売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01368 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1) 業績の状況

当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、物価上昇に伴うインフレーションが進行する中、個人消費が緩やかながら回復に向かいました。国内では依然低金利政策が継続されたことで景気を下支えしつつ、米国経済が堅調推移したことにより、円安効果もあって輸出が促進され、海外からのインバウンド需要も復活し、多くのセクターにおいて企業業績の改善に寄与した結果、日経平均株価は上昇しました。

一方、米中間による経済安全保障問題の表面化、不動産不況に始まった中国経済の失速、中東情勢の緊迫化、ロシアによるウクライナ侵攻も収束しない中、海外情勢は地政学的リスクを抱えた不安定な状況にあります。そのため、今後もサプライチェーン・物価・為替変動への影響には充分留意することが必要となります。

当社の主要販売先となる国内建設市場では、第3四半期累計期間における新設住宅着工戸数は61.8万戸と、前年同期間と比較して6.3%減少しております。他方、国内自動車生産は、品質問題や工場災害により一時的な生産停止はありましたが、半導体不足も解消し中部圏を中心に堅調な回復が見られ、本年4~11月の国内乗用車生産台数(確報値)は前年同期間と比べ20.8%増加となりました。

この様な環境下、当第3四半期連結累計期間の売上高は、4,209百万円(前年同四半期4,123百万円、2.1%増)となり、その内訳は建設・梱包向が3,108百万円(前年同四半期2.5%減)、電気・輸送機器向は1,101百万円(前年同四半期17.7%増)であります。売上総利益は、710百万円と前年同四半期に比べ20百万円(2.8%減)の減益となり、これは建設・梱包向及び電気・輸送機器向において、販売価格の維持、高付加価値製品の販売比率改善、生産性の向上による製造コストの削減が進んだ一方、原材料やエネルギーコストを始め諸製造費用の増加が収益を圧迫したことが主要因となります。営業利益は、138百万円(前年同四半期136百万円)と若干の増益となりました。賃上げや諸経費増加の影響がありましたが、運賃コスト抑制や固定費削減活動推進により、販売費及び一般管理費が前年同四半期に比べ21百万円減少したことによります。経常利益につきましては、131百万円(前年同四半期131百万円)となりました。最終的な親会社株主に帰属する四半期純利益は、法人税等が19百万円と負担が軽減された影響にて、111百万円(前年同四半期94百万円)と改善いたしました。

 

当四半期連結累計期間におけるセグメントの業績は、次のとおりであります。

(建設・梱包向)

当社グループの主たる事業である建設・梱包向のうち建設向は、資材価格高騰に起因する住宅価格上昇の影響を受けて、持家を中心に新設着工戸数が減少傾向にある中、当社の販売数量も前年同四半期対比で減少となりました。収益面では、販売価格の上昇が数量減少を補完した形となり、当セグメントの売上高は、3,108百万円と前年同四半期に比べ79百万円減(2.5%減)に留まりました。また、海外OEM商品と国内生産品のプロダクトミックス最適化、および固定費削減の結果、セグメント利益は前年同四半期に比べ14百万円減の229百万円となりました。

(電気・輸送機器向)

電気・輸送機器向セグメントは、連結子会社である株式会社ナテックの当第3四半期(1~9月)において、メインユーザーである自動車業界の生産回復を受けて、同社の生産も高水準で推移しました。特に、電気自動車・ハイブリッド車関連のバッテリー・モーター及び自動運転化関連に使用されるライセンス品やボルト・特殊締結品の需要回復が引き続き顕著であります。また家電や遊戯関係向けの需要も同様に堅調推移しました。この結果、当セグメントの売上高は、1,101百万円と前年同四半期に比べ165百万円増(17.7%増)となり、セグメント利益は前年同四半期に比べ12百万円増の55百万円となりました。

 

 

(2) 財政状態の分析

当第3四半期連結会計期間末の総資産は、5,563百万円(前連結会計年度末[以下「前年度末」という]比32百万円減)となりました。流動資産は、前年度末に比べ39百万円増加し、3,636百万円となりました。これは現金及び預金で320百万円、売掛金58百万円増加し、棚卸資産が327百万円減少したこと等によるものであります。

固定資産は、前年度末に比べ72百万円減少し、1,926百万円となりました。これは主に有形及び無形固定資産の設備投資が62百万円の増加に対して、減価償却費114百万円を計上したこと等によるものであります。

