E01015 Japan GAAP
事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
a. 事業全体の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国の経済について、新型コロナウイルス感染症の5類移行による行動制限の緩和やインバウンド需要の増加などにより緩やかに回復していますが、円安やエネルギー価格高騰に伴う物価上昇などにより経済の先行きは不透明な状況が続いています。
一方で当社グループが展開に注力するアジア地域においては、中国では不動産市況の停滞を背景に緩慢な経済回復となっています。また、ASEANでは欧米や中国経済の影響を受け景気減速懸念があり域内各国でバラつきはあるものの、堅調な内需により景気は底堅い動きとなっています。
このような経済状況のなか、当社グループは経営理念「生命と暮らしに寄り添い、地球との共生を実現する。」のもと、「モノサシ・インフラの刷新」、「アジア収益基盤の拡大」、「ESG・オープンイノベーション」、「コストシナジーの創出」を基本方針とする中期経営計画「Act For SMILE-COMPASS 2023-」に沿って経営を進めています。外部環境の著しい変化による影響から、本計画の数値目標は一旦見直すことといたしましたが、取り組みに対する成果は着実に出始めており、掲げる方向性や戦略は変更せず、当連結会計年度も施策の遂行に取り組んでおります。
当第3四半期連結累計期間における当社グループの業績については、家庭用品事業では市場環境の変化による入浴剤やマスクの売上減少、中国での販売不振などがありましたが、国内における良好な気象条件を背景とした虫ケア用品の売上増加、ASEANや総合環境衛生事業での伸長があり、売上高は1,267億69百万円(前年同期比1.9%増)となりました。利益面では原材料価格高騰などにより売上原価率が前年同期を上回ったことに加え、物流コスト及び人財投資に伴う人件費の増加が影響し、営業利益92億17百万円(前年同期比23.3%減)、経常利益99億44百万円(前年同期比22.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益64億48百万円(前年同期比25.3%減)となりました。
b. セグメント情報に記載された区分ごとの状況 ※セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益ベース
(家庭用品事業)
家庭用品事業におきましては、既存製品のリニューアルなどによる製品価値の向上、高付加価値製品の投入、SNSなどを利用した効果的なプロモーションなどを実施しました。また、原材料価格高騰の影響に伴う販売価格の改定、製品コストや販売にかかるコストの低減を図り、収益性の改善に努めました。海外においては、タイやベトナムなどのASEANを中心に経営資源を積極的かつ有効に投入し、規模を拡大する取り組みなどを実施しました。
当第3四半期連結累計期間における当事業の業績については、価格改定施策の効果の顕在化や気象条件に恵まれたことを受けた虫ケア用品部門が伸長、ペットケア用品などが好調に推移したことによるペット用品・その他部門の売上増加があった一方、市場環境の変化に伴い入浴剤やマスクの販売が前年を下回り、売上高は1,126億28百万円(前年同期比0.3%減)となりました。利益面では、前期から継続している原材料価格などの高騰の影響や売上構成変化による売上原価率の前年を上回る上昇、物流コストの増加や人財投資に伴う人件費の増加などがあり、セグメント利益(営業利益)は75億86百万円(前年同期比29.8%減)となりました。
(注) 売上高にはセグメント間及びセグメント内の内部売上高又は振替高が含まれており、金額は前第3四半期連結累計期間では9,540百万円、当第3四半期連結累計期間では7,727百万円です。
部門別の主な売上高の状況は次のとおりであります。
虫ケア用品部門
国内においては、全国的に気温の高い日が多く前年に比べて残暑が長期にわたり続き、市場は拡大しました。当社は、ハエ蚊用製品『アースノーマット』の販売が低調に推移しましたが、『ブラックキャップ』、『コバエがホイホイ』などのゴキブリ用や不快害虫用製品の売上伸長の他、タイ・ベトナムを中心に売上成長が継続しました。
以上の結果、当部門の売上高は572億48百万円(前年同期比1.3%増)となりました。
日用品部門
口腔衛生用品分野においては、歯科医院の開拓が進んだことに伴う歯科医院専売の洗口液『モンダミン ハビットプロ』が売上を伸ばしたことに加えて、オールインワンの洗口液『モンダミン プレミアムケア』が伸長しました。一方で、『モンダミン ペパーミント』などの汎用品の売上が前年を下回り、売上高は57億99百万円(前年同期比1.9%減)となりました。
入浴剤分野においては、入浴剤の使用の定着化は進んだものの、新型コロナウイルス感染症が5類に移行したことによる外出機会の増加や今夏の猛暑などの影響を受け、市場動向は前年を下回る状況が続きました。当社グループも市場の動向に比例して低調な推移となり、売上高は170億35百万円(前年同期比2.8%減)となりました。
その他日用品分野においては、夏場の熱中症対策などとして保冷剤や冷却剤が好調に推移しました。また、消臭芳香剤『スッキーリ!』シリーズなども好調であった一方、家庭用マスクや衣類用防虫剤の売上が前年を下回り、売上高は251億30百万円(前年同期比4.4%減)となりました。
