売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E21320 IFRS


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社及び連結子会社(以下「当社グループ」)が判断したものです。

 

(1)経営成績の状況

(当第3四半期連結累計期間の概況)

当社は企業価値最大化へ向けて当社の強みが活かせる収益性の高い市場への事業ポートフォリオ変革に際し、当社の目指す事業戦略を明確にするため、2023年4月1日付で、「パブリックサービス分野」を「セーフティ&セキュリティ分野」へ、「メディアサービス分野」を「エンタテインメント ソリューションズ分野」へそれぞれ名称変更いたしました。

当社グループにおける当第3四半期連結累計期間の全社売上収益は、セーフティ&セキュリティ分野の無線システム事業の好調継続に加え、モビリティ&テレマティクスサービス分野のOEM事業が堅調に推移したことなどから前年同期比で増収となり、全社事業利益は大幅な増益となりました。全社営業利益については前年同期比で減益となりましたが、前期の第3四半期連結会計期間に計上した固定資産譲渡益(約97億円)の影響を除けば、前年同期比で大幅な増益となりました。

なお、当第3四半期連結累計期間の連結経営成績のサマリーは以下のとおりです。

(単位:百万円)

 

2023年3月期

第3四半期

連結累計期間

2024年3月期

第3四半期

連結累計期間

前年同期比

増減率

売上収益

247,497

267,258

+19,760

+8.0%

事業利益

11,216

16,015

+4,798

+42.8%

営業利益

19,506

14,982

△4,524

△23.2%

税引前四半期利益

19,343

14,932

△4,410

△22.8%

親会社の所有者に帰属する四半期利益

15,513

10,922

△4,590

△29.6%

※売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除することにより算出され、主として一時的な要因からなるその他の収益、その他の費用、為替差損益などを含みません。セグメントの業績評価は「事業利益」を使用して説明します。なお、2024年3月期より、「コア営業利益」から「事業利益」に名称を変更しています。

 

また、当第3四半期連結累計期間の決算に使用した損益為替レートは以下のとおりです。

 

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第3四半期累計

(参考)

 

損益為替レート

米ドル

ユーロ

約137円

約150円

約145円

約157円

約148円

約159円

約143円

約155円

 

前期(参考)

米ドル

ユーロ

約130円

約138円

約138円

約139円

約141円

約144円

約136円

約141円

 

*売上収益

当第3四半期連結累計期間における売上収益は、セーフティ&セキュリティ分野の無線システム事業の販売が前期に引き続き非常に好調に推移したことに加え、モビリティ&テレマティクスサービス分野のOEM事業、エンタテインメント ソリューションズ分野のエンタテインメント事業の販売が堅調に推移したことなどから、全社では前年同期比で約198億円増(8.0%増収)となる2,672億58百万円となりました。

 

*事業利益

当社は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除したものを「事業利益」としています。

当第3四半期連結累計期間における事業利益は、増収となったことなどから、前年同期比で約48億円の大幅増(42.8%増益)となる160億15百万円となりました。

 

 

*営業利益

当第3四半期連結累計期間における営業利益は、事業利益は大幅な増益となったものの、前期は第3四半期連結会計期間に固定資産譲渡益(約97億円)を計上したことなどから、前年同期比で約45億円減(23.2%減益)となる149億82百万円となりました。

 

*税引前四半期利益

当第3四半期連結累計期間における税引前四半期利益は、営業利益が減益となったことなどから、前年同期比で約44億円減(22.8%減益)となる149億32百万円となりました。

 

*親会社の所有者に帰属する四半期利益

当第3四半期連結累計期間における親会社の所有者に帰属する四半期利益は、税引前四半期利益が減益となったことなどから、前年同期比で約46億円減益(29.6%減益)となる109億22百万円となりました。

 

(当第3四半期連結累計期間のセグメントごとの売上収益及び損益)

セグメントごとの売上収益及び事業利益(△は損失)は以下のとおりです。

(単位:百万円)

 

セグメントの名称

前第3四半期

連結累計期間

当第3四半期

連結累計期間

前年同期比

 

モビリティ&テレマティクス

サービス分野

売上収益

148,380

148,800

+420

 

事業利益

4,266

3,073

△1,192

 

セーフティ&セキュリティ分野

売上収益

51,986

69,900

+17,913

 

事業利益

6,478

13,293

+6,814

 

エンタテインメント

ソリューションズ分野

売上収益

41,737

41,995

+258

 

事業利益

421

△186

△607

 

その他

売上収益

5,393

6,561

+1,167

 

事業利益

50

△165

△216

 

合計

売上収益

247,497

267,258

+19,760

 

事業利益

11,216

16,015

+4,798

 

*モビリティ&テレマティクスサービス分野

当第3四半期連結累計期間におけるモビリティ&テレマティクスサービス分野の売上収益は、前年同期比で約4億円増(0.3%増収)となる1,488億円、事業利益は同約12億円減となる30億73百万円の利益となりました。

なお、事業利益には為替ヘッジによるマイナス影響として約16億円が含まれており、この為替ヘッジによる影響を控除して算出した同分野の事業利益は、前年同期比で増益となっています。

(売上収益)

OEM事業は、国内で用品の販売が堅調に推移したことや、欧州子会社のASK Industries S.p.A.の販売が、前期に引き続き好調に推移したことなどから、前年同期比で増収となりました。

アフターマーケット事業は、主に米国の大手量販店の在庫調整にともなう販売減の影響を受けたことなどから、前年同期比で減収となりました。

テレマティクスサービス事業は、損害保険会社向け通信型ドライブレコーダーなどのテレマティクスソリューション関連商品の販売が減少したことから、前年同期比で減収となりました。

