売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01076 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

(当社グループを取り巻く環境)

当第3四半期連結累計期間における我が国経済につきましては、COVID-19の感染症法上の位置づけが5類感染症に引き下げられ、行動制限の緩和により社会経済活動の正常化が進み、堅調な公共投資と企業業績の改善を支えに、個人消費の持ち直しも加わり、景気は緩やかに回復している状況にあります。

一方、今後の国内経済の先行きにつきましては、ウクライナ情勢の長期化、中東地域をめぐる地政学リスクの高まりから、エネルギー価格や資源価格は高止まりが予想され、また、物価高による実質賃金のマイナス継続や海外経済減速の下押し要因に加え、日銀の金融政策転換による金利上昇リスクも燻っており、予断を許さないものとなっております。

エネルギー業界におきましては、2023年11月から開催されたCOP28において、GHG排出量を2030年までに43%、2035年までに60%を削減する必要性が改めて認識され、世界的に地球温暖化対策への取り組みが加速することが予想される中、再生可能エネルギーの推進や環境負荷低減に資する省エネルギー商品の供給等が期待されております。

 

(事業の経緯と成果)

当第3四半期連結累計期間につきましては、環境のグリーン化対応のひとつとして、軽油と比較してCO₂排出量を約30%削減することが可能となる「高純度バイオディーゼル『B30 燃料』」のオフロードとオンロードでの実証実験を2023年4月から開始しております。また、お客様の利便性向上を図るため、CO₂排出量を100%削減する「B100 燃料(FAME)」、同排出量を約5%削減することが可能となる「B5 燃料」をラインナップに加え、販売を開始いたしました。これら環境負荷低減に資する商品は、実証実験でご協力いただいております株式会社鴻池組を通じて工事現場にも使用されております。

また、2022年10月に当社グループに加わった環境開発工業株式会社(以下「環境開発工業」という)が、当社グループ全体の業績に大きく貢献いたしました。環境開発工業の営むリサイクル事業は、循環型社会の進展に寄与するとともに、当社グループの新たな収益の柱として順調に実績を上げております。

さらに、レンタル事業におきましては、北海道の堅調な公共事業と民間設備投資の増加に付随して、建設機材の需要が高まり、レンタル事業における収益は計画を大きく上回りました。

 

この結果、当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は、石油事業における販売数量の減少により前年同期比37億円(7.7%)減少の444億円となりました。損益面では、新たに環境開発工業が当社グループに加わったことや、ホームエネルギー事業、レンタル事業が好調に推移したことにより、売上総利益は、前年同期比605百万円(19.1%)増加の3,774百万円となりました。営業利益は前年同期比558百万円(154.2%)増加の921百万円となり、経常利益は、前年同期比560百万円(146.7%)増加の942百万円となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比387百万円(146.0%)増加の652百万円となりました。

 

なお、当第3四半期連結累計期間における業績と計画(2023年5月15日公表)との対比につきましては、石油事業が計画を下回ったものの、ホームエネルギー事業、レンタル事業、リサイクル事業及び環境関連事業の各事業におきましては、計画を上回る業績をあげております。

 

本年度は中期経営計画の最終年度であり、現在、次年度より開始する新しい中期経営計画を策定中であります(2024年5月公表予定)。

当社グループの長期ビジョンである「環境のグリーン化対応とエネルギー供給を通して社会に貢献するエネルギー商社であり続ける」のもと、新規事業への挑戦、既存事業の営業基盤を活かした周辺事業領域への進出等の動きをさらにスピードアップさせ、事業ポートフォリオの大胆な変革を実現するため、2024年4月1日付で組織改編を実施いたします。また、これに先立ち2024年3月25日に、本組織改編をより効果的に機能させるため、本社及び東京支店を同一事務所に移転することを予定しております。

 

セグメント別の業績の概要は、次のとおりであります。

 

「石油事業」

石油業界におきましては、期初80ドル/バーレル台のドバイ原油価格が、産油国の減産維持、中東における地政学リスクの高まり、中国経済の減速等により70~90ドル台の間を推移し、当第3四半期連結会計期間末では、70ドル/バーレル台となりました。

国内の石油製品需要は、当社グループの主力商品である灯油・軽油は前年を若干下回り、A重油、アスファルト、潤滑油につきましても、前年を下回る低調な動きとなりました。

特に、暖房需要の最盛期であります冬季に入っても12月上旬まで暖かい日が続き、当社グループが強みとする販売エリアである北海道、東北エリアにおいては、エネルギーコストの高騰による節約意識の高まりも加わり、需要は低調で、販売数量が伸び悩みました。

この結果、当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は販売数量の減少等から、前年同期比46億円(10.7%)減少の392億円となりました。営業利益は、前年には買収による取得関連費用131百万円の負担があったこともあり、前年同期比256百万円増加して6百万円の利益となりました。

