売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E04021 IFRS


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容

①事業環境と経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容

第1四半期連結累計期間(2023年12月1日~2024年2月29日)における我が国経済は、個人消費等に足踏みがみられるものの、雇用・所得環境の改善や各種政策効果も相まって景気は緩やかに回復しています。一方、世界的な金融引締めや中国経済の先行き不安、中東情勢などが国内景気の下押しリスクとなっており、物価上昇や為替動向、金融資本市場の変動等と合わせて引き続き注視が必要です。

社グループが属する不動産業界においては、2023年の国内不動産投資額は約3.4兆円(前年比4.0%増)となり、世界都市別投資ランキングでは東京は5位(2022年は16位)となりました。2023年後半には国内金利の先高観や海外不動産の市況悪化等を背景に外国資本の国内不動産への投資停滞がみられたものの、比較的良好な資金調達環境や円安等を背景に国内不動産への投資マネー流入は継続すると見られています(民間調査機関調べ)。

都圏分譲マンション市場は、用地・建築費の高騰や供給抑制等を背景に2023年の新築発売戸数は26,886戸(前年比9.1%減)となり、平均価格は8,101万円(2022年は6,288万円)と過去最高を更新しました。2024年の供給量は31,000戸と予想されておりますが、引き続き供給抑制の流れは続くと見られており、建築費高騰も相まってマンション価格の上昇傾向は継続すると予測されています。首都圏中古マンション市場においては、2023年の成約戸数が35,987戸(前年比1.6%増)と前年を若干上回る水準で推移し、2023年1月時点の成約平均価格は4,675万円(前年同月比3.5%低下)となりました。また、分譲戸建市場は、2023年の新設住宅着工戸数は59,412戸(前年と同程度)となりました(民間調査機関調べ)。

2023年の建築費平均坪単価は、鉄骨鉄筋コンクリート造が1,212千円/坪(前年比15.6%下落)、木造が674千円/坪(同15.9%上昇)となりました。足元の資材価格は、鋼材が高止まりしており、2024年1月では鉄骨鉄筋コンクリート造が1,742千円/坪(前年同期比50.5%上昇)、木造が698千円/坪(同16.4%上昇)となっております。物価上昇や人件費高騰等を背景に建築費は全体的に上昇しており、今後も建築費の上昇傾向は継続するとみられています(国土交通省調べ)。

京都心ビジネス5区のオフィスビル賃貸市場では、2024年1月時点の平均空室率は5.8%(前年同月比0.4ポイント低下)となりました。2023年に大量供給された新築ビルの空室消化が進んでいることに加え、2024年の新規供給は限定的となることから、空室率は年末に向けて緩やかに低下すると予想されています。また、2024年1月時点の平均賃料は19,730円/坪(同1.5%下落)となり、オフィス回帰の動きによる需要の回復を受け、賃料下落ペースは減速しています(民間調査機関調べ)。

賃貸マンション市場は引き続き堅調に推移しており、首都圏賃貸マンションにおける2024年1月時点の平均募集賃料は11,801円/坪(前年同月比5.3%上昇)、J-REITが東京圏で保有するマンションの2023年10月末時点平均稼働率は97.0%(前年同月と変わらず)となりました。分譲マンション価格高騰等に伴う賃貸マンション需要の高まりを背景に募集賃料・稼働率ともに堅調に推移しています(民間調査機関調べ)。

都圏物流施設賃貸市場では、2024年1月時点の賃貸ストックは968万坪(前年同月比12.8%増)、空室率は7.1%(同2.7ポイント上昇)と新規供給量増加の影響により、空室率の上昇傾向は継続しています。また、足元2024年1月時点の募集賃料は4,620円/坪(同2.4%上昇)となりました。需給緩和による賃料下落圧力と建築費高騰に伴う賃料上昇圧力が拮抗しており、募集賃料は概ね横ばいで推移しています(民間調査機関調べ)。