(事業利益)

為替ヘッジによるマイナス影響に加え、アフターマーケット事業及びテレマティクスサービス事業が減収の影響を受けたことから、OEM事業は増収効果により前年同期比で増益となったものの、モビリティ&テレマティクスサービス分野全体では、前年同期比で減益となりました。

 

 

*セーフティ&セキュリティ分野

当第3四半期連結累計期間におけるセーフティ&セキュリティ分野の売上収益は、前年同期比で約179億円増(34.5%増収)となる699億円、事業利益は同約68億円増となる132億93百万円となりました。

(売上収益)

無線システム事業は、米国を始めとする海外市場において販売が非常に好調に推移したことなどから、前年同期比で約171億円の大幅増収となりました。

業務用システム事業は、株式会社JVCケンウッド・公共産業システムで、鉄道など社会インフラ市場が回復傾向となったことなどから、前年同期比で約8億円の増収となりました。

(事業利益)

無線システム事業が大幅増収により大幅増益となり、業務用システム事業も増収により損益が改善したことから、セーフティ&セキュリティ分野全体でも、前年同期比で大幅増益となりました。

 

*エンタテインメント ソリューションズ分野

当第3四半期連結累計期間におけるエンタテインメント ソリューションズ分野の売上収益は、前年同期比で約3億円増(0.6%増収)となる419億95百万円、事業利益は同約6億円減となる1億86百万円の損失となりました。

なお、メディア事業の業務用カメラ事業は今年度の市況などを考慮して業容を縮小することとし、これにともない当第3四半期連結会計期間に構造改革費用として部材の損失引当約8億円を計上いたしました。この損失引当を控除して算出した同分野の事業利益は、前年同期比で増益となっています。

(売上収益)

メディア事業は、前期第1四半期連結会計期間に実施した生産移管にともなう生産減の影響からプロジェクターの販売は回復したものの、業務用カメラなどの販売が減少したことなどから、前年同期比で約14億円の減収となりました。

エンタテインメント事業は、コンテンツビジネスの販売が好調に推移したことなどから、前年同期比で約17億円の増収となりました。

(事業利益)

エンタテインメント事業は増収効果により前年同期比で増益となったものの、メディア事業において減収の影響に加えて、業務用カメラ事業の構造改革費用として部材の損失引当約8億円を計上したことから、エンタテインメント ソリューションズ分野全体では前年同期比で減益となりました。

 

(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

*営業活動によるキャッシュ・フロー

当第3四半期連結累計期間において営業活動により増加した資金は228億84百万円となり、前年同期比で約72億円収入が増加しました。主な要因は、棚卸資産が減少したことによる運転資金の減少などによるものです。

 

*投資活動によるキャッシュ・フロー

当第3四半期連結累計期間において投資活動により減少した資金は129億38百万円となり、前年同期比で約120億円支出が増加しました。主な要因は、新社屋の建設などにともない有形固定資産の取得による支出が増加したことと、有形固定資産の売却による収入が大きく減少したことなどによるものです。

 

*財務活動によるキャッシュ・フロー

当第3四半期連結累計期間において財務活動により減少した資金は167億85百万円となり、前年同期比で約16億円支出が増加しました。主な要因は、増配及び自己株式の取得による支出の増加などによるものです。

 

なお、当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前年同期比で約14億円増となる512億98百万円となりました。

 

 

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

①資金調達と流動性について

当社グループでは、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財務状態を常にめざし、収益力及び資産効率の向上により、安定的な営業キャッシュ・フローの創出とともに、幅広い資金調達手段の確保に努めています。

また、当社グループでは、グループ・ファイナンスを効率よく行うため、キャッシュ・マネージメント・システムを導入しています。

当第3四半期連結会計期間末の当社グループの資金の流動性については、十分な水準であると考えています。

 

②資産、負債、資本の状況に関する分析

*資産

資産合計は、現金及び現金同等物は減少しましたが、営業債権及びその他の債権や有形固定資産が増加したことなどから、前連結会計年度末比で約75億円増となる3,068億47百万円となりました。

 

*負債

負債合計は、営業債権及びその他の債務は増加しましたが、銀行借入金の返済を進めたことなどから、前連結会計年度末比で約21億円減となる1,935億22百万円となりました。

 

*資本

資本合計は、自己株式の取得による減少はありましたが、利益剰余金が約90億円増加したことに加え、主要通貨に対して円安が進んだことにより、その他の資本の構成要素が増加したことなどから、前連結会計年度末比で約96億円増となる1,133億24百万円となりました。

 

なお、親会社所有者帰属持分比率は、親会社の所有者に帰属する持分合計が増加したことから、前連結会計年度末比から1.9ポイント増加し34.9%となりました。

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

前事業年度(第15期)の有価証券報告書に記載した「事業上及び財務上の対処すべき課題」のうち、当第3四半期連結累計期間において、重要な進捗があった項目は以下のとおりです。

当第3四半期連結累計期間については、セーフティ&セキュリティ分野の無線システム事業の好調継続に加え、モビリティ&テレマティクスサービス分野のOEM事業が堅調に推移したことなどから、全社では想定を上回る実績となりました。

第4四半期連結会計期間についても、世界情勢がますます緊迫化する中で、BCPやセキュリティ対策として需要が拡大している無線システム事業を中心に、売上収益及び利益の確保を図りますが、国内自動車メーカーの生産・販売減や能登半島地震による影響については不透明です。

 

(6)研究開発活動

当社グループの当第3四半期連結累計期間の研究開発活動の金額は140億50百万円です。

なお、当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。