売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E30731 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要

当第3四半期連結累計期間における業績は、売上高1,870億24百万円(前年同期比1.4%減)、営業利益133億34百万円(前年同期比31.4%減)、経常利益134億8百万円(前年同期比37.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益63億13百万円(前年同期比48.1%減)となりました。

 

当第3四半期連結累計期間における各セグメントの業績は、以下のとおりです。なお、第2四半期連結会計期間より、従来「教育事業」としていた報告セグメントの名称を「教育・EdTech事業」に変更しております。この報告セグメントの名称変更がセグメント情報に与える影響はありません。

 

[出版事業]

出版事業では、書籍・雑誌及び電子書籍・電子雑誌の販売、雑誌広告・Web広告の販売、権利許諾等を行っております。当事業においては、メディアミックス展開の重要な源泉として年間5,500タイトル以上の新作を継続的に発行しており、蓄積された豊富な作品アーカイブが当社グループ成長の原動力となっております。

電子書籍・電子雑誌では、メディアミックス作品を中心として自社ストア・他社ストア向け販売ともに好調に推移し増収となりました。

書籍・雑誌では、米国における直近数年間の急激な需要増の反動による書店の発注抑制・返品増が継続したこと等により、海外事業が減収となりました。国内では、新規IP数が増加したものの、市場全体の縮小影響が大きかったこと等により減収となりました。新刊では、『パンどろぼうとほっかほっカー』、『メメンとモリ』(児童書)、『山田くんとLv999の恋をする(7)』、『光が死んだ夏(3)』(コミック)等の販売が売上高に貢献しました。また、ライセンス収入は増収となりました。

費用面では、中長期的な成長を見据えた人員増強、デジタル製造工場・新物流設備への投資等が増加しました。

この結果、当事業の売上高は1,020億61百万円(前年同期比1.4%減)、セグメント利益(営業利益)は56億59百万円(前年同期比42.8%減)となりました。

 

[映像事業]

映像事業では、実写映像及びアニメの企画・製作・配給、映像配信権等の権利許諾、パッケージソフトの販売等を行っております。

アニメでは、『《推しの子》』(《》は隅付き括弧)や『陰の実力者になりたくて!』等、人気タイトルの国内配信向けやゲーム・グッズ向けを中心としたライセンス収入が好調に推移し、力強く成長しました。実写映像では、『わたしの幸せな結婚』の劇場収入及び二次利用収入並びに『首』の劇場収入が貢献するなか、前期に大型の制作受託案件があったことで売上高は横ばい、利益は前期に評価減計上があったことからの反動により大幅改善となりました。

この結果、当事業の売上高は328億24百万円(前年同期比5.6%増)、セグメント利益(営業利益)は36億16百万円(前年同期比225.2%増)となりました。

 

[ゲーム事業]

ゲーム事業では、ゲームソフトウエア及びネットワークゲームの企画・開発・販売、権利許諾等を行っております。

8月に発売した㈱フロム・ソフトウェアの新作『ARMORED CORE Ⅵ FIRES OF RUBICON』の国内外の販売が好調に推移したことに加え、6月に発売した㈱スパイク・チュンソフトの新作『超探偵事件簿 レインコード』も売上高に貢献したものの、前期の『ELDEN RING』の業績貢献が大きかった影響により、当事業の売上高は190億78百万円(前年同期比18.5%減)、セグメント利益(営業利益)は59億94百万円(前年同期比33.9%減)となりました。

 

[Webサービス事業]

Webサービス事業では、動画コミュニティサービスの運営、各種イベントの企画・運営、モバイルコンテンツの配信等を行っております。

動画コミュニティサービスでは、動画配信サービス「ニコニコ」の月額有料会員(プレミアム会員)が12月末には125万人となり、前年12月末から減少となったことに加え、投資効果に鑑み一部広告関連サービスを縮小させたことにより減収となりました。利益面では、この減収影響に加え、将来の開発スピードアップやITインフラコスト効率を向上させるための戦略投資の増加等により、減益となりました。各種イベントの企画・運営では、黒字化に向けた取り組みとして複数の不採算イベントを中止したことにより減収となりましたが、この取り組みに加え8月開催の『Animelo Summer Live』の貢献もあり、増益となりました。

この結果、当事業の売上高は160億82百万円(前年同期比7.4%減)、セグメント利益(営業利益)は10億67百万円(前年同期比41.3%減)となりました。

 

[教育・EdTech事業]

