売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01873 IFRS


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①財政状態

当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に対して155億円増加し、1兆3,571億円となりました。これは主に、棚卸資産の減少287億円があった一方で、現金及び現金同等物の増加170億円、売上債権及びその他の債権の増加74億円、未収法人所得税の増加59億円、退職給付に係る資産の増加45億円などがあったことによるものです。

負債合計は、前連結会計年度末に対して315億円減少し、5,825億円となりました。これは主に、仕入債務及びその他の債務の減少106億円、社債、借入金及びリース負債の減少273億円などがあったことによるものです。

なお、親会社の所有者に帰属する持分合計は、前連結会計年度末に対して470億円増加し、7,743億円となりました。これは主に、配当金の支払い258億円があった一方で、親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上424億円、在外営業活動体の換算差額を主因としたその他の包括利益の計上302億円などがあったことによるものです。

 

②経営成績

当第3四半期連結累計期間における経済環境を顧みますと、高インフレや各国の金融引き締めが継続し、世界経済の減速が強まっています。とりわけ、中国における景気回復ペースの鈍化が世界経済に大きな影響を及ぼしているほか、欧州経済の減速が顕在化しています。また、米国消費はこれまで堅調を維持しているものの、今後の消費動向は不透明となっています。なお、商品市場別の状況としましては、特にデバイス市場において在庫調整局面が長期化し、大幅な落ち込みとなっています。

今後も世界的な高インフレや景気減速の長期化等のリスクが想定され、先行き不透明な状況にありますので、今後の動向を引き続き注視していきます。

当第3四半期連結累計期間の米ドルおよびユーロの平均為替レートはそれぞれ143.15円および155.19円と前年同期に比べ、米ドルは5%の円安、ユーロは10%の円安に推移しました。また、南米など新興国の通貨については円安に推移しました。

 

このような状況の中、売上収益は、市場在庫調整局面の継続に起因するデバイスの需要減少により、マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業セグメントを中心に減少し、9,921億円(前年同期比0.2%減)となりました。

事業利益は、マイクロデバイス事業における大幅な減収による影響が大きく、543億円(同32.7%減)となりました。また、営業利益は516億円(同37.4%減)、税引前利益は596億円(同32.4%減)となりました。親会社の所有者に帰属する四半期利益は424億円(同30.9%減)となりました。

 

 ※ 事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しています。

 

 

報告セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

 

(プリンティングソリューションズ事業セグメント)

オフィス・ホームプリンティング事業の売上収益は若干の増加となりました。大容量インクタンクモデル本体の販売数量が若干の増加となったほか、ラインインクジェットプリンター新製品投入によるオフィス共有IJPの大幅な売上増があったものの、インクカートリッジモデル本体の販売数量が大幅な減少となったことにより、インクジェットプリンター本体の売上は減少となりました。インクジェットプリンターの消耗品については、インクカートリッジの売上が若干の減少となったものの、大容量インクタンクモデルのインクボトルおよびオフィス共有IJPのインクの売上が大幅に増加したことで、全体でも増加となりました。

商業・産業プリンティング事業の売上収益は増加となりました。商業・産業IJP本体の売上は、金利上昇に伴う投資需要の低下等で欧米向け販売が減少したものの、為替のプラス影響により増加となりました。商業・産業IJPの消耗品売上は、印刷需要が継続していることで増加となりました。小型プリンターの売上は、インフレ等による市況悪化により欧米中心に市場需要が低下し、減少となりました。

プリントヘッド外販ビジネスの売上は、新興国向け輸出を手掛ける中国顧客向けを中心に需要が増加し、大幅な増加となりました。

プリンティングソリューションズ事業セグメントのセグメント利益は、事業活動の本格化に伴う販管費の増加等があったものの、プリントヘッド外販ビジネスの売上が増加したことや、為替のプラス影響により増加となりました。

以上の結果、プリンティングソリューションズ事業セグメントの売上収益は6,883億円(前年同期比3.9%増)、セグメント利益は743億円(同10.9%増)となりました。

 

(ビジュアルコミュニケーション事業セグメント)

ビジュアルコミュニケーション事業セグメントの売上収益は、前年同期は受注残の解消が進んだ影響を含むことに加え、今期は中国の景況悪化や北米における教育向けの需要減による影響があったものの、新興国で教育向け需要が堅調であったことにより前年同期並みとなりました。

ビジュアルコミュニケーション事業セグメントのセグメント利益は、生産抑制に伴う利益マイナス影響等により、大幅な減少となりました。

以上の結果、ビジュアルコミュニケーション事業セグメントの売上収益は1,692億円(前年同期比0.0%減)、セグメント利益は244億円(同15.1%減)となりました。

 

(マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業セグメント)

マニュファクチャリングソリューションズ事業の売上収益は、中国における売上減の影響が大きく、大幅な減少となりました。

ウエアラブル機器事業の売上収益は、国内において高単価の新製品販売が増加した前年同期と比較すると、減少となりました。

マイクロデバイス事業の売上収益は、大幅な減少となりました。水晶デバイスの売上は、市場での在庫調整影響に伴う需要減により、中国向けを中心に大幅な減少となりました。半導体の売上は、市場での在庫調整に伴う需要減により、減少となりました。

マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業セグメントのセグメント利益は、マイクロデバイス事業を中心とした売上減の影響が大きく、大幅な減少となりました。

以上の結果、マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業セグメントの売上収益は1,366億円(前年同期比17.7%減)、セグメント利益は2億円(同99.0%減)となりました。

 

(調整額)

報告セグメントに帰属しない基礎研究に関する研究開発費や新規事業・本社機能に係る収益、費用の計上などにより、報告セグメントの利益の合計額との調整額が△447億円(前年同期の調整額は△408億円)となりました。

 

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは1,138億円の収入(前年同期は359億円の収入)となりました。これは主に、四半期利益424億円に加え、減価償却費及び償却費513億円、棚卸資産の減少額510億円などの増加要因があったことによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、444億円の支出(前年同期は458億円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産および無形資産の取得による支出402億円などがあったことによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、626億円の支出(前年同期は765億円の支出)となりました。これは主に、社債の償還による支出300億円、リース負債の返済による支出74億円、配当金の支払額258億円などがあったことによるものです。

以上の結果、当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は、為替変動の影響を合わせて、前連結会計年度末から170億円増加し、2,844億円となりました。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、エプソンが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、エプソンが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間におけるエプソンの研究開発活動の金額は335億円です。

なお、当第3四半期連結累計期間において、エプソンの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。