売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01532 US GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績の状況

 当社グループ(当社及び連結子会社)は、2025年3月期をゴールとする3カ年の中期経営計画「DANTOTSU Value - Together, to “The Next” for sustainable growth」において、①イノベーションによる成長の加速、②稼ぐ力の最大化、③レジリエントな企業体質の構築を成長戦略の3本柱として掲げ、収益向上とESG課題解決の好循環による持続的成長を目指すサステナビリティ経営を引き続き重視し、需要変動に左右されにくい事業構造の構築に向け、活動を進めています。

 本中期経営計画の2年目となる2024年3月期の第3四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至2023年12月31日)において、連結売上高は2兆7,950億円(前年同期比10.1%増加)となりました。建設機械・車両事業では、中南米、欧州、アジアを中心に一般建機の需要が減少したものの、北米においては堅調に推移しました。また、鉱山機械の需要も引き続き好調に推移しました。鉱山機械を中心とした機械の高稼働による部品・サービス売上げの増加や、各地域での販売価格の改善や円安の影響もあり、売上高は前年同期を上回りました。産業機械他事業では、自動車産業向けの大型プレスの販売増加などにより、売上高は前年同期を上回りました。

 利益については、固定費や資材価格上昇の影響はあるものの、各地域での販売価格の改善や円安の影響により、営業利益は4,534億円(前年同期比30.8%増加)となりました。売上高営業利益率は前年同期を2.6ポイント上回る16.2%、税引前四半期純利益は4,303億円(前年同期比26.6%増加)、当社株主に帰属する四半期純利益は3,043億円(前年同期比31.2%増加)となりました。

 本中期経営計画においてESGの経営目標として掲げている「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インディシーズ ワールドインデックス」に選定されました。

 

 事業の種類別セグメントの経営成績は、次のとおりです。

① 建設機械・車両事業セグメント

 売上高は2兆6,258億円(前年同期比10.8%増加)、セグメント利益は4,299億円(前年同期比38.9%増加)となりました。

 中期経営計画の成長戦略「イノベーションによる成長の加速」においては、鉱山向け無人ダンプトラック運行システム(AHS)の導入を着実に進め、昨年12月末時点の総稼働台数は累計690台となりました。建設・鉱山機械のカーボンニュートラル化については、将来の電動化建機の市場形成時におけるコンポーネント戦略の一環として、商用車及び産業用車両向けを含む多様なバッテリーパックの開発・製造を手掛ける米国のバッテリーメーカーを買収しました。電動化建機の市場導入元年の第4弾となる、リチウムイオンバッテリーを搭載した13トンクラスの電動ショベル「PC138E-11」の国内市場導入にも取り組みました。水素活用に関し、米国の大手自動車メーカーと超大型ダンプトラック「930E」向け水素燃料電池モジュールの共同開発を開始しました。

 「稼ぐ力の最大化」では、安全かつ生産性の高い現場オペレーションを実現するため、中小規模の露天掘り鉱山・砕石業向け建設機械運行管理システムの開発・販売を手掛ける豪州の運行管理システムプロバイダーを買収しました。また、バリューチェーンビジネスの強化に向け、国内においてハイブリッド油圧ショベル用のキーコンポーネントのリマン(再生コンポーネント事業)を開始しました。

 「レジリエントな企業体質の構築」では、グローバルクロスソース体制の強化のため、中国の生産拠点にて、中央アジア諸国向けのダンプトラックを昨年12月から量産開始しました。

 

建設機械・車両事業セグメントの地域別売上高(外部顧客向け売上高)

 

 

 

(金額単位:百万円)

 

前第3四半期

連結累計期間

(自 2022年4月1日

 至 2022年12月31日)

当第3四半期

連結累計期間

(自 2023年4月1日

 至 2023年12月31日)

増 減

金 額

増減率 %

日本

226,686

245,825

19,139

8.4%

 

北米

607,952

716,785

108,833

17.9%

中南米

403,745

480,328

76,583

19.0%

米州

1,011,697

1,197,113

185,416

18.3%

 

欧州

216,277

231,837

15,560

7.2%

CIS

94,939

47,468

△47,471

△50.0%

欧州・CIS

311,216

279,305

△31,911

△10.3%

中国

62,591

51,839

△10,752

△17.2%

 

アジア※

333,966

327,135

△6,831

△2.0%

オセアニア

227,993

268,790

40,797

17.9%

アジア※・オセアニア

561,959

595,925

33,966

6.0%

 

中近東

61,146

81,814

20,668

33.8%

アフリカ

127,894

155,716

27,822

21.8%

中近東・アフリカ

189,040

237,530

48,490

25.7%

合計

2,363,189

2,607,537

244,348

10.3%

※ 日本及び中国を除きます。

 

地域別の概況は以下のとおりです。

(日本)

 日本では、新車需要が前年同期並みに推移しており、販売価格の改善などの影響もあり、売上高は前年同期を上回りました。

(米州)

