売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00709 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、社会経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな回復基調となった一方、物価上昇及び世界的なインフレの拡大により、先行き不透明な状況が続きました。

 教育界においては、現行の学習指導要領の実施から小学校では4年目を、中学校では3年目を迎えております。小学校においては、2024年度から使用する新しい教科書が各自治体で決定され、公表されました。また、一部の教科においてはデジタル教科書も導入され、デジタル化が浸透しつつあります。

 現在、教育現場では、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を通して、学習指導要領にある「主体的・対話的で深い学び」が実現されるよう授業研究・実践が進められております。その一方で、いじめや不登校、特別な配慮や支援が必要な児童・生徒への対応など、多種多様な課題への取り組みに追われております。さらに教師不足も重なり、教師の業務負担が十分に解消されない状況は、解決すべき重要な課題となっております。このような状況について、中央教育審議会の特別部会では、「教師の働き方は危機的な状況にあり、社会全体で取り組むべき」とする緊急提言がまとめられました。緊急提言では、教師の負担軽減が期待される小学校高学年での「教科担任制」実施の前倒しをはじめとする様々な対応策が挙げられており、2024年の春頃までに一定の方向性が示されることとなっております。

 今後に向けては、次期学習指導要領の議論も活発化し、方向性が徐々に示されていくなかで、「GIGAスクール構想」によって普及した教育インフラの活用や、ICTを活用した教師の事務的業務や採点業務等の負担軽減を実現する取り組みがさらに充実していくものと思われます。

 このような情勢を背景に、当社グループは、主力である小学校図書教材においては定価や付録などの厳しい競争が続くなか、基礎・基本の定着や活用する力の育成と評価を念頭に、ペーパーとデジタルを効果的に活用しながら教育現場のニーズに応えた改訂を進めてまいりました。また、教師の負担軽減にも寄与できるようにデジタル連絡支援システムや、児童・生徒の心のケアを図るシステムなど、教材以外のシステム開発も新たに行ってまいりました。

 以上の結果、当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高10,789,393千円(前年同四半期比1.2%増)、経常利益1,970,524千円(前年同四半期比2.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,354,277千円(前年同四半期比6.9%増)となりました。

 

 セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

①出版

 小学校図書教材においては、教育現場の実態や動向を分析し、多様なニーズを的確に捉えたことにより、求められる「知識及び技能」や「思考力・判断力・表現力等」を育み評価できる教材が教育現場に支持されました。

 評価教材では、各教科で「見方・考え方」を働かせながら、基礎・基本から活用までの学習内容を的確に評価できる企画が教育現場から好評を得ることができました。また、小単元ごとに定着を確認できるデジタル教材や、記載された二次元コードを読み取ることで「自らの学び」をサポートする動画などのデジタルコンテンツを閲覧できる企画が支持され、売上高が増加いたしました。

 一方、習熟教材やしあげ教材では、学習内容が確実に定着する企画に加え、学習用端末を活用した企画を提案してまいりましたが、教育現場のニーズの変化などの影響により、売上高が減少いたしました。

 中学校図書教材においては、教育現場での学習用端末の活用によって、特に主力商品である夏休み教材及び冬休み教材が大きく影響を受け、売上高が減少いたしました。

 この結果、当セグメントの売上高は8,071,429千円(前年同四半期比0.2%増)、営業利益は2,278,194千円(前年同四半期比1.3%増)となりました。

 

②教具

 小学校教材・教具においては、各教科の授業運営が新型コロナウイルス感染症発生前の状態にほぼ戻りましたが、採用時期の変化や購入方法の多様化などにより、採用状況に変化が見受けられました。

 「彫刻刀」や「裁縫セット」、「書道セット」などの希望採用品では、長く使い続けられるデザインと機能性の高さが受け入れられたことにより、売上高が増加いたしました。

 「家庭科布教材」では、昨年同様の採用状況に戻りつつあり、短時間で製作ができる企画が受け入れられたことにより、売上高が増加いたしました。

 中学校・高等学校向けの家庭科教材ブランド「クロッサム」では、新規採用校の増加や、新しいデザインと企画が受け入れられたことにより、売上高が増加いたしました。

 この結果、当セグメントの売上高は2,717,964千円(前年同四半期比4.4%増)、営業利益は359,849千円(前年同四半期比3.5%増)となりました。

 

(2)財政状態の分析

 当社グループの第3四半期連結会計期間末の財政状態は、前連結会計年度末と比較して、総資産は110,095千円増加して19,677,543千円、負債は1,005,349千円減少して4,266,391千円、純資産は1,115,445千円増加して15,411,152千円となりました。

 資産の主な増減は、現金及び預金の減少138,312千円、受取手形及び売掛金の増加652,699千円、有価証券の増加400,277千円、商品及び製品の減少1,294,956千円、仕掛品の増加740,587千円、投資有価証券の減少223,576千円であります。

 負債の主な増減は、支払手形及び買掛金の減少301,861千円、電子記録債務の減少559,074千円、未払費用(流動負債その他)の減少313,454千円であります。

 また、純資産の主な増減は、利益剰余金の増加1,029,670千円であります。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 該当事項はありません。