売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01723 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の分析

 当第3四半期連結累計期間(2023年3月1日から2023年11月30日まで)の世界経済は、ウクライナ情勢の長期化や世界的なインフレ、各国の政策金利の引き上げによる金融不安等の影響により、先行き不透明な状況が続いているものの、米国では良好な雇用情勢と賃金上昇により、個人消費が堅調に推移しました。欧州では足元の景気概況は軟調ですが、これまで大きな悩みとなっていたインフレ率が足元で低下しており、実質所得の改善と個人消費の回復が期待されるなど、持ち直しの兆しがみられました。

 このような環境のもと、当社グループの販売状況は欧米ともに好調に推移しており、主要製品であるミニショベル、油圧ショベル及びクローラーローダーの販売台数は、いずれも前年同期を上回りました。また、2023年3月にはミニショベル「TB350R」及びホイール式油圧ショベル「TB395W」を、2023年10月にはミニショベル「TB320」を市場投入しました。これら新製品を加えた豊富な製品ラインナップで、市場シェアの拡大を図っております。

 当社グループは第三次中期経営計画(2023年2月期から2025年2月期)において、生産能力の増強に取り組んでおります。2022年9月からセミノックダウン方式によりクローラーローダーの生産を開始した米国サウスカロライナ州の工場に続き、2023年9月には長野県小県郡青木村の青木工場におきまして、4トンから9トンのミドルクラスのショベル生産を順次開始しております。両工場ともに、中期経営計画での生産能力目標の達成は2024年8月末を見込んでおり、既存の本社工場と合わせた生産能力は概ね1.5倍となる見込みです。

 当第3四半期連結累計期間の受注高は1,255億2千2百万円(前年同期比29.4%減)となり、当第3四半期連結会計期間末の受注残高は、前連結会計年度末に比べ333億9百万円減少し、1,574億3千7百万円となりました。受注高が前年同期に比べて大きく減少しておりますが、これは積み上がった受注残高の正常化に向けて、お客様と当社グループの双方で引き続き受発注が調整されているためであります。

 当第3四半期連結累計期間の売上高は1,588億3千1百万円(同19.5%増)となりました。利益面につきましては、原材料価格の高騰や2022年9月に稼働開始した米国工場及び、2023年9月に稼働開始した青木工場の減価償却費や労務費等の減益要因はあったものの、販売台数の増加、製品価格の値上げ、運搬費の減少、及び円安影響等により、営業利益は256億2千1百万円(同83.6%増)となり、経常利益は257億9千8百万円(同74.7%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、税金費用を68億4千9百万円計上したことにより、189億4千8百万円(同73.3%増)となりました。

 

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

(日本)

 日本セグメントは、売上高のほとんどが欧州ディストリビューター向けの販売で占められております。欧州では、住宅ローン金利の上昇とエネルギー価格をはじめとした生活費の高騰が住宅需要を押し下げているものの、生活インフラ工事や建設投資などの非住宅関連の建設工事が堅調で、製品販売は好調に推移しました。欧州ディストリビューター向けの販売台数が増加したことに加えて、製品価格の値上げ及び円安影響等により、売上高は563億2千5百万円(前年同期比27.0%増)となりました。セグメント利益は原材料価格の高騰等の減益要因はあったものの、販売台数の増加、運搬費の減少、及び円安影響等により、208億5千万円(同176.6%増)となりました。

(米国)

 米国セグメントでは、住宅市場において住宅ローン金利と住宅価格の高止まり等により、住宅着工件数は調整局面が継続していますが、住宅に対する潜在需要は根強く、また、生活インフラ工事や建設投資などの非住宅関連の建設工事が旺盛で、製品販売は好調に推移しました。販売台数が増加したことに加えて、製品価格の値上げ及び円安影響等により、売上高は849億2千5百万円(前年同期比15.3%増)となり、セグメント利益は2022年9月に稼働開始した米国工場の減価償却費や労務費等の減益要因はあったものの、販売台数の増加及び円安影響等により、76億5千万円(同0.5%増)となりました。

(英国)

 英国セグメントでは、住宅ローン金利の上昇とエネルギー価格をはじめとした生活費の高騰が住宅需要を押し下げており、3トン以下のショベル販売がディーラーでの在庫調整により軟化したため、販売台数は前年同期に比べて減少しましたが、製品価格の値上げ及び円安影響等により、売上高は101億1千4百万円(前年同期比8.2%増)となり、セグメント利益は9億4千3百万円(同9.8%増)となりました。

 

(フランス)

 フランスセグメントでは、住宅ローン金利の上昇とエネルギー価格をはじめとした生活費の高騰が住宅需要を押し下げているものの、生活インフラ工事や建設投資などの非住宅関連の建設工事が堅調で、製品販売は好調に推移しました。この結果、ミニショベルの販売台数が前年同期に比べて増加したことに加えて、製品価格の値上げ及び円安影響等により、売上高は73億8千1百万円(前年同期比34.8%増)となり、セグメント利益は7億9千3百万円(同57.7%増)となりました。

(中国)

 中国セグメントは、日本セグメントに向けた建設機械の部品の製造・販売が事業の大半であり、外部顧客への売上高は8千3百万円(前年同期比34.9%減)となり、セグメント利益は7千7百万円(同4,690.0%増)となりました。

 

(2)財政状態の分析

(資産)

 当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ273億1千8百万円増加し、1,861億4百万円となりました。これは主に、売上高の増加により受取手形及び売掛金が120億6千2百万円、生産台数の増加により棚卸資産が50億1百万円、その他の流動資産が23億7千5百万円、青木工場の取得等により有形固定資産が60億1千1百万円増加したこと等によるものです。

(負債)

当第3四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ58億9百万円増加し、427億9千2百万円となりました。これは主に、生産台数の増加により買掛金が29億7千3百万円、未払法人税等が20億1千8百万円増加したこと等によるものです。

(純資産)

当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ215億8百万円増加し、1,433億1千1百万円となりました。これは主に、利益剰余金が配当金の支払により46億7千9百万円減少しましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益により189億4千8百万円増加したこと、及び為替換算調整勘定が72億8百万円増加したこと等によるものです。

 

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(6)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、12億8千7百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(7)資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要の主なものは、製品製造のための材料の購入、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資資金需要の主なものは、設備投資や新製品や要素技術の研究開発投資です。

運転資金需要及び投資資金需要の財源につきましては、現在保有する現預金に加え、営業キャッシュ・フローを源泉として資金を充当することを基本としております。なお、当第3四半期連結会計期間末時点において有利子負債はありません。

資金の流動性に関しましては、当第3四半期連結会計期間末時点の流動比率は357.5%であります。