売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E34484 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(2)経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限が緩和されたことで、国内経済活動の正常化が一段と進みました。一方で世界経済は、ウクライナ情勢の長期化等による原材料価格の上昇や物流の停滞、外国為替市場での円安・ドル高及び物価高騰による影響やALPS処理水放出による風評被害等で、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

国内EC市場規模は2020年20兆円から2026年には29兆円に拡大(「ITナビゲーター2021年版」発表データ)、世界の越境EC市場規模は2020年0.9兆ドルから2027年には4.8兆ドルに拡大することが予想(「ZION Market Research」発表データ)されており、国内外においてEC市場規模は急速に拡大しております。

当社グループの主要な事業領域であるヘルスケア&ビューティ及び食品市場においては景表法・薬機法等の規制が厳しくなるだけでなく、媒体側での審査も厳しさを増しており、従来であれば可能であった広告表現や法的に問題がないクリエイティブにも規制が入るようになった影響で違反広告が淘汰される一方で、広告効率の悪化が見られました。また、CPC(クリック単価)の高騰や、Cookie規制によるリターゲティング広告の減少により、Webマーケティング広告は粗利率の低下を余儀なくされ、当社グループの取引先である化粧品等を取り扱うD2C企業においても、広告効率等の悪化などにより収益の停滞が見られました。

このような状況下において、当社グループは「全てがWINの世界を創る」という経営理念のもと、「Smart Marketing For Your Life」をビジョンに、クライアントのオールデータパートナーとなるべく、ヘルスケア&ビューティ及び食品市場の通販DX事業を軸に、事業開発から商品開発、インフラ整備、ブランディング、オンライン・オフラインでの新規顧客の獲得から既存顧客の育成等を、一気通貫の専門ソリューションとして提供してまいりました。また、2023年3月28日付で「新中期経営計画 2023年~2025年」を公表しました。2023年12月期からを第3創業期と位置づけ、「通販DX事業」「マーケティングDX事業(異業種展開)」「自社事業(新規事業)」の3軸からなる成長戦略のもと、ブランド価値創造企業として、さらなる成長を目指してまいります。

 

前述の景表法・薬機法の規制強化やCPC(クリック単価)の高騰等による一部の取引先における予算縮小の影響が継続的にある中で、成長戦略の1軸目である「通販DX事業」に注力しました。「通販DX事業」では、いままで主力であったWebでの顧客獲得施策である「KPI保証サービス」から、ブランディング広告やTVCM等にも事業領域を拡大し、オンライン・オフラインのデータを一気通貫で分析し広告効果を効率化します。分析環境の構築を実施しつつ、サービス別ではオフライン広告とWebを連動するサービス「オフラインDX」、ミドルファネル施策、インフルエンサー施策、LINEマーケティング施策に注力したものの、「通販DX事業」の売上は減少しました。特に一部のクライアントで発生した当社の不手際による取引の一時停止や、受注は獲得しているものの利益率の高い案件の減少、「オフラインDX」の予算縮小により減少しております。2023年8月には当社として初めての株式取得によるone move株式会社(以下、「one move」)の子会社化を行いました。one moveはSNS運用を中心とした認知・興味・理解といったマーケティング領域を強みとしており、当社のSNS施策をトータルでプランニングする「Buzz Create」サービスは興味・理解・検討といったマーケティング領域を強みとしていることから、互いの強みを活かし、当社グループの企業価値向上に資すると判断いたしました。その他、当社連結子会社が事業展開する中国国内におきましても、新型コロナウイルス感染症による影響で不安定だった経済に回復傾向が見え始めていましたが、ALPS処理水放出の風評被害により一部の事業活動が制限されております。

「KPI保証サービス」においても伸長しているクライアント以上に、予算縮小により減少しているクライアントが発生しています。また、分析環境の構築を含めたシステムのSaaS化を推進し、更なるサービスの伸長を目指すも、システムの開発遅延や導入までの期間が想定よりも長期化しております。今後も営業活動を積極的に推進するとともに、導入期間の短縮を目指して継続的に改善を続けております。

 

2軸目の成長戦略である「マーケティングDX事業(異業種展開)」につきましては、引き続き人材や金融、不動産、美容健康などの店舗等を中心に展開しました。ヘルスケア&ビューティ及び食品市場のマーケティングは異業種と比較し高速PDCAが実施されており、そのスピード感が優位性となります。また当社が今まで培ってきたダイレクトマーケティングのノウハウ、高い分析力が強みとなり、受注は堅調に推移しているものの、一部クライアントの入金遅延の影響で取引を停止したことにより、一時的に利益が悪化しております。

 

