E04273 Japan GAAP
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1) 経営成績の状況
連結経営成績 |
前第3四半期連結累計期間 (自 2022年4月1日 至 2022年12月31日) (億円) |
当第3四半期連結累計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年12月31日) (億円) |
前年同期比 増減率
(%) |
売上高 |
12,586 |
15,435 |
22.6 |
航空事業 |
11,340 |
14,081 |
24.2 |
航空関連事業 |
1,802 |
2,092 |
16.0 |
旅行事業 |
530 |
592 |
11.6 |
商社事業 |
765 |
867 |
13.3 |
その他 |
272 |
287 |
5.6 |
セグメント間取引 |
△2,125 |
△2,485 |
- |
営業利益又は営業損失(△) |
989 |
2,101 |
112.3 |
航空事業 |
991 |
2,036 |
105.4 |
航空関連事業 |
51 |
96 |
86.6 |
旅行事業 |
△6 |
13 |
- |
商社事業 |
30 |
42 |
41.9 |
その他 |
3 |
7 |
78.7 |
セグメント間取引 |
△80 |
△94 |
- |
経常利益 |
923 |
2,071 |
124.3 |
親会社株主に帰属する四半期純利益 |
626 |
1,489 |
137.9 |
※ 下記(注)1、2参照。
当第3四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年12月31日(以下、「当第3四半期」という。))のわが国経済は、企業収益及び雇用環境の改善が続く中、個人消費の持ち直しが見られる等、景気は緩やかに回復しました。
航空業界を取り巻く環境は、ウクライナや中東地域情勢等の地政学リスクが懸念されるものの、旅客需要は回復基調が続いています。
このような経済情勢の下、航空事業を中心に増収となったことから売上高は1兆5,435億円となり、営業利益は2,101億円、経常利益は2,071億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,489億円となり、前年同期と比べて大幅な増益となりました。
なお、当社は世界の代表的な社会的責任投資の指標である「Dow Jones Sustainability World Index」の構成銘柄に7年連続で選定されました。今後も事業を通じて環境問題等の社会課題解決に取り組み、持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。
以下、当第3四半期におけるセグメント別の概況をお知らせいたします。
(なお、各事業における売上高はセグメント間内部売上高を含み、営業利益はセグメント利益に該当します。)
セグメント別の概況
◎航空事業
売上高1兆4,081億円(前年同期比24.2%増) 営業利益2,036億円(同105.4%増)
旺盛な訪日需要とレジャー需要に支えられ、国際線旅客・国内線旅客ともに好調に推移し、売上高は前年同期を大きく上回りました。費用面では、運航規模を拡大したこと等に伴い、変動費を中心に増加しましたが、コストマネジメントの徹底を継続したこと等から、前年同期と比べて大幅な増益となりました。
なお、当社グループは英国SKYTRAX社から顧客満足度で最高評価となる「5スター」に11年連続で認定されました。
<国際線旅客(ANAブランド)>
項 目 |
前第3四半期連結累計期間 (自 2022年4月1日 至 2022年12月31日) |
当第3四半期連結累計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年12月31日) |
前年同期比 増減率 (%) |
|
旅客収入 |
(億円) |
2,903 |
5,515 |
89.9 |
旅客数 |
(人) |
2,817,436 |
5,310,320 |
88.5 |
座席キロ |
(千席キロ) |
24,804,147 |
39,512,196 |
59.3 |
旅客キロ |
(千人キロ) |
17,994,505 |
30,844,416 |
71.4 |
利用率 |
(%) |
72.5 |
78.1 |
5.5 |
※ 下記(注)3、7、8、12参照。
国際線旅客では、日本発のビジネス需要が堅調に推移したことに加え、訪日需要と日本発のレジャー需要を積極的に取り込んだ結果、旅客数・収入ともに前年同期を上回りました。
路線ネットワークでは、回復基調が続く旅客需要を取り込むために、10月から成田=パース線や中国路線を再開する等、上期に続いて運航規模を拡大しました。また、12月から成田=ホノルル線をエアバスA380型機「FLYING HONU」で毎日2往復運航したことにより、ホノルル線の1日あたりの提供座席数は過去最高となりました。
営業・サービス面では、7月に羽田空港第2ターミナル国際線施設が3年ぶりに再開し、10月より当該施設から運航する便を拡大したことに伴い、国内線と国際線の乗り継ぎ利便性が向上しました。
<国内線旅客(ANAブランド)>
項 目 |
前第3四半期連結累計期間 (自 2022年4月1日 至 2022年12月31日) |
当第3四半期連結累計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年12月31日) |
前年同期比 増減率 (%) |
|
旅客収入 |
