売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E02673 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、コロナ禍からの正常化が進み、雇用・所得環境が改善するなかで、各種政策の効果もあって、回復の兆しを見せ始めている一方で、ウクライナ情勢の長期化等の地政学的リスク、欧米での金融引き締めの長期化、中国の不動産不況、資源価格の大幅な高騰に起因した材料調達コスト及び電気・ガス料金の高止まりや、円安による物価上昇など、当社グループの経営環境は、依然として先行き不透明な状況が続くものと想定しております。

 こうした状況下で当社グループは、引き続きグループの特長を生かした事業運営とスピーディーな経営判断を心がけ、関係するグローバルな成長市場とともに、今後市場拡大が見込まれる高速5G通信・半導体・次世代自動車・自然エネルギー分野・蓄電池・建材、化粧品、介護食等への差別化した製商品の拡販、新規顧客の開拓、バイオマテリアルを含めた国内外の産学連携の加速に注力しつつ、顧客に密着した生産・物流体制の更なる改善にも取り組んでまいりました。

 その結果、自動車部品業界の好調な市場環境下、付加価値の高い高機能樹脂製品の販売が、EV関連部品向けや一部特定顧客での新規採用等により伸長したことで、営業利益が前年同四半期を大幅に上回りました。

 当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高が201億1千4百万円(前年同四半期比8.1%増)、営業利益が12億8千2百万円(前年同四半期比132.2%増)、経常利益が14億9百万円(前年同四半期比104.0%増)となりましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益は、退職給付制度改定損3億2千万円を計上したこと等により9億2千4百万円(前年同四半期比66.7%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

  [高機能材料事業]

電子機器業界向け関連製商品の販売では、需要が一巡したことや世界的なインフレ懸念によりスマートフォン市場が停滞したものの、海外市場において新たな販路開拓に取り組んだことから、売上高は前年同四半期並みに推移しました。自動車部品業界向け製商品の販売では、半導体不足の緩和による自動車生産の回復により好調に推移する受注環境下、EV関連部品向け樹脂製商品の販売が国内外で大きく伸長しました。また、一部特定顧客での新規採用や拡販が進み、製品販売が増加しました。その結果、当事業全体の売上高は145億5千1百万円(前年同四半期比11.4%増)、営業利益は12億1千1百万円(前年同四半期比144.4%増)となりました。

 

(主な製商品群の概況)

製商品群

概況(数値は前年同四半期との対比)

コーティング製品

スマートフォン向け電子部品製造用途は、市場の停滞でフィルム表面加工製品等の販売が減少したものの、海外市場における遮光部材の販売が堅調に推移し0.8%の増収となりました。

高機能樹脂製品

自動車部品業界向け電気絶縁用樹脂は、好調な受注環境により特にEV関連部品用途で国内だけでなく中国や欧米での販売活動が奏功したことや、一部特定顧客への販売が伸長し、前年同四半期を上回り25.3%の増収となりました。

電子材料

自動車部品向けの車載用モーター絶縁材料や産業機器モーター向け絶縁材料が堅調に推移したものの、スマートフォン用回路基板材料の販売が取扱商品の需給緩和により減少したことから、2.0%の減収となりました。

 

 

製商品群

概況(数値は前年同四半期との対比)

機能性樹脂

自動車部品業界向けの販売が、好調な市場環境に下支えられたこと等で5.5%の増収となりました。

 

  [環境材料事業]

主要な販売先である製紙業界では、新聞・塗工紙の市場は継続して縮小し、堅調だった板紙・生活産業用途も物価高による日用品の買い控えや実店舗での消費回復を受けたEC市場の需要が低下しており、厳しい事業環境となっております。このような状況下、当社グループにおいては、市場ニーズに応じて、特長を生かした差別化製商品の拡販と新たな用途や周辺市場の開拓等に取り組んでまいりました。製品販売では、当社独自の製品開発や板紙分野での新規市場の開拓に注力したことで、前年同四半期を上回りました。商品販売では、製紙会社での塗工紙の減産により販売数量が減少したこと等から前年同四半期を下回りました。その結果、当事業全体の売上高は35億1千5百万円(前年同四半期比2.1%減)となりましたが、製品の売上比率が高まったこと等により営業利益は1億4千1百万円(前年同四半期比37.0%増)となりました。

 

(主な製商品群の概況)

製商品群

概況(数値は前年同四半期との対比)

ファインケミカルズ

一部製品で製紙会社の稼働率が落ち込んだ影響等を受けながらも、製品機能を向上させつつ、底堅い需要が見込まれる板紙分野への積極的な拡販や新規開拓を進めたことで、0.4%の増収となりました。

製紙用化学品

製紙関連ケミカルズは、取引価格の価格改定や拡販等に努めたことで販売が堅調に推移したものの、主要取扱商品の塗工用バインダーは、需要の減退による塗工紙の減産で販売数量が減少したこと等により、2.9%の減収となりました。

 

  [食品材料事業]

食品材料事業では、健康に優しく特長ある天然の食品素材を主要な取扱商品としており、的を絞った施策を推進し、食品業界などへの拡販に鋭意注力してまいりました。これに加えて、これまでの営業活動で蓄積した食品に関わる様々な情報や技術を活用して、新規商材の発掘や市場の開拓、更には、独自性の発揮できる新規複合食品素材の開発といった新たなテーマにも積極的に取り組んでおります。当第3四半期連結累計期間の販売では、家庭用加工食品向けは、外食産業の回復や物価高の影響により需要が落ち込み、業務用加工食品向けは、原産地の天候不順・物流コストの増加等に起因して市場価格が大幅に上昇しました。そのような状況において、増粘安定剤は安定供給に努めながらも需要の不透明感の高まりから取引数量が減少したものの、乾燥野菜は安定した需要や新規取引により売上高が増加したことから、前年同四半期を上回りました。その結果、当事業全体の売上高は19億7千3百万円(前年同四半期比5.7%増)、営業利益は1億2千3百万円(前年同四半期比0.2%増)となりました。

 

(主な製商品群の概況)

製商品群

概況(数値は前年同四半期との対比)

食品素材等

取扱商品の市場価格の高騰により需給環境の変動で需要が落ち込んだ増粘安定剤は、取引数量が減少したものの、乾燥野菜は新規顧客への販売等で売上高が増加したことから、5.7%の増収となりました。

 

  [その他の事業]

当社グループの成長を支える新たな事業領域を開発・育成すべく取り組んでいる「その他の事業」では、アフリカから輸入した切り花の国内販売や、新市場開発用途の商材を発掘しつつ、新規ビジネスの可能性を追求する活動に積極的に取り組んでおり、試販等による事業化への検討を進めております。当第3四半期連結累計期間における輸入生花の販売は、コロナ禍からの需要回復により国内産地の生産が増加したことで、販売価格が下落しました。その結果、「その他の事業」の売上高は7千3百万円(前年同四半期比13.1%減)、営業損失は1千万円(前年同四半期は営業利益1百万円)となりました。

 

(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、2億9千9百万円であります。
 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 ①資金需要

設備投資、運転資金、借入金の返済及び利息の支払い、並びに配当及び法人税の支払い等に資金を充当しております。

 

 ②資金の源泉

主として営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入れにより、必要資金を調達しております。

 

 ③長期借入金

当第3四半期連結会計期間末の有利子負債は40億円であり、この内訳は、金融機関からの長期借入金40億円となっております。