売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E02127 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績の概況

世界経済は、米国では良好な雇用情勢や所得環境により、個人消費を中心に堅調さを維持しているものの、金融引き締めによる景気減速が懸念されています。更に、不動産不況の長期化による中国経済の低迷、地政学リスクの増大など、世界経済の先行きは不確実性が高まっています。

国内においては、個人消費やインバウンド需要に加え、好調な企業収益、それに伴う設備投資などにより景気回復が続いていますが、今後の物価上昇に伴う消費マインドへの影響が懸念されます。

このような経営環境の中で、当第3四半期連結累計期間における当社グループの連結受注高は、航空宇宙システム事業などで増加となったものの、車両事業、精密機械・ロボット事業などでの減少により、全体でも減少となりました。連結売上収益については、精密機械・ロボット事業などが減収となったものの、車両事業、エネルギーソリューション&マリン事業などでの増収により、全体でも前年同期比で増収となりました。

利益面に関しては、事業利益は、エネルギーソリューション&マリン事業などでの増益はあったものの、航空宇宙システム事業、パワースポーツ&エンジン事業、精密機械・ロボット事業などでの悪化により、前年同期比で減益となりました。親会社の所有者に帰属する四半期損益は、事業利益の悪化などにより、前年同期比で悪化となりました。

この結果、当社グループの連結受注高は前年同期比1,864億円減少1兆2,901億円、連結売上収益は前年同期比327億円増収1兆2,290億円、事業利益は前年同期比801億円減益7億円、税引前四半期損益は前年同期比900億円悪化179億円の損失、親会社の所有者に帰属する四半期損益は前年同期比659億円悪化134億円の損失となりました。

 

② セグメント別業績の概要

航空宇宙システム事業

航空宇宙システム事業を取り巻く経営環境は、防衛省向けについては抜本的な防衛力強化という防衛省の方針のもと、今後の需要増が期待されます。民間航空機については、航空旅客需要はほぼコロナ前水準に回復しており、機体のコロナリバウンド需要が旺盛なことから、機体・エンジンともに需要が増加しています。

このような経営環境の中で、連結受注高は、防衛省向けや民間航空機向け分担製造品が増加したことなどにより、前年同期に比べ1,317億円増加3,325億円となりました。

連結売上収益は、防衛省向けや民間航空機向け分担製造品、民間航空エンジン分担製造品などが増加したものの、民間航空エンジンの運航上の問題に係る損失を一括計上したことなどにより、前年同期に比べ30億円減収2,355億円となりました。

事業損益は、防衛省向けや民間航空機向け分担製造品などの増収による増益はあるものの、民間航空エンジンの運航上の問題に係る損失を一括計上したことなどにより、前年同期に比べ492億円悪化して355億円の損失となりました。

 

車両事業

車両事業を取り巻く経営環境は、新型コロナウイルスの収束により利用者数が回復し、国内外で鉄道車両への投資が再開しつつあります。一方で、足元への影響は限定的ではあるものの、電子部品等の供給不足や物流混乱、原材料価格の高騰については、収束が見えつつも注視が必要です。中長期的には、海外市場では都市交通整備、アジア諸国の経済発展に伴う鉄道インフラニーズなど、今後も世界的に比較的安定した成長が見込まれます。

このような経営環境の中で、連結受注高は、ニューヨーク市交通局向け新型地下鉄電車等の大口案件を受注した前年同期に比べ2,525億円減少418億円となりました。

連結売上収益は、国内向け車両が減少したものの、米国向け車両が増加したことなどにより、前年同期に比べ434億円増収1,358億円となりました。

事業利益は、国内の操業低下があったものの、増収による増益などにより、前年同期に比べ18億円増益26億円となりました。

 

エネルギーソリューション&マリン事業

エネルギーソリューション&マリン事業を取り巻く経営環境は、世界的なカーボンニュートラルの実現を目指す動きの影響を強く受け、当社が強みとする水素製品をはじめ、脱炭素ソリューションに関する問い合わせや協力要請が増加しています。また、国内外の分散型電源需要及び新興国におけるエネルギーインフラ整備需要は依然根強く、国内ごみ焼却設備の老朽化更新需要も継続しています。一方、発電設備の稼働に必要な燃料ガスの供給安定性など足元の状況に不透明感があるほか、昨今の原材料価格や資機材・燃料費の高止まり等による受注、売上収益への影響には注視が必要です。

このような経営環境の中で、連結受注高は、防衛省向け艦艇用機器などの受注はあったものの、国内向けごみ処理施設整備・運営事業の大口案件やLPG/アンモニア運搬船の受注の多かった前年同期に比べ206億円減少2,812億円となりました。

