売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E02114 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間(以下、当期)における世界経済は、高水準のインフレの継続や、各国中央銀行や政府による金融政策などの影響が続くなかで、地政学的リスクの高まりなどを含め、全般的に不透明な状況が継続しました。北米では、個人消費を中心に景気が堅調に推移しました。また欧州では、ウクライナ侵攻の長期化を背景に景気の停滞が継続しました。わが国においては、輸出需要の増加などが追い風となり、脱コロナ禍に伴い個人消費や設備投資が戻ったことに加え、インバウンド需要の回復などにより、引き続き堅調に経済が回復しております。

 このような環境のなか、当社グループでは2020年12月に制定した中長期成長戦略「Mimaki V10」で定めた重点施策に基づき、新製品の市場投入と販売拡大、市場環境や顧客ニーズの急激な変化を見据えた事業展開、収益性向上に向けた基盤構築を継続してまいりました。当第3四半期連結会計期間においては、SG(サイングラフィックス)市場向け当社インクにおいて、印刷性能や接着性能等を様々な試験により評価を行い、高い適合性が得られるプリンタ・インク・フィルムの組み合わせを保証する、3M社パフォーマンスギャランティを取得しました。また、IP(インダストリアルプロダクツ)市場向けでは、アームロボと当社プリンタを組み合わせた、オーダーグッズ・工業製品プリント自動化パッケージシステム「M2COA」シリーズを発表しました。さらに、TA(テキスタイル・アパレル)市場向けでは、最新のサステナブル・プリントソリューションを揃えたテクニカルショールーム、県(あがた)テクニカルトレーニングセンターを開設するなど、今後の販売拡大に向けた戦略を着実に推進してまいりました。また、10月には地域貢献イベントであるミマキまつりを、5年ぶりに開催しました。

 当期の売上高は、全般に為替の円安に伴うプラス影響もあり、増収となりました。製品市場別では、TA市場向けにおいて今期市場投入したDTF(Direct to Film)機 TxF150の好調な販売が継続し、SG市場向けではインクの販売が堅調に推移しました。また、前年同期に新製品の販売が大幅に拡大したIP市場向けと、同じく高水準な需要があったFA事業については、当期においても前年同期と同水準の販売を確保しました。エリア別では、欧州の販売が景気停滞の影響を受け前年同期を下回ったものの、アジア・オセアニアでは前年同期がコロナ禍の影響により低調だった中国での販売が大幅に伸長し、北米では底堅い景気の動きを受けて堅調に推移しました。わが国においては、景気回復に伴う需要の拡大により好調な販売が持続しました。利益面では、前期に調達した半導体等の高コスト部材を使用した製品の販売が継続しましたが、輸送コストの減少に加え、インフレ進行による全般的なコスト上昇に対応するための販売価格見直しを進めてきた効果もあり、売上原価率は改善しました。販管費は、今後の新技術・新製品開発に向けた研究開発費の増加や、人件費及びグローバルでの展示会への積極的な出展等の営業活動の活発化に伴う費用が増加しましたが、売上高比率の増加は最小限に抑制しました。これらに加え、為替のプラス効果もあり、前年同期比で増益となりました。なお、当社の欧州子会社であるMimaki Europe B.V.(オランダ)において、ロシア及びベラルーシ向けの制裁措置に違反の懸念があり、当該取引について引当額を合理的に見積り、2023年3月期第3四半期に制裁措置関連損失引当金として計上しました。その後、2023年12月にオランダ税務当局による調査が行われましたが罰金等の指摘はなく、今後も罰金等の発生が想定されないことから、引当金を取り崩し制裁措置関連損失引当金戻入額として、当期の特別利益に計上いたしました。

 以上の結果、当期における当社グループの売上高は548億26百万円(前年同期比4.7%増)、営業利益は39億46百万円(同26.2%増)、経常利益は34億17百万円(同22.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は24億37百万円(同24.5%増)となりました。

 また、当期における主要な為替レート(2023年4月~2023年12月の平均レート)は、1米ドル=143.29円(前年同期 136.53円)、1ユーロ=155.28円(前年同期 140.60円)で推移しました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。なお、セグメントの利益につきましては、セグメント間取引消去の影響により四半期連結損益計算書の営業利益から乖離してしまうため、記載を省略しております。

(日本・アジア・オセアニア)

 売上高は247億82百万円(前年同期比7.8%増)となりました。日本では、IP市場向けで工業製品やグッズ等の需要回復により販売が好調に推移し、TA市場向けでも新製品・従来モデルともに販売が好調に推移しました。SG市場向けで本体は好調だったものの、インクの需要は伸び悩みました。FA事業はFA装置や基板実装装置が好調に推移し販売が増加しました。以上により全体では増収となりました。アジア・オセアニアでは、オーストラリアやタイ等で販売が減少したものの、中国の前年同期からの大幅な需要回復と、インド、インドネシア等の経済成長によりSG、IP、TAの各市場向けがともに好調に推移しました。前年同期の販売が好調だったFA事業の台湾向け販売は減少したものの、全体では増収となりました。

