売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E30908 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当第3四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

 当第3四半期累計期間(2023年4月1日から2023年12月31日まで)におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する中で緩やかな回復が見られるものの、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念等、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

 当社が属する出版業界におきましては、紙の出版物の市場は厳しい状況が続いているものの、一方で電子出版の市場は堅調な成長を続けております。公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所によると、2023年(1月から12月まで)の紙と電子を合算した推定販売金額は前年同期比2.1%減の1兆5,963億円となり、その内訳は、紙の出版物については同6.0%減の1兆612億円、電子出版については同6.7%増の5,351億円となっております。

 こうした環境の中、インターネット発の出版の先駆者である当社は、「これまでのやり方や常識に全くとらわれず」、「良いもの面白いもの望まれるものを徹底的に追求していく」というミッションの下、インターネット時代の新しいエンターテインメントを創造することを目的とし、インターネット上で話題となっている小説・漫画等のコンテンツを書籍化する事業に取り組んでまいりました。

 当第3四半期累計期間における書籍のジャンル別の概況は以下の通りであります。

 

① ライトノベル

 当第3四半期累計期間の刊行点数は前年同期を大きく上回る252点(前年同期比59点増)となりました。2024年1月からTVアニメ第2期の放送を開始する『月が導く異世界道中』の最新巻を刊行し、さらに書店の需要に応じた既刊各巻の増刷及び出荷を行ったことで、本タイトルが売上を大きく牽引いたしました。また、ボーイズラブレーベル「アンダルシュノベルズ」から刊行した『最推しの義兄を愛でるため、長生きします!』の第3巻が、前巻に続いて好評を博し、紙書籍のみならず、女性向け小説と親和性の高い電子書籍販売においても販売数を伸ばし、好調な売れ行きを示しました。

 結果、当第3四半期累計期間の売上高は前年同期を上回る着地となりました。

 

② 漫画

 当第3四半期累計期間の刊行点数は前年同期を上回る134点(前年同期比22点増)となりました。各書籍の売れ行きにつきましては、TVアニメ第2期の放送を開始する『月が導く異世界道中』やシリーズ累計700万部を突破した『ゲート』等の人気シリーズの続刊が引き続き好調に推移いたしました。また、当ジャンルと非常に親和性の高い電子書籍販売につきましては、刊行点数の増加に伴い新規配信作品数が拡大したことに加え、各電子ストアにおいて作品露出の強化や販売強化等の施策を複数展開したことにより、売上高は大幅に増加いたしました。

 結果、当第3四半期累計期間の売上高は前年同期を大幅に上回る着地となりました。

 

③ 文庫

 当第3四半期累計期間の刊行点数は前年同期を上回る136点(前年同期比16点増)となりました。当ジャンルにおいては、取扱いジャンルの拡大を目的として、「キャラ文芸」「ライト文芸」「ホラー・ミステリー」等の開拓中のジャンルから、各Webコンテンツ大賞における受賞作を中心に優秀な作品を複数刊行してまいりました。

 しかし、開拓中のジャンルにおける刊行を強化した反面、刊行書籍1点あたりの発行部数は前年同期より減少したことから、当第3四半期累計期間の売上高は前年同期を下回る金額で着地いたしました。

 

 

④ その他

 当第3四半期累計期間の刊行点数は3点(前年同期比2点減)となりました。シリーズ累計141万部の人気作『居酒屋ぼったくり』の著者の最新作『深夜カフェ・ポラリス』を刊行し、本タイトルが想定通りの好調な売れ行きを示して、当ジャンルの売上を牽引いたしました。

 しかしながら、刊行計画の都合上、刊行点数が前年同期から減少したことにより、当第3四半期累計期間の売上高は前年同期を下回る金額で着地いたしました。

 

 以上の活動の結果、当第3四半期累計期間の売上高は7,716,507千円(前年同期比10.6%増)となりました。

 利益面につきましては、増収効果はあったものの、期初に計画していた「印税率の改定」及び「人材・設備の拡充」といった事業基盤強化を目的とした成長投資を進めたことや紙書籍の製本コストが増加していること等が影響し、営業利益は1,735,918千円(同6.5%減)、経常利益は1,741,069千円(同6.5%減)、四半期純利益は1,067,512千円(同7.1%減)となりました。

 

(注)シリーズ累計部数:同作品の続編に加え、同作品の漫画及び文庫を含み、部数は電子書籍販売数を含む。

 

(2)財政状態の分析

① 資産

 当第3四半期会計期間末の流動資産は、前事業年度末に比べ626,613千円増加し、12,724,714千円となりました。これは主に、現金及び預金が増加(前事業年度末比485,817千円増)したこと、売掛金が増加(同80,350千円増)したこと並びに製品が増加(同59,630千円増)したことによるものであります。

 固定資産は、前事業年度末に比べ254,933千円増加し、592,833千円となりました。これは主に、投資その他の資産が増加(同258,232千円増)したことによるものであります。

 

② 負債

 当第3四半期会計期間末の流動負債は、前事業年度末に比べ175,341千円減少し、1,934,608千円となりました。これは主に、流動負債のその他が増加(前事業年度末比167,294千円増)したこと及び未払金が増加(同82,048千円増)した一方で、未払法人税等が減少(同393,552千円減)したこと及び賞与引当金が減少(同35,606千円減)したことによるものであります。

 固定負債は、前事業年度末に比べ10,624千円減少し、29,704千円となりました。これは主に、長期借入金の減少(同9,617千円減)によるものであります。

 

③ 純資産

 当第3四半期会計期間末の純資産は、前事業年度末に比べ1,067,512千円増加し、11,353,235千円となりました。これは全て、利益剰余金の増加によるものであります。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 該当事項はありません。