売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E04509 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものである。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間の沖縄県経済は、個人消費や観光関連が緩やかに拡大しており、建設関連についても公共投資が高めの水準となっている。

 

当第3四半期連結累計期間の販売電力量は、電灯については、節電影響や他事業者への契約切り替えなどによる需要減により、前年同期を下回った。電力については、節電影響や産業用における需要減などがあったものの、業務用において他事業者から当社への契約切り替えや、新型コロナウイルスの影響からの回復による需要増により、前年同期並みとなった。

この結果、電灯と電力の販売電力量合計は、前年同期に比べ2.1%減の55億3百万kWhとなった。

 

当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高(営業収益)については、電気事業において、電気料金改定などにより、前年同期に比べ127億75百万円増(7.3%増)の1,873億12百万円となった。営業費用については、電気事業において、具志川火力発電所の石炭揚炭設備損壊に伴う固定資産除却費の増加はあるが、燃料費や他社購入電力料の減少などがあり、前年同期に比べ283億55百万円減(13.6%減)の1,807億28百万円となった。

この結果、営業利益は65億84百万円、営業外損益を含めた経常利益は58億52百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は45億64百万円となった。

なお、当社グループの主たる事業である電気事業において、電力需要が夏季にピークを迎えることや、発電所の修繕工事の完了時期による影響を受けることなどにより、四半期の業績に季節的変動がある。

 

当第3四半期連結累計期間の財政状態は、資産については、電気事業固定資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ39億21百万円増(0.8%増)の4,844億67百万円となった。負債については、支払手形及び買掛金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ8億56百万円減(0.2%減)の3,651億94百万円となった。純資産については、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上などにより、前連結会計年度末に比べ47億77百万円増(4.2%増)の1,192億73百万円となった。

この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.8ポイント増の24.2%となった。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。

 

① 電気事業

売上高については、電気料金改定などにより、前年同期に比べ116億45百万円増(6.9%増)の1,798億22百万円となった。営業費用については、具志川火力発電所の石炭揚炭設備損壊に伴う固定資産除却費の増加はあるが、燃料費や他社購入電力料の減少などがあり、前年同期に比べ292億19百万円減(14.4%減)の1,741億60百万円となった。

この結果、営業利益は前年同期に比べ408億65百万円増56億62百万円となった。

② 建設業

売上高については、民間工事の増加があったものの、グループ内向け工事の減少などにより、前年同期に比べ6億44百万円減(3.8%減)の161億4百万円となった。営業費用については、2億60百万円減(1.6%減)の160億6百万円となった。

この結果、営業利益は前年同期に比べ3億83百万円減(79.6%減)の98百万円となった。

③ その他

売上高については、グループ内向け工事の増加に加え、ESP事業やガス供給事業の増などにより、前年同期に比べ20億1百万円増(9.0%増)の243億19百万円となった。営業費用については、16億10百万円増(7.4%増)の233億30百万円となった。

この結果、営業利益は前年同期に比べ3億91百万円増(65.4%増)の9億89百万円となった。

 

(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について、重要な変更はない。

 

(3) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はない。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した経営環境及び対処すべき課題について重要な変更があった。

なお、以下の見出しに付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の項目番号に対応したものである。

 

(4) 経営環境及び対処すべき課題

当社グループを取り巻く経営環境をみると、県内におけるエネルギー市場(電気・ガス・エネルギーサービスプロバイダ(ESP))は他事業者との競合など、激しい競争環境の下にある。

電気事業においては、他事業者への契約切り替えによる需要減、さらに、ウクライナ情勢に伴う資源価格の高騰および為替レートの円安進行により、極めて厳しい経営環境の下に置かれている。

このような中、収支対策を最大限実施し、あらゆる選択肢を排除せずに検討を進めたが、昨今の燃料価格の高騰は、企業努力で対応できる限界を大きく超える水準となり、事業継続性はもとより、安定供給に必要なコストさえ確保できなくなる切迫した状況となったため、大変苦渋の決断ではあるが、経営合理化の徹底を前提に、当社は43年ぶりの規制料金値上げを含むすべての電気料金の見直しを行うこととした。今後、お客さまには多大なるご負担をおかけすることになるため、これまで以上に徹底した効率化に取り組み、総合エネルギーサービスや省エネ等のお客さまのニーズに沿った提案などを通して、お客さまから選択される企業を目指す。

また、一般送配電事業者の情報管理における不適切な取扱い事案により、小売電気事業者間の公正な競争を揺るがす事態が発生した。当社は今般の不適切な事象について、一般送配電事業者の中立性・信頼性を損なう重大な事案であると重く受け止めている。そのため、更なる中立性・信頼性の確保に向けて、法令等遵守の確実化のための組織・体制・仕組みの整備に取り組むなど、全社大で行為規制などのコンプライアンスに確りと対応する。

当社はいかなる状況においても、エネルギーの安定供給を基本的使命として、当社事業に従事する者の安全確保を最優先に、その実現に全力を注がなければならない。災害時における迅速な復旧に向けては、部門や会社の枠を超え災害対策の強化を推進していく。

「2050年カーボンニュートラル」については、ロードマップに掲げたCO2排出削減率の目標値を深掘りし、2030年度△30%(2005年度比)を「沖縄エリアのジャスト・トランジション」における野心的な目標として目指すこととした。非常に厳しいチャレンジであるが、最大限の努力をもって、カーボンニュートラルに向けた様々な取り組みを加速させ、電源の多様化、燃料価格の動向に左右されない強固な基盤づくりを目指す。これは、今後、国においてGX基本方針に基づき成長志向型カーボンプライシングなどの各種施策が進められていくことからも、確りと対応する必要がある。

2023年度は大きく毀損した財務基盤を回復させることが急務である。そのため、当社の置かれた経営環境を踏まえ将来的には連結自己資本比率30%を目指して自己資本を積み増していくが、まずは財務基盤の回復に注力する『リカバリー期間』(~2025年度)を設定し、連結自己資本比率25%を目指す。『リカバリー期間』においては、電力の安定供給を前提に、カーボンニュートラル・成長分野などの投資や株主還元とのバランスなども考慮しながら、毀損した財務基盤の回復に注力していく。 

この難局を大きな飛躍の機会と捉え、役職員の英知を結集し、中期経営計画のもと新たな価値を創造していくことで、夢と活力ある沖縄の未来づくりに貢献できるよう邁進する。

 

当社は、経営理念やグループビジョン、取り巻く経営環境などを踏まえ、2023年10月に「経営上の重要課題(マテリアリティ)」を特定した。

 ※「おきでんグループ統合報告書2023」P.12~14参照。

   https://www.okiden.co.jp/shared/pdf/active/csr/new/2023/report2023_01.pdf

 

 

(5) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、3億94百万円である。

なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はない。

 

(6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資本の財源については、電気事業等を行うための設備投資と債務償還などに必要な資金を、自己資金に加えて、金融機関からの長期借入や社債発行により調達している。また、短期的な運転資金を銀行借入やコマーシャル・ペーパー発行により調達している。資金の流動性については、各種計画に基づき、適時に資金繰計画を作成・更新するほか、当座借越枠の設定やコミットメントラインの取得により確保している。