売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E02554 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間における世界経済は、ウクライナや中東を中心とする地政学リスクや、為替・金利動向などで不透明感が強い状況が継続しましたが、新型コロナウイルス感染症の収束による消費者心理の改善や、底堅い雇用情勢などにより景気が下支えされました。また、欧米を中心に金融政策による金利の高止まり状態が続きましたが、下期以降はインフレ率の低下など景気の過熱感の緩和が見られました。中国においては消費喚起策や財政投融資、金融緩和などの景気浮揚策が発表されましたが、輸出不振や不動産市場低迷の影響を受け、景気回復が思うように進まない状況が継続しています。その他の新興諸国においては一部地域で景気回復が遅れているものの、東南アジア地域を中心に経済活動の正常化が進みました。

国内経済については、政府の感染症対策方針の転換を背景に、インバウンド需要の回復など、個人消費を中心に持ち直しの動きが見られました。

このような環境において、当第3四半期連結累計期間では、先行きの不透明感などから鋼材需要やスクラップ需要などが減少したことに加え、鋼材や非鉄金属、原油などの商品価格が前年同期比では低い水準で推移したことにより、売上高は前年同期比9.7%減の1兆8,266億28百万円となりました。利益面では、食品事業を除く全ての事業セグメントで減益となり、営業利益は前年同期比24.3%減の424億67百万円となりました。また、プライマリーメタル事業を中心に持分法による投資利益が減少したこと、戦略的投資先などからの配当収入が減少したことや前期に差益であった為替差損益が差損に転じたことなどから、経常利益は前年同期比32.6%減の429億32百万円に、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比31.5%減の307億61百万円となりました。

 

セグメント別の業績(売上高にはセグメント間の内部売上高又は振替高を含む。)は、次のとおりであります。

鉄鋼事業

前第3四半期連結会計期間に連結子会社化した田中鉄鋼販売㈱や、国内建設分野などでのソリューション機能の強化による業績寄与はあったものの、ステンレス需要の低迷や新設住宅着工戸数の減少を背景に、全体として取扱量が減少しました。また、鉄鋼製品価格が前年同期に比べ安値で推移した影響を受け、海外子会社を中心に利幅が縮小しました。これらの結果、当事業の売上高は前年同期比0.2%減の9,399億55百万円、セグメント利益は前年同期比10.3%減の229億57百万円となりました。

プライマリーメタル事業

ステンレス鋼板などのステンレス製品の取扱量が減少したことに加え、各種商材価格が調整局面を迎えたこともあり、減収となりました。また、戦略的投資先などからの配当収入の減少や、SAMANCOR CHROME HOLDINGS PROPRIETARY LTD.からの持分法による投資利益の減少が利益を押し下げました。これらの結果、当事業の売上高は前年同期比20.9%減の1,598億45百万円、セグメント利益は前年同期比59.7%減の65億14百万円となりました。

リサイクルメタル事業

ベースメタルの国際価格が前年同期に比べ安値で推移したことに加え、ステンレススクラップを中心に需要減退の影響を受け取扱量も減少しました。また、ヘッジ目的の商品先渡取引の評価益の計上額が前年同期比で縮小しました。これらの結果、当事業の売上高は前年同期比22.2%減の880億44百万円、セグメント利益は前年同期比79.2%減の10億50百万円となりました。

 

食品事業

カニ相場が前年同期に比べ安値で推移したことが収益を押し下げましたが、直近では緩やかな回復基調となっています。また鮭や海老、鶏肉を中心に仕入コスト上昇分の価格転嫁も進みました。これらの結果、当事業の売上高は前年同期比2.9%減の981億56百万円、セグメント損益は10億98百万円の利益(前年同期は、8億83百万円の損失)となりました。