(北・中南米)

 売上高は155億48百万円(同9.0%増)となりました。北米では、個人消費を中心に景気が堅調に推移するなか、TA市場向けの販売が新製品を中心に大幅に伸長しました。一方で、SG市場向けやIP市場向けが、高水準な販売であった前年同期と比べ本体は伸び悩んだものの、インクの需要は堅調に推移しました。以上に加え為替のプラス影響もあり、増収となりました。中南米では、ブラジルやメキシコ等多くの国で販売が増加し、増収となりました。

(欧州・中東・アフリカ)

 売上高は144億96百万円(同4.0%減)となりました。欧州では、為替のプラス影響を受けるなかで、TA市場向けは新製品効果もあり販売が大幅に増加した一方で、景気停滞の影響を受けたSG市場向けとIP市場向けの販売は、高水準だった前年同期と比べ減少しました。国別では、ポルトガル、フランス、ポーランド等で好調な販売が継続した一方で、ドイツ、イタリア、英国などで販売が減少しました。以上により、全体では減収となりました。

 当第3四半期連結累計期間における市場別の売上高は、以下のとおりであります。

 

売上高(千円)

構成比率(%)

対前期増減率(%)

 S G 市 場 向 け

21,613,953

39.4

1.4

 I P 市 場 向 け

14,695,646

26.8

△0.4

 T A 市 場 向 け

6,663,870

12.2

30.6

 F  A  事  業

3,352,461

6.1

0.8

 そ    の   他

8,500,386

15.5

8.5

 合        計

54,826,318

100.0

4.7

 

(SG市場向け)

 売上高は216億13百万円(前年同期比1.4%増)となりました。本体は、フラグシップモデルの販売が増加した一方で、旺盛な需要に加え海上輸送リードタイムの改善によりバックオーダーの解消が始まり高水準な販売となった前年同期と比べ、既存モデルの販売が減少したものの、インクの販売は好調に推移したことに加え為替のプラス影響もあり、若干の増収となりました。

(IP市場向け)

 売上高は146億95百万円(同0.4%減)となりました。小型FB(フラットベッド)機を中心に、新製品の販売が拡大した前年同期との比較で減少したものの、インクの販売増及び為替のプラス影響もあり、前年同期並となりました。

(TA市場向け)

 売上高は66億63百万円(同30.6%増)となりました。当期から投入した新製品が先進国を中心に好調な販売となり、インクの販売も堅調に推移し大幅な増収となりました。

(FA事業)

 売上高は33億52百万円(同0.8%増)となりました。前年同期が需要増により好調だった基板検査装置や、半導体製造装置の販売が減少した一方で、FA装置、基板実装装置、金属加工の販売が増加し、前年同期並となりました。

 

 また、当第3四半期連結累計期間における品目別の売上高は、以下のとおりであります。

 

売上高(千円)

構成比率(%)

対前期増減率(%)

  製 品 本 体

21,576,791

39.4

1.0

  イ   ン   ク

20,860,581

38.0

7.9

  保 守 部 品

4,497,600

8.2

4.2

  そ  の  他

7,891,345

14.4

7.6

  合         計

54,826,318

100.0

4.7

 

 当第3四半期連結会計期間末における財政状態は、以下のとおりであります。

(資産)

 当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末と比べ25億66百万円増加し、723億56百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末と比べ20億78百万円増加し、557億70百万円となりました。これは、現金及び預金の増加等によるものです。また、固定資産は前連結会計年度末と比べ4億88百万円増加し、165億85百万円となりました。これは、主に建物及び構築物の増加等によるものです。

(負債)

 当第3四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末と比べ4億35百万円減少し、472億98百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末と比べ59百万円減少し、400億85百万円となりました。これは、主に電子記録債務等が増加した一方で、支払手形及び買掛金等が減少したこと等によるものです。固定負債は、前連結会計年度末と比べ3億75百万円減少し、72億13百万円となりました。これは、主に長期借入金の減少等によるものです。

(純資産)

 当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末と比べ30億1百万円増加し250億57百万円となりました。これは主に利益剰余金の増加等によるものです。

 

(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(3)経営方針、経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動に係る費用の総額は、37億68百万円であります。なお、当該金額には既存製品の改良、応用等に関する費用が含まれており、「研究開発費等に係る会計基準」(企業会計審議会)に規定する「研究開発費」は、23億60百万円であります。

 また、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。