売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01932 IFRS


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)業績の状況

 当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあり緩やかな回復が続くことが期待されますが、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっております。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。

 このような状況の中で当社グループは、音響機器事業のうちハイエンドオーディオ機器事業は、次世代アンプのラインナップ拡充と新規ターンテーブルカテゴリーへの挑戦で更にブランド価値を高め、海外市場を伸ばす事で堅実な成長路線を引き続き目指します。プレミアムオーディオ機器事業は、引き続き中高級機のReferenceシリーズの更なる強化と、特色のあるアナログ製品や、すべてのカテゴリーにおいて新製品が競合に比べ常に個性的な価値を持つ事を目指し、収益とブランドイメージの向上に努めます。音楽制作・業務用オーディオ機器事業では、業務用デジタルミキサーのワールドワイド展開により、従来の録音再生機や各種周辺機器とともに、柔軟で質の高いトータルシステムソリューションの提供を強みとしたBtoB事業の拡大を目指します。また、BtoC事業においては、製品ポートフォリオの選択と集中を進め、付加価値を明確に中高価格帯へ転換し、採算性の向上と市場シェアの拡大を目指します。情報機器事業においては、当社のコアコンピテンスである「高度な記録と再生技術」をベースに計測、半導体、医療、移動体の各分野において最先端技術を組込んだ製品開発を行い、ニッチトップポジションの獲得を進めます。今年度は、新製品の4Kメディカルレコーダーの国内外での拡販に加え、新型コロナ感染症の5類への移行を機に、積極的な訪問営業に注力するとともに、直接ユーザーの声を聞くことで、それを反映した新たな商品開発へつなげることを目指します。

 当第3四半期連結累計期間におきましては、その他に区分する産業用光ドライブ事業の縮小に加え前年度好調であった半導体装置市場が需要減少する一方で、円安進行により原価が上昇、また人的資本やマーケティング活動への投資を進めた事から、売上収益および営業利益は前年同期と比較して減少しました。また、為替相場の変動に伴い為替差損を116百万円計上した事により、親会社の所有者に帰属する四半期利益は前年同期と比較して減少し損失となりました。

 この結果、当社グループの当第3四半期連結累計期間の売上収益は11,215百万円(前年同期比2.3%減)、営業利益は101百万円(前年同期比74.9%減)、親会社の所有者に帰属する四半期損失は187百万円(前年同期親会社の所有者に帰属する四半期利益181百万円)となりました。

 なお、当社のBtoC事業は第3四半期、BtoB事業は第4四半期にそれぞれの需要期を迎えることから、当社グループの業績は、売上、利益ともに下半期に偏重する傾向があります。

 

 各事業セグメントの業績は次のとおりであります。

1)音響機器事業

 音響機器事業の売上収益は、8,074百万円(前年同期比10.2%増)となり、セグメント営業利益は883百万円(前年同期比41.8%増)となりました。

 ハイエンドオーディオ機器(ESOTERICブランド)は、SACDプレーヤーラインナップの堅調な販売と、前期に上市したGrandiosoシリーズのセパレートアンプや新たに販売を開始した高音質LPレコードも好調に推移し、前年同期比で増収となりました。

 プレミアムオーディオ機器(TEACブランド)は、最上位のReference 700シリーズ、フルサイズコンポが堅調に推移し、国内販売は前年同期比で増収となりましたが、海外販売では中国の景気後退や米国での販売代理店変更の影響により販売が伸び悩み、全体では前年同期比で減収となりました。

 音楽制作・業務用オーディオ機器(TASCAMブランド)は、BtoB事業において設備市場向け主力録音再生機の販売が堅調に推移したことに加え、業務用ミキサーの販売が好調となり、前年同期比売上増に貢献しました。BtoC事業においては、年末セールスシーズンを背景に、クリエイター向け主力商品が海外を中心に好調な販売となりました。その結果、音楽制作・業務用オーディオ機器全体では前年同期比で増収となりました。

 

2)情報機器事業

 情報機器事業の売上収益は、2,473百万円(前年同期比20.0%減)となり、セグメント営業損失は106百万円(前年同期営業利益208百万円)となりました。

 計測機器は、データレコーダーにおいては、海外向け出荷が伸びませんでしたが、国内は計測需要が回復し出荷台数も増加したことから、全体としては堅調な推移となりました。センサーおよびデジタル指示計においては、シリコンウエハー製造装置向けなど上流市場は好調に推移しましたが、その他半導体装置市場向け出荷が低調に推移したことから、計測機器全体では前年同期比で減収となりました。医用画像記録再生機器は、4K手術画像記録用レコーダーが国内・海外ともに好調に推移しました。特に大手検査装置メーカーのオプション採用が決まり、今後更なる成長が見込めます。しかしながら、国内消化器内視鏡の大幅な出荷減と、欧州市場におけるFull HDレコーダーの販売不振をカバーできず、同部門では前年同期比で減収となりました。機内エンターテインメント機器は、海外顧客向けの保守部品販売が前期で終了したことから同部門では前年同期比で減収となりました。ソリューションビジネスは、受託開発案件の受注が低調であったこと、また医用向けサーバーの受注が減少したことから前年同期比で減収となりました。

 

(2)財政状態の分析

(資産合計)

 当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、11,562百万円と前連結会計年度末と比較して604百万円増加しました。主な増減は、現金及び現金同等物の増加173百万円、営業債権及びその他の債権の減少322百万円、棚卸資産の増加800百万円であります。

 

(負債合計)

 当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、8,439百万円と前連結会計年度末と比較して592百万円増加しました。主な増減は、社債及び借入金の増加530百万円、営業債務及びその他の債務の増加290百万円、リース負債の増加75百万円であります。

 

(資本合計)

 当第3四半期連結会計期間末における資本合計は、3,124百万円と前連結会計年度末と比較して12百万円増加しました。主な増減は、利益剰余金の減少212百万円、その他の資本の構成要素の増加224百万円であります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

 当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比較して173百万円増加し、1,369百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当第3四半期連結累計期間における営業活動の結果得られた資金は、28百万円のプラス(前年同期678百万円のマイナス)となりました。主な内訳は、プラス要因として、減価償却費及び償却費361百万円、営業債権及びその他の債権の減少額458百万円、営業債務及びその他の債務の増加額279百万円、マイナス要因としては、四半期損失187百万円、棚卸資産の増加額641百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当第3四半期連結累計期間における投資活動の結果得られた資金は、72百万円のマイナス(前年同期91百万円のマイナス)となりました。主な内訳は、有形固定資産及び無形資産の取得による支出72百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当第3四半期連結累計期間における財務活動の結果得られた資金は、187百万円のプラス(前年同期659百万円のプラス)となりました。主な内訳は、プラス要因として、短期借入金の増加額648百万円、長期借入れによる収入113百万円、マイナス要因としては、長期借入金の返済による支出225百万円、リース負債の返済による支出274百万円であります。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた対処すべき課題はありません。

 

(5)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間における当社グループが支出した研究開発費の総額は857百万円であります。