売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E02515 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)経営成績の状況

 当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、企業業績が好調に推移しており設備投資意欲も高い水準にあります。また国内はインバウンド需要も過去最高となる見通しから、取り巻く環境は堅調に推移しました。しかしながら、今後の景気動向は、海外経済の減速などにより国内景気も停滞する懸念もあります。

 

 内田洋行グループの第16次中期経営計画期間(2022年7月期~2024年7月期)は三年目を迎えています。第14次中期経営計画から進めてきた構造改革により各事業の競争力が向上したことから、特需を差し引いた実質のベースラインが底上げされており、第16次中期経営計画当初の目標を大きく上回る水準で推移しています。

 一方、直近の日本の少子化は従来の政府推計値を大きく超えて加速化しています。2030年以降には「人口の崖」と称される労働人口の急速な減少期を迎えます。その状況に対応するため、官公庁・自治体のDX(デジタルトランスフォーメーション)は本格的に動き出し、民間でのインボイスのデジタル対応が進むなど官民のDX投資は加速しています。また昨年初頭からの生成AIの出現は、AIやDXが一般社会まで身近なものとしてインパクトを与えました。しかし、本当の意味でのDX、トランスフォーム(変革)の実現には、データを活かすデジタル社会の担い手の育成が最優先事項であり、トランスフォームを実行する「人」と、基になる「データ」への投資の強化がより一層大切になります。働き方変革、学び方変革を標榜し続けてきた内田洋行グループのこれからの成長機会は、社会変化への対応を迫られるお客様をご支援することにあると考えます。ただその実現のためには、内田洋行グループ自身の改革が必要です。

 そのため第16次中期経営計画では、従来の個々の事業枠から脱却してグループ全体での大きな再編に着手するため、グループ共通の情報システム投資の開始など、グループリソースを生かした経営への転換を速める諸施策をスタートさせております。今後、社会に貢献できる体制作りを速度を上げて進めてまいります。

 

 このような状況のなか、当第2四半期連結累計期間では、民間市場のDX投資は着実に進み、昨年10月開始のインボイス制度に対応したシステム改修案件が増加し、中堅中小企業市場向け売上が大きく伸長しました。大手民間市場ではクラウドベースのサブスクリプション型ソフトウェアライセンス契約の好調が継続しています。公共市場においては、教育ICTの需要期が従来の夏季導入の第1四半期に戻り、大学での教室環境のICT化は大きく伸長しました。これらの結果、売上高は1,069億1百万円(前年同期比13.5%増)となり、第2四半期連結累計期間では過去最高となりました。

 その一方で、将来に向けた投資として、グループ共通販売管理システム投資や顧客接点強化のためのマーケティング活動の強化やデータ活用ビジネスのための開発投資を進めたほか、賃金のベースアップや処遇改善などの人材投資を強化していることから、販売費及び一般管理費が大きく増加したものの、売上高の伸長が大きく、営業利益は29億8千6百万円(前年同期比29.0%増)となりました。経常利益は34億3千3百万円(前年同期比27.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は23億3千万円(前年同期比39.3%増)となりました。

 なお、教育ICTの需要の中心がここ数年の第3四半期から当期は第1四半期に移動したことなどから、四半期業績単位では前年対比で大きな変動がありますが、業績はベースライン上昇となる計画通りに概ね順調に推移しております。

 

 セグメント毎の経営成績は以下の通りであります。

 

<公共関連事業分野>

 公共関連事業分野では、教育ICTにおいて、GIGAスクール後のICT整備が夏季と年度末とに分散する傾向にありましたが、当連結会計期間では、従前通り夏季を中心とする導入サイクルに戻ったことから、第1四半期連結会計期間の売上高は大きく増大しました。GIGAスクールによる大量の端末整備に対応するためのネットワーク案件を中心に、当社の強みを発揮した案件を着実に獲得しています。また、大学市場では、教室環境のICT化、海外学校法人の日本校の設置など教育環境整備案件が増加しました。一方で自治体向けICT事業では、政府主導の地方自治体基幹業務システム標準化計画の実施延伸の影響がありました。

