E00707 Japan GAAP
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
本年2月の厚生労働省の統計速報値によると、2023年の出生数は前年比5.1%減の75.8万人と80万人を大きく下回った一方で、75歳以上の高齢者人口は増加しており、国内における少子高齢化の進行が加速しています。
また国内経済においては、日経平均株価が4万円を突破したものの、2023年の家計調査報告では支出全体は実質2.6%の減少となり、教育や保健医療への支出も減少しました。2024年2月の同統計では、教育・保険医療にかかる支出は増加に転じておりますが、消費支出の減少は続いており、実体経済の本格回復のタイミングは未だ不透明な状況です。
上述のような市況において、当第2四半期連結累計期間の連結業績は、売上高93,505百万円(前年同期比15.2%増)、営業利益5,141百万円(前年同期比59.4%増)、経常利益5,154百万円(前年同期比57.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,772百万円(前年同期比43.1%増)となりました。
売上高については、教育分野における実用書や語学・社会人事業の伸張、学校事業における小学校向け教科書・指導書の売上増の貢献に加えて、前年第4四半期から市進ホールディングス並びにエヌイーホールディングスが連結対象となったこと、医療福祉分野における順調な施設増と高い入居率維持に加えて、当四半期からグランユニライフケアサービスを連結対象としたことによって前年同期比12,331百万円の増収となりました。
営業利益については、上記増収効果に加えて、不採算事業の見直しにより、前年同期比1,916百万円の増益となりました。
経常利益については、持分法による投資利益の減少はあったものの、営業利益の増益に加えて為替差損が減少したことで、前年同期比1,887百万円の増益となりました。
親会社株主に帰属する四半期純利益については、第1四半期に計上した株式売却損の影響もあり、前年同期比534百万円の増益となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
*教育分野に紐づく事業の組み換え・移管について
2023年11月に発表した新中期経営計画「Gakken2025」の遂行にあたり、経営資源の最適配分を図り、事業分野単位で機動的・効率的な運営を進めます。それに伴い、第1四半期より教育分野の各事業(大分類)に紐づく事業(中分類)の整理・名称変更と、個別事業(小分類)の組み換え・移管を行っております。主な変更点は以下の通りです。
Ⅰ.事業(中分類)の名称変更と削除
1)旧)出版コンテンツ/医学看護事業 は個別事業の組み換えに伴い区分を削除しました。
2)旧)出版コンテンツ/出版以外の事業 は 新)同/語学・社会人教育事業に改称しました。
3)旧)園・学校/社会人事業 は個別事業組み換えに伴い区分を削除しました。
Ⅱ. 個別事業(小分類)の組み換え・移管
1)塾向け教材等の出版・販売事業:旧)出版コンテンツ/出版事業 ⇒新)教室・塾事業/塾事業
2)医書・看護書の出版・販売業 :旧)出版コンテンツ/医学看護事業⇒新)同/出版事業
3)看護師eラーニング事業 :旧)出版コンテンツ/医学看護事業⇒新)同/語学・社会人教育事業
4)企業向け研修事業 :旧)園・学校/社会人事業 ⇒新)出版コンテンツ/語学・社会人教育事業
5)(株)市進ホールディングスの介護サービス事業
:旧)医療福祉分野/認知症GH事業 ⇒新)教育分野/教室・塾事業/塾事業
変更後の当社グループの商品サービスの分類は次の通りです。
〔教育分野〕
売上高:48,176百万円(前年同期比19.9%増)営業利益:3,676百万円(前年同期より1,120百万円、43.9%増)
(単位:百万円)
※事業組み換えに伴い、前期の数値を遡及して修正しています。
(教室・塾事業)
売上高:27,238百万円(前年同期比45.7%増)、営業利益:1,507百万円(前年同期より404百万円・36.7%増)
教室・塾事業では、出生数の低下が続き子どもの数は減少しておりますが、幼児教育の重要性が再認識されております。また公立高校入試の志願倍率の低下や大学入試の様態が変化するなど、非認知教育など新しい需要も顕在化してきております。
その中で売上高は、教室・塾事業の主要顧客となる幼児・小学生の減少影響もあるものの、塾事業において、昨年度よりグループインした市進ホールディングスとエヌイーホールディングスが連結対象となったことにより、増収となりました。
営業利益も、教室事業の減収要因はあったものの、上述の新規2社の連結化の影響もあり、増益となりました。
(出版コンテンツ事業)
売上高:13,054百万円(前年同期比6.0%減)、営業利益:1,244百万円(前年同期より130百万円・11.7%増)
出版コンテンツ事業では、書店数の減少や紙媒体の出版数は減少傾向にありますが、紙以外の媒体やツールを利用した情報取得や学びの機会は増加しております。
売上高は、出版事業の「地球の歩き方」で国内地域に特化したJシリーズや人気IPとのコラボレーションなどヒットを継続、語学・社会人事業の看護師向けeラーニングでの契約病院数の増加、オンライン英会話「Kimini」の受講者数増加など、順調に伸張している事業はありましたが、出版事業での児童書の販売苦戦や、旧出版外事業にあった知育玩具販売会社を前年第4四半期から持分法適用会社とした影響が大きく、全体では減収となりました。
営業利益は、「地球の歩き方」での増収や語学・社会人事業の伸張、知育玩具販売会社の持分法適用会社化による費用負担の減少などにより、増益となりました。
(園・学校事業)
売上高:7,882百万円(前年同期比3.6%増)、営業利益:1,136百万円(前年同期より717百万円・170.9%増)
園・学校事業では、園児や幼稚園数の減少が続いております。学校教育においては、教科書のデジタル化やGIGAスクール対応など新しい学習要領への対応が求められております。
その中で売上高は、幼児事業では幼稚園および園児減少要因が大きく、減収となったものの、学校事業において小学校向け教科書が今年度改訂となったことから、教科書に加えて教科指導書・副読本などの販売部数が前年同期より伸張し、全体で増収となりました。
