売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01225 IFRS


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績の状況

当期の連結業績につきましては、売上収益は6兆6,418億円(前年同期は5兆9,616億円)、事業利益は6,923億円(前年同期は7,618億円)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は4,409億円(前年同期は5,171億円)となりました。

セグメント別の業績は以下のとおりです。当社グループは、製鉄事業を中核として、エンジニアリング、ケミカル&マテリアル、システムソリューションの4つのセグメントで事業を推進しており、製鉄セグメントが連結売上収益の約9割を占めています。

 

(当期のセグメント別の業績の概況)                     (単位:億円)

 

売上収益

事業利益

 

当第3四半期連結累計期間

前第3四半期連結累計期間

当第3四半期連結累計期間

前第3四半期連結累計期間

製鉄

60,822

54,358

6,658

7,259

エンジニアリング

2,849

2,489

△47

66

ケミカル&マテリアル

1,970

2,117

123

162

システムソリューション

2,205

2,074

239

225

合計

67,848

61,040

6,974

7,713

調整額

△1,430

△1,423

△50

△95

要約四半期連結損益計算書計上額

66,418

59,616

6,923

7,618

 

 

<製鉄>

世界の鉄鋼需要については、中国は不動産市況の低迷が長期化し、内需低迷に加え外需回復のペースも鈍く、欧米においても金融引き締め等から景況感が低位継続するなど、依然として未曾有の厳しい状況が継続しています。また、インドによる石炭のスポット購入継続に加え、中国が内需不振下でも高生産を維持していること等を受け、原料価格は高止まりしている一方、ASEAN等で製品価格が低迷するなか、海外一般市況分野におけるスプレッド(原料と鋼材の市況価格差)は最低水準が継続し、原料と製品とのデカップリング(非連動)の構造が鮮明化してきています。このように経営環境が厳しさを増し、当面継続すると想定される状況にあっても、当社は従来の収益構造対策等に加え、将来ビジョンの1兆円の利益水準に向け、さらに厚みを持った新たな事業構造へ進化を図り、外部環境に関わらずさらなる高収益を計上できる基盤を構築してきました。当第3四半期の業績としては、マージン(為替影響を含む)、コスト改善及び製鉄セグメントのグループ会社等による収益改善があったものの、在庫評価差の影響が大きく、前年同期比で増収・減益となりました。

製鉄セグメントとして、売上収益は6兆822億円(前年同期は5兆4,358億円)、事業利益は6,658億円(前年同期は7,259億円)となりました。

 

<エンジニアリング>

日鉄エンジニアリング㈱においては、製鉄プラントセクターでは売上が減少したものの、環境・エネルギーセクターでの洋上風力発電・廃棄物発電等の事業及び都市インフラセクターでの大型物流施設等を中心とした建築工事・免制震デバイス等の事業において堅調な売上を計上したことにより、全体では前年同期比で増収となりました。一方、利益については、上期に保有海洋作業船のクレーン故障の影響で大きな損失を計上したことにより、前年同期比で減益となりました。なお、当該作業船にて実行予定であった工事は、代替船によって速やかに再開し、損失を最小限に止めるべく取り組んでいます。

エンジニアリングセグメントとして、売上収益は2,849億円(前年同期は2,489億円)、事業利益は△47億円(前年同期は66億円)となりました。

 

 

<ケミカル&マテリアル>

日鉄ケミカル&マテリアル㈱においては、世界的な原燃料価格の高騰や半導体等の在庫調整により需要低迷が続く環境下、コスト削減や販売価格の改善を中心とした収益対策に取り組んできました。円安の進行による増益やコスト増に伴う在庫評価益の発生もありましたが、事業利益は前年同期比で減益となりました。コールケミカル事業では、主力の黒鉛電極用ニードルコークスの需要低迷が継続し、厳しい事業環境が続きました。化学品事業では、ベンゼン市況が不需要期に入ったことから悪化し、スチレンモノマーについても国内誘導品需要の回復遅れに加え、中国での需要低迷によって需給バランスの改善が進まず販売は低迷しました。機能材料・複合材料事業では、半導体・電子部材サプライチェーンにおける生産回復の動きは見られるものの、中国経済悪化の影響もありスマートフォン等の最終製品の需要は弱く、販売数量は低調に推移しました。また土木・建築向け補強材料は、前期並みの堅調な需要が継続したものの、産業向け炭素繊維の販売が減少しました。

ケミカル&マテリアルセグメントとして、売上収益は1,970億円(前年同期は2,117億円)、事業利益は123億円(前年同期は162億円)となりました。

 