エネルギー・生活資材事業

PKS(パーム椰子殻)やウッドペレットを中心に取扱量は拡大したものの、石油製品価格が前年同期に比べ安値で推移した影響が大きく、収益・利益を押し下げました。これらの結果、当事業の売上高は前年同期比9.9%減の2,474億51百万円、セグメント利益は前年同期比51.1%減の51億3百万円となりました。

海外販売子会社

海外における鉄鋼需要の低迷に伴い、インドネシアや米国の販売子会社を中心に取扱量が減少しました。また、鉄鋼製品や非鉄金属製品の市況下落が海外販売子会社全体の利幅を押し下げました。これらの結果、売上高は前年同期比26.6%減の2,588億75百万円、セグメント利益は前年同期比10.7%減の65億81百万円となりました。

その他の事業

木材事業では、ウッドショックの影響が一段落したことから、商品価格が低調に推移した結果、減収・減益となりました。一方、機械事業では、ライフ・アミューズメント分野で複数の大型完工物件があったことなどから、増収・増益となりました。これらの結果、売上高は前年同期比20.5%減の906億71百万円、セグメント利益は前年同期比8.6%減の23億98百万円となりました。

 

② 財政状態の状況

当第3四半期連結会計期間末の総資産は、現金及び預金や棚卸資産の減少などにより、前連結会計年度末比0.4%減の1兆1,526億71百万円となりました。

負債は、コマーシャル・ペーパーの償還を行ったことや、前年度業績を反映した法人税等の納付に伴う未払法人税等の減少などにより、前連結会計年度末比4.6%減の8,096億56百万円となりました。そのうち有利子負債は、前連結会計年度末比0.6%減の3,785億45百万円となり、当第3四半期連結会計期間末のネット負債倍率は、0.9倍(0.8倍※)となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益からの利益剰余金の積み上がりや為替換算調整勘定などの変動により、前連結会計年度末比11.1%増の3,430億15百万円となりました。この結果、当第3四半期連結会計期間末の自己資本比率は、前連結会計年度末の26.2%(28.3%※)から29.3%(31.5%※)に上昇しました。

 

※ネット負債倍率及び自己資本比率の( )内の値は、2019年3月に実施した劣後特約付ローン(ハイブリッド

  ローン)500億円について、格付上の資本性(50%)を考慮して算出しております。

 

(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更又は新たに生じた課題はありません。

 

(3) 研究開発活動

特記すべき事項はありません。

 

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析

当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について新たな発生又

は消滅はありません。また、経営戦略の現状についても重要な変更又は著しい変化はありません。

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは持続可能な企業成長のために必要なレベルの流動性の確保と財務的な健全性・安定性維持を方針としており、資金調達にあたっては、多様化を図るべく、資本市場における社債並びにコマーシャル・ペーパー発行による調達を随時行いつつも、主に長期借入金を中心に調達を行っております。また、流動性維持のために、金融機関との間で総額1,500億円のコミットメントライン契約を締結しており、当第3四半期連結会計期間末現在において全額未使用となっております。

社債につきましては、市場環境や財政状態の変化に対応した機動的な社債発行を可能にするため、発行登録制度を利用しており、当第3四半期連結会計期間末現在の国内公募普通社債発行登録枠の未使用枠は、600億円であります。

長期借入金のうち、500億円は劣後特約付ローン(ハイブリッドローン)であり、持続可能な企業成長のための資金確保と財務的な健全性の両立を目的として2019年3月に調達を行っております。本ハイブリッドローンは、資本と負債の中間的な性質を持ち、格付機関は残高の50%である250億円を資本と同等に扱っております。

有利子負債においては、資産側の通貨属性を考慮し、適宜外貨建て借入や、通貨金利スワップ、為替予約を締結することで、資産の内容に見合った調達を図っております。

また、連結ベースの資金管理体制については、国内子会社においては原則キャッシュ・マネジメント・サービスを導入しており、海外子会社に対しても現地借入から親子ローンへの切替え促進を行っており、これらの取組によりグローバル財務マネジメントの強化を図っております。