 これらの結果、売上高は363億2千8百万円(前年同期比8.8%増)となり、営業利益は14億2千7百万円(前年同期比32.1%増)となりました。

 なお、前連結会計年度に子会社化したComputer Based Testing(CBT)プラットフォームを開発するOpen Assessment Technologies S.A.社での試験研究投資を開始しています。

 

<オフィス関連事業分野>

 オフィス関連事業分野では、第1四半期における前年同期での大型オフィス構築案件集中の影響が残るものの、出社率上昇にともなうハイブリッド型の働き方に対応した新たな需要が着実に拡大し、オフィスリニューアル案件・オフィス移転案件の獲得は順調に進み、第3四半期以降での売上拡大を見込みます。また、米国でホビークラフトペンの売上が増大したほか、海外でのデジタル印刷市場向けフィニッシャー(後処理機械)の販売も回復し、売上高は240億6千9百万円(前年同期比0.1%減)、営業損失は9千万円(前年同期は1千3百万円の営業利益)と概ね予想通りに推移しております。

 

<情報関連事業分野>

 情報関連事業分野では、インボイス制度に対応するための中堅中小企業向け業務系システムのプログラム改修需要が集中しました。大手民間企業では、クラウドベースのサブスクリプション型ソフトウェアライセンス契約が引き続き拡大し、生成AIに関連する案件も増加しています。加えて、オフィスへの出社率の上昇にともない当社のシェアの高い会議室運用支援サービスが堅調に推移したほか、社員の位置情報や多様な設備・センサー機器等から収集するオフィス空間のデータを可視化し、コミュニケーションを促すシステムの導入が広がりました。また、当社グループの強みであるキッティングサービスを伴うPCの導入など、ネットワーク関連案件が拡大しています。

 これらの結果、売上高は460億9千3百万円(前年同期比27.1%増)となり、営業利益は15億5千1百万円(前年同期比35.1%増)となりました。

 

<その他>

 主な事業は教育研修事業と人材派遣事業であります。DX人材育成研修等を中心に民間企業向けの研修事業は堅調に推移いたしました。売上高は4億1千万円(前年同期比5.2%減)となりましたが、営業利益は6千5百万円(前年同期比21.4%増)となりました。

 

(2)財政状態の分析

 当第2四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ63億3千3百万円減少し、1,266億7千4百万円となりました。流動資産は、受取手形、売掛金及び契約資産の減少34億7千6百万円、棚卸資産の減少14億4千3百万円、および現金及び預金の減少8億6千2百万円等により、前連結会計年度末に比べ78億8千2百万円減少し、904億4千9百万円となりました。また固定資産は、前連結会計年度末に比べ15億4千8百万円増加し、362億2千5百万円となりました。

 負債合計は、前連結会計年度末に比べ78億3千1百万円減少し、730億5千5百万円となりました。流動負債は、未払金の減少36億9千6百万円、仕入債務の減少32億1千万円、契約負債の減少18億7千3百万円、未払法人税等の減少9億6千9百万円、および短期借入金の増加29億円等により前連結会計年度末に比べ81億7千9百万円減少し、621億5千2百万円となりました。また固定負債は前連結会計年度末に比べ3億4千7百万円増加し、109億2百万円となりました。

 純資産合計は、親会社株主に帰属する四半期純利益23億3千万円による増加、上場有価証券の時価評価に伴うその他有価証券評価差額金の増加9億9千4百万円、および剰余金の配当18億7千万円による減少等により、前連結会計年度末に比べ14億9千7百万円増加し、536億1千9百万円となりました。

 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の39.0%から3.2ポイント上昇し、42.2%となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ9億7千1百万円減少し、246億1百万円となりました。

 

 

<営業活動によるキャッシュ・フロー>

 営業活動によるキャッシュ・フローは7億1千4百万円減少いたしました(前年同期は22億8千9百万円の減少)。この減少は主に、未払金の減少37億6百万円(前年同期は57億4千5百万円の減少)、仕入債務の減少32億7百万円(前年同期は9億9千3百万円の減少)、契約負債の減少18億7千3百万円(前年同期は16億7千9百万円の減少)等の減少に対し、売上債権及び契約資産の減少34億7千3百万円(前年同期は59億4千2百万円の減少)、棚卸資産の減少14億3千6百万円(前年同期は18億7千4百万円の増加)、および税金等調整前四半期純利益34億3千3百万円(前年同期は26億5千1百万円)の計上等の増加によるものであります。

