売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E34336 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、アフターコロナの生活が定着する等、コロナ禍前の正常な経済活動を取り戻しつつあるものの、為替環境が歴史的な円安を継続する状況下、輸入産品の値上げに端を発するインフレ圧力が高まる中で推移してまいりました。

国内景気は、企業収益の好調さを背景に足元の株式市場においてバブル崩壊前の最高値圏に迫る水準にあり、また家計においてはコロナ禍において積み上がった過剰貯蓄の取り崩し等もあり、個人消費がコロナ禍前の水準を取り戻す堅調な動きを見せております。特にここ数年にわたり新型コロナウイルス感染症の影響を最も大きく受けてきた旅行、娯楽、外食分野における個人消費において、アフターコロナへの移行とともに顕著な改善が図られております。

一方、輸出入においては、為替市場において円安が継続していることから、円換算ベースの金額では輸出、輸入ともにコロナ禍前の水準を上回る状況にあります。輸出は、半導体市場の調整等により減少傾向にある半導体、電子、デバイス関連の製造業が依然弱含むものの、供給制約の緩和を受けてきた自動車、輸送機械が持ち直しつつあり、輸入は、資源価格の値上がりによって輸入インフレを引き起こす状況にあります。そうした中で賃金は、深刻な人手不足に悩まされる宿泊、飲食等のサービス業を始め各産業において賃上げ圧力が高まっており、好調な企業業績を背景に大幅な賃上げを断行する企業も現れており、30年ぶりの高い賃上げが実現した2023年春闘に続き、本年春闘においても高い賃上げ率が予想されております。しかしながら、こうした賃上げ状況にあっても、円安環境下での輸入インフレは、実質賃金の減少を招き、個人消費の下振れリスクをはらむ状況にあります。

こうした状況下、内閣府が発表した2023年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値(物価変動の影響を除いた実質の季節調整値)は、前期比0.1%減(年率換算0.4%減)と2四半期連続のマイナス成長となりました。マイナス成長の中でも当該GDP速報値の押し上げに寄与したのは、インバウンド(訪日外国人)消費であり、12月の訪日外国人数が273万人とコロナ禍前の2019年12月の253万人を上回る水準となり、2023年と2019年の通年比較においても80%を超える水準まで回復してきたことが確認されました。円安により日本の物価が外国人観光客にとって割安になったことも手伝い、旅行費、宿泊費等への支出が増加しました。今後、足元の円安の為替環境によって、訪日外国人の更なる増加、旅行単価の上昇や滞在日数の長期化から旅行費、宿泊費等への支出が大きく伸びる見込みであり、2019年に訪日外国人の3割以上を占めていた訪日中国人がコロナ禍前の40%程度に留まる状況が解消されれば、さらなる増加が期待できる状況にあります。

一方、世界に目を向けると、2022年2月にロシアがウクライナへ軍事侵攻してから2年が経過したものの、依然として終戦の糸口が見つからず、また2023年10月には、イスラエルとハマスが軍事衝突を起こし、現在もなおガザ地区において多くの犠牲者が出る等、一部地域において緊張した状況が続いております。また、先進各国においてはインフレが進行しており、これに対して欧米の中央銀行は金利引き上げにて対応する等、先進各国の景気はなんとか維持される中で推移しております。

米国においては、米商務省が発表した2023年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値が年率換算で前期比3.3%増と前四半期の4.9%増からは減速したものの、6四半期連続でプラス成長となりました。GDPの7割近くを占める個人消費が減速傾向にあるものの、前期比2.8%増と相変わらず堅調であり、特に飲食を中心としたサービス消費がコロナ禍前の水準に戻りつつありますが、一方で金利上昇の影響が拡大する中、経済活動の一段の鈍化も予想されております。FRBは、歴史的な高水準にあるインフレに対して依然として警戒感を示しており、2024年1月に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)においては、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25~5.50%に維持する決定をしました。このようにインフレ抑制のために積極的に行ってきた政策金利のコントロールもインフレ率が低下傾向にあること等により、利下げ観測も一部取り沙汰されております。