動産ファンド市場は、引き続き市場規模の拡大が続いています。2024年1月のJ-REITの運用資産総額は22.7兆円(前年同月比0.8兆円増加)、私募ファンドは運用資産総額35.0兆円(2023年12月末時点、前年同月比5.3兆円増加)となり、両者を合わせた証券化市場規模は57.7兆円まで拡大しています(民間調査機関調べ)。

京都のビジネスホテル市場では、国内需要・インバウンド需要の回復が順調に進展し、2023年の平均客室稼働率は80.0%(前年比21.6ポイント増)、東京都の全施設タイプにおける2023年の延べ宿泊者数は9,730万人(同65.8%増)となりました。今後もインバウンド需要がホテル需要を牽引すると見られており、稼働率の上昇・延べ宿泊者数の増加が期待されています(観光庁調べ)。

のような事業環境の中、不動産再生事業や不動産開発事業において、物件販売ならびに将来の収益の源泉となる収益不動産や各種開発用地の取得を進めてまいりました。また、不動産ファンド・コンサルティング事業において、アセットマネジメント受託資産残高を伸長させるとともに、ホテル事業の業績回復に努めました。

以上の結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は34,868百万円(前年同四半期比12.3%増)、営業利益は9,585百万円(同41.4%増)、税引前四半期利益は9,191百万円(同41.7%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は6,435百万円(同45.7%増)となりました。

 

セグメント毎の業績は次のとおりであります。

 

(不動産再生事業)

当第1四半期連結累計期間は、「T's garden西寺尾」(神奈川県横浜市)、「三河島トーセイビル」(東京都荒川区)、「フィールド代々木上原」(東京都渋谷区)等20棟のバリューアップ物件及び中古区分マンション30戸を販売いたしました。

当第1四半期連結累計期間の仕入につきましては、バリューアップ販売物件として、収益オフィスビル、賃貸マンション等合わせて5棟及び中古区分マンション27戸を取得しております。

以上の結果、不動産再生事業の売上高は15,487百万円(前年同四半期比34.7%減)、セグメント利益は3,119百万円(前年同四半期比38.4%減)となりました。

 

(不動産開発事業)

当第1四半期連結累計期間は、物流施設「T's Logi青梅」(東京都西多摩郡)、商業施設「T'S BRIGHTIA自由が丘」(東京都目黒区)を販売いたしました。また、戸建住宅では「THEパームスコート三鷹ヴェール」(東京都三鷹市)等において、4戸を販売いたしました。

当第1四半期連結累計期間の仕入につきましては、賃貸マンション開発用地1件、賃貸アパート開発用地4件、20戸分の戸建住宅開発用地を取得しております。

以上の結果、不動産開発事業の売上高は13,034百万円(前年同四半期比643.7%増)、セグメント利益は4,731百万円(前年同四半期はセグメント利益215百万円)となりました。

 

(不動産賃貸事業)

当第1四半期連結累計期間は、保有する賃貸物件のリーシングに注力しました。

当第1四半期連結累計期間末の賃貸物件数は、物件取得4棟及び賃貸開始2棟、物件売却17棟及び賃貸終了2棟に伴い、前連結会計年度末の114棟より、13棟減少し101棟となりました

以上の結果、不動産賃貸事業の売上高は1,782百万円(前年同四半期比14.5%増)、セグメント利益は827百万円(前年同四半期比9.0%増)となりました。

 

(不動産ファンド・コンサルティング事業)

当第1四半期連結累計期間は、前連結会計年度末のアセットマネジメント受託資産残高(注)2,352,454百万円から、ファンドの物件売却等により17,045百万円の残高が減少した一方で、新たにアセットマネジメント契約を受託したことにより101,009百万円の残高が増加し、当第1四半期連結会計期間末のアセットマネジメント受託資産残高は、2,436,418百万円となりました。

以上の結果、不動産ファンド・コンサルティング事業の売上高は1,557百万円(前年同四半期比5.9%減)、セグメント利益は925百万円(前年同四半期比12.7%減)となりました。

(注) アセットマネジメント受託資産残高には、一部コンサルティング契約等に基づく残高を含んでおります。

 

(不動産管理事業)

