売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E24545 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績の分析

(a)業績の概況

当第3四半期連結累計期間(2023年4月~12月)の日本経済は、多くの業種で価格転嫁が進み、企業の収益が改善したほか、インバウンドの増加などにより企業の景況感は回復基調が維持されています。一方、物価の上昇で家計の景況感が低下していることに加え、人手不足の深刻化も一段と強まり、先行きの不透明感が払しょくされていない状況が続いています。

こうした状況のなかで、当社グループは「放送」「配信」「アニメ」の相乗効果を発揮させる「トライブリッド戦略」を徹底して収益力を高めるべく、全コンテンツ・全配信を実施しております。当第3四半期においては、広告市況の伸び悩み等が影響し、売上高は前年同期比0.6%減の110,053百万円、営業費用は、1.6%増の104,298百万円となりました。売上高の減少と営業費用の増加により、営業利益は29.3%減の5,754百万円、経常利益も23.0%減の6,463百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は4.2%減の5,153百万円となりました。

また、当社グループの中核子会社である㈱テレビ東京の決算について、売上高は3.3%減の80,504百万円となりました。営業利益は42.6%減の3,592百万円、経常利益は41.1%減の5,517百万円、税引前四半期純利益は29.6%減の6,576百万円となりました。㈱テレビ東京の事業を構成する放送事業、ライツ事業の状況についてはそれぞれ(b)セグメント別の状況の「地上波・BS放送事業」「アニメ・配信事業」に記載しております。

今後につきましては、国内外の不確実な状態が続く中、独自のコンテンツ作りを通じて放送事業の収益をできる限り確保しつつ、アニメ事業の海外展開を一段と進めてまいります。中国市場に加え、東南アジアや欧米でのアニメ作品の配信や、商品化も加速します。また、ドラマにつきましてもアジア地域での展開をよりいっそう進め、テレビ東京グループの総力を結集して業績向上を目指してまいります。

 

(b)セグメント別の状況

当社は2023年5月11日開催の取締役会において、当連結会計年度よりセグメント区分を変更することを決議いたしました。

前連結会計年度において「地上波放送事業」「放送周辺事業」「BS放送事業」「コミュニケーション事業」と区分しておりましたが、当連結会計年度より「地上波・BS放送事業」「アニメ・配信事業」「ショッピング・その他事業」の3つを報告セグメントとしております。

セグメント別の業績は以下の通りです。なお、前連結会計年度の数値については変更後の区分により作成したものを記載しております。

 

 

                                   (単位:百万円)

 

売上高

営業利益

金額

前年同期比

金額

前年同期比

増減額

増減率(%)

増減額

増減率(%)

地上波・BS放送事業

70,504

△3,688

△5.0

2,412

△1,931

△44.5

アニメ・配信事業

31,707

606

1.9

3,822

△256

△6.3

ショッピング・その他事業

12,274

1,838

17.6

320

△107

△25.2

調整額

△4,432

532

△800

△87

合計

110,053

△711

△0.6

5,754

△2,383

△29.3

 

 

[地上波・BS放送事業]

地上波・BS放送事業はテレビ東京グループ各社が行う放送事業となっております。

①地上波放送事業(㈱テレビ東京)

放送事業収入(売上高)の合計は4.8%減の56,401百万円となりました。

このうち番組提供のスポンサーから得られるタイム収入は、系列局を通じた全国放送(ネット部門)において前年割れとなりました。10月以降の番組編成の改編に伴い営業企画番組が終了したことや、ゴールデン帯に放送される番組のスポンサー減などにより売上高が減少した結果です。一方、首都圏放送(ローカル部門)は、ミニ番組のセールスが好調に推移したことに加え、新しいセールス施策である時報CM企画が決まるなど、前年同期を上回る売上高となりましたが、ネットとローカルを合わせたレギュラー部門全体では前年に届かない結果となりました。特別番組部門においても、「世界卓球」などのスポーツ中継や「テレ東60祭」関連のセールスは好調に推移したものの、年末セールスで前年を下回り減収となりました。タイム収入全体では2.1%減の32,352百万円となりました。