3軸目の成長戦略である「自社事業(新規事業)」につきましては、エンタメDX事業のクリエイターエコノミー支援プラットフォーム「CYBER STAR」の新機能の開発やコンテンツの拡充を図りました。新たに自社IPとしてVTuber領域への展開や、5社共同での新規IPプロジェクト「らぶフォー」製作委員会の立ち上げを実施するなど新たな領域へ事業拡大を行いました。「CYBER STAR」の機能面では、開発の遅延していたイベント機能の実装、オンラインくじシステム「サイバースターカプセル」においては、TVアニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」の10周年記念企画等に提供するなど、売上は堅調に推移しているものの、システム開発遅延等の影響で収益化が遅れております。引き続きタレントや、レーベル、IPコンテンツホルダーなどのエンタメ業界等において活動を行う方々や企業に対して、収益向上を図るための包括的な活動を支援するとともに、ユーザーに対してもこれまでにない体験価値を提供することができるプラットフォームとして、更なるサービス改善に努めてまいります。

 

当社の連結子会社である株式会社P2C(※)では、「TONYMOLY」の日本における独占販売権を持つ伊藤忠商事株式会社と業務提携し、「TONYMOLY」のブランディングパートナーとなり、独占販売特約店としての販売業務及びマーケティング支援を実施しております。「Amazon」「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」等のECモールへの公式ショップオープンに続き、実店舗での販売も開始いたしました。また、「TONYMOLY」の新商品として、韓国美容系YouTuberのUrishop(ユリショップ)さんと「TONYMOLY」との共同開発商品である「Get it Tint Waterful Butter」の販売を新たに開始しており、引き続き取扱商品の拡大を図ってまいります。

今後も、エンタメDX事業とP2C事業を組み合わせることで更なるシナジーを発揮し、新規事業として確立してまいります。

 

※ 株式会社P2C

P2C(個人が自身で企画、生産した商品を中間業者や小売店を挟むことなく、消費者へ直接販売する取引形態)やD2C(メーカーやブランドが、自社で企画・生産した商品を、流通業者を介さずに、自社サイトで直接消費者に販売するビジネスモデル)を支援する会社

 

投資関連では、当第3四半期連結累計期間において、連結子会社である株式会社ピアラベンチャーズにて設立したファンド「ピアラベンチャーズ1号投資事業有限責任組合」からHRクラウド株式会社に投資を実行しております。HRクラウド株式会社は、サブスクリプション型のSaaSとしてHRテック事業を展開する企業で、当社からは資金援助だけでなくマーケティング支援も提供します。これにより、投資先企業の成長の最大化及び当社の既存事業への収益寄与が期待できます。

 

 以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は、7,057,549千円(前年同期比21.5%減)となりました。これは規制等の影響によるヘルスケア&ビューティ市場における通販DX事業の鈍化、マーケティングDX事業(異業種展開)及び自社事業(新規事業)が当初の計画に対して遅延が発生していること、連結子会社に関しても業績回復施策を実行するも想定通りに進まなかったことに起因するものであります。

 売上総利益は、1,357,498千円(前年同期比15.3%減)となりました。これは売上原価を5,700,050千円(前年同期比22.8%減)計上したことによるものであります。

 営業損失は、248,307千円(前年同期は営業損失96,062千円)となりました。これは販売費及び一般管理費を1,605,806千円(前年同期比5.4%減)計上したことによるものであります。

 経常損失は、257,447千円(前年同期は経常損失52,274千円)となりました。これは主に、営業外収益として為替差益44,829千円を計上した一方で、営業外費用として投資事業組合運用損を51,427千円計上したことによるものであります。

 税金等調整前四半期純損失は、459,073千円(前年同期は税金等調整前四半期純損失51,295千円)となりました。これは主に、特別損失として当社グループが保有する固定資産について、事業環境の悪化及び今後の見通しの不確実性を勘案し、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、将来の回収可能性を慎重に検討した結果、固定資産の一部について、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失163,452千円を計上したことによるものであります。

 親会社株主に帰属する四半期純損失は、563,977千円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失64,104千円)となりました。これは主に、法人税等合計を121,143千円計上したことによるものであります。

 なお、当社グループはEC支援事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(3)財政状態に関する分析

(資産)

 流動資産は、前連結会計年度末に比べ515,947千円減少し、3,289,237千円となりました。これは主に受取手形及び売掛金が333,528千円減少したことによるものであります。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べ265,402千円減少し、788,445千円となりました。これは主に繰延税金資産が112,453千円、投資有価証券が51,071千円減少したことによるものであります。

 この結果、当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ781,350千円減少し、4,077,682千円となりました。

(負債)

 流動負債は、前連結会計年度末に比べ47,328千円減少し、2,822,672千円となりました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が246,700千円増加した一方で、買掛金が89,268千円、短期借入金が219,725千円減少したことによるものであります。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べ138,490千円減少し、239,926千円となりました。これは主に長期借入金が140,128千円減少したことによるものであります。

 この結果、当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ185,819千円減少し、3,062,599千円となりました。

(純資産)

 当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ595,531千円減少し、1,015,083千円となりました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純損失563,977千円の計上等により利益剰余金が552,103千円減少したことによるものであります。

 

(4)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

 該当事項はありません。