連結売上収益は、LPG/アンモニア運搬船を中心とした船舶海洋分野やエネルギー分野を主要因として、前年同期に比べ219億円増収2,343億円となりました。

事業利益は、船舶海洋分野の増収等による増益、エネルギー分野の増収による増益などにより、前年同期に比べ73億円増益166億円となりました。

 

精密機械・ロボット事業

精密機械・ロボット事業を取り巻く経営環境は、精密機械分野では、中国以外の地域における建設機械市場については堅調に推移しましたが、中国建設機械市場は、不動産不況の長期化等の影響により需要が低迷しました。ロボット分野では、半導体製造装置向けロボットの需要の低迷が底を打ち、2024年度からAI関連やグリーン投資関連等の新たな需要を取り込みつつ、回復していきます。一方で、一般産業用ロボットは、最大の需要国である中国の景況が依然として低調であり、在庫調整が長期化していますが、人件費上昇や労働力不足による自動化需要は確実に高まっています。

このような経営環境の中で、連結受注高は、中国建設機械市場向け油圧機器や産業用ロボット全般が減少したことなどにより、前年同期に比べ399億円減少1,576億円となりました。

連結売上収益は、中国建設機械市場向け油圧機器や産業用ロボット全般が減少したことなどにより、前年同期に比べ204億円減収1,587億円となりました。

事業損益は、減収に加え、操業低下の影響などにより、前年同期に比べ118億円悪化43億円の損失となりました。

 

 

パワースポーツ&エンジン事業

パワースポーツ&エンジン事業を取り巻く経営環境は、主要市場である米国と欧州では需要は堅調に推移しているものの、前年度のサプライチェーン混乱が収束し各メーカーの供給量が増えた結果、市場競争が激化しています。また、中国経済の減速を受けて、レクリエーション需要が弱まっていることから全般的に中大型二輪市場が縮小しつつあります。

このような経営環境の中で、連結売上収益は、北米向け四輪車と欧州向け二輪車が増加したものの、中国、東南アジア向け二輪車と汎用エンジンが減少したことなどにより、前年同期に比べ93億円減収4,044億円となりました。

事業利益は、減収に加え、固定費の増加や、米国向け四輪車に係るリコール関連費用(※)の計上などにより、前年同期に比べ217億円減益320億円となりました。

 

※ 米国向け四輪車の一部機種におけるリコールに関し、米国消費者製品安全委員会から制裁金を課す旨の通知を受領したものです。

 

その他事業

連結売上収益は、前年同期並みの602億円となりました。

事業利益は、前年同期に比べ18億円減益15億円となりました。

 

当社グループは「グループビジョン2030」において、注力するフィールドを「安全安心リモート社会」「近未来モビリティ」「エネルギー・環境ソリューション」とし、手術支援ロボットをはじめとする医療・ヘルスケア事業、配送ロボットや無人輸送ヘリコプタの事業化、カーボンニュートラル社会の早期実現に向けた水素事業や電動化の推進など、社会課題ソリューション創出への取組を着実に進めています。

更に、能登半島地震の被災地のいち早い復興への支援に協力するとともに、今後可能性が高まる様々な自然災害へ対応できる支援パッケージの充実に努めていく方針です。

 

③ 財政状態の状況

(資産)

流動資産は、棚卸資産や営業債権及びその他の債権の増加などにより前期末に比べ1,402億円増加し、1兆7,105億円となりました。

非流動資産は、有形固定資産の増加などにより前期末に比べ652億円増加し、9,526億円となりました。

この結果、総資産は前期末に比べ2,054億円増加2兆6,632億円となりました。

(負債)

有利子負債は、前期末に比べ2,411億円増加8,310億円となりました。

負債全体では、有利子負債の増加などにより前期末に比べ2,130億円増加2兆738億円となりました。

(資本)

資本は、親会社の所有者に帰属する四半期損失の計上などにより、前期末に比べ75億円減少5,893億円となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前年同期に比べ140億円増加1,020億円となりました。当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ151億円増加979億円のマイナスとなりました。収入の主な内訳は、減価償却費及び償却費610億円、返金負債の増加額535億円であり、支出の主な内訳は、棚卸資産の増加額831億円、営業債権及びその他の債権の増加額580億円です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は、前年同期に比べ278億円増加811億円となりました。これは主に有形固定資産の取得によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は、前年同期に比べ48億円減少1,467億円となりました。これは主に短期借入金の純増によるものです。

 

(3) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等

当第3四半期連結累計期間において、重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は、366億円です。

なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。