 

<投資活動によるキャッシュ・フロー>

 投資活動によるキャッシュ・フローは10億8千8百万円減少いたしました(前年同期は12億2千4百万円の減少)。この減少は主に、無形固定資産の取得による支出5億8千3百万円、有形固定資産の取得による支出4億1千4百万円等によるものであります。

 

<財務活動によるキャッシュ・フロー>

 財務活動によるキャッシュ・フローは8億3千万円増加いたしました(前年同期は2億4千4百万円の減少)。この増加は主に、短期借入金の純増額29億円の増加に対し、配当金の支払額18億7千万円等の減少によるものであります。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第2四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりです。

 

(ⅰ)基本方針の内容

 当社は、当社の株主は市場での自由な取引を通じて決まるものと考えます。従って、当社の財務および事業の方針の決定を支配することが可能な数の株式を取得する買付提案に応じるか否かの判断は、最終的には株主の皆様のご意思に委ねられるべきものと考えます。

 当社は、企業価値や株主共同の利益を確保・向上させていくためには、人的資産を中長期的視点で育成し、常に新しい技術・デザインを吸収し、事業パートナーとの信頼関係や、優良な顧客基盤を維持・拡大することが不可欠と考えております。

 しかし、株式の大量取得行為の中には、①買収の目的や買収後の経営方針等に鑑み、企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれのあるもの、②株主に株式の売却を事実上強要するおそれのあるもの、③対象会社の取締役会や株主が買付の条件等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの等、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させることにならないものも存在します。当社は、このような不適切な株式の大量取得行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当ではなく、このような者による大量取得行為に対しては必要かつ相当な手段を採ることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えます。

 

(ⅱ)基本方針実現のための取組み

(a)基本方針の実現に資する特別な取り組み

 当社グループは、前中期経営計画に引き続き、第16次中期経営計画(2022年7月期~2024年7月期)を策定いたしました。当中期経営計画では、売上構成で3分の2となるICT事業を基盤に、ICTと環境構築の両方のリソースを駆使し、従来のマネジメントの脱却により、グループ全体で新たなダイナミズムを生み出すことで、2025年以降に予想される労働人口の急速な減少などの大きな社会構造変化に対応した、新たな競争優位の確立と中核事業の再構築に取り組んでまいります。

 当社は、コーポレート・ガバナンス強化のため、執行役員制度を導入し、経営管理機能と業務執行機能の分離を進めているほか、経営環境の変化に迅速に対応できる機動的な経営体制の確立と取締役の経営責任を明確にするために取締役の任期を1年とする等の施策を実施しております。社外取締役は、取締役会における意思決定及び監督の両面において客観的な立場から様々な助言や提言を行っております。

 また、コンプライアンスに関しては、毎年12月1日を「コンプライアンスデイ」と定め、コンプライアンスの意義について確認するとともに、「内田洋行グループ行動規範」を制定し、当社グループをあげて、その徹底に努めております。

 

(b)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

 当社は、2022年9月8日開催の取締役会における決議及び2022年10月15日開催の定時株主総会における承認に基づき、「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)」(以下、更新後の対応策を「本プラン」といいます。)を更新いたしました。

 本プランは、当社が発行者である株券等について、①保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付、②公開買付を行う者の株券等所有割合及びその特別関係者の株券等所有割合の合計が20%以上となる公開買付け、又は③上記①又は②に規定される各行為の実施の有無にかかわらず、(イ)当社の株券等の取得をしようとする者又はその共同保有者もしくは特別関係者(以下、本③において「株券等取得者等」といいます。)が、当社の他の株主(複数である場合を含みます。以下、本③において同じとします。)との間で行う行為であり、かつ、当該行為の結果として当該他の株主が当該株券等取得者等の共同保有者に該当するに至るような合意その他の行為、又は当該株券等取得者等と当該他の株主との間にその一方が他方を実質的に支配しもしくはそれらの者が共同ないし協調して行動する関係を樹立するあらゆる行為であって、(ロ)当社が発行者である株券等につき当該株券等取得者等と当該他の株主の株券等保有割合の合計が20%以上となるような行為(以下「買付等」と総称します。)を対象とします。これらの買付等が行われた際、それに応じるべきか否かを株主の皆様が判断するために必要な情報や時間を確保したり、株主の皆様のために交渉を行うこと等を可能とするものです。また、上記基本方針に反し、当社の企業価値・株主共同の利益を毀損する買付等を阻止することにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上させることを目的としております。