<システムソリューション>

日鉄ソリューションズ㈱においては、企業のDXへの取組みの加速を受け、お客様との関係性を深化させながら、全社を挙げてDXニーズを最大限に捕捉し、事業拡大に取り組んでいます。お客様のDX推進に向けた取組みとして、金融機関向け統合経営管理プラットフォームサービス「ConSeek(コンシーク)」の提供や、保険会社の基幹システムにおけるモダナイゼーション(老朽化したシステムの最新化)プロジェクトを開始したほか、当社と共同で数理最適化技術を応用した業務改革を実現する生産計画システムを開発し、本格運用を開始しています。また、成長に向けた投資として、AIスタートアップ企業や、デジタル製造業領域における日鉄テックスエンジ㈱との業務提携を行ったほか、テックスエンジソリューションズ㈱のグループ会社化に向けた契約を締結するなど、お客様のDXニーズへの対応力強化を図りました。

システムソリューションセグメントとして、売上収益は2,205億円(前年同期は2,074億円)、事業利益は239億円(前年同期は225億円となりました。

 

(2)当第3四半期連結会計期間末の資産、負債、資本及び当第3四半期連結累計期間のキャッシュ・フロー

当第3四半期連結会計期間末の連結総資産は、日鉄物産㈱の子会社化等により、営業債権及びその他の債権の増加(5,562億円)、棚卸資産の増加(2,226億円)、有形固定資産の増加(1,779億円)、非流動資産のその他の金融資産の増加(1,645億円)等があり、前期末(9兆5,670億円)から1兆1,305億円増加10兆6,976億円となりました。

負債についても、上記子会社化を中心として有利子負債が3兆84億円と前期末(2兆6,993億円)から3,091億円増加したことに加え、営業債務及びその他の債務の増加(726億円)、その他の非流動債務の増加(466億円)等により、前期末(4兆9,206億円)から5,207億円増加5兆4,414億円となりました。

資本については、親会社の所有者に帰属する四半期利益4,409億円による増加、配当金の支払いによる減少(1,521億円)に加え、在外営業活動体の換算差額の増加(1,491億円)、日鉄物産㈱の子会社化等による非支配持分の増加(1,009億円)等により、前期末(4兆6,464億円)から6,097億円増加5兆2,561億円となりました。なお、当期末の親会社の所有者に帰属する持分は4兆6,899億円となり、親会社の所有者に帰属する持分に対する有利子負債の比率(D/Eレシオ)は0.64倍(劣後ローン・劣後債資本性調整後0.52倍)となりました。

当第3四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益6,080億円に、減価償却費及び償却費(2,686億円)、事業再編損(736億円)の加算、営業債権及びその他の債権の減少(348億円)等の収入があった一方、持分法による投資損益(1,058億円)の控除の調整に加え、営業債務及びその他の債務の減少(1,239億円)等による支出があり、6,355億円の収入(前年同期は4,370億円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出(3,457億円)、日鉄物産㈱の子会社化を中心とした連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出(1,081億円)等により、4,148億円の支出(前年同期は2,531億円の支出)となりました。この結果、フリーキャッシュ・フローは2,207億円の収入(前年同期は1,838億円の収入)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、前期末及び当第2四半期末の配当(1,521億円)に加え、有利子負債の返済(1,895億円)等により、3,330億円の支出(前年同期は2,722億円の支出)となりました。以上により、当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は5,854億円となりました。

 

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書(第98期有価証券報告書)に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について、重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等について、重要な変更及び新たに定めたものはありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、新たに生じた優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は、次のとおりです。

当社は、2023年12月18日、当社の米国子会社であるNIPPON STEEL NORTH AMERICA, INC.を通じ、米国の高炉・電炉一貫の鉄鋼メーカーであるUnited States Steel Corporation(以下「U. S. Steel」といいます。)を買収すること(以下「本買収」といいます。)、及びU. S. Steelとの間で本買収に関する合併契約を締結することを決定しました。

本買収により、当社グループのグローバル粗鋼生産能力(※)は約86百万トンまで拡大し、さらなる広がりを持つことになります。当社とU. S. Steelの有する、電磁鋼板や自動車鋼板等の高級鋼製品に関する技術力を活かした製品・サービスを提供することで、顧客と社会に広く貢献し、「総合力世界No.1の鉄鋼メーカー」としてともに前進していきます。

また、当社とU. S. Steelは、2050年カーボンニュートラル達成という目標に向けて、これまで技術開発を推進してきており、それぞれ技術的な強みを持っています。今後、両社の先端技術を融合することによって、2050年カーボンニュートラルへの取組みをさらに推進し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

(※)World Steel Associationが粗鋼生産実績の対象基準としている出資比率30%以上の会社の粗鋼生産能力を公称フル能力で単純合算(2023年3月末時点)。

 

(6)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

当第3四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について、重要な変更及び新たに定めたものはありません。

 

(7)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における当社及び連結子会社全体の研究開発費は518億円です。

なお、当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況について、重要な変更はありません。

 

(8)従業員数

当第3四半期連結累計期間において、従業員数について、著しい変動はありません。

 

(9)生産、受注及び販売の実績

当第3四半期連結累計期間において、生産及び販売の実績金額が著しく増加しています。なお、詳細については、本報告書「第一部  企業情報  第2  事業の状況  2  経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1)経営成績の状況」に記載しています。

 

(10)主要な設備

    当第3四半期連結累計期間において、主要な設備について、著しい変動はありません。