での生活を可能とするデジタル化が進展し、世界的にもデータトラヒック量、特にモバイル端末経由でのデータ流通量は大幅に増加してきており、今後も更に伸びていくことが予想されています。

このような環境下、当社グループは、メンバーシップ及び共通ポイントプログラムを基盤にしたオンライン・オフライン双方のデータ、AI等の先進的技術を活用したサービスの開発及び展開を積極的に進めています。楽天モバイルにおいては、携帯電話基地局等を含む無線アクセスネットワークのマルチベンダー化を実現するOpen RANや仮想化技術によるvRAN等を、世界に先駆けて商用ネットワーク全体に導入し、また、楽天シンフォニーにおいては、通信事業者におけるネットワーク機器の構成を刷新する取組が進む中、『楽天モバイル』で実装したオープンで完全仮想化されたアーキテクチャを世界の通信各社に提案しています。今後も楽天エコシステムを更に進化させ、当社グループの競争力を高めていきます。

インターネットサービスにおいては、インターネット・ショッピングモール『楽天市場』において、コロナ禍における「巣ごもり消費」等が一巡した後も、顧客の利便性や満足度の向上を追求した各種施策や販促活動等の奏功により顧客の更なる定着が進みました。また、国内旅行に対する需要の堅調な回復が継続したこと等により、国内EC取扱高が引き続き伸長しました。フィンテックにおいては、各サービスにおける顧客基盤の拡大が続き、クレジットカード関連サービスや銀行サービス、証券サービス等において増収増益を達成しました。また、モバイルにおいては、通信料金収入の増加等により、前第3四半期連結累計期間と比較して売上収益が拡大し、これに伴いセグメント損失は着実に縮小しています。

この結果、当社グループの当第3四半期連結累計期間における売上収益は1,491,239百万円(前年同期比9.7%増)となりました。モバイルにおいては、前第1四半期連結会計期間をピークにセグメント損失は縮小しており、当社グループのNon-GAAP営業損失は149,459百万円(前年同期は262,560百万円の損失)となりました。

(注) 出典:「令和5年版 情報通信白書」(総務省)

 

 

(Non-GAAPベース)

(単位:百万円)

 

前年同期

当期

増減額

増減率

 

(前第3四半期
 連結累計期間)

(当第3四半期
 連結累計期間)

売上収益

1,359,283

1,491,239

131,956

9.7

Non-GAAP営業損失(△)

△262,560

△149,459

113,101

 

 

② Non-GAAP営業利益からIFRS営業利益への調整

当第3四半期連結累計期間において、Non-GAAP営業利益で控除される無形資産償却費は6,509百万円、株式報酬費用は10,993百万円となりました。なお、前第3四半期連結累計期間に計上された非経常的な項目14,423百万円は、楽天ポイントの規約等の変更によるポイント引当金の増加に伴う費用、子会社の元従業員及び取引先の共謀による不正行為に関連して発生した費用が含まれています(なお、後者は要約四半期連結損益計算書においてその他の費用に含まれています)。また、当第3四半期連結累計期間に計上された非経常的な項目には、モバイル事業におけるローミング契約の見直しに基づき設備投資計画を変更したことに伴い一時的に発生した基地局工事等のキャンセルに係る費用等10,222百万円、株式会社西友ホールディングスの全株式を譲渡したことに伴い発生した売却損益、前連結会計年度に発覚した子会社の元従業員及び取引先の共謀による不正行為に係る弁護士費用等、外部の専門家に対する報酬等が含まれています。

 

(単位:百万円)

 

前年同期

当期

増減額

 

(前第3四半期
 連結累計期間)

(当第3四半期
 連結累計期間)

Non-GAAP営業損失(△)

△262,560

△149,459

113,101

無形資産償却費

△6,419

△6,509

△90

株式報酬費用

△9,530

△10,993

△1,463

非経常的な項目

△14,423

△12,617

1,806

IFRS営業損失(△)

△292,932

△179,578

113,354

 

 

③ 当第3四半期連結累計期間の経営成績(IFRSベース)

当第3四半期連結累計期間における売上収益は1,491,239百万円(前年同期比9.7%増)、IFRS営業損失は179,578百万円(前年同期は292,932百万円の損失)、四半期損失(親会社の所有者帰属)は208,447百万円(前年同期は262,535百万円の損失)となりました。

 

(IFRSベース)

(単位:百万円)

 

前年同期

当期

増減額

増減率

 

(前第3四半期
 連結累計期間)