教育・EdTech事業では、専門校運営及びインターネットによる通信制高校であるN高等学校・S高等学校等向けの教育コンテンツ・システム提供等を行っております。

クリエイティブ分野の人材育成スクールを運営する㈱バンタンでは、展開地域拡大の貢献に加え、強化を進めている社会人コースを中心とした生徒数増加により、増収となりました。一方で、利益面では来期開校の新スクールでの生徒獲得のため積極的に広告宣伝費を投下していること等により、減益となりました。

また、㈱ドワンゴによるN高等学校・S高等学校向け事業では、同校の通学コース向け新キャンパス開設等により生徒数が引き続き増加しています。

この結果、当事業の売上高は97億95百万円(前年同期比5.5%増)、セグメント利益(営業利益)は15億58百万円(前年同期比6.8%減)となりました。

 

[その他事業]

その他事業では、ところざわサクラタウン等のIP体験施設運営及びキャラクターグッズ等の企画・販売を行うMD事業等を行っております。

IP体験施設運営事業では売上高が横ばいとなったものの、一部事業撤退やコスト適正化の効果により利益が改善しました。MD事業では、フィギュアの売上拡大が好調に推移しセグメント全体の増収をけん引したものの、新規商品ジャンルへの投資等により微減益となりました。また、その他の事業では一部新規サービスの拡大により増収となった一方、当社グループのDX推進を担う機能子会社における減収影響を主因として減益となりました。

この結果、当事業の売上高は145億96百万円(前年同期比15.3%増)、セグメント損失(営業損失)は30億33百万円(前年同期 営業損失27億95百万円)となりました。

 

 

(2)財政状態の分析

①資産、負債、純資産の状況

当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べて566億76百万円減少し、3,262億22百万円となりました。これは主に現金及び預金が減少したことによるものであります。

負債は、前連結会計年度末に比べて422億93百万円減少し、1,174億33百万円となりました。これは主に長期借入金を返済したことによるものであります。

純資産は、前連結会計年度末に比べて143億83百万円減少し、2,087億88百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益を計上したことにより利益剰余金が増加した一方、配当金の支払いにより利益剰余金が減少し、さらに自己株式の取得により株主資本が減少したことによるものであります。

 

②キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加及び法人税等の支払等があった一方、税金等調整前四半期純利益の計上等により、1億74百万円の収入(前年同期は56億70百万円の収入)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形固定資産の取得等により、79億60百万円の支出(前年同期は165億43百万円の支出)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済及び自己株式の取得等により、654億83百万円の支出(前年同期は311億77百万円の収入)となりました。

以上の結果、為替換算差額も含めて718億31百万円の支出となり、現金及び現金同等物の当四半期末残高は、595億58百万円となりました。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。手元流動性につきましては、月次売上高の約2.5か月分を目安に運転資金を確保しており、これに今後の資金需要等を加味した金額を、保持すべき現預金水準として設定しております。

また、2028年3月期までの中期経営計画における財務基本方針として、財務健全性確保と資本効率追求を両立すべく、自己資本比率50~60%程度を今後も維持すべき適正水準として設定するとともに、ROE(自己資本利益率)は中長期的に12%以上を目指すことを掲げております。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当社グループは、中長期的な成長及び企業価値の向上を図るべく、出版、映像、ゲーム、Webサービス、教育・EdTech事業等において、多彩なポートフォリオから成るIP(Intellectual Property)を安定的に創出し、事業間連携によりIPのLTV(Life Time Value)の最大化を図り、さらに最新のテクノロジーを常に取り入れることで、IPを世界に広く展開する「グローバル・メディアミックスwith Technology」を推進することを基本戦略としております。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当連結会計年度を含む5か年の中期経営方針を新たに策定し、2028年3月期に売上高3,400億円(うち、海外売上高700億円)、営業利益340億円、EBITDA430億円を達成することを経営目標として掲げております。あわせて中長期的な目標として、ROE(自己資本利益率)12%以上を目指してまいります。
※EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

当社グループでは、主にゲーム事業において新規ゲームの研究開発をしております。当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は218百万円であります。

なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(7)主要な設備

前連結会計年度末において計画中であったところざわサクラタウン(埼玉県所沢市)の物流工場については、第2四半期連結会計期間に稼働開始いたしました。償却を開始した「建物及び構築物」「機械及び装置」「工具、器具及び備品」「ソフトウエア」の帳簿価額は、それぞれ61億4百万円、26億72百万円、6百万円、8億98百万円であります。