 当社の株券等について買付等が行われる場合、当該買付等に係る買付者等には、買付内容等の検討に必要な情報及び本プランを遵守する旨の誓約文言等を記載した書面の提出を求めます。その後、買付者等から提出された情報や当社取締役会からの意見や根拠資料、これに対する代替案(もしあれば)が、独立社外者(現時点においては当社経営陣から独立性の高い社外取締役3名及び社外の有識者2名)から構成される独立委員会に提供され、その評価、検討を経るものとします。独立委員会は、外部専門家等の助言を独自に得た上、買付内容の評価・検討、当社取締役会の提示した代替案の検討、買付者等との交渉、株主に対する情報開示等を行います。

 独立委員会は、買付者等が本プランに規定する手続を遵守しなかった場合、又は当該買付等の内容の検討、買付者等との協議・交渉等の結果、当該買付等が当社の企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれのある買付等である場合など本プランに定める要件に該当し、後述する新株予約権の無償割当てを実施することが相当であると判断した場合には、独立委員会規則に従い、当社取締役会に対して、新株予約権の無償割当てを実施することを勧告します。この新株予約権には、買付者等による権利行使が認められないという行使条件、及び当社が買付者等以外の者から当社株式等と引換えに新株予約権を取得することができる旨の取得条項が付されており、原則として、1円を払い込むことにより行使し、当社株式1株を取得することができます。当社取締役会は、独立委員会の上記勧告を最大限尊重して新株予約権無償割当ての実施又は不実施等の決議を行うものとします。当社取締役会は、上記決議を行った場合速やかに、当該決議の概要その他当社取締役会が適切と判断する事項について、情報開示を行います。

 本プランの有効期間は、2022年10月15日開催の定時株主総会終結後3年以内に終結する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時までです。但し、有効期間の満了前であっても、当社の株主総会で選任された取締役で構成される当社取締役会により本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されることになります。

 本プラン更新後であっても、新株予約権無償割当てが実施されていない場合、株主の皆様に直接具体的な影響が生じることはありません。他方、本プランが発動され、新株予約権無償割当てが実施された場合、株主の皆様が新株予約権行使の手続を行わないとその保有する株式全体の価値が希釈化される場合があります(但し、当社が当社株式を対価として新株予約権の取得を行った場合、株式全体の価値の希釈化は生じません。)。

 なお、本プランの詳細については、インターネット上の当社ウェブサイト(アドレス https://www.uchida.co.jp/company/ir/news/)に掲載する2022年9月8日付プレスリリース「[適時開示その他]当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)の更新について」をご覧下さい。

 

(ⅲ)具体的取り組みに対する当社取締役の判断及びその理由

 企業価値向上のための取組みやコーポレート・ガバナンスの強化といった各施策は、当社の経営計画に基づく各施策、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、まさに当社の基本方針に沿うものです。

 また、本プランは、前記(ⅱ)(b)記載のとおり、企業価値・株主共同の利益を確保・向上させる目的をもって更新されたものであり、当社の基本方針に沿うものです。特に、本プランは、株主総会で承認を得て更新されたものであること、その内容として合理的な客観的要件が設定されていること、独立性の高い社外者によって構成される独立委員会が設置され、本プランの発動に際しては必ず独立委員会の判断を経ることが必要とされていること、独立委員会は当社の費用で独立した第三者である専門家を利用することができるとされていること、有効期間が最長約3年と定められた上、取締役会によりいつでも廃止できるとされていることなどにより、その公正性・客観性が担保されており、企業価値・株主共同の利益に適うものであって、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

 

(5)研究開発活動

 当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、6億6千8百万円であります。

 なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。