(当第3四半期
 連結累計期間)

売上収益

1,359,283

1,491,239

131,956

9.7

IFRS営業損失(△)

△292,932

△179,578

113,354

四半期損失(△)
(親会社の所有者帰属)

△262,535

△208,447

54,088

 

 

 

(2) セグメント別業績

各セグメントにおける業績は次のとおりです。なお、IFRS上のマネジメントアプローチの観点から、セグメント損益をNon-GAAP営業損益ベースで表示しています。

 

当社グループは、第1四半期連結会計期間より、従前モバイルセグメントに含まれていたメディア&エンターテインメント部門に属する子会社及び事業について、楽天エコシステムの拡大、シナジー効果を高めること等を目的に、インターネットサービスセグメントに移管しています。この変更により、前第3四半期連結累計期間のインターネットサービスセグメントに係る売上収益は12,371百万円増加、セグメント利益は8,752百万円減少し、モバイルセグメントに係る売上収益及びセグメント損失は同額減少しています。

 

(インターネットサービス)

主力サービスである国内ECにおいては、流通総額及び売上収益の更なる成長を目指し、ロイヤルカスタマーの醸成や新規顧客の獲得のための販促活動、クロスユースの促進等に注力しました。インターネット・ショッピングモール『楽天市場』においては、顧客の利便性や満足度の向上を追求した各種施策や販促活動等の奏功により顧客の更なる定着が促進したことに加え、「ふるさと納税」ルール変更前の需要増加がみられたほか、インターネット旅行予約サービス『楽天トラベル』においては、国内旅行の需要回復に合わせた販促施策等が奏功し、前第3四半期連結累計期間と比較して取扱高が拡大しました。また、国内EC取扱高の伸長を受け、広告事業の売上も引き続き拡大しました。

海外インターネットサービスを含むその他インターネットサービスにおいては、米国のオンライン・キャッシュバック・サービス『Rakuten Rewards』を中心に売上収益が伸長しました。なお、米国地域における広告事業等が景気減速の影響を受けたこと等により、セグメント利益は前第3四半期連結累計期間と比較して減少しています。

この結果、インターネットサービスセグメントにおける売上収益は867,016百万円(前年同期比11.5%増)、セグメント利益は42,951百万円(前年同期比13.5%減)となりました。

 

(単位:百万円)

 

前年同期

当期

増減額

増減率

 

(前第3四半期
 連結累計期間)

(当第3四半期
 連結累計期間)

セグメントに係る
売上収益

777,796

867,016

89,220

11.5

セグメント損益

49,650

42,951

△6,699

△13.5

 

 

 

(フィンテック)

クレジットカード関連サービスにおいては、2023年5月に『楽天カード』の累計発行枚数が2,900万枚を突破しました。また、オフライン消費の回復が継続していることに加え、コロナ禍での行動様式の変化をきっかけとした非接触需要の高まりによるキャッシュレス化の流れが進む中で、楽天グループサービス内外で取引が増加した結果、2023年7月には、直近12ヶ月(2022年8月~2023年7月)の年間カードショッピング取扱高が20兆円を突破する等、引き続き力強く成長しています。キャッシュレス決済サービスにおいても、決済可能箇所の拡大や、加盟店・利用者双方にとって満足度の高いサービス提供等を積極的に進めた結果、取扱高が大幅に拡大しました。銀行サービスにおいては、2023年6月に預金口座数が1,400万口座を突破した後も引き続き顧客基盤が拡大しました。証券サービスにおいても、2023年4月に証券総合口座数が900万口座を達成する等、顧客の更なる定着が進みました。

この結果、フィンテックセグメントにおける売上収益は533,589百万円(前年同期比11.5%増)、セグメント利益は88,221百万円(前年同期比29.1%増)となりました。

 

(単位:百万円)

 

前年同期

当期

増減額

増減率

 

(前第3四半期
 連結累計期間)

(当第3四半期
 連結累計期間)

セグメントに係る
売上収益

478,434

533,589

55,155

11.5

セグメント損益

68,336

88,221

19,885

29.1

 

 

(モバイル)

モバイルにおいては、通信料金収入が引き続き増加し、売上収益の増加に貢献しました。2023年6月の「最強プラン」開始後、データ使用量が増加傾向にあり、今後ARPUが上昇することで、より一層の売上収益増加が見込まれます。契約数も2023年8月に500万回線を超える等、着実に増加しています。コスト面においては、ネットワーク関連コストを中心に削減を進めるとともに、設備投資についても、新ローミング契約を機に、従前計画対比で大幅に抑制していきます。

