売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01239 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、雇用情勢や企業収益が改善する中で、個人消費、設備投資の持ち直しを受け、緩やかに回復してまいりました。一方で世界経済は、世界的なインフレ圧力が残存し、各国中央銀行による利上げの影響が続く中、回復ペースが鈍化しております。中国においても、外需の減速や不動産市場の調整により、緩やかな減速傾向が継続しております。また、ウクライナや中東を巡る地政学的な要因による景気の下振れリスクを内包した経営環境が継続しております。

このような状況の中、特殊鋼の主要需要先である自動車関連の受注は、半導体を中心とした部品の供給不足が緩和されたことなどにより、構造用鋼を中心に前年同期比で増加したものの、産業機械関連の需要は弱含んで推移しました。ステンレス鋼などにおいては、サプライチェーンにおける在庫調整が継続しており、前年同期比で減少しました。また、半導体関連は、シリコンサイクルの下降局面において受注が減少しました。なお、自由鍛造品については、エネルギー関連、航空機関連で需要が増加していることにより、受注が拡大しました。

主要原材料である鉄屑価格は、国際市況の影響を受け弱含んで推移しましたが、依然、価格水準としては高位で推移しました。一方、ニッケル価格は世界的な需要の減少により継続的に弱含んで推移しております。また、原油・LNG市況の高騰を受け、電力などのエネルギーコストは高位で推移しました。これらのコストに対し、適正マージン確保のため、徹底したコスト削減および販売価格への反映に継続して取り組みました。

この結果、当第3四半期連結累計期間の連結経営成績は、売上高は前年同期比36億37百万円増収の4,383億63百万円となりました。利益面に関しては、ステンレス鋼の売上数量減少により、営業利益は前年同期比46億3百万円減益330億51百万円、経常利益は前年同期比37億36百万円減益353億58百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比74億48百万円減益207億38百万円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

①特殊鋼鋼材

構造用鋼においては、産業機械関連が在庫調整の影響を受けたものの、自動車関連の受注は増加したことにより、前年同期比で数量が増加しました。工具鋼に関しては、中国など東アジアにおける需要減少やサプライチェーンにおける在庫調整が継続しており、前年同期比で数量が減少しました。主要原材料である鉄屑価格は、国際価格の影響により弱含んで推移しましたが、エネルギーコストは引き続き原油価格の高騰影響を受け、高位で推移しました。

この結果、当第3四半期連結累計期間における特殊鋼鋼材の売上高は、売上数量が増加したことに加え、エネルギーコストの上昇を販売価格に反映させたことにより、前年同期比3.3%増加1,675億3百万円、営業利益は前年同期比37億26百万円増益122億37百万円となりました。

 

②機能材料・磁性材料

ステンレス鋼および高合金は、産業機械関連のサプライチェーンにおける在庫調整が継続していること、また、半導体関連は、シリコンサイクルの下降局面において前年同期比で数量は減少しました。磁石製品は、国内における自動車向け需要は持ち直してきたものの、中国における需要は弱含んでおり、売上高は前年同期比で減少しました。チタン製品は、医療関連などの輸出製品を中心に需要が高まっていることから、売上高は前年同期比で増加しました。

この結果、当第3四半期連結累計期間における機能材料・磁性材料の売上高は、ステンレス鋼を中心に売上数量が減少したことにより、前年同期比8.5%減少1,530億96百万円、営業利益は前年同期比87億97百万円減益112億37百万円となりました。

 

③自動車部品・産業機械部品

エンジンバルブ部品は北米などにおける需要の増加を受け、売上高は増加しました。精密鋳造品はターボ関連製品における一部製品の生産終了により、また、型鍛造品は事業合理化などにより、数量は減少しました。また、みがき帯製品は、サプライチェーンにおける在庫調整の影響により数量は減少しました。一方、自由鍛造品は、航空機需要、重電需要が堅調に推移し、売上高は前年同期比で増加しました。

この結果、当第3四半期連結累計期間における自動車部品・産業機械部品の売上高は、自由鍛造品の売上高増加により前年同期比4.1%増加782億82百万円、利益面では、自由鍛造品の内容構成変化、みがき帯製品および精密鋳造品の数量減少などにより、営業利益は前年同期比7億52百万円減益51億60百万円となりました。

 

④エンジニアリング

カーボンニュートラル製品・省エネルギー製品の受注が増加したことから、当第3四半期連結累計期間におけるエンジニアリングの売上高は、前年同期比26.3%増加171億5百万円、営業利益は前年同期比10億87百万円増益17億66百万円となりました。

 

⑤流通・サービス

当第3四半期連結累計期間における流通・サービスの売上高は、前年同期比35.7%増加223億75百万円、営業利益は前年同期比1億52百万円増益26億54百万円となりました。

 

当社グループの当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前期末に比べ230億66百万円増加7,969億18百万円となりました。総資産の増加の主な内訳は、「投資有価証券」の増加159億87百万円であります。

総資産の増加の主な内訳と要因は、下記のとおりであります。

・「投資有価証券」は、保有株式の時価の上昇により増加しております。

また、当社グループの当第3四半期連結会計期間末の非支配株主持分を含めた純資産は、前期末に比べ240億42百万円増加4,295億21百万円となりました。純資産の増加の主な内訳と要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益207億38百万円の計上等による「利益剰余金」の増加109億21百万円保有株式の時価の上昇等による「その他有価証券評価差額金」の増加107億63百万円であります。

この結果、当第3四半期連結会計期間末の自己資本比率は49.1%となりました。

 

(2) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は48億82百万円であります。