第4四半期につきましても、引き続き暖冬が予想されますが、地域による需要を見極め、冬場の燃料需要を確実に取り込み、収益の確保を図ってまいります。また、このような厳しい環境に対応するため、気温の変動、原油価格・為替等のボラティリティの高い外的要因に左右されない安定的な販売基盤の確立を目指し、石油事業の周辺製品やサービス等のラインナップを拡充し、付加価値を訴求する提案型営業に努めてまいります。提案型営業につきましては、徐々に成果も出始め、新規顧客の開拓にも結び付いております。今後も、石油事業との相乗効果を高める営業活動の推進とグループ各社とのシナジー創出に努めてまいります。

さらに、環境のグリーン化対応につきましても、CO₂排出量が実質ゼロカウントとなる「再生重油」の拡販、「B5 燃料」、「B30 燃料」の供給能力拡大等に取り組んでまいります。当社グループは、エネルギーを取り扱う企業として、低炭素化社会の実現に積極的に貢献することにより、当社グループの成長と企業価値向上を目指しております。

 

「ホームエネルギー事業」

北海道道央地域に営業基盤を有するホームエネルギー事業(LPG・灯油など家庭用燃料小売事業)におきましては、今夏は北海道の平均気温が観測史上最高を記録し、10月以降も前年と比較して平均気温が高めに推移したことに加え、諸物価の値上げや燃料油の高騰等により節約志向が高まり、一世帯当たりの家庭用燃料油の消費量が大きく減少いたしました。また、10月には地政学的なリスクが高まり、燃料油仕入価格の上昇が続きました。

このような環境の下で、営業面では新規提案営業活動に注力した結果、一戸建て住宅を中心として新規取引先が増加いたしました。また、安全管理の強化に積極的に取り組むとともに、安定供給体制の拡充、サービス水準の向上に努めました。

この結果、当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、一世帯当たりの家庭用燃料油の消費量が減少したものの、新規一戸建て住宅並びに法人取引先の増加により燃料油の販売数量が前年同期比105.3%となり、売上高は前年同期比51百万円(3.9%)増加の1,386百万円となりました。

営業利益は、販売数量の増加により前年同期比33百万円(47.9%)増加の104百万円となり、前年実績並びに計画ともに上回り順調に推移しております。

第4四半期につきましては、節約志向の継続や暖冬により家庭用燃料油の消費量減少が続くものと予想しておりますが、よりきめ細かな新規活動並びに提案活動、既存取引先との関係強化に取り組み、収益の拡大に努めてまいります。

また、地域のライフラインの一翼を担う責任と自覚を持ち「安全・安心・安定」の供給体制を柱にお客様から選ばれるサービス体制の向上に努めてまいります。

 

 

「レンタル事業」

北海道道央地域に営業基盤を有する建設機材レンタル事業におきましては、事業と関係性の深い公共工事が堅調に推移いたしました。

このような環境の下で、当社グループは、好調な工事需要をきめ細かい営業活動により着実に取り込み、顧客のニーズに即したレンタル建設機材のラインナップ拡充により取引拡大に努め、売上高・利益の最大化を目指しました。また、次年度に向けてレンタル建設機材の確保と安定供給を図るため、機材の早期発注を実施してまいりました。

この結果、当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は、前年同期比52百万円(3.1%)増加の1,746百万円となり、営業利益は、前年同期比15百万円(4.4%)増加して366百万円と、前年実績並びに計画ともに上回り順調に推移しております。

第4四半期につきましては、公共工事の発注は、上期から堅調に推移しておりましたが、12月以降、工事請負金額の伸び率がペースを落としており、工事需要の縮小が懸念されます。新年度に向け、民間建設投資を中心とした建機需要を確実に取り込むべく、営業活動を展開してまいります。

 

「リサイクル事業」

北海道全域に営業基盤を有するリサイクル事業におきましては、世界的な持続可能な社会の構築に向けた動きの中で、資源リサイクルに対する社会の要請は一段と高まっており、産業廃棄物業界が静脈産業として、サーキュラーエコノミーに貢献すべき役割の重要性を増しております。

このような環境の下で、当社グループは、廃油・廃プラスチック・OA機器等の産業廃棄物収集運搬・中間処理を経て各産業に再生資源を提供するだけでなく、全道における同業者や当社グループ各社と連携を深めることで、より多くのお客様や地域社会のニーズに貢献する事業活動を推進してまいりました。

当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は、環境リサイクル事業における土壌汚染対策工事の完成高が大幅に増えたこと等から1,235百万円となりました。一般管理費とのれん並びに無形固定資産の償却額を差し引いた営業利益は281百万円となり、計画利益を上回り順調に推移しております。

第4四半期につきましては、オイルリサイクル事業において、多くのお客様にCO₂排出量が実質ゼロカウントとなる「再生重油」を使用していただけるよう、安定的な供給体制を確立すべく、引き続き廃油回収先の確保に取り組んでまいります。

当社グループは、今後、多様化、複雑化する産業廃棄物に対応すべく、技術力の向上並びに積極的な設備投資を行い、さらなるリサイクルの推進に努め、循環型社会の進展に貢献してまいります。

 

