佐藤鉄工株式会社

金属製品鉄鋼

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01460 Japan GAAP


3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当中間会計期間における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当上半期における国内経済は、新型コロナウイルスの感染が7月以降再び拡大傾向となっていますが、政府による行動制限の緩和政策や各種経済対策等により社会経済活動の正常化が進み、国内景気は緩やかな持ち直しの傾向が見られます。一方で、材料・エネルギー価格の高騰や急激な為替変動等により、景気は先行き不透明な状態が続いております。

 当社の主力事業である「橋梁」「水門」等のインフラ関連工事につきましては、橋梁事業では、国内発注量が前年同期を下回っています。一方で、メンテナンス工事については、橋梁の老朽化に伴う大規模修繕更新工事等が実施・計画され、増加傾向にあります。

 水門・鉄管事業については、新設ダムの減少に伴い規模が縮小傾向にある中で、近年、既存ダムの老朽化、多発する豪雨災害により、治水に関する水門設備の重要性が再認識され、ダムの再開発工事や部分更新、改造・修繕工事が増加しつつあります。

 このような環境のもとで、当社は対象案件を絞った受注活動を継続し、限られた経営資源を最大限に活用して受注に取り組んだ結果、橋梁事業では民間の大型修繕工事等の受注により、上半期の受注高は好調に推移しました。水門・鉄管事業では大型の水門改築工事、並びに水圧鉄管更新工事等の受注により、上半期の受注高は橋梁事業、水門・鉄管事業ともに前年同期を上回ることができました。

 当中間会計期間の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当中間会計期間末の資産合計は前事業年度末に比べ1,368百万円減少し、9,248百万円となりました。これは主に完成工事未収入金が1,687百万円減少すると共に、未成工事支出金が339百万円増加したことによるものであります。

 また、負債合計は前事業年度末に比べ1,236百万円減少し、5,197百万円となりました。これは主に仕入債務(支払手形・電子記録債務・工事未払金)が641百万円減少、短期借入金・長期借入金(1年以内返済予定を含む)が623百万円減少したことによるものであります。

 一方、純資産合計は前事業年度末に比べ132百万円減少し、4,050百万円となりました。これは主に中間純損失73百万円を計上したこと及び株主配当71百万円を支払ったことによる利益剰余金の減少によるものであります。この結果、自己資本比率は前事業年度の39.3%から43.7%となりました。

 

b.経営成績

 当中間会計期間の経営成績は、完成工事高3,836百万円(前年同期比 44.3%増)、営業損失△120百万円(前年同期は営業損失△156百万円)、経常損失△55百万円(前年同期は経常損失△133百万円)、中間純損失△73百万円(前年同期は中間純損失△137百万円)となりました。なお、受注高は7,670百万円(前年同期比 65.2%増)、受注残高は17,098百万円(同 61.1%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。

(橋梁・鉄構部門)

 橋梁・鉄構部門におきましては、完成工事高2,218百万円(前年同期比 100.1%増)、営業損失△32百万円(前年同期は営業損失△76百万円)となりました。また、受注高1,822百万円(前年同期比 12.9%増)、受注残高4,496百万円(同12.2%増)となり、全体の中でのシェアは完成工事高で57.8%、受注高で23.8%であります。

(水門・鉄管部門)

 水門・鉄管部門におきましては、完成工事高1,618百万円(前年同期比 4.4%増)、営業利益182百万円(同 65.3%増)となりました。また、受注高5,847百万円(同 93.1%増)、受注残高12,602百万円(同 90.8%増)、全体の中でのシェアは完成工事高で42.2%、受注高で76.2%であります。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

 当中間会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前中間会計期間末に比べ716百万円減少し、2,164百万円となりました。

 当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果は、884百万円の資金増加(前中間会計期間は1,361百万円の資金増加)となりました。これは主に売上債権の減少1,703百万円と共に、未成工事支出金の増加339百万円と仕入債務の減少642百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果は、45百万円の資金減少(前中間会計期間は77百万円の資金減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出35百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果は、720百万円の資金減少(前中間会計期間は452百万円の資金減少)となりました。これは主に短期借入金の減少250百万円、長期借入金の返済による支出373百万円、配当金の支払額71百万円によるものであります。

 

③会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

④生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

 当中間会計期間における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当中間会計期間

(自 令和4年4月1日

至 令和4年9月30日)

前年同期比(%)

橋梁・鉄構部門(千円)

2,546,598

71.8

水門・鉄管部門(千円)

2,547,836

40.0

合計(千円)

5,094,435

54.3

 

