売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01084 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間の国内の主な石油製品需要は、航空機向けは増加しましたが、2020年以降のコロナ禍における需要減からの回復が一服し、揮発油などその他主燃料はほぼ前年並みとなりました。

原油価格は、米国の利上げ長期化観測の後退に加え、サウジアラビア・ロシアの自主減産延長の発表による需給の引き締まりなどにより、9月までは上昇基調で推移しましたが、以降は米中の経済指標の弱さから景気減速が意識され、OPECプラスによる追加減産が見送られたことなどを背景に下落基調へ転じました。この結果、ドバイ原油価格の4~12月平均は前年同期比13.9ドル/バレル下落の82.7ドル/バレルとなりました。

ドル円の為替相場は、日米の金融政策の差を背景に一時150円台まで円安が進行しましたが、以降は米国連邦準備制度理事会による利上げ観測の後退や日銀の政策修正観測の高まりから年末にかけて円高に転じました。この結果、対ドル円相場の4~12月平均は1ドル143.3円となりました。

 

(原油価格、為替レートの状況)

 

 

 

前第3四半期

連結累計期間

当第3四半期

連結累計期間

増減

ドバイ原油(ドル/バレル)

96.6

82.7

△13.9

△14.4%

為替レート(円/ドル)

136.5

143.3

+6.8

+5.0%

 

当社グループの当第3四半期連結累計期間の売上高は、原油価格が下落したことなどにより、6兆4,023億円(前年同期比△11.2%)となりました。

営業利益は、燃料油セグメントにおけるタイムラグなどによる国内製品マージン改善はあったものの、在庫評価影響の縮小および資源セグメントの石炭事業の電力用の石炭市況の下落などにより、前年並みの2,937億円(前年同期比△1.7%)となりました。

営業外損益は、持分法による投資利益の減少などにより、336億円(前年同期比△11.6%)の利益となりました。その結果、経常利益は3,273億円(前年同期比△2.8%)となりました。

特別損益は、事業譲渡損失の計上などにより20億円の損失となり、前年度の遊休不動産等の固定資産売却益計上の反動などにより前年同期比では△188億円となりました。

法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合わせた税金費用は、税金等調整前四半期純利益の減少により875億円(前年同期比△17.7%)となりました。

以上の結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は2,391億円(前年同期比△4.2%)となりました。

 

当第3四半期連結累計期間におけるセグメント別の経営成績は以下のとおりです。

当社グループの決算期は、一部を除き、海外子会社が12月、国内子会社が3月であるため、当第3四半期連結累計期間の業績については、海外子会社は2023年1月~9月期、国内子会社は2023年4月~12月期の業績を反映しています。

 

セグメント別売上高

(単位:億円)

 

前第3四半期

当第3四半期

増減

 

連結累計期間

連結累計期間

増減額

増減率

燃料油

56,685

51,428

△5,257

△9.3%

基礎化学品

5,140

4,466

△674

△13.1%

高機能材

3,812

3,821

+9

+0.2%

電力・再生可能エネルギー

1,480

1,085

△396

△26.7%

資源

4,955

3,180

△1,775

△35.8%

その他

41

43

+2

+4.6%

合計

72,113

64,023

△8,090

△11.2%

 

セグメント別利益又は損失(△)(営業損益+持分法投資損益)

(単位:億円)

 

前第3四半期

当第3四半期

増減

 

連結累計期間

連結累計期間

増減額

増減率

燃料油

(在庫評価影響除き)

1,397

(12)

1,872

(1,141)

+475

(+1,129)

+34.0%

(-)

基礎化学品

114

214

+100

+87.3%

高機能材

164

228

+64

+38.9%

電力・再生可能エネルギー

11

△23

△35

資源

1,777

897

△880

△49.5%

その他

7

7

+1

+13.6%

調整額

△232

△122

+110

合計

(在庫評価影響除き)

3,238

(1,854)

3,073

(2,341)

△166

(+488)

△5.1%

(+26.3%)

 

[燃料油セグメント]

燃料油セグメントの売上高は、原油価格下落や販売数量が減少したことなどにより、5兆1,428億円(前年同期比△9.3%)となりました。セグメント損益は、在庫評価影響の縮小があったもののタイムラグによる国内製品マージン改善などにより、1,872億円(前年同期比+34.0%)となりました。

 

[基礎化学品セグメント]

基礎化学品セグメントの売上高は、4,466億円(前年同期比△13.1%)となりました。セグメント損益は、製品マージンの改善や自家燃コストの減少などにより214億円(前年同期比+87.3%)となりました。

 

[高機能材セグメント]

高機能材セグメントの売上高は、3,821億円(前年同期比+0.2%)となりました。セグメント損益は、潤滑油事業におけるマイナスのタイムラグ解消などにより228億円(前年同期比+38.9%)となりました。