 北米では、一般建機の需要は、住宅建設向けの減少が底を打ち、レンタル、インフラ、エネルギー関連向けが引き続き堅調に推移しました。加えて、鉱山機械の需要が好調に推移したことや円安、販売価格の改善の影響もあり、売上高は前年同期を上回りました。中南米では、経済の先行き不透明感などにより一般建機の需要が減少したものの、鉱山機械の需要は好調に推移しました。鉱山機械の部品・サービス売上げの増加や円安、販売価格の改善の影響もあり、売上高は前年同期を上回りました。

(欧州・CIS)

 欧州では、金利上昇やエネルギー価格の高止まりの影響で、主要市場である英国とドイツのほか、イタリアなどを中心に一般建機の需要が減少したものの、円安や販売価格の改善の影響により、売上高は前年同期を上回りました。CISでは、ウクライナ情勢に起因したサプライチェーン及び金融・経済の制約の影響から、売上高は前年同期を下回りました。

(中国)

 中国では、不動産市況の低迷などに起因した経済活動の停滞により、需要が低迷したことから、売上高は前年同期を下回りました。

(アジア・オセアニア)

 アジアでは、インドネシアにおける鉱山機械需要は引き続き堅調に推移しました。一方で、インドネシア、タイ、ベトナムなどで、公共事業の予算執行遅れや経済の先行き不透明感などにより、一般建機の需要が減少したことから、売上高は前年同期を下回りました。オセアニアでは、鉱山機械及び一般建機の需要が前年同期並みに推移したことに加え、部品・サービス売上げが増加したこともあり、売上高は前年同期を上回りました。

(中近東・アフリカ)

 中近東では、サウジアラビアやUAEなどの産油国でのプロジェクトや、トルコの復興需要などにより、一般建機の需要が堅調に推移したことから、売上高は前年同期を上回りました。アフリカでは、鉱山機械及び一般建機の需要が堅調に推移したことに加え、部品・サービス売上げが増加したこともあり、売上高は前年同期を上回りました。

 

 なお、建設機械・車両事業セグメントの生産規模は、約2兆7,983億円(販売価格ベース、連結ベース)でした。

 

② リテールファイナンス事業セグメント

 金利上昇や円安の影響により、売上高は747億円(前年同期比17.5%増加)となりました。セグメント利益は、前年同期に北米で計上した貸倒引当金の戻入益がなくなったことなどもあり、187億円(前年同期比12.0%減少)となりました。

 

③ 産業機械他事業セグメント

 自動車産業向けの鍛圧機械、板金機械、工作機械において、大型プレスの販売増加などにより、売上高は1,315億円(前年同期比3.7%増加)となりました。セグメント利益は、半導体産業向けエキシマレーザー関連事業において、世界的な半導体需要の減少による影響を受けたことなどにより、57億円(前年同期比63.7%減少)となりました。ギガフォトン㈱は、従来から培ってきた半導体リソグラフィ用光源の技術を応用して開発した微細アブレーション加工用光源「G300K」を、半導体パッケージ基板メーカーに製造装置として初めて納入しました。

 

 なお、産業機械他事業セグメントの生産規模は、約1,692億円(販売価格ベース、連結ベース)でした。

 

(2) 財政状態・キャッシュ・フローの状況

 当第3四半期連結会計期間末(2023年12月31日)の財政状態は、米ドルなどに対して為替が前連結会計年度末(2023年3月31日)に比べ円安となったことに加え、棚卸資産などの増加により、総資産は前連結会計年度末に比べ4,936億円増加の5兆3,694億円となりました。有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ1,536億円増加の1兆2,074億円となりました。また、株主資本は前連結会計年度末に比べ2,967億円増加の2兆8,363億円となりました。これらの結果、株主資本比率は前連結会計年度末に比べ0.7ポイント増加の52.8%となりました。

 

 当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産が増加したものの、四半期純利益などにより、2,785億円の収入(前年同期比1,954億円の収入増加)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の購入などにより、1,606億円の支出(前年同期比297億円の支出増加)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いなどにより、628億円の支出(前年同期は611億円の収入)となりました。各キャッシュ・フローの合計に為替変動の影響を加えた結果、現金及び現金同等物の当第3四半期連結会計期間末残高は前連結会計年度末に比べ535億円増加し、3,435億円となりました。

 

(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当第3四半期連結累計期間において、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について、重要な変更はありません。

 なお、ウクライナ情勢に起因するサプライチェーンや金融・経済の混乱等が当社グループの財政状態及び経営成績に与える影響については、収束時期等が不透明であるものの、現時点で入手可能な情報や予測に基づき、今後も一定程度当該影響が継続すると仮定しています。会計上の見積りの中でも比較的重要性のある信用損失見積額の算定、繰延税金資産の回収可能性の判断、長期性資産及び営業権の減損の判定については、当該仮定を含んだ最善の見積りを行っていますが、今後の実際の推移が当該仮定と乖離する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当第3四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について、重要な変更はありません。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更はありません。

 

(6) 研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間の当社グループの研究開発費は738億円です。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。