スポット収入は、コロナの5類移行に伴い『交通・レジャー』の広告主からの出稿が回復し、『化粧品・トイレタリー』『金融・保険』『飲料』などの出稿も増加しましたが、『官公庁・団体』『情報・通信』『外食・各種サービス』などにおいて出稿減となりました。また、個人視聴率の低下傾向が影響し東京地区の広告市場は前年同期比7.2%減と全体的に厳しく、㈱テレビ東京も地区同様に厳しい状況が続いております。特にスタートアップ企業やヒューマンリソース企業など前年シェアの高かった広告主からの出稿が減少したことで、東京地区における㈱テレビ東京のシェアが相対的に低下しました。この結果、スポット収入は10.3%減の19,123百万円となりました。

地方放送局などへの番組販売では、他系列の地方放送局において、スポーツ中継などの編成が大幅に増加し、全体として番組購入需要が減少する傾向となりました。番組別では、「YOUは何しに日本へ?」や「ありえへん∞世界」など販売が好調に推移した番組はあるものの、番組販売収入は2.9%減の3,215百万円となりました。

コストの面では、放送収入の減少に伴う代理店手数料の減少などにより、放送事業の費用は5.7%減の44,566百万円となりました。

前年同期比では収入が費用以上に減少したため、㈱テレビ東京単体の放送事業利益は0.9%減の11,834百万円となりました。

②BS放送事業(㈱BSテレビ東京)

BS放送事業収入(売上高)の合計は7.2%減の11,854百万円となりました。

このうちタイム収入は、年末の特番セールスや単発通販のセールスが好調でしたが、4月以降の一社提供レギュラー番組の終了などが響き、前年を下回る結果となりました。一方、スポット収入に関しては、10月以降、商品量を確保し通販スポンサーを中心に効率よくセールスするとともに、単価の高い一般スポンサーの出稿が回復し前年を上回りましたが、タイム収入の落ち込みをカバーしきれず、放送収入全体としては前年を下回りました。

営業費用は、放送収入の減少に伴う代理店手数料の減少や、番組制作費やソフト費等の減少により、前年同期比8.6%減の10,110百万円となりました。

以上の結果、費用が収入に比べ大幅に減少したため、BS放送事業(㈱BSテレビ東京)の営業利益は1.9%増の1,744百万円となりました。

 

これらに加えて㈱テレビ東京メディアネットなど放送関連会社の売上を合計し、同一セグメント内取引を調整したセグメント売上高は5.0%減の70,504百万円、営業利益は44.5%減の2,412百万円となりました。

 

[アニメ・配信事業]

アニメ・配信事業は、㈱テレビ東京が持つコンテンツを活用し放送による広告以外に収入を上げている「ライツ事業」や、㈱テレビ東京コミュニケーションズ・㈱エー・ティー・エックスなどのグループ会社が行うアニメのCS放送や音楽関連ビジネス事業を指します。主に海外向けの番組販売、ゲーム化による権利、インターネットを通じた課金型配信プラットフォーム、広告付き動画配信プラットフォーム向けのコンテンツ供給、イベントなどから得られる収入となります。

①ライツ事業(㈱テレビ東京)

当第3四半期におけるライツ事業の収入(売上高)は、0.4%増の24,102百万円となりました。

この主軸であるアニメ部門は、BORUTOのSNSゲームが中国で売上を伸ばしたほか、欧州におけるNARUTOの配信や映像化権、海外での遊戯王の商品化などが好調でした。また、国内においてもポケットモンスターやSPY×FAMILYなどの商品化が売上に貢献しましたが、前年に中国配信プラットフォームとの大型案件があった反動で、アニメ部門全体の収入は3.0%減の14,980百万円となりました。

ドラマやドキュメンタリーなどの放送番組や放送以外の独自コンテンツを課金プラットフォームなどに販売する配信ビジネス部門は、「きのう何食べた?season2」「みなと商事コインランドリー2」「孤独のグルメ」シリーズなどのドラマを中心に国内配信権販売が好調に推移しました。映画は「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」の配信収入や「劇場版きのう何食べた?」等の配信権販売および放映権販売が売上を伸ばしました。配信ビジネス部門全体の収入は、6.2%増の7,931百万円となりました。

イベント部門については、「ゴッドタン マジ歌ライブ2023」や「ぷしゅソングフェス」「田村淳のTaMaRiBa」など放送や配信と連動したイベントを積極的に実施しました。イベント収入は6.9%増の1,190百万円となっております。

