むさし証券株式会社

証券、商品先物取引業証券

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E03761 Japan GAAP


3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当中間会計期間における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当中間会計期間末現在において当社が判断したものであります。

(1)経営成績の状況

当中間会計期間の日本経済は、物価上昇が家計や企業活動に影響を及ぼしているものの、個人消費は回復基調にあり、企業の設備投資も脱炭素化、デジタル化の推進などを背景におおむね持ち直しの動きが続きました。一方、世界経済は主要各国の金融引き締めの影響を受け、先行きの不透明感が依然として払拭できない状況にあります。

株式市場においては、期初28,203.35円からスタートした日経平均株価は米著名投資家による日本株への追加投資報道や外国人投資家の見直し買いの動きなど、投資家心理を改善させる好材料が継続的に発生したことを背景に上昇基調で推移し、日経平均株価は6月16日に33,706.08円と1990年3月以来、およそ33年ぶりの高値を付けました。

その後は、米長期金利の上昇や日銀のイールドカーブ・コントロールの柔軟化など金融政策への思惑が交錯し乱高下する展開となりました。

9月に入ると、米連邦公開市場委員会(FOMC)で先行きの政策見通しが上方修正されたこと、原油高などにより、日米において長期金利の上昇が続きました。加えて米政府の一部機関が閉鎖するリスクへの懸念などから日経平均株価は下落に転じ、月末終値は31,857.62円となりました。

このような環境下において、当社はお客さま本位の業務運営への徹底した取組みを展開しつつ、お客様との接点を増やし、より多くの情報をご提供する活動に取組みました。当社の強みである国内外株式関連業務のみならず、投資信託や保険商品などを保有されるお客様を増やす活動、新規顧客の獲得、稼働口座数の増加等に取組むことで顧客基盤の拡大を収益につなげる営業活動を展開しました。

期中を通じて株式市況が堅調に推移したことから、当社の主柱業務である株式関連収益は18億37百万円(前年同期比8億15百万円の増益)となり、当期の業績につきましては、営業収益は25億12百万円(前年同期比151.1%)、純営業収益は24億1百万円(同151.6%)、販売費・一般管理費は22億47百万円(同107.5%)、経常利益は2億71百万円(前年同期は3億88百万円の損失)、中間純利益は3億84百万円(同3億97百万円の損失)となりました。

主な内訳は以下のとおりであります。

①受入手数料

当中間会計期間の受入手数料の合計は19億9百万円(前年同期比151.3%)となりました。

(委託手数料)

委託手数料は15億88百万円(同167.8%)となりました。このうち、98.6%が株式に係る委託手数料となっております。

(引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料)

引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は3百万円(同81.3%)となりました。この手数料の株式と債券の構成比率は、それぞれ89.4%、10.5%となっております。

 

(募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料)

募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は88百万円(同118.8%)となりました。このうち、98.7%が投資信託販売の取扱手数料となっております。

(その他の受入手数料)

その他の受入手数料は2億28百万円(同97.0%)となりました。このうち、投資信託の信託報酬は75.0%、保険販売手数料は11.7%となっております。

②トレーディング損益

トレーディング損益は3億52百万円(前年同期比209.2%)となりました。このうち、70.5%が株券等のトレーディング損益、28.2%が債券等のトレーディング損益となっております。

③金融収支

金融収益は2億50百万円(前年同期比107.7%)、金融費用は1億10百万円(同140.2%)となり、金融収支は1億40百万円(同91.1%)の利益となりました。

④販売費・一般管理費

減価償却費の減少等がありますが、取引関係費及び、賞与引当金の増加等人件費の増加により、販売費・一般管理費は22億47百万円(前年同期比107.5%)となりました。

⑤営業外損益

営業外収益は投資有価証券配当金等により1億26百万円(前年同期は1億18百万円)となりました。一方、営業外費用は8百万円(同0百万円)となり、営業外損益は1億17百万円の利益計上(前年同期は1億17百万円の利益計上)となりました。

⑥特別損益

特別損益は投資有価証券の売却益2億2百万円等により、2億2百万円の利益計上(前年同期は0百万円の利益計上)となりました。

(2)キャッシュ・フローの状況

①営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、35億3百万円のプラス(前年同期は48億84百万円のマイナス)となり、前年同期に比べ83億87百万円の増加となりました。これは主に、預り金・信用取引負債の増加、預託金・信用取引資産の減少等によるものです。

②投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローは、2億35百万円のプラス(同67百万円のプラス)となり、前年同期に比べ1億68百万円の増加となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入等によるものです。

③財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローは、1億3百万円のマイナス(同1億51百万円のマイナス)となり、前年同期に比べ48百万円の増加となりました。これは主に、配当金の支払い等によるものです。

以上により、当中間会計期間末における現金及び現金同等物残高は、前中間会計期間末に比べ85億96百万円の増加、前事業年度末からは37億14百万円増加し、150億92百万円となりました

(3)財政状態の状況

①資産の部

流動資産は、前事業年度末に比べて93億57百万円増加し、697億62百万円となりました。これは、現預金が37億14百万円、信用取引資産が27億72百万円、預託金が27億50百万円増加したことなどによるものです。