また、中国においては、中国国家統計局が発表した2023年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値が物価の変動を調整した実質年率換算ベースで前年同期比5.2%増となりました。コロナ禍後、外食、娯楽、観光等のサービス消費が持ち直したものの、コロナ禍前の力強い経済成長が果たせていない状況にあり、その背景としては、個人消費の停滞と、不動産市場の悪化が上げられております。中国政府が中央・地方政府債務残高の膨張回避を重視していることから、大規模な財政拡張には消極的な姿勢を示しており、経済成長が鈍化することとなりました。

こうした経済環境下、当社グループの属する外食産業は、国民生活がアフターコロナに移行する中で旅行、宿泊、飲食といったサービス消費は堅調な回復を図りつつあることから追い風の状況に移行しつつあります。特に政府がアフターコロナ移行に伴い、各種入国管理規制を撤廃させたことにより、訪日外国人数が急回復しており、今後、一層のインバウンド需要の拡大が期待されております。足元の円安傾向も継続していることから、絶好のビジネスチャンスが到来しつつある状況と言えます。一方で現下の雇用情勢は、労働逼迫の厳しい状況をもたらしており、対面型サービス産業、とりわけ外食産業においては、人手不足解消に向けての賃上げが不可避な状況に至っております。

このような外食産業を取り巻く経営環境において、当社グループはコロナ禍前との対比において既存店売上が堅調な業績にて推移しており、加えてコロナ禍において出店を緩めなかった経営判断が功を奏し、新店出店効果も相まって事業拡大が確実に進んでおります。特に2022年6月に東京駅八重洲地下街に7業態を集め、複合ラーメン施設(ラーメンコンプレックス)としてオープンさせた東京ラーメン横丁は、現在もなお各店舗ともに月間最高売上記録を更新する等、コロナ禍においてここ数年にわたって実施してきた重点投資戦略の成功を実感することができました。このように当社グループは、当該施設への複数店舗出店を成功に導いた業態開発力についても商品開発部門を中心に常にブラッシュアップし続けております。今後も数多くの競争力ある業態を創り出し、有力マーケットに対して複数業態での新規出店を進めてまいります。当社グループは、経営環境がコロナ禍であっても、アフターコロナであっても、これまで安定的な事業拡大を図ってきており、横浜家系ラーメン業態の「町田商店」、ガッツリ系ラーメン業態の「豚山」、油そば業態の「元祖油堂」といった競争力のある業態、ブランドに留まらず、次なる業態、ブランドの開発を常に進めながら、今後も成長軌道を維持してまいります。一方、事業拡大に向けた各種取組みを進める中、当第1四半期連結累計期間においては、人件費等の運営コストの値上がりに対し、直営店舗にて提供する商品価格を見直さざるを得ない状況となり、最低限の価格転嫁(一部値上げ)を行いました。しかしながら、当該値上げによるマイナス影響は、現時点では把握されておらず、現在の積極的な新規出店状況においても既存店の来店客数の減少には繋がっていないという予想以上の好結果を生みだすこととなりました。

さらに、当社グループ直営店並びにプロデュース店への供給体制についてもBCPの観点から、ここ数年、立地、生産品目等、生産体制の戦略的見直しを図っており、当第1四半期連結累計期間においても前期より準備してきた神栖工場(茨城県神栖市)の稼働を期初より開始いたしました。この結果、製麺工場4拠点、チャーシュー工場1拠点、スープ工場1拠点と国内6工場体制を構築することとなりました。当社グループでは、SCMの視点をもって物流効率、物流コスト、物流リードタイムの大幅改善を進めており、前年までに関東、中京・関西に物流倉庫を配備し、さらに、北関東・東北物流センターを新規開設する等、生産体制、物流体制の絶え間ない見直しを進めてきたことにより、直営店舗、プロデュース店舗に対して効率的な後方支援体制を整えるに至りました。

以上のように、直営店やプロデュース店の出店戦略に留まらず、生産体制、物流体制においてもグループ力強化を図ってまいりました当社グループは、行動制限が解消された現在のアフターコロナの経営環境においても従業員の雇用確保、積極的な新規出店等、他の飲食業者と一線を画した事業活動を展開することができ、堅調な業績を確保することとなりました。当第1四半期連結累計期間におきましては、国内の直営店、プロデュース店ともに店舗数を増加させることにより、売上拡大を図ることができました。

 