営業利益も、学校事業の教科書改訂に伴う増収と販売部数増大したことで増益となりました。
〔医療福祉分野〕
売上高:42,149百万円(前年同期比10.7%増)営業利益:2,106百万円(前年同期より726百万円、52.7%増)
(単位:百万円)
(高齢者住宅事業)
売上高:20,062百万円(前年同期比15.1%増)、営業利益:1,093百万円(前年同期より634百万円・138.3%増)
高齢者住宅事業では、建設費の高騰により新規出店については厳しい環境が続いているものの、各地域にてエリア単位で展開している営業活動がコロナ禍後の住み替えニーズを着実に捉えており、1棟あたりの戸数大型化やM&A・事業承継等を継続することで、需要増加に応えています。
売上高は、当四半期末までにサービス付き高齢者住宅を7拠点新規開設しながらも、入居率は約97%と引き続き高水準を維持できたこと、また当四半期よりグランユニライフケアサービスを連結化したことにより、増収となりました。
営業利益も、食材や消耗品などの価格や人件費の上昇はあったものの、前述のグランユニライフケアサービスの連結化や高い入居率に加えて、水光熱費の削減も寄与し、増益となりました。
(認知症グループホーム事業)
売上高:18,649百万円(前年同期比6.0%増)、営業利益:1,207百万円(前年同期より117百万円、10.8%増)
認知症グループホーム事業では、75歳以上の後期高齢者数は引き続き増加し、認知症介護の重要性は年々高まっております。
そのような状況の中で、当四半期末までに自社開発で4棟、M&Aで2棟の計6棟を新規に開設し、順調に拠点数を拡大しております。売上高は、拠点数の増加に加え、既存入居率も約97%と引き続き高水準を維持できたことにより、増収となりました。
営業利益も、食材費等の物価高騰影響や新規事業への先行投資はあるものの、増収効果により増益となりました。
(子育て支援事業)
売上高:3,437百万円(前年同期比12.1%増)、営業利益:83百万円(前年同期より20百万円、31.9%増)
子育て支援事業では、出生数の低下や認可保育園の整備促進により、待機児童問題は首都圏以外ではほぼ解消しておりますが、共働き世帯の増加により、「小1の壁」と言われるように学童ニーズは年々高まっております。
その中でも、保育園定員充足率が約96%と引き続き高位安定で推移したことに加えて、前期に新規受託した学童施設の運営安定化等により、増収となりました。
営業利益も、充足率が高水準で維持できていることや離職率の改善等により、増益となりました。
〔その他〕
売上高:3,180百万円(前年同期比9.5%増)営業利益:282百万円(前年同期より11百万円、4.0%減)
その他事業では、東南アジアを中心に子ども数の増加や教育への投資需要は高まっております。加えて、家庭・塾・学校でのデジタル教材やツールの利用は加速度的に増加しており、商品・サービス開発に向けた体制整備は急務となっております。
その中で売上高は、グローバル事業での新興国向けODAや民間企業の海外進出支援事業が好調に推移しており、増収となりました。
一方で、営業利益は、ベトナムを中心としたグローバル事業の拡大や、資格ビジネスを中心としたデジタル領域への戦略投資を継続していることから、前年同期より微減となりました。
(単位:百万円)
※1 有利子負債=借入金+社債+リース債務
※2 自己資本比率=自己資本÷総資産
※3 DEレシオ=有利子負債÷自己資本
当第2四半期連結会計期間の総資産は、前連結会計年度末に比べ3,030百万円増加し、139,358百万円となりました。主な増減は、現金及び預金の増加2,932百万円、受取手形及び売掛金の増加6,935百万円、商品及び製品の減少310百万円、有形固定資産の増加307百万円、無形固定資産の増加2,681百万円、投資有価証券の減少9,221百万円などによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ3,369百万円増加し、84,663百万円となりました。主な増減は、支払手形及び買掛金の増加1,579百万円、短期借入金の減少1,509百万円、長期借入金の増加2,055百万円などによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ339百万円減少し、54,694百万円となりました。主な増減は、利益剰余金の増加1,221百万円、自己株式の増加1,881百万円、その他有価証券評価差額金の増加364百万円などによるものです。
(単位:百万円)
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、22,049百万円と当第2四半期連結累計期間の期首に比べ2,956百万円の資金増加となりました。各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,597百万円の資金増加(前第2四半期連結累計期間は167百万円の資金減少)となりました。主な増減は、税金等調整前四半期純利益の計上3,834百万円、減価償却費の計上1,381百万円、売上債権の増加6,890百万円、仕入債務の増加1,579百万円などによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、3,864百万円の資金増加(前第2四半期連結累計期間は1,112百万円の資金減少)となりました。主な増減は、有形及び無形固定資産の取得による支出1,641百万円、投資有価証券の取得による支出379百万円、投資有価証券の売却による収入9,129百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出3,329百万円などによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、2,481百万円の資金減少(前第2四半期連結累計期間は4,439百万円の資金増加)となりました。主な増減は、短期借入金の純減少額1,509百万円、長期借入れによる収入4,599百万円、長期借入金の返済による支出2,869百万円、自己株式の取得による支出2,012百万円などによるものです。