E34994
文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、2023年5月8日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における感染症法上の位置付けが5類に移行されるなど、各種制限が緩和され経済正常化の流れが進む一方で、世界的にはロシアによるウクライナ侵攻等による資源価格高騰やインフレが継続していることでの金利の上昇やそれに伴う金融機関の経営不安等が生じ、引き続き先行き不透明な状況となっております。
当社グループを取り巻くインターネット広告市場におきましては、2022年の広告費は3兆912億円(前年比14.3%増加)となり、一貫して成長を続けている結果、2021年に続きマスコミ四媒体広告費(新聞、雑誌、ラジオ、テレビメディア広告費の合算)を上回りました。(出所:株式会社電通「2022年日本の広告費」)
このような事業環境のもと、当社グループはリーガルメディア関連事業を中心に事業を展開しており、主に弁護士を顧客とするリーガルメディアや、弁護士以外を顧客とする派生メディアを運営しております。また、リーガルメディア関連事業に加えて、弁護士・公認会計士といった士業人材や管理部門人材を対象とする人材紹介サービスを提供するHR事業や、弁護士に依頼する際の費用の一部を補償対象とする弁護士費用保険を販売する保険事業を展開しております。
収益の大部分を占めるリーガルメディアでは、新規顧客開拓を推し進めるとともに、解約率の引き下げ並びに既存顧客からの追加受注に注力するなどした結果、2023年7月における掲載枠数(注1)は2,347枠(前年同月比28.7%増加)、掲載顧客数(注2)は940件(前年同月比30.0%増加)となり、順調に伸長しております。
(注1)掲載枠数とは、掲載延べ数であり、同一顧客が複数の広告枠掲載を行う場合は複数カウントを行って
おります。
(注2)掲載顧客数とは、広告枠の掲載を行っている顧客の実数であります。
また、派生メディアにおいては、経済正常化による企業の採用意欲の高まりが継続していることや、積極的な広告出稿等から転職メディア「キャリズム」の案件数が増加し、当第3四半期連結累計期間における問合せ数は37,980件(前年同期比48.6%増加)となり、大幅に増加いたしました。
なお、2023年3月31日付でビッコレの全株式を取得し、ポイントサイト事業「ビッコレ」、デモトレードアプリ「ビッコレFX」等の運営を新たに開始しております。ビッコレの基本的なビジネスモデルは派生メディアと類似していることから同事業は派生メディアの区分に含めており、2023年4月分から連結業績として計上されております。また、2023年6月1日付でビッコレを消滅会社、当社を存続会社とする吸収合併を完了しております。
以上の結果、IFRSに準拠した当第3四半期連結累計期間の業績は、売上収益は2,338,434千円(前年同期比47.2%増)、営業利益は149,382千円(同64.5%減)、税引前四半期利益は142,293千円(同65.8%減)、四半期利益は55,393千円(同79.9%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は77,071千円(同72.7%減)となりました。
なお、当社は2025年10月期に売上収益55億円、営業利益11億円の達成を主な目標とする中期経営計画を策定しており、そのための施策として当期を中長期的な成長のための投資を積極化させる「成長投資期間」と位置付けていることから、各段階利益に関しては前年同期比減益となっております。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。なお、売上収益はセグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
また、当社グループは、2022年4月28日に少額短期保険事業を営む株式会社アシロ少額短期保険(2022年9月1日に株式会社カイラス少額短期保険から社名を変更)の株式を取得して子会社化したことに伴い、前連結会計年度より新たに「保険事業」を報告セグメントに追加しております。この変更に伴い、前第3四半期連結累計期間のセグメント情報は、変更後のセグメント区分に組み替えて表示しています。
なお、リーガルメディア関連事業に含まれる派生メディア事業において、ビッコレの事業が新たに加わっております。
[リーガルメディア関連事業]
リーガルメディアの掲載枠数及び掲載顧客数の増加に伴う掲載料収入等の増加に加えて、中長期的なユーザー数の安定的な確保を目的としたブランディング施策として、「弁護士ナビ」シリーズから「ベンナビ」へサイト名を含めてリブランディングを実施しており、当第3四半期においてはテストマーケティングも兼ねたテレビCM等のマス広告の配信を実施いたしました。また、派生メディアにおいては上述の背景より転職メディア「キャリズム」の案件数が増加し、また新たにビッコレの事業が加わった結果、売上収益は2,198,179千円(前年同期比47.0%増)、セグメント利益は638,700千円(同5.5%減)となりました。