 以上の結果、財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当第1四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ15,229千円増加し、12,542,699千円となりました。

 当第1四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ470,370千円減少し、5,285,051千円となりました。

 当第1四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ485,600千円増加し、7,257,648千円となりました。

 

b.経営成績

 当第1四半期連結累計期間の経営成績は、売上高6,810,928千円(前年同期比30.8%増)、営業利益908,783千円(前年同期比70.3%増)、経常利益921,831千円(前年同期比68.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益620,639千円(前年同期比63.4%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績については、当社グループの事業が単一セグメントであることから、以下のとおり事業部門別に示します。

 直営店事業部門の売上高は5,712,107千円(前年同期比32.4%増)となりました。

 プロデュース事業部門の売上高は1,098,820千円(前年同期比23.1%増)となりました。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

a.セグメント別の業績の概況

当第1四半期連結累計期間におけるセグメント別の概況については、当社グループの事業が単一セグメントであることから、事業の概況については以下のとおり事業部門別に示します。

 

(直営店事業部門)

国内直営店事業部門においては、当第1四半期連結累計期間を通じて積極的な出店を続け、直営店6店舗の新規出店を果たしましたが、出店ビルの建て壊しによる立ち退きを余儀なくされた既存店1店舗の撤退により、5店舗の純増となりました。当該期間における直営店の新規出店は、主力である横浜家系ラーメン業態の「町田商店」で2店舗、ガッツリ系業態の「豚山」で1店舗、油そば業態の「元祖油堂」で2店舗、その他業態で1店舗とバランスよく行うことができました。

当第1四半期連結累計期間におきましては、「町田商店」ブランドにてロードサイド店1店舗、駅近店1店舗を出店いたしました。ロードサイド店としては、千葉県3店舗目として柏市へ出店いたしました。また、駅近店としては、小田急線新百合丘駅に出店いたしました。いずれも出店後、地域のお客様より好評を博すラーメン店としてのスタートを切ることができました。

「町田商店」に次ぐ第2ブランドであるガッツリ系ラーメン業態の「豚山」では、当第1四半期連結累計期間において、埼玉県さいたま市与野本町にロードサイド店を出店いたしました。「豚山」のロードサイド店は、前期より出店を開始しており、駐車場を完備したロードサイドの本格的ガッツリ系ラーメン業態として、どの店舗も一定のご評価をいただいており、新たな顧客ニーズを発掘することとなりました。

さらに当第1四半期連結累計期間では、新規出店時に店舗のインフラ上の制約を比較的受けにくいブランドであり、当社グループの第3ブランドの地位を確立しつつある油そば業態の「元祖油堂」を東京23区内の駅近エリアに2店舗出店いたしました。1店舗は、東京メトロ日比谷線の神谷町駅に、またもう1店舗は、JRと東京メトロ日比谷線が交錯する恵比寿駅にそれぞれ出店いたしました。当該業態は、当社グループの直営店、プロデュース店が数多く出店している横浜家系ラーメン業態、ガッツリ系業態とは趣向の異なる業態であることから、出店時の調整が比較的容易であり、且つオフィス立地において十分に競争力がある業態ゆえ、「元祖油堂」は、これまで出店の制約を受けていた東京23区内を始めとする都心エリアに積極出店を叶える強力なブランドとなりつつあります。

また、当社グループでは、従前より新商品、新業態の開発に対しても商品開発部門を中心に各種テーマへ積極的に取り組んでおり、東京ラーメン横丁にて繁盛店としてご評価いただいている味噌業態の「いと井」についても当第1四半期連結累計期間に2号店を出店いたしました。また、当社グループでは、それ以外の業態についても第4ブランドとなる競争力のあるブランドの開発を精力的に進めております。

海外直営店事業部門においては、現在、「E.A.K. RAMEN」ブランドの横浜家系ラーメン業態にて米国ニューヨーク州にのみ展開しており、2022年11月、ペンシルベニア駅施設のフードコート内にニューヨーク3号店をオープンさせ、合計3店舗となっております。これまでのニューヨーク店舗は、2店舗とも路面店でありましたが、当該店舗は、当社グループとして初めてのフードコート内出店となりました。当該フードコートのあるペンシルベニア駅は、全米1位の乗降客数を誇り、近隣に2万人収容のスポーツアリーナと、5千人収容のシアター等が設置されており、加えてプロバスケットボール、プロアイスホッケーの試合が開催されるマディソンスクエアガーデンに近接する集客力の高いエリアでもあることから、既に既存の路面店2店舗の売上を凌ぐ繁盛店となっております。当該出店の成功は、今後の米国での直営店事業の展開における分水嶺となったことから、今後の事業展開に期待を抱かせるものとなりました。