この結果、モバイルセグメントにおける売上収益は265,086百万円(前年同期比9.6%増)、セグメント損失は266,297百万円(前年同期は371,444百万円の損失)となりましたが、前第1四半期連結会計期間をピークに損失は縮小しています

 

(単位:百万円)

 

前年同期

当期

増減額

増減率

 

(前第3四半期
 連結累計期間)

(当第3四半期
 連結累計期間)

セグメントに係る
売上収益

241,868

265,086

23,218

9.6

セグメント損益

△371,444

△266,297

105,147

 

 

 

(3) 財政状態の分析

 

(資産)

当第3四半期連結会計期間末の資産合計は21,640,993百万円となり、前連結会計年度末の資産合計20,402,281百万円と比べ、1,238,712百万円増加しました。これは主に、証券事業の金融資産519,959百万円増加銀行事業の貸付金350,433百万円増加銀行事業の有価証券147,626百万円増加したことによるものです。

 

(負債)

当第3四半期連結会計期間末の負債合計は20,509,810百万円となり、前連結会計年度末の負債合計19,553,570百万円と比べ、956,240百万円増加しました。これは主に、カード事業の社債及び借入金191,170百万円減少その他の金融負債98,381百万円減少した一方で、銀行事業の預金702,071百万円増加証券事業の金融負債488,138百万円増加したことによるものです。

 

(資本)

当第3四半期連結会計期間末の資本合計は1,131,183百万円となり、前連結会計年度末の資本合計848,711百万円と比べ、282,472百万円増加しました。これは主に、当第3四半期連結累計期間における親会社の所有者に帰属する四半期損失を208,447百万円計上したこと等により利益剰余金227,194百万円減少した一方で、公募及び第三者割当による新株発行等により資本金151,826百万円増加資本剰余金145,017百万円増加、円安の影響による為替換算調整勘定の変動等によりその他の資本の構成要素114,810百万円増加、楽天銀行株式会社の株式上場等により非支配持分98,013百万円増加したことによるものです。

 

(4) キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ10,458百万円増加し、4,704,818百万円となりました。当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況及び主な変動要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、161,663百万円の資金流入(前年同期は450,377百万円の資金流出)となりました。これは主に、銀行事業の貸付金の増加による資金流出が374,520百万円、営業債務の減少による資金流出が87,160百万円となった一方で、銀行事業の預金の増加による資金流入が695,966百万円となったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、348,537百万円の資金流出(前年同期は830,376百万円の資金流出)となりました。これは主に、銀行事業の有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流出が127,715百万円(取得による資金流出が474,061百万円、売却及び償還による資金流入が346,346百万円)、有形固定資産の取得による資金流出が147,854百万円となったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、174,202百万円の資金流入(前年同期は1,417,873百万円の資金流入)となりました。これは主に、カード事業のコマーシャル・ペーパーの減少による資金流出が146,900百万円、コマーシャル・ペーパーの減少による資金流出が142,500百万円、短期借入金の減少による資金流出が123,500百万円となった一方で、社債の発行による資金流入が305,046百万円、株式の発行による資金流入が294,244百万円となったことによるものです。

 

 

(5) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの要約四半期連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。この要約四半期連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第4 経理の状況 1要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 3. 重要な会計上の見積り及び判断」をご参照ください。

 

(6) 経営方針、経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、経営方針、経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(7) 研究開発活動

当社の研究開発活動は、当社及び当社グループの開発業務への貢献を目的とし、個々の事業とは別に研究を行っています。なお、研究開発活動の状況については、前連結会計年度より重要な変更はありません。

当第3四半期連結累計期間における、当社グループが支出した研究開発費の総額は10,490百万円です。

 

(8) 従業員数

当第3四半期連結累計期間において、連結会社又は提出会社の従業員数の著しい増減はありません。

 

(9) 生産、受注及び販売の実績

当第3四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売実績の著しい増減はありません

 

(10) 主要な設備

前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設等について、当第3四半期連結累計期間に重要な変更があったものは、以下のとおりです。

 

会社名

所在地

セグメントの名称

設備の内容

投資予定額

資金調達方法

着手年月

完了予定

総額

楽天モバイル(株)

東京都
世田谷区

モバイル

「4G」「5G」に関する基地局、ネットワーク設備ほか

(変更前)

3,000億円

(変更後)

2,000億円

自己資金、借入金、社債発行及び新株発行等

2023年
1月

2023年
12月