(億円) |
3,921 |
4,965 |
26.6 |
旅客数 |
(人) |
24,870,074 |
31,091,298 |
25.0 |
座席キロ |
(千席キロ) |
37,136,960 |
41,244,108 |
11.1 |
旅客キロ |
(千人キロ) |
23,144,340 |
28,958,097 |
25.1 |
利用率 |
(%) |
62.3 |
70.2 |
7.9 |
※ 下記(注)3、4、7、8、12参照。
国内線旅客では、ビジネス需要の回復が遅れているものの、「ANA SUPER VALUEセール」の実施等によりレジャー需要の喚起に努めた結果、旅客数・収入ともに前年同期を上回りました。
路線ネットワークでは、週末や連休を中心に機材の大型化を行い、レジャー需要を積極的に取り込みました。
営業・サービス面では、10月から特別塗装機「ANA Future Promise Prop」の定期運航を開始しました。再生素材を使用した機内サービス品の活用やCO2排出抑制に繋がる運航オペレーションを行う等、環境に配慮した取り組みを推進してまいります。
<貨物(ANAブランド)>
項 目 |
前第3四半期連結累計期間 (自 2022年4月1日 至 2022年12月31日) |
当第3四半期連結累計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年12月31日) |
前年同期比 増減率 (%) |
|
国際線 |
|
|
|
|
貨物収入 |
(億円) |
2,561 |
1,191 |
△53.5 |
有効貨物トンキロ |
(千トンキロ) |
4,980,745 |
4,768,106 |
△4.3 |
貨物輸送重量 |
(トン) |
622,429 |
517,857 |
△16.8 |
貨物トンキロ |
(千トンキロ) |
3,205,131 |
2,620,660 |
△18.2 |
郵便収入 |
(億円) |
48 |
37 |
△22.2 |
郵便輸送重量 |
(トン) |
12,196 |
9,967 |
△18.3 |
郵便トンキロ |
(千トンキロ) |
59,634 |
53,573 |
△10.2 |
貨物重量利用率 |
(%) |
65.5 |
56.1 |
△9.5 |
国内線 |
|
|
|
|
貨物収入 |
(億円) |
186 |
172 |
△7.6 |
有効貨物トンキロ |
(千トンキロ) |
1,044,040 |
1,261,014 |
20.8 |
貨物輸送重量 |
(トン) |
194,398 |
193,331 |
△0.5 |
貨物トンキロ |
(千トンキロ) |
216,666 |
214,782 |
△0.9 |
郵便収入 |
(億円) |
21 |
20 |
△6.1 |
郵便輸送重量 |
(トン) |
18,920 |
17,705 |
△6.4 |
郵便トンキロ |
(千トンキロ) |
18,775 |
17,788 |
△5.3 |
貨物重量利用率 |
(%) |
22.6 |
18.4 |
△4.1 |
※ 下記(注)3、5、6、9、10、11、12参照。
国際線貨物では、第3四半期(10月~12月)において中国発北米向けの需要が増加したものの、半導体・電子機器、自動車関連をはじめとした主要産業のマーケット需要の減退が続いたこと等から、輸送重量・収入ともに前年同期を下回りました。
路線ネットワークでは、路線や曜日別に需要動向を見極め、貨物専用機の供給量を調整することで収益性の確保に努めました。
また、当社は7月に日本貨物航空株式会社を完全子会社とする株式交換契約を締結しました。なお、株式交換の効力発生日は2024年4月1日を予定しています。
<LCC>
項 目 |
前第3四半期連結累計期間 (自 2022年4月1日 至 2022年12月31日) |
当第3四半期連結累計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年12月31日) |
前年同期比 増減率 (%) |
|
LCC収入 |
(億円) |
620 |
1,010 |
62.9 |
旅客数 |
(人) |
5,613,864 |
7,042,857 |
25.5 |
座席キロ |
(千席キロ) |
9,050,762 |
10,156,268 |
12.2 |
旅客キロ |
(千人キロ) |
6,414,372 |
8,758,913 |
36.6 |
利用率 |
(%) |
70.9 |
86.2 |
15.4 |
※ 下記(注)7、8、12、13参照。
LCCでは、国内線においてはレジャー需要が好調に推移し、国際線においては訪日需要等を積極的に取り込んだ結果、旅客数・収入ともに前年同期を上回りました。
路線ネットワークでは、旺盛な訪日需要に対応するために、10月から関西=仁川線、関西=香港線を増便し、上期に続いて運航規模を拡大しました。
営業・サービス面では、国内線限定の「クリスマスセール」やANAと共同で行った「ピーチポイントプレゼントキャンペーン」等の実施を通じて、レジャー需要の喚起を図るとともに新規顧客の取り込みに努めました。
<その他>
航空事業におけるその他の収入は1,168億円(前年同期1,076億円、前年同期比8.5%増)となりました。なお、航空事業におけるその他には、マイレージ附帯収入、機内販売収入、整備受託収入等が含まれています。
◎航空関連事業
売上高2,092億円(前年同期比16.0%増) 営業利益96億円(同86.6%増)
外国航空会社から旅客の搭乗受付や手荷物搭載等の空港地上支援業務の受託が増えたことに加え、旅客需要の回復に伴い、機内食関連業務が増加したこと等により、売上高・営業利益ともに前年同期を上回りました。