以上の結果、当第1四半期連結累計期間末の当社グループの店舗数は、直営店193店舗(国内190店舗、海外3店舗)、業務委託店9店舗、合計202店舗となりました。また、直営店事業部門の売上高は5,712,107千円となりました。

 

(プロデュース事業部門)

国内プロデュース事業部門においては、既出店地域においてこれまで通り、商圏における潜在需要試算に基づく出店ルールに従ってプロデュース店と直営店との間できめ細かく調整を行いながら、出店を進めてまいりました。未出店地域においては、当社グループとして直営店を出店させる予定のない地域については、新規オーナーの開拓を精力的に行ってまいりました。既存プロデュース店は、コロナ禍において来客数、売上が減少したものの、アフターコロナへ移行する環境変化とともに業績回復が進み、当第1四半期連結累計期間においては、各既存プロデュース店ともに堅調な業績を残すこととなりました。これまで当社グループ直営店の成功ノウハウをもとにきめ細かく支援してきた成果が現れることとなりました。また、当社が開発した新業態を既存プロデュース店オーナーが自ら展開することを検討する場面も増えてきており、これまでの横浜家系ラーメン業態を中心としたプロデュース事業に加え、新業態では当社グループの展開するブランド名(同一の屋号)でのFC事業も前期より開始いたしました。このようにプロデュース事業部門においては、事業ラインナップの充実化を進め、より付加価値の高い提案活動を展開できるよう各種準備を進めてまいりました。

海外プロデュース事業部門においては、既存オーナーの出店意思を確認しながら新規出店地域の検討を行い、新型コロナウイルス感染症拡大の状況下においても出店支援を進めております。また、前期より「Machida Shoten(町田商店)」の店舗名でのFC事業を本格的に展開し始めております。特に東南アジアにおいて「Machida Shoten(町田商店)」に対する出店要請は高く、当社グループではフランチャイズパートナーとの出店交渉を戦略的に進めてきており、この結果、現在、タイ1店舗、ベトナム3店舗、カンボジア1店舗の出店を叶えることとなりました。このように、FC事業は、東南アジアにて順調にスタートすることができ、各国のフランチャイジーとのFC契約締結も進んでいることから、今後も北米、アジア等において「Machida Shoten(町田商店)」のブランドを中心としてFC事業にかかる営業活動を積極的に展開してまいります。

以上の結果、当社グループがプロデュースする店舗数は、当第1四半期連結累計期間に5店舗の純増となり、結果、プロデュース店は国内527店舗、海外14店舗、FC店は国内7店舗、海外5店舗、合計553店舗となりました。また、プロデュース事業部門の売上高は1,098,820千円となりました。

 

b.財政状態の分析

(資産)

 当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ15,229千円増加し12,542,699千円となりました。これは主に、配当及び法人税等の支払、借入金の返済、及び固定資産の取得により現金及び預金が276,121千円減少した一方、積極的な出店を行ったこと等により建物及び構築物などの有形固定資産が243,552千円、敷金及び保証金が49,570千円増加したこと等によるものであります。

 

(負債)

 当第1四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べ470,370千円減少し5,285,051千円となりました。これは主に、短期借入金が63,477千円、1年内返済予定の長期借入金が34,032千円増加した一方、未払法人税等が64,172千円、長期借入金が47,509千円、流動負債その他が375,133千円減少したこと等によるものであります。

 

(純資産)

 当第1四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べ485,600千円増加し7,257,648千円となり、自己資本比率は57.8%となりました。これは主に、配当の支払に伴い利益剰余金が179,495千円減少した一方、親会社株主に帰属する四半期純利益620,639千円の計上により利益剰余金が増加したこと等によるものであります。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等

 当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

 特に記載すべき事項はありません。