売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E04837 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において、当社グループ(当社および連結子会社等)が判断したものであります。

 

(1)財政状態の分析

 当第3四半期連結会計期間末の総資産は前連結会計年度末に比べて5,296百万円増加し199,138百万円となりましたこのうち流動資産につきましては8,368百万円増加し143,792百万円となりましたこの主な要因は前期末の売上債権の回収や借入金の増加で、「現金及び預金が増加したことによるものであります固定資産につきましては3,072百万円減少し55,346百万円となりましたこれは保有上場株式の時価評価などにより投資有価証券が減少したことによるものであります

 負債の部につきましては前連結会計年度末に比べて102百万円減少し81,358百万円となりましたこの主な増減内容は、当社における「長期借入金」が増加したことや、未払法人税等が減少したことによるものであります。

 純資産の部につきましては5,398百万円増加し117,779百万円となり自己資本比率は54.4%となりました

 

(2)経営成績の分析

 当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、経済社会活動の正常化が進み、景気は緩やかに回復しています。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化に伴う資源価格上昇、世界的な金融引締めに伴う為替市場への影響、中国経済の先行き懸念など、依然として先行きは不透明な状況が続いています。

当社グループが展開するサービスを取り巻く環境は、生成AIやメタバースなど、進展するデジタル技術や長引く人手不足などを背景に、引き続き、アウトソーシングサービスに対する底堅い需要が続いています。特に、コロナ禍で再認識されたデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進やカスタマーエクスペリエンス(CX)の向上に向けた課題解決につながるサービスへの需要が高まっています。

このような状況の中、当社グループは、社会インフラとして積極的に展開してきた政府・自治体・民間企業が推進する新型コロナウイルス感染症対策に関連する業務支援が縮小したことによる業績への影響はあったものの、引き続き、拡大するサービス需要に向けて、お客様企業の経営、事業の変革を支援するCXサービス・BPOサービスを積極的に展開しました。また、本年度より始動した「新中期経営計画2023-2025」の各施策を推進しました。

事業モデルのプラットフォーム化の施策では、これまでさまざまな顧客接点チャネルのデータを収集・分析・活用するサービスを提供してきた独自のCXプラットフォーム「TCI-DX for Support」において、コンタクトセンター・SNS・チャットに蓄積されるVOC(Voice of Customer:顧客の声)を起点に、顧客体験上で経験するさまざまな顧客接点のデータを統合的に分析する技術を開発し、データ活用技術の特許を取得しました(特許番号:特許7319478号)。このデータ活用技術を用いることで、従来よりも分析にかかる時間を大幅に短縮、さらにはコミュニケーションチャネルを横断してユーザーが自己解決しやすい環境を提供し、総課題解決時間30%削減の実現を目指します。ユーザーの自己解決促進により企業のサポートコスト削減に寄与するとともに、抽出された課題をマーケティング活動に活かすことで売上拡大にも貢献します。

また、上場企業における2023年3月期以降の有価証券報告書上での人的資本情報開示義務化に伴い、人的資本情報を可視化する「HCMアナリティクスプラットフォーム」サービスの提供を開始しました。現状の可視化と継続的な情報収集・分析により、人的資本情報開示に伴うお客様企業の企業価値向上を支援します。さらに、温室効果ガスの排出量データ収集・算定を自動化する「GHG排出量算定ソリューション」サービスの提供を開始しました。既存のシステムからGHG排出量算定のためのデータを自動連携することにより、担当者のデータ収集・算定工数を大幅に削減します。

新規事業開発・R&D推進の施策では、主に生成AIとメタバースを活用したサービスの開発と推進に取り組みました。具体的には、顧客接点のデジタルフロントをすべてカバーする「TCI-DXサービス」の強化へ向けて、膨大なデータを高い精度で要約することや、自然な会話で応答することが可能なOpenAI社のChatGPTを活用したサービスの開発を推進しました。ChatGPTに代表される生成AIを効率よく、安心・安全に活用できるよう、独自のチューニング、学習手法、運用技術の開発を行い、デジタルコンタクトセンターサービスおよびデジタルマーケティングサービスの高度化を実現します。また、自社で提供しているサポートデスク支援ツール「Quick Support Cloud」に、生成AIを活用した「Quick Support Cloud with GAI」のサービス提供を開始しました。これにより、サポートデスク利用者が求めている回答を均一な品質で素早く提供することが可能となり、また、教師データ生成による人的工数削減、記載内容の安定化、処理時間の短縮も実現し、お客様企業の業務最適化を実現します。その他、企業の新たなコミュニケーションを創出するメタバース領域の取り組みとして、フォートナイトメタバース制作スタジオ「BORDER」とパートナーシップを締結し、ビジネス活用でも注目されるフォートナイト上での法人向けコンテンツの提供を開始しました。

グローバルの市場成長に応える体制強化に向けた施策では、中国において最先端の技術を用いたソフトウェア開発を行う天津霆客計算機信息技術有限公司(英語社名:TianJin Tinkers Computer Information Technology Co.,Ltd.、以下、TINKERS)と資本業務提携を締結しました。トランスコスモスグループの大規模な開発力と運用力、TINKERSの最先端の技術力を融合し、お客様企業に最先端の技術を用いたソフトウェア開発を提供します。また、海外でのオペレーション体制の強化に向けてセンターを拡充しました。米国市場向けのニアショアサイトとしてメキシコに「メキシコシティセンター」、中国市場向けのコンタクトセンターサービスを提供するオペレーション拠点として「鄭州(ていしゅう)センター」、台湾市場向けのオペレーションセンターとして「致理(ちり)センター」をそれぞれ新設しました。

 以上の結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、単体サービスでのコロナ関連業務以外のサービスにおいて新規受注が拡大しましたがコロナ関連業務の反動減の影響などで売上高271,368百万円となり前年同期比1.7%の減収となりました。利益につきましては、単体サービスでのサービス進化デジタル技術活用グローバル拡大など中期成長に向けた先行的な投資を実施した影響などで営業利益は8,756百万円となり前年同期比49.2%の減益、経常利益は10,126百万円となり前年同期比39.6%の減益、親会社株主に帰属する四半期純利益は8,181百万円となり前年同期比18.0%の減益となりました。

 

 セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 

(単体サービス)

 当社におけるアウトソーシングサービス事業等につきましてはコロナ関連業務以外のサービスにおいて新規受注が拡大しましたがコロナ関連業務の反動減や中期成長に向けた先行的な投資を実施した影響などで売上高は177,632百万円と前年同期比3.1%の減収となりセグメント利益は5,628百万円と前年同期比54.4%の減益となりました

(国内関係会社)

 国内関係会社につきましては一部の上場子会社およびそのグループ会社の売上減少や収益性の低下などにより売上高は31,742百万円と前年同期比0.8%の減収となり、セグメント利益は1,648百万円と前年同期比46.4%の減益となりました

(海外関係会社)

 海外関係会社につきましてはASEAN子会社や韓国子会社における売上増加などにより売上高は71,264百万円と前年同期比2.1%の増収となりました一方損益についてはASEAN子会社は引き続き収益性が向上したものの韓国子会社において一部案件の業務量減少や人件費上昇、中国子会社の利益減少などによりセグメント利益は1,473百万円と前年同期比20.4%の減益となりました

 

 なお、セグメント利益につきましては、四半期連結損益計算書における営業利益をベースにしております。

 

(3)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上および財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。

 

(4)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額95百万円であります。