◎旅行事業
売上高592億円(前年同期比11.6%増) 営業利益13億円(前年同期 営業損失6億円)
国内旅行については、関東や北海道方面を中心としたダイナミックパッケージ商品や「ANAトラベラーズホテル」等の商品が好調に推移しました。海外旅行については、ハワイ方面や韓国・台湾を中心としたアジア方面への個人旅行等の需要を積極的に取り込みました。以上の結果、売上高・営業利益ともに前年同期を上回り、営業黒字に転換しました。
また、11月からモバイルペイメントサービス「ANA Pay」において、従来のタッチ決済に加えてコード決済機能を導入し、利用店舗の拡大とお客様の利便性向上に努めました。
◎商社事業
売上高867億円(前年同期比13.3%増) 営業利益42億円(同41.9%増)
旅客需要の回復に伴い、空港物販店「ANA FESTA」、免税店「ANA DUTY FREE SHOP」や観光土産品卸売「FUJISEY」が好調に推移したことに加え、食品事業において主力商品であるバナナの取扱高が増加したこと等により、売上高・営業利益ともに前年同期を上回りました。
◎その他
売上高287億円(前年同期比5.6%増) 営業利益7億円(同78.7%増)
不動産関連事業や空港設備保守管理事業において取扱高が増加したこと等から、売上高・営業利益ともに前年同期を上回りました。
(注) 1.セグメント内の内訳は内部管理上採用している区分によっています。
2.各セグメントの売上高はセグメント間の売上高を含み、営業利益はセグメント利益に該当します。
3.国際線、国内線ともに不定期便実績を除きます。
4.国内線旅客実績には、アイベックスエアラインズ㈱、㈱AIRDO、㈱ソラシドエア及び㈱スターフライヤーとのコードシェア便実績及びオリエンタルエアブリッジ㈱との一部のコードシェア便実績を含みます。また、2021年8月27日から2022年10月29日のPeach Aviation㈱とのコードシェア便実績を含み、2022年10月30日から天草エアライン㈱及び日本エアコミューター㈱との一部のコードシェア便実績を含みます。
5.国際線貨物及び郵便実績には、コードシェア便実績、エアラインチャーター便実績、ブロック・スペース契約締結便実績及び地上輸送実績を含みます。
6.国内線貨物及び郵便実績には、Peach Aviation㈱、㈱AIRDO、㈱ソラシドエア、オリエンタルエアブリッジ㈱及び㈱スターフライヤーとのコードシェア便実績、エアラインチャーター便実績及び地上輸送実績を含みます。
7.座席キロは、各路線各区間の有効座席数(席)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
8.旅客キロは、各路線各区間の旅客数(人)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
9.有効貨物トンキロは、各路線各区間の有効貨物重量(トン)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。なお、旅客便については、床下貨物室(ベリー)の有効貨物重量に各区間距離を乗じています。また、床下貨物室の有効貨物重量には、貨物・郵便の他、搭乗旅客から預かる手荷物搭載の有効搭載重量も含まれています。
10.貨物トンキロ及び郵便トンキロは、各路線各区間の輸送重量(トン)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
11.貨物重量利用率は、貨物トンキロと郵便トンキロの合計を有効貨物トンキロで除した数値です。
12.利用率及び貨物重量利用率については、「前年同期比増減率(%)」の欄に前期差(%)を記載しています。
13.LCC実績は、Peach Aviation㈱の実績です。
(2) 財政状態
資産の部は、現金及び預金が増加したこと等により、前期末に比べて1,183億円増加し、3兆4,850億円となりました。
負債の部は、借入金の返済が進んだこと等により、前期末に比べて327億円減少し、2兆4,636億円となりました。なお、有利子負債(無利子のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を含む)は、前期末に比べて779億円減少し、1兆5,299億円となりました。
純資産の部は、親会社株主に帰属する四半期純利益を計上したこと等により、前期末に比べて1,510億円増加し、1兆214億円となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等について
当第3四半期において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
エアバスA320neo/A321neo型機に装着しているプラット・アンド・ホイットニー社製のエンジンの点検により、2024年1月以降、国際線・国内線にて減便を実施していますが、国際線旅客をはじめ、今後も需要が堅調に推移すると見込まれることから、減便の影響は限定的であると想定されます。引き続き、回復が進む需要を取り込みながらコストマネジメントを行い、利益の最大化を目指します。
(5) 研究開発活動
航空事業セグメントにおいては、より安全で快適かつ効率的な航空運送サービスを提供するための多様な改良・改善活動を推進しています。
また、航空事業をはじめ各セグメントにおける事業活動が及ぼす環境負荷の逓減活動も推進しています。
なお、上記活動に関して「研究開発費等に係る会計基準」に定義する研究開発費に該当するものはありません。