以上の結果、当部門の売上高は479億65百万円(前年同期比3.5%減)となりました。
ペット用品・その他部門
ペット用品分野においては、猫砂などのケア用品やプレミアムフードが伸長し、売上高は74億14百万円(前年同期比10.4%増)となりました。
(総合環境衛生事業)
総合環境衛生事業におきましては、主要な顧客層である食品関連業界や医薬品関連業界、包材関連業界における食中毒予防対策や異物混入対策などの衛生管理対策が必須となっており、当社グループが専門的な知識や技術、ノウハウをもって提供する高品質の衛生管理サービスへのニーズが高まっている状況です。
このような状況の中、人財育成、業務効率の改善を目的としたシステムの導入・開発など、お客様のニーズに対応できる社内体制構築に向けた投資を積極化するとともに、産学官連携の共同研究も含め、技術開発力の強化により差別化された衛生管理サービスを提供することで、契約の維持・拡大と適正な利益の確保を図りました。その中でも、医薬品業界・再生医療業界へ向けた種々の取り組み、食品安全マネジメントに関する監査・コンサルタント業務の強化を継続してまいりました。
当第3四半期連結累計期間における当事業の売上高は219億92百万円(前年同期比4.0%増)、セグメント利益(営業利益)は13億4百万円(前年同期比8.0%増)となりました。
(注) 売上高にはセグメント間及びセグメント内の内部売上高又は振替高が含まれており、金額は前第3四半期連結累計期間では119百万円、当第3四半期連結累計期間では123百万円です。
(流動資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べて79億30百万円増加し、818億92百万円となりました。これは主に、棚卸資産が21億75百万円減少した一方、現金及び預金が41億96百万円、季節要因により売上債権が59億60百万円増加したことによるものです。
(固定資産)
当第3四半期連結会計期間末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べて78億16百万円増加し、583億43百万円となりました。これは主に、建設仮勘定が11億18百万円減少した一方、建物及び構築物が15億60百万円、機械装置及び運搬具が11億19百万円、商標権が13億9百万円、のれんが11億93百万円、その他無形固定資産が9億35百万円、繰延税金資産が16億58百万円増加したことによるものです。
(流動負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べて111億28百万円増加し、644億69百万円となりました。これは主に、仕入債務が26億3百万円、未払金が30億32百万円減少した一方、短期借入金が40億円、未払法人税等が39億33百万円、返金負債が28億86百万円、その他流動負債が43億28百万円増加したことによるものです。
(固定負債)
当第3四半期連結会計期間末における固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べて8億38百万円減少し、22億91百万円となりました。これは主に、繰延税金負債が7億79百万円減少したことによるものです。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べて54億56百万円増加し、734億75百万円となりました。これは主に、利益剰余金が配当金の支払いにより減少した一方、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により38億33百万円増加したことによるものです。
当第3四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書を作成しておりませんので、記載を省略しております。
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの対処すべき課題に重要な変更はありません。
当第3四半期連結累計期間の研究開発費は23億46百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(8) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、家庭用品事業における重要な設備の完成は、次のとおりであります。
(注) 帳簿価額の内「その他」は、工具器具及び備品であります。
(9) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、営業活動から得られる自己資金、金融機関からの借入などを資金の源泉としております。また、当社及び国内連結子会社間でキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入しており、各社の余剰資金を当社へ集中して一元管理を行うことで、資金の流動性の確保と資金効率の最適化に努めております。
設備投資やM&Aなどに伴う長期的な資金需要については、資金需要が見込まれる時点で、内部留保に加え、金融機関からの長期借入及びエクイティ・ファイナンスなどを活用して対応しております。また、運転資金など短期の資金需要については、自己資金及び短期借入を充当しております。
今後の中長期的な成長に向け、アジア収益基盤の拡大、ESG・オープンイノベーション、ICTインフラ刷新・DX推進などをターゲットに、資本コストを上回る選択的な投資によってキャッシュ・フローの拡大を目指してまいります。