(2)受注実績

 当中間会計期間における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

橋梁・鉄構部門

1,822,645

12.9

4,496,077

12.2

水門・鉄管部門

5,847,702

93.1

12,602,269

90.8

合計

7,670,347

65.2

17,098,347

61.1

 

(3)販売実績

 当中間会計期間における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当中間会計期間

(自 令和4年4月1日

至 令和4年9月30日)

前年同期比(%)

橋梁・鉄構部門(千円)

2,218,217

100.1

水門・鉄管部門(千円)

1,618,192

4.4

合計(千円)

3,836,410

44.3

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.販売実績総額に対する割合が100分の10以上の相手先別完成工事高及びその割合は次のとおりであります。

前中間会計期間

発注者

区分

完成工事高

割合

エム・エムブリッジ株式会社

(橋梁・鉄構部門)

355,794千円

13.3%

 

当中間会計期間

発注者

区分

完成工事高

割合

名古屋市

(橋梁・鉄構部門)

476,788千円

12.4%

富山県

(橋梁・鉄構部門)

(水門・鉄管部門)

452,979千円

11.8%

エム・エムブリッジ株式会社

(橋梁・鉄構部門)

(水門・鉄管部門)

414,112千円

10.7%

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

当中間会計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社の当中間会計期間の経営成績等については、受注高では民間発注の大型橋梁修繕工事、国及び自治体発注の大型水門改築工事、水圧鉄管更新工事等により、前年同期を大きく上回りました。完成工事高では、橋梁JV工事等、大型工事が当中間期で竣工した影響もあり、前年同期を大きく上回る結果となりました。一方で損益面では、前期からの繰越工事における設計変更獲得等により、前年同期比で改善はしたものの前年と同様、営業損失となりました。その要因としましては、鋼材、購入品等の原材料価格、輸送コストや燃料費等の高騰による調達コスト増に加え、先行して発生する材料代等に対する追加変更の獲得交渉に一定の時間を要すること、受注時期の影響により工場実稼働が下半期にずれ込んだこと等が挙げられます。

 通期の業績見通しは、当中間期では前年同期を大幅に上回る受注残高であり、下半期に想定する完成工事案件、並びに工事進行出来高を考慮しますと、前事業年度には及ばないものの、営業利益を確保できる見通しです。

 

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因としては、①安全対策、②公共事業発注量の減少、③人手不足が挙げられます。①安全対策については、工場及び施工現場で事故が発生した場合、生産性を著しく落とすこととなるため、協力会社を含め作業員の安全を最優先としております。②公共事業発注量の減少については、当社の受注は下請としての請負製作も含め公共事業への依存度が高いため、発注量の減少は当社受注の減少に繋がります。③人手不足については、現業部門において高齢化が進んでおり、若手の人材を確保できない場合は事業の継続自体が困難となるため、積極的な採用活動を進め、人材確保に努めております。

 

 当社の資本の財源及び資金の流動性については、主な運転資金需要である工場及び施工現場に係る人件費・外注費、受注に係る販売費、組織全体に係る一般管理費に対して、受注した案件の金額・工期・回収条件などを全体的に管理しながら、内部資金を活用するとともに短期と長期の借入を組み合わせて資金調達を行っております。

 

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

(橋梁・鉄構部門)

 橋梁・鉄構部門におきましては、受注高では民間発注の大型橋梁修繕工事、関東・北陸地区での橋梁元請け工事が受注できたことにより、前年同期を上回っています。また、前期からの繰越工事での完成工事高が前年同期実績を大きく上回っている影響もあり、完成工事高でも前年同期を上回ることとなりました。損益面では橋梁元請け案件では収益改善があるものの、計画通りの工場稼働が出来なかった影響をカバーできず、営業赤字となっています。下期は生産量の向上並びに原価低減により、通期での黒字化を図ります。

(水門・鉄管部門)

 水門・鉄管部門におきましては、受注高では水門整備工事の継続的な受注に加え、河北潟防潮水門、高田発電所水圧鉄管、白峰発電所水圧鉄管等の大型工事の受注により、前年同期を大幅に上回りました。引き続き技術提案力の向上及びコスト競争力の強化に取り組み、新設・大型案件受注獲得に全力を挙げてまいります。

 完成工事高では各工事が円滑に進捗したことから、前年同期と同水準となりました。なお、受注残高は工期の長い大型案件の受注により前年同期を大幅に上回っています。

 損益面ではコスト低減、工期確保、稼働率向上等に取り組み、リスク回避にも努めた結果、セグメント全体では前年同期を上回る営業利益を確保することができました。今後もリスクの事前把握と回避に努めるとともに、コスト改善活動を継続してまいります。

 通期では受注高・完成工事高は前事業年度と同水準を予想しておりますが、営業利益は前事業年度を下回る見込みです。