売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01276 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 本文の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 経営成績の分析

 当第3四半期連結累計期間における世界経済は、各国がインフレ抑制のための金融引き締め政策を継続する中、米国では賃金の上昇や個人消費が堅調である一方、中国では不動産危機の深刻化や個人消費の低迷が続き、欧州では金利上昇やエネルギー価格高騰に伴う製造業の不振などで地域間格差が拡大するなど、先行きはより一層不透明な状況で推移しております。

 ステンレス業界におきましては、当社グループ製品の主要取引先である自動車関連産業において新車生産台数は回復傾向にありますが、国内ではサプライチェーン間での部品在庫調整が長引き、海外ではEV化への対応が遅れた日本車の販売不振や中国経済の成長率が鈍化するといった影響を受けて需要の回復が大幅に遅れる中、原材料、エネルギー、副資材、物流などの価格高騰も継続しており、非常に厳しい事業環境が続いております。

 このような状況の中、当社グループは、販売費及び一般管理費を含む事業コストの削減、生産効率の向上や品質改善、原材料価格動向の販売価格への適時反映など全社的な収益改善活動を推進してきましたが、大幅に減少した生産・販売数量によるコスト負担の増大を回避するには至りませんでした。

 この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比1,401百万円(3.6%)減収の37,920百万円となりました。損益につきましては、売上高減少に伴う売上総利益の減少や調達価格の高騰による管理費の増加影響などにより、営業損益は1,136百万円の損失(前年同期は1,065百万円の利益)、経常損益は1,170百万円の損失(前年同期は1,013百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純利益は、2023年11月24日に公表のとおり本社移転に伴う固定資産の譲渡による固定資産売却益4,232百万円を特別利益に計上したことなどにより、前年同期比1,337百万円(213.4%)増益の1,964百万円となりました。

 

セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。

 

① みがき帯鋼事業

 当社グループの主力製品である自動車関連製品は、国内向けではサプライチェーン全体での在庫調整局面が継続し、海外向けでは主力輸出先である中国でEV化推進により当社外装モール用材を装備した欧米車・日本車の需要が低迷したほか、現地ステンレスメーカーが低コストを武器にシェアを拡大するなど、非常に厳しい受注環境が続きました。また、前年同期は好調であった電池関連製品などでも販売数量が大幅に減少した結果、当第3四半期連結累計期間のみがき帯鋼事業の売上高は、前年同期比1,102百万円(3.5%)減収の30,201百万円、営業損益は687百万円の損失(前年同期は1,082百万円の利益)となりました。

 

② 加工品事業

 福島工場取扱製品では自動車駆動部品用高精度異形鋼製品が客先で当社製品のQCD (品質・コスト・納期)が高く評価され、客先内でのシェアアップにつながり販売数量が回復しましたが、建築用材向けの需要回復が遅れ、岐阜工場取扱製品では環境対応装置向けやアフターパーツ市場向けで自動車関連用途は堅調に推移しましたが、文具向けで在庫調整による販売減があり、当第3四半期連結累計期間の加工品事業の売上高は、前年同期比299百万円(3.7%)減収の7,718百万円、営業利益は前年同期比330百万円(40.0%)減益の495百万円となりました。

 

(2) 財政状態の分析

 当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べ1,908百万円増加の75,782百万円となりました。

 流動資産は、4,871百万円増加の43,168百万円となりました。これは主に、棚卸資産が合計で1,226百万円減少したものの、日本金属本社ビルの売却により現金及び預金が5,197百万円、売上債権が1,408百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。

 固定資産は、2,963百万円減少の32,613百万円となりました。これは主に、投資有価証券が305百万円増加したものの、日本金属本社ビルの売却により有形固定資産が3,365百万円減少したこと等によるものであります。

 負債合計は、前連結会計年度末と比べ437百万円減少の48,987百万円となりました。

 流動負債は、3,094百万円増加の34,433百万円となりました。これは主に、その他に含まれる設備支払手形及び設備電子記録債務との合計額が1,678百万円減少したものの、短期借入金が4,354百万円増加したこと等によるものであります。

 固定負債は、3,531百万円減少の14,553百万円となりました。これは主に、長期借入金が3,661百万円減少したこと等によるものであります。

 純資産は、2,345百万円増加の26,794百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等により利益剰余金が1,931百万円、その他有価証券評価差額金が208百万円、為替換算調整勘定が182百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。

 以上の結果、当第3四半期連結会計期間末の自己資本比率は、前連結会計年度末の33.1%から2.3ポイント上昇し、35.4%となりました。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(4) 研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、354百万円であります。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(5) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(6) 主要な設備

 当社は、本社(東京都港区)の土地及び建物等を譲渡する契約を2023年12月26日に締結いたしました。当該固定資産の譲渡により、当第3四半期連結累計期間において、固定資産売却益4,232百万円を特別利益に計上しております。