固定資産は、前事業年度末に比べて5億80百万円増加し、69億91百万円となりました。これは、投資有価証券の評価益の増加等により、投資その他の資産が5億91百万円増加したことなどによるものです。

以上の結果、総資産は、前事業年度末に比べて99億37百万円増加し、767億53百万円となりました。

②負債の部

流動負債は、前事業年度末に比べて90億93百万円増加し、566億56百万円となりました。これは、預り金が60億91百万円、信用取引負債が11億54百万円、受入保証金が10億3百万円、有価証券担保借入金が5億0百万円増加したことなどによるものです。

固定負債及び特別法上の準備金は、前事業年度末に比べて44百万円増加し、22億22百万円となりました。これは、退職給付引当金が69百万円の減少となりましたが、繰延税金負債が1億17百万円増加したことなどによるものです。

 

③純資産の部

純資産は、前事業年度末に比べて7億99百万円増加し、178億75百万円となりました。これは、その他有価証券評価差額金が5億12百万円、利益剰余金が2億87百万円増加したことなどによるものです

(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

当社の財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 2(1)中間財務諸表 注記事項」に記載しております。

(5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社の営業収入はリテール顧客のフロー収益に大きく依存しており、投資環境における不確実性の高まりによるリテール顧客の投資意欲の減退、模様眺めが続くと厳しい経営成績に陥る、市場連動性が高い収益構造を有しております。

安定的な収益計上を可能とする収益構造を構築するためには、お客さまの投資選好の変化を的確に捉え、ニーズに応じた最適な商品・アドバイスを提供し、お客さまとのリレーションシップを深めリテンションを強化することが重要と認識しております。

この課題認識を踏まえて、投資信託・保険商品販売促進・ポートフォリオ運用や相続コンサル等の提案型セールスの推進・営業員へのiPad配備による情報提供力強化等により、収益源泉・収益機会の多様化と獲得強化に向けた施策を展開しております。

今期の株式市場は国内市場においては、期初28,203.35円からスタートした日経平均株価は投資家心理を改善させる好材料が継続的に発生したことを背景に上昇基調で推移し、日経平均株価は6月16日に33,706.08円と1990年3月以来、およそ33年ぶりの高値を付けました。その後は、金融政策への思惑が交錯し乱高下する展開もみられたものの、9月に入ると、日米において長期金利の上昇が続いたことに加え、米政府の一部機関が閉鎖するリスクへの懸念などから日経平均株価は下落に転じ、月末終値は31,857.62円となりました。

このような環境の中で当社はお客さま本位の業務運営への徹底した取組みを展開しつつ、お客さまとの接点を増やすことで、より多くの提案機会を創出する活動に取組みました。国内外株式関連業務のみならず、投資信託や保険商品などを保有されるお客さまを増やす活動、新規顧客の獲得、不稼動口座の再稼働化にも取組むことで顧客基盤の拡大を収益につなげる営業活動を展開しました。

以上の結果、受入手数料19億9百万円(前年同期比151.3%)、トレーディング損益3億52百万円(同209.2%)、金融収益2億50百万円(同107.7%)の増収・増益となり、当社の当中間会計期間における営業収益は25億12百万円(同151.1%)となりました。純営業収益は24億1百万円と前年同期比8億18百万円の増益、経常利益は前年同期比6億60百万円の増益となり2億71百万円の黒字を計上する結果となりました。

②経営成績に重要な影響を与える要因について

当社の主要業務である委託売買業務、引受け・募集・売出し業務、投資信託販売業務はいずれも株式が中心であることから、収益状況が市場環境、とりわけ株式相場や個人投資家の動向に大きく左右される構造となっております。

また、収益基盤の強化を目的とし、米国株式を中心とした外国株式投資環境の整備強化により収益源泉・提案商品の多様化を推進してきたことにより、為替の動向及び国際情勢の変化も業績に影響を与える要因となっております。

さらに主要各国が経済活動の強化、活性化、インフレ抑制を展望する中で出口戦略としての量的・質的金融政策の引き締め等による、株式市場からの資金流出とこれに伴う株価変調の拡大・長期化も、当社の営業環境並びに業績に影響を与える場合があります。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討結果並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社のキャッシュ・フローの主要な変動要因は、お客さまの信用取引の伸縮に伴う信用取引資産・負債の増減であり、日本証券金融株式会社からの信用取引借入金を中心として金融機関借入・有価証券担保借入金にて調達を行うとともに、金利収益の獲得を志向し自己資金を投入しております。また、お客さまの有価証券の購入・売却に伴う顧客預り金及び顧客分別金信託の増減変動も短期での当社資金繰りに大きな影響を与えます。この他、人件費・不動産関係費などの販売費及び一般管理費に係る支出があります。当社は、手元流動性資金の下限保有額を定めて監視するとともに、金融機関との間に当座貸越契約等を結び運転資金の十分な確保の体制を整えております。また、当社では週次及び日次で資金計画を策定し、資金管理の適正化と資金効率及び金融収支の改善に努めております。

当事業年度においても、耐用年数超過等に伴う設備機器等の入替えや顧客サービス向上のためのシステム開発等の設備投資について、軽微な支出及び計画があります。なお資本的支出に係る必要資金は、基本的に利益の計上、減価償却費等により生み出される内部資金により賄うことを基本方針としております。