当第1四半期連結累計期間は、新規契約の獲得および既存契約の維持に努めました。当第1四半期連結会計期間末での管理棟数は、オフィスビル、ホテル及び物流施設等で518棟、分譲マンションおよび賃貸マンションで349棟、合計867棟(前年同四半期末比55棟増加)となりました。

以上の結果、不動産管理事業の売上高は1,643百万円(前年同四半期比3.6%増)、セグメント利益は289百万円(前年同四半期比9.9%増)となりました。

 

(ホテル事業)

当第1四半期連結累計期間は、国内経済活動の正常化とインバウンド需要の回復が進む中、2023年9月に開業した「トーセイホテル ココネ築地銀座プレミア」(東京都中央区)を含む、全8店舗の客室稼働率及び客室単価の向上に努めました。

以上の結果、売上高は1,362百万円(前年同四半期比73.8%増)、セグメント利益は414百万円(前年同四半期比191.4%増)となりました。

 

②経営成績等に関する分析、検討内容

当社グループの主力市場である国内不動産投資市場は、国内金利の上昇観測の高まりにより、不動産売買マーケット停滞に一定の懸念を有するものの、諸外国に比して相対的に厚いイールドギャップや、安定的な賃貸市況などの魅力が継続しており、国内外不動産投資家によって堅調に取引されています。

このような事業環境のなか、当第1四半期連結累計期間の業績は、不動産売買など各事業が順調に推移し、売上高348億円(前年同期比12.3%増)、営業利益95億円(同41.4%増)、税引前利益91億円(同41.7%増)となりました。通期計画に対する進捗率は売上高で37.9%、税引前利益で55.7%と、当期も非常に好調なスタートを切りました。

事業セグメント別では、不動産再生事業において、遊休社宅をファミリー向け賃貸マンションに再生した大型収益マンション「T's garden西寺尾」など、当社のバリューアップによってNOIを改善した収益マンションやオフィス等の販売が好調に進捗しました。また、不動産開発事業では、大型物流施設「T's Logi青梅」および商業施設「T'S BRIGHTIA自由が丘」を売却し、これらの売買事業がグループ全体の収益を牽引しました。当社が安定収益事業と位置付けるストック・フィービジネスにおいては、ホテル事業や不動産賃貸事業をはじめとして各事業とも順調に進捗しており、注力事業である不動産ファンド・コンサルティング事業は受託資産残高が総額2.4兆円超(前期末比839億円増)と伸長しました

2024年3月の金融政策決定会合にて、日銀のマイナス金利政策解除が決定されました。短期金利の誘導水準は0%~0.1%と緩やかな金利上昇であり、極めて緩和的な金融環境が当面続くことから、当社では国内不動産投資市場への影響は限定的とみています。一方で、投資家の物件選別の強まりや投資戦略の変化が想定されるため、引き続き不動産市場の動向を注視しつつ、事業活動を推進してまいります。

 

(2) 財政状態の分析

当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ180百万円減少し、245,149百万円となりました。負債は3,566百万円減少し、159,444百万円となりました。

総資産が減少した主な要因は、営業債権及びその他の債権が増加したものの、棚卸資産が減少したことによるものであります。負債が減少した主な要因は、営業債務及びその他の債務が増加したものの、有利子負債が減少したことによるものであります。

また資本は3,386百万円増加し、85,705百万円となりました。これは主に利益剰余金の積み上げと配当金の支払によるものであります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ144百万円増加39,342百万円となりました。

当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により獲得した資金は、16,098百万円(前年同四半期比20.3%増)となりました。これは主に、税引前四半期利益9,191百万円、棚卸資産の減少9,419百万円、法人所得税の支払額3,188百万円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は、9,262百万円(前年同四半期比288.5%増)となりました。これは主に、貸付金の実行による支出7,418百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は、6,692百万円(前年同四半期比17.5%増)となりました。これは主に、長期借入れによる収入14,490百万円があったものの、長期借入金の返済による支出17,927百万円及び配当金の支払額3,141百万円等があったことによるものであります。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めておりますが、前事業年度の有価証券報告書提出日後、当四半期累計期間において重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

該当事項はありません。