 

[電力・再生可能エネルギーセグメント]

電力・再生可能エネルギーセグメントの売上高は、1,085億円(前年同期比△26.7%)となりました。セグメント損益は、電力事業における自社電源での供給・販売を基本とした取り組みによる収益改善が進んだものの販売価格の低下などの影響が上回り△23億円(前年同期比△35億円)となりました。

 

[資源セグメント]

(石油・天然ガス開発事業・地熱事業)

石油・天然ガス開発事業・地熱事業は、売上高は285億円(前年同期比△16.0%)となりました。セグメント損益は、原油価格の下落や操業費用の増加などにより、133億円(前年同期比△49.8%)となりました。

 

(石炭事業・その他事業)

石炭事業・その他事業の売上高は、鉱山規模縮小による生産数量の減少や電力用の石炭市況の下落などにより、2,895億円(前年同期比△37.3%)となり、セグメント損益は、764億円(前年同期比△49.5%)となりました。

 

以上の結果、資源セグメント合計の売上高は、3,180億円(前年同期比△35.8%)、セグメント損益は897億円(前年同期比△49.5%)となりました。

 

[その他セグメント]

その他セグメントの売上高は、43億円(前年同期比+4.6%)となり、セグメント損益は7億円(前年同期比+13.6%)となりました。

(2) 財政状態の分析

要約連結貸借対照表

(単位:億円)

 

前連結会計年度

当第3四半期

連結会計期間

増減

流動資産

27,321

31,268

+3,948

固定資産

21,333

21,453

+120

資産合計

48,654

52,721

+4,068

流動負債

21,640

23,677

+2,037

固定負債

10,721

10,733

+12

負債合計

32,361

34,410

+2,049

純資産合計

16,293

18,312

+2,019

負債純資産合計

48,654

52,721

+4,068

 

①資産の部

資産合計は、円安影響などによる棚卸資産の増加や季節要因および年末の休日影響による売掛金の増加などにより、5兆2,721億円(前期末比+4,068億円)となりました。

 

②負債の部

負債合計は、円安影響などによる買掛金の増加および年末の休日影響による未払金の増加などにより、3兆4,410億円(前期末比+2,049億円)となりました。

 

③純資産の部

純資産合計は、自己株式の取得426億円や配当金の支払い402億円による減少はありましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益2,391億円の計上や円安により為替換算調整勘定が458億円増加したことなどにより、1兆8,312億円(前期末比+2,019億円)となりました。

 

以上の結果、自己資本比率は前期末の33.2%から34.5%へ1.3ポイント改善しました。またネットD/Eレシオは0.7(前期末:0.9)となり財務体質の改善が進みました。

 

(3) 経営戦略等

当社は、中期経営計画(2023~2025年度)における財務目標および株主還元方針の見直しを2023年11月14日開催の取締役会において決議しました。

1.見直しの理由

当社は2022年11月の中期経営計画公表以降、投資家をはじめとする資本市場との対話を重点的に実施し、企業価値向上に向けた現状分析や中期経営計画で設定した目標、資本コスト等に関する議論、検討を取締役会等において継続的に行いました。

一連の議論、検討の結果、更なる企業価値向上に向けて、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応として2025年度のROE目標および2023年度~2025年度を対象とした株主還元方針の見直しを実施しました。

2.変更の内容(下線部分は変更箇所)

項目

見直し前

見直し後

2025年度

ROE目標

8%

10%以上

2023~2025年度

株主還元方針

・2023~2025年度の3カ年累計の在庫影響除き当期利益に対し、総還元性向50%以上の株主還元を実施

1株当たり120円の安定配当を基本とする

・2023~2025年度の3カ年累計の在庫影響除き当期利益に対し、総還元性向50%以上の株主還元を実施

配当は、1株当たり160円へ増配し、当水準を下限とする

自己株式取得は、株価水準を意識し機動的に実施する

※2024年1月1日を効力発生日として、普通株式1株につき5株の割合をもって株式分割を実施したことに伴い、分割後の配当は1株当たり32円を下限とする。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当第3四半期連結累計期間における当社グループの資金需要及び財務政策について、前連結会計年度から重要な変更はありません。

 

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

なお、当社は財務及び事業の方針を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりです。

当社は、当社グループの企業価値・株主共同の利益の確保・向上のため、安定的かつ持続的成長の実現に努めています。

したがって、当社株式を大量に取得しようとする者の出現等により、当社グループの企業価値・株主共同の利益が毀損されるおそれがある場合には、法令・定款で許容される範囲内において適切な措置を講じることを基本方針とします。

 

(6) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は223億円です。

なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。