負債合計は、前年度末に比べ126百万円減少し、4,212百万円となりました。流動負債は、前年度末に比べ152万円減少し、2,971百万円となりました。これは前年度末に比べ支払手形及び買掛金が20百万円、短期借入金が120百万円減少したこと等によるものであります。固定負債は、前年度末に比べ26百万円増加し、1,240百万円となりました。有利子負債全体(短期借入金及び長期借入金の合計)は、前年度末に比べ114百万円減少、2,688百万円となっています。

当第3四半期連結会計期間末の純資産は、前年度末に比べ93百万円増加し、1,350百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益が111百万円、剰余金配当による支払いが17百万円であったことにより、利益剰余金が93百万円増加したこと等によるものです。この結果、自己資本比率は24.3%(前年度末22.5%)となり、1株当たり純資産額は113.96円(前年度末106.05円)となりました。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用した仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用した仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4) 経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等についての重要な変更はありません。

 

(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループ(当社及び当社の関係会社)が定めている経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。

 

(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(7) 研究開発活動

 特記すべき事項はありません。

 

(8) 経営成績に重要な影響を与える要因

建設・梱包向、電気・輸送機器向の両セグメント共に、原材料、外注加工費用、副資材、人件費、物流費、電力料等々の製造コストがさらに上昇し高止まりする環境下においては、適正販売価格での取引が重要となります。

主要分野である建設向では、新設住宅着工戸数が当社釘製品の需要に対する主要な指標となりますが、その市場の回復、着実な伸長が売上高の増加に直結することからその動向には常時注視する必要があります。また様々な建築物への国産木材の使用が広がりを見せる中、その浸透速度や度合いも当社業績に大きな影響を与えます。国産木材の使用促進は、環境問題への有効な対策と考えられていることからその拡大に当社製品が貢献し、社会的課題の解決に向けて役割を果たし続けることが極めて重要であると考えています。

今後、住宅・非住宅を問わず国産木材、特に杉の使用が増加してくると見られる中で、当社新製品の需要増加に結び付いていく可能性は高く、国策で国産杉の使用が推奨されることによって当社オリジナル製品の存在感・重要性が増していくものと捉えております。

 

他方、輸送機器向においては、自動車メーカー各社の生産水準が活発化すれば、当社子会社のねじ製品への需要が喚起されます。また、今後気候変動対策として二酸化炭素の排出量の削減やカーボンニュートラルに向けた取組みが本格化する中で、自動車の電動化が急速に進むことが予測されており、電動化を可能にする車体軽量化等に貢献する当社子会社製品への需要は益々高まってくる見通しであり、当社グループ全体に好影響を及ぼすことになります。

 

第4四半期連結会計期間以降のセグメント別の状況は、次のとおりであります。

(建設・梱包向)

第4四半期以降の業績に関して、建設・梱包向は、物価が安定し始めることによって個人消費が緩やかに回復することが期待されるものの、資材価格高騰による住宅価格上昇の影響を受けて、持家を中心に新設住宅着工戸数の減少傾向が続くと見込んでいます。しかし、カーボンニュートラルへの取組みが社会的に重要視される中、非住宅中高層建築物への木材活用が大々的に進み、当社オリジナル製品の需要、特に高機能が求められる特殊釘への需要は着実に伸びていくものと期待しています。

収益面では、国内製品の製造コスト及び輸入商品の仕入価格が高水準で推移していることを踏まえ、適正価格での販売を継続しながら、工場の省人化投資・自動運転等によって一層の生産性向上、コスト削減を重点課題として取組んでまいります。

(電気・輸送機器向)

電気・輸送機器向は、引き続き各自動車メーカーがバックログの解消と旺盛な需要に応えるため、一層増産体制にシフトしていくことが見込まれており、為替相場も追い風になり輸出拡大が生産量増加に拍車をかけるものと見られています。特に、電気自動車など環境対策車への需要は益々増加してくるものと見られており、自動車メーカーの生産増加に牽引され、当社子会社製品の出荷量も大きく伸長していくものと期待しております。

収益面では、高付加価値のライセンス製品やオリジナル加工品であるパーツフォーマー製品等の主力製品の販売が今後も着実に増加し、全体収益を押し上げていくことが想定されます。

 

(9)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当社グループの資本の財源及び資金の流動性について重要な変更はありません。