売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01259 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

  文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間末現在において判断したものであります。

(1) 経営成績

当第3四半期連結累計期間における当社グループの経営環境は、中国の景気減速等による世界的な鋼材需要・市況軟化の影響を受け、主要製品であるH形鋼等の土木・建築用鋼材需要は総じて減少基調が続いております。拠点によっては、安価な中国材との競争が激しさを増しておりますが、引続き鋼材マージン維持及びコスト低減等を図ることで全拠点において収益を確保していることに加え、円安及び米国金利上昇も当社グループ業績の押上げ要因となっております。

 

日本におきましては、大型建築案件向けや土木関連などの形鋼需要は底堅いものの、人手不足等による工期の遅れや中小建築案件向けの需要低迷などが影響し、形鋼市況はじり安の展開となりました。ヤマトスチールにおきましては、大型サイズの生産・販売強化に製販一体となって取り組み、主力の物件向けH形鋼や鋼矢板の受注量確保及び販売価格維持に努めました。営業利益につきましては、圧延設備の更新工事を計画的に順次実施している影響もあり販売数量は減少したものの、鋼材マージンの改善により前年同期比で増益となりました。

 

連結子会社を有するタイ、また持分法適用関連会社を有する米国、バーレーン、サウジアラビア、ベトナム、韓国におきましては、いずれも2023年1月~9月の業績が当第3四半期連結累計期間に反映されます。

 

タイの連結子会社サイアム・ヤマト・スチールカンパニーリミテッド(SYS)におきましては、タイ国内では新政権発足後は行政が安定したことで、民間プロジェクトや公共事業が動き出し、形鋼需要に底打ち感が見られました。一方、ASEAN市場では、昨年度下期以降、安価な中国材との厳しい競争が続いており、総販売数量は前年同期比で大幅に減少しました。営業利益につきましては、鉄スクラップ価格の下落もあり鋼材マージンは高水準を維持したものの、販売数量減の影響が大きく前年同期比で減益となりました。

なお、SYSはタイ国歳入局の税務調査を受け、当第3四半期連結累計期間に過年度付加価値税等905百万円(特別損失)を引き当てておりますが、不服申し立てを行っております。

 

米国の持分法適用関連会社ニューコア・ヤマト・スチールカンパニー(NYS)におきましては、半導体や電気自動車関連などの大型工場建設案件を中心に形鋼需要は底堅く、鉄スクラップ市況が軟化するなか、高水準の鋼材マージンを維持しました。一方、金融引締め長期化による経済の先行き不透明感から流通顧客は在庫削減を継続しており、また、一部サイズでは競合他社や輸入材との競争が高まるなど、販売数量は伸び悩んでおります。業績につきましては、前年同期比で減益となったものの引続き高収益を確保しました。

 

中東の持分法適用関連会社スルブカンパニー(SULB)におきましては、原油高を受け、中東地域の建設活動は回復基調にあり、フル生産状態が続いております。一方、製品及び中間材の販売価格は、昨年度はロシアのウクライナ侵攻による鉄スクラップ市況の高騰等により一時的に高値圏で推移しておりましたが、鉄スクラップ市況が反転して以降は、安価な中国材の流入の影響も受け軟化傾向にあります。業績につきましては、高い収益を確保しているものの、前年同期比で減益となりました。

 

 

ベトナムの持分法適用関連会社ポスコ・ヤマト・ビナ・スチールジョイントストックカンパニー(PY VINA)におきましては、インフラ投資等による需要回復が期待ほど進んでおらず、また中国製鋼板を加工した建築材との競合も影響し、国内販売数量が伸び悩むなか、輸出強化に努めております。業績につきましては、利益水準は高くないものの前年同期比で増益となりました。

 

韓国の持分法適用関連会社ワイケー・スチールコーポレーション(YKS)におきましては、インフレと金利上昇の影響を受け鉄筋需要が悪化し、販売数量が大幅に減少しました。鉄筋市況は下期に入り、軟化傾向が強まっているものの鉄スクラップ価格も下落しており、鋼材マージンは比較的高水準を維持しておりますが、業績につきましては、前年同期比で減益となりました。