ライツ事業の全体の費用は、事業の拡大に伴い増加傾向にあるものの、前年にあった大型案件の反動などにより、3.6%減の13,408百万円となりました。

以上の結果、ライツ事業の利益は5.8%増の10,694百万円となりました。

②その他アニメ・配信事業

音楽出版関連の㈱テレビ東京ミュージックは、アニメ「SPY×FAMILY」や「NARUTO」のテーマ曲およびBGMが売上を伸ばしたことに加え、SUPERBEAVERやsumika、純烈などが歌う楽曲が好調となり、国内印税は前年を上回る結果となりました。海外印税もアニメ関連楽曲を中心に好調に推移し、㈱テレビ東京ミュージックの売上高は前年同期比24.4%増の3,257百万円となりました。

CS放送アニメ専門チャンネル「AT-X」を手掛ける㈱エー・ティー・エックスは、放送売上に関しては、「AT-X」の加入者数が依然として緩やかに減少しているため減収となりました。一方、前年好調だったライツ売上に関しては、「東京リベンジャーズ」「Re:ゼロから始める異世界生活」などを中心に引き続き好調でしたが、売上高全体では前年に届かず、前年同期比3.7%減の2,464百万円となりました。

 

これらに加えて㈱テレビ東京コミュニケーションズの売上高を合計し、同一セグメント内取引を調整したセグメント売上高は1.9%増の31,707百万円、営業利益は6.3%減の3,822百万円となりました。

 

[ショッピング・その他事業]

ショッピング・その他事業は㈱テレビ東京ダイレクトほか3社が手掛けるテレビ通販やECコマース、グループ全体のサポート事業を指しております。

㈱テレビ東京ダイレクトは、「テレビ東京ショッピング」において暖冬の影響による冬物商材の伸び悩みがあったものの、夏物商材の好調もあり増収となりました。定期購入の頒布会不振が続く「虎ノ門市場」は、年末の海鮮商品が伸び悩み減収となりましたが、「テレ東本舗。」が「テレ東60祭」イベントや実店舗売上の好調により増収となりました。これにより㈱テレビ東京ダイレクトの売上高は前年同期比0.3%増の8,895百万円となりました。

㈱リアルマックスは、前連結会計年度の第3四半期末に新たに連結子会社となったため、第3四半期の連結売上高の前年比較においては、純増要因となっております。㈱リアルマックスは、主力商品であるクラブセットとキャディバッグの需要が大きく落ち込み、売上高は前年同期比21.0%減の1,864百万円となりました。

 

これらに加えて㈱テレビ東京システム、㈱テレビ東京ビジネスサービスの売上高を合計して、同一セグメント内取引を調整したセグメント売上高は17.6%増の12,274百万円、営業利益は25.2%減の320百万円となりました。

 

※画像省略しています。

 

 

(2) 財政状態の分析

 

(資産)

流動資産は83,993百万円、前連結会計年度末に比べて1,711百万円減少しております。主に、現金及び預金、制作勘定がそれぞれ5,457百万円、330百万円減少した一方で、受取手形及び売掛金、未収還付法人税等、その他がそれぞれ2,656百万円、393百万円、952百万円増加したことによるものです。

固定資産は55,307百万円、前連結会計年度末に比べて1,078百万円増加しております。投資その他の資産が1,024百万円増加したことが主な要因です。

 

(負債)

流動負債は38,732百万円、前連結会計年度末に比べて3,109百万円減少しております。主に、支払手形及び買掛金、未払費用、賞与引当金がそれぞれ566百万円、1,822百万円、1,146百万円減少した一方で、その他が974百万円増加したことによるものです。

固定負債は4,339百万円、前連結会計年度末に比べて400百万円減少しております。退職給付に係る負債が336百万円減少したことが主な要因です。

 

(純資産)

純資産は96,228百万円、前連結会計年度末に比べて2,876百万円増加しております。利益剰余金、その他有価証券評価差額金がそれぞれ2,973百万円、541百万円増加した一方で、自己株式の取得により731百万円減少したことが主な要因です。

 

 

(3) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は156百万円であります。

なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。