なお、リーガルメディアの売上収益は1,356,540千円(同27.4%増)、営業利益は433,501千円(同7.5%減)となりました。また、派生メディアの売上収益は841,639千円(同95.5%増)、営業利益は205,199千円(同1.0%減)となりました。
[HR事業]
今後の成長に向けた体制強化として大幅に人員数を増加させており、当第3四半期連結累計期間においては、新たな人員の育成等に注力いたしました。売上収益、営業利益については、人材紹介サービスの登録者数並びに成約者数が順調に増加した一方で人材採用や広告出稿を積極的に進めたことから、売上収益は92,976千円(同18.5%増)、セグメント損益は79,540千円の損失(前年同期は26,710千円の利益)となりました。
[保険事業]
2022年4月28日に株式の追加取得により連結子会社化し、第7期第3四半期連結会計期間より損益計算書の連結を開始した株式会社アシロ少額短期保険(以下「アシロ少短」という。2022年9月1日に株式会社カイラス少額短期保険から社名を変更)にて少額短期保険業を営んでおります。売上収益は47,020千円(前年同期比227.1%増)、セグメント損益は98,613千円の損失(前年同期は34,814千円の損失)となりました。
[その他]
現時点では重要性の乏しい新規事業等を報告セグメントに含まれない事業セグメントとして区分し、「その他」として開示しております。売上収益は259千円(前年同期比33.3%増)、セグメント損益は2,464千円の損失(前年同期は27,506千円の損失)となりました。
(2)財政状態の分析
①資産
当第3四半期連結会計期間末の流動資産は、前期末に比べ542,319千円減少し1,661,120千円となりました。これは主に現金及び現金同等物が738,544千円減少した一方、売上債権及びその他の債権が145,135千円増加したことによります。
当第3四半期連結会計期間末の非流動資産は、前期末に比べ152,598千円増加し1,950,129千円となりました。これは主にのれんが136,549千円、使用権資産が18,513千円増加したことによります。
この結果、当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、3,611,249千円となりました。
②負債
当第3四半期連結会計期間末の流動負債は、前期末に比べ89,540千円減少し669,799千円となりました。これは主にリース負債が34,049千円、社債及び借入金が19,908千円増加した一方、未払法人所得税が104,470千円、その他の金融負債が44,953千円減少したことによります。
当第3四半期連結会計期間末の非流動負債は、前期末に比べ28,921千円増加し623,190千円となりました。これは主に社債及び借入金が33,274千円増加したことによります。
この結果、当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、1,292,989千円となりました。
③資本
当第3四半期連結会計期間末における資本合計は、前期末に比べ329,102千円減少し2,318,259千円となりました。これは主に当期に取得した自己株式の消却等により資本剰余金が308,016千円減少したことによります。
(3)キャッシュ・フローの分析
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ738,544千円減少し、1,136,989千円となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは223,130千円の資金流出(前年同期は380,984千円の資金流入)となりました。これは主に、増加要因として税引前四半期利益の計上142,293千円、減価償却費及び償却費の計上96,354千円、減少要因として法人所得税の支払額239,348千円、売上債権及びその他の債権の増加128,478千円、その他の金融負債の減少45,599千円、その他の流動資産の増加45,322千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは120,871千円の資金流出(同189,994千円の資金流出)となりました。これは主に、減少要因として子会社の取得による支出56,673千円、有形固定資産の取得による支出42,303千円、敷金及び保証金の差入による支出34,256千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは394,543千円の資金流出(同218,918千円の資金流入)となりました。これは主に、増加要因として銀行からの長期借入れによる収入294,330千円、減少要因として自己株式の取得による支出301,875千円、長期借入金の返済による支出209,416千円、配当金の支払による支出95,033千円、リース負債の返済による支出51,249千円、社債の償還による支出35,000千円によるものであります。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
該当事項はありません。
(8)主要な設備
該当事項はありません。