なお、韓国の関係会社に対する訴訟提起の件に関して、当第3四半期連結累計期間に当社グループの損失見込額1,909百万円(持分法による投資利益のマイナス633百万円及び訴訟損失引当金繰入額(特別損失)1,276百万円)を計上しておりますが、韓国の関係会社は反論のため答弁書を提出しております。詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」をご参照下さい。

 

以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比16,914百万円減122,205百万円となりました。利益につきましては、営業利益は前年同期比799百万円減12,773百万円、経常利益は前年同期比563百万円増73,351百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比1,279百万円減51,861百万円となりました。

 

セグメントごとの業績は、次のとおりです。

① 鉄鋼事業(日本)

大型建築案件向けや土木関連などの形鋼需要は底堅いものの、人手不足等による工期の遅れや中小建築案件向けの需要低迷などが影響し、形鋼市況はじり安の展開となりました。ヤマトスチールにおきましては、大型サイズの生産・販売強化に製販一体となって取り組み、主力の物件向けH形鋼や鋼矢板の受注量確保及び販売価格維持に努めました。営業利益につきましては、圧延設備の更新工事を計画的に順次実施している影響もあり、販売数量は減少したものの、鋼材マージンの改善により前年同期比で増益となりました。

以上により、当事業の売上高は前年同期比61百万円減55,476百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比2,330百万円増8,565百万円となりました。

 

② 鉄鋼事業(タイ国)

タイ国内では新政権発足後は行政が安定したことで、民間プロジェクトや公共事業が動き出し、形鋼需要に底打ち感が見られました。一方、ASEAN市場では、昨年度下期以降、安価な中国材との厳しい競争が続いており、総販売数量は前年同期比で大幅に減少しました。営業利益につきましては、鉄スクラップ価格の下落もあり鋼材マージンは高水準を維持したものの、販売数量減の影響が大きく前年同期比で減益となりました。

以上により、当事業の売上高は前年同期比17,137百万円減58,989百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比3,310百万円減5,921百万円となりました。

 

③ 軌道用品事業

当事業の売上高は前年同期比771百万円増5,498百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比504百万円増699百万円となりました。

 

④ その他

その他の売上高は前年同期比486百万円減2,240百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比17百万円増55百万円となりました。

 

 

(2) 財政状態

当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末比89,031百万円増604,031百万円となりました。

負債につきましては、前連結会計年度末比8,209百万円増52,997百万円となりました。

また、純資産につきましては、親会社株主に帰属する四半期純利益による増加、配当金の支払による減少の他、円安が進行したことで為替換算調整勘定が大幅に増加したこと等により、前連結会計年度末比80,821百万円増551,033百万円となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローが70,099百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローが25,827百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローは20,348百万円減少いたしました。これに資金に係る換算差額の増加16,540百万円を加えた結果、当第3四半期連結会計期間末の資金残高は、前連結会計年度末比40,463百万円増174,323百万円となりました。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間において、営業活動による資金の増加は70,099百万円(前年同期は40,793百万円の増加)となりました。これは主に、当第3四半期連結累計期間において、税金等調整前四半期純利益が70,873百万円(前年同期は71,555百万円)及び、利息及び配当金の受取額が67,319百万円(前年同期は41,874百万円)であったこと等によります。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間において、投資活動による資金の減少は25,827百万円(前年同期は9,929百万円の減少)となりました。これは主に、当第3四半期連結累計期間において、定期預金の預入による支出が41,881百万円(前年同期は3,727百万円)であったこと等によります。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間において、財務活動による資金の減少は20,348百万円(前年同期は16,837百万円の減少)となりました。これは主に、当第3四半期連結累計期間において、配当金の支払額による支出が18,139百万円(前年同期は14,998百万円)であったこと等によります。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間において研究開発費は発生しておりません。