売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01162 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間(2023年1月1日から2023年9月30日まで)の世界経済は、当初、供給制約の緩和や中国経済再開等のプラス要因があったものの、その後は、欧米の高インフレ・高金利の持続や中国経済の減速等を受け停滞感が強まる展開となりました。

米中対立等による世界経済の分断化の進行や、中国経済の下振れ等がリスク要因となり、先行きに係る不確実性が高まっております。

このような情勢下、当社グループにおいては、本年2月に2023年から2025年までの3年間を対象とするローリング中期経営計画「T-2025」を開示いたしました。「主力事業の成長軌道回帰」「事業ポートフォリオの最適化(選択と集中)」「サステナビリティ経営基盤構築」の3つの基本方針を掲げ、2025年の定量目標として、売上高4,840億円、営業利益690億円、ROS14%、EBITDA 1,130億円の達成を目指しております。主力事業である黒鉛電極やカーボンブラックを中心に、原材料価格等の原価上昇を売価に転嫁することにより適正利潤確保を図るとともに、将来の需要拡大を睨んだ生産性の向上と生産能力の増強も着実に進めております。またカーボンニュートラルの実現に向け、2022年2月に発足したカーボンニュートラル推進委員会を中心に、連結ベースでのCO2排出量の削減を進める一方、関連技術の探求・調査にも取り組んでおります。

 

この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比8.7%増2,676億7千5百万円となりました。営業利益は前年同期比6.2%増297億4千9百万円となりました。経常利益は前年同期比2.8%増330億3千4百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比32.6%増213億7千5百万円となりました。

 

セグメント別の経営成績は下記のとおりです。

 

[黒鉛電極事業]

欧州鉄鋼生産が低迷しており、当社黒鉛電極の販売量も欧州拠点を中心に前年同期と比較して落ち込みました。北米を中心に大口径電極の出荷が増加したため平均売価は上昇したものの、エネルギーコストの高止まりと稼働率低下により製造コストは増加しました。

この結果、当事業の売上高は前年同期比5.1%増458億9千1百万円となり、営業利益は前年同期比48.3%減27億4千万円となりました。

 

[カーボンブラック事業]

タイヤメーカーの生産調整がありましたが、新車用タイヤ需要は回復しており、当社販売数量は前年同期並みとなりました。また、米国を中心とした販売価格の改定により、環境設備投資の減価償却費負担の一部が補填され、前年同期比で増収増益となりました。

この結果、当事業の売上高は前年同期比7.5%増1,111億3千1百万円なり、営業利益は前年同期比77.2%増159億2千5百万円となりました。

 

 

[ファインカーボン事業]

パワー半導体向け製品や一般産業向け需要は堅調である一方、メモリ半導体向けのエッチング装置にて使用されるSolid SiC製品の販売は、スマートフォンやパソコン需要低下による顧客の在庫調整及び米国の対中半導体規制長期化の影響を受け大きく落ち込みました。

この結果、当事業の売上高は前年同期比12.0%減324億1千3百万円となり、営業利益は前年同期比32.4%減75億4百万円となりました。

 

[スメルティング&ライニング事業]

カソードブロックのユーザーであるアルミ電解炉事業者の操業率は、エネルギーコストの違いで地域的な濃淡が出ているものの、特に新興国向けの出荷が堅調に推移しております。原材料やエネルギーコスト上昇分については、売価へ転嫁することで採算を維持しております。

この結果、当事業の売上高は前年同期比39.1%増594億8千4百万円となり、営業利益は11億3千5百万円(前年同期営業損失は3億5百万円)となりました。

 

[工業炉及び関連製品事業]

工業炉及び発熱体の売上高及び営業利益は、主要顧客であるエネルギー関連業界及び電子部品関連業界の需要落ち込みが影響し前年同期比減となりました。

この結果、当事業の売上高は前年同期比17.1%減98億8千5百万円となり、営業利益は前年同期比22.8%減25億5千3百万円となりました。

 

[その他事業]
摩擦材

電磁向け出荷が在庫調整等の影響を受けましたが、建機、二輪、農機向け出荷は堅調に推移し、全体では増販となりました。

この結果、摩擦材の売上高は前年同期比2.2%増69億8千4百万円となりました。

負極材

EV及びESS(Energy Storage System)向けの販売量増加により前年同期比で販売数量が増加しました。

この結果、負極材の売上高は前年同期比103.9%増17億8千5百万円となりました。

その他

不動産賃貸等その他の売上高は、前年同期比3.3%減9千9百万円となりました。

以上により、その他事業の売上高は前年同期比13.5%増88億6千8百万円となり、営業利益は前年同期比55.0%増10億8千3百万円となりました。

 

 

当第3四半期連結会計期間末の総資産は、棚卸資産及び有形固定資産等の増加により、前連結会計年度末比608億5千6百万円増6,373億2千2百万円となりました。負債は、買掛金等の仕入債務が減少したものの繰延税金負債等の増加により、前連結会計年度末比3億8千万円増2,759億7千6百万円となりました。また、純資産は、利益剰余金及び為替換算調整勘定等の増加により、前連結会計年度末比604億7千6百万円増3,613億4千5百万円となりました。

この結果、自己資本比率は51.2%で、前連結会計年度末に比べ4.6ポイント増加しました。

 

(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当社グループの対処すべき課題について、重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は25億9千2百万円であります。

なお、第1四半期連結会計期間において、2023年3月30日付で当社の富士研究所茅ヶ崎分室を廃止し、「茅ヶ崎研究所」と「田ノ浦研究所」を新設しました。

 

(5) 経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。