「環境関連事業」

当社グループが取り組んでいる環境関連事業のうち、メガソーラー発電事業につきましては、2023年1月に阿久根発電所を売却いたしましたが、当第3四半期連結累計期間は好天により売電量は順調に推移し、前年同期を上回る収益を獲得できました。また、グリーン商品であるアドブルー(※)の販売につきましては、アドブルーを使用するSCR搭載商用車が増加する機会を捉え、販売チャネルを広げるため、ホームセンター等の小売向けの販売を拡大いたしました。これにより販売数量は前年同期比105%となりました。

この結果、当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は、アドブルーのマーケット価格の下落により前年同期比17百万円(2.1%)減少の813百万円となりましたが、営業利益は、アドブルー販売においては採算を重視した販売に努めたこと、メガソーラー発電事業における売電収益の増加から、前年同期比30百万円(22.6%)増加の163百万円となりました。

第4四半期のアドブルー販売につきましては、仕入先との良好な関係を維持・強化することで安定供給体制を確立したうえで、引き続きカーショップやホームセンターへの納入をすすめ、販売拡大への取り組みを加速してまいります。

当社グループが取り組んでいる環境関連事業のうち、メガソーラー発電事業につきましては、2023年1月に阿久根発電所を売却いたしましたが、当第3四半期連結累計期間は好天により売電量は順調に推移し、前年同期を上回る収益を獲得できました。また、グリーン商品であるアドブルー(※)の販売につきましては、アドブルーを使用するSCR搭載商用車が増加する機会を捉え、販売チャネルを広げるため、ホームセンター等の小売向けの販売を拡大いたしました。これにより販売数量は前年同期比105%となりました。

この結果、当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は、アドブルーのマーケット価格の下落により前年同期比17百万円(2.1%)減少の813百万円となりましたが、営業利益は、アドブルー販売においては採算を重視した販売に努めたこと、メガソーラー発電事業における売電収益の増加から、前年同期比30百万円(22.6%)増加の163百万円となりました。

第4四半期のアドブルー販売につきましては、仕入先との良好な関係を維持・強化することで安定供給体制を確立したうえで、引き続きカーショップやホームセンターへの納入をすすめ、販売拡大への取り組みを加速してまいります。

※アドブルー(AdBlue):ディーゼル車の排ガス中の窒素酸化物(NOx)を無害化する「SCRシステム」に使われる高品位尿素水。

 

(2)財政状態の分析

当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2,444百万円増加の20,729百万円となりました。

この主な要因は、受取手形、売掛金及び契約資産の増加2,369百万円と現金及び預金の増加348百万円等によるものであります。

また、負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,225百万円増加の11,185百万円となりました。この主な要因は、支払手形及び買掛金の増加2,009百万円と流動負債のその他に含まれる前受金や未払金の増加等によるものであります。

なお、資産及び負債の増加は、主に季節的変動によるものであります。

純資産合計は、利益剰余金が配当金の支払いによる減少460百万円に、親会社株主に帰属する四半期純利益による増加652百万円等により、204百万円増加したことにより、前連結会計年度末に比べ218百万円増加の9,543百万円となりました。

なお、2022年10月3日に行われた環境開発工業の株式取得による企業結合について、前連結会計年度におきまして暫定的な会計処理を行っておりましたが、第1四半期連結会計期間末に確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による取得原価の当初配分額の重要な見直しが反映された後の金額を用いております。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により増加した資金が、投資活動及び財務活動により使用した資金を上回り、当第3四半期連結会計期間末の資金残高は、前連結会計年度末に比べ341百万円増加して3,045百万円となりました。

 

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により増加した資金は1,357百万円(前年同期は669百万円の増加)となりました。これは仕入債務の増加額2,040百万円や税金等調整前四半期純利益1,028百万円等の資金増加要因と減価償却費669百万円等の非資金項目の合計額が、売上債権の増加額2,369百万円等の資金減少要因を上回ったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は553百万円(前年同期は2,246百万円の使用)となりました。これは有形固定資産の取得による支出516百万円や無形固定資産の取得による支出44百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は462百万円(前年同期は249百万円の使用)となりました。これは主に配当金の支払額460百万円によるものであります。

 

なお、2022年10月3日に行われた環境開発工業の株式取得による企業結合について、前連結会計年度におきまして暫定的な会計処理を行っておりましたが、第1四半期連結会計期間末に確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による取得原価の当初配分額の重要な見直しが反映された後の金額を用いております。

 

(4)経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

当社グループは、経済産業省資源エネルギー庁へ軽油試験研究計画認定申請を行い、この度、経済産業大臣認定を受けたことから、CO₂排出量削減に寄与する軽油代替燃料である高純度バイオディーゼル B30燃料を大型貨物自動車の燃料として使用する日本初の実証試験を2023年4月20日より開始しました。

 

本実証試験では、これまでのバイオディーゼル燃料に関する情報や車両安全上の不具合事例を踏まえ、大型貨物自動車におけるB30燃料の安全性と燃焼後の排ガス性状を明らかにするため、異なる自動車メーカーの大型貨物自動車2台にB30燃料を使用し、車両に対する影響の有無を調査し、排ガス性状の分析を行います。

当社グループは、B30燃料の供給を皮切りに、今後も環境負荷低減に資するより多くのエネルギーの供給を担い、低炭素社会の実現に向けた取り組みに貢献してまいります。