E04142 Japan GAAP
(1)経営成績等の状況の概要
当中間会計期間における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績等の状況
当中間会計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症からの経済活動正常化に伴い、インバウンド需要や個人消費が増加し、緩やかな回復基調で推移しているものの、米国の金利上昇等による円安、物価高騰、エネルギー価格の高騰やそれらに伴う実質賃金の低下など厳しい状況で推移しました。
このような状況の中、当社は公共交通機関としての役割を果たすため、引き続き、感染対策を講じながら運行維持を行ってまいりました。鉄道利用者数は前中間会計期間に比べ回復傾向にあるものの、コロナ禍前の水準への回復には至っておりません。当中間会計期間の営業収益は100,248千円(前年同期比16.7%増)、営業損失は124,489千円(前年同期比2.3%増)、経常損失は36,778千円(前年同期比10.3%増)となりました。
結果として、中間純損失は37,046千円(前年同期比11.6%増)の計上となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
鉄道事業
鉄道事業は、地域住民の生活の足を支え、また地域内外との交流促進に不可欠な公共交通機関として、安全・安定輸送を第一に、運行を行ってまいりました。定期・定期外とも前年同期を上回り、輸送人員は269千人(前年同期比10.1%増)、営業収益は80,516千円(前年同期比18.9%増)、営業費は軽油単価の上昇に伴う動力費の増加や、車両の大規模修繕(法定検査)の実施により、206,292千円(前年同期比8.8%増)となりました。
この結果、営業損失は125,776千円(前年同期比3.1%増)となりました。
国内旅行業
国内旅行業は、穴水駅内において営業しております。
国内旅行業は、新型コロナウイルスの影響は薄まったものの、物価高騰等による主催旅行代金の上昇に伴う集客不足や猛暑による旅行見送り等もあり、コロナ前の水準には届いていない状況です。営業収益は2,376千円(前年同期比38.5%増)、営業費は2,430千円(前年同期比3.5%増)となりました。
結果として営業損失は54千円(前年同期比91.4%減)となりました。
物品販売業
物品販売業は、穴水町物産館「四季彩々」の営業を行っております。
新型コロナウイルスの影響も低下し、来店客数は徐々に回復傾向であり、営業収益は17,355千円(前年同期比5.4%増)、営業費は16,014千円(前年同期比3.2%増)となりました。
結果として、営業利益は1,340千円(前年同期比41.3%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当中間会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ93,668千円増加し、当中間会計期間末には177,025千円(前年同期末は183,391千円)となりました。
当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は122,592千円(前年同期は92,321千円の使用)となりました。
これは、主に減価償却費を除く営業損失121,382千円の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は28,009千円(前年同期は27,404千円の使用)となりました。
これは、主に安全対策のための設備投資による支出29,009千円の計上によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は244,270千円(前年同期は245,277千円の獲得)となりました。
これは、主に補助金の概算交付の受入によるものであります。
③財政状態の分析
財政状態の分析は前事業年度末との比較で記載しております。
当中間会計期間末の資産合計は、前事業年度末に比べ81,682千円増加し、308,791千円となりました。
(流動資産)
流動資産は前事業年度末に比べ56,780千円増加し、243,134千円となりました。これは、主に当中間会計期間において補助金の概算受入額が増加し、未収金が減少したことにより、現金及び預金が増加したためであります。
(固定資産)
固定資産は前事業年度末に比べ24,902千円増加し、65,656千円となりました。これは、主に安全対策のための設備投資による建設仮勘定の計上による増加と減価償却による減少によるものであります。
(流動負債)
流動負債は前事業年度末に比べ118,388千円増加し、172,443千円となりました。これは、主に補助金の概算受入による前受金が増加したことによるものであります。
(固定負債)
固定負債は前事業年度末に比べ340千円増加し、10,681千円となりました。これは、退職給付引当金の増加によるものであります。
(純資産)
純資産は前事業年度末に比べ37,046千円減少し、125,666千円となりました。これは、中間純損失の計上により利益剰余金が37,046千円減少したことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.鉄道事業の輸送実績
当中間会計期間末における輸送実績は、次のとおりであります。
区分 |
前中間会計期間 (自 2022年4月1日 至 2022年9月30日) |
当中間会計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年9月30日) |
|||
営業日数 |
183日 |
183日 |
|||
営業区間 |
七尾~穴水 |
七尾~穴水 |
|||
営業キロ |
33.1km |
33.1km |
|||
延日キロ |
6,057日キロ |
6,057日キロ |
|||
輸送量 |
人員(人) |
金額(千円) |
人員(人) |
金額(千円) |
前年同期比 (%) |
定期外 |
69,837 |
29,547 |
89,551 |
40,655 |
137.6 |
定期 |
175,320 |
29,409 |
180,360 |
29,641 |
100.8 |
通勤 |
28,920 |
7,579 |
29,460 |
7,576 |
100.0 |
通学 |
146,400 |
21,830 |
150,900 |
22,065 |
101.1 |
運輸雑収 |
- |
8,741 |
- |
10,219 |
116.9 |
計 |
245,157 |
67,699 |
269,911 |
80,516 |
118.9 |
(注)前年同期比は、金額に対する比較であります。
b.販売実績
当中間会計期間における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当中間会計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年9月30日) |
前年同期比(%) |
鉄道事業(千円) |
80,516 |
118.9 |
国内旅行業(千円) |
2,376 |
138.5 |
物品販売業(千円) |
17,355 |
105.4 |
合計(千円) |
100,248 |
116.7 |
(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の中間財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。なお、個々の重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 中間財務諸表等 (1)中間財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。
また、当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性がある事象につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
②当中間会計期間の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、基幹事業である鉄道事業において、地域住民の生活の足を支え、また地域内外との交流促進に不可欠な公共交通機関として、安全・安定輸送を第一に取り組むとともに、鉄道事業との相乗効果を図るべく国内旅行業、物品販売業を行っております。
鉄道事業においては、沿線人口の減少に伴う地元利用者数が減少する中、増収施策として、観光列車の運行や県外からの団体客の誘客に力を入れております。当中間会計期間においては、前年同期より新型コロナウイルスの影響は薄まり、県外からの団体客も増加したものの、エネルギー価格の高騰や原材料価格の上昇に伴う物価上昇など、コロナ以前への回復には至っておりません。
この様な状況により、鉄道事業の営業収益は80,516千円(前年同期比18.9%増)となりました。一方、営業費においては、軽油単価の上昇に伴う動力費の増加や、車両の大規模修繕(法定検査)の実施により、206,292千円(前年同期比8.8%増)の計上となりました。結果として、鉄道事業の営業損失は125,776千円(前年同期比3.1%増)となりました。
国内旅行業においても新型コロナウイルスの影響は減少してきているものの、依然として厳しい状況が続いております。営業収益は2,376千円(前年同期比38.5%増)、営業損失は54千円(前年同期比91.4%減)の計上となりました。
物品販売業においては、穴水駅に隣接する物産館「四季彩々」を営業しております。来店者は前年同期より増加しているもののコロナ禍前の状況には程遠く、営業収益は17,355千円(前年同期比5.4%増)、営業費は16,014千円(前年同期比3.2%増)、営業利益は1,340千円(前年同期比41.3%増)の計上となりました。
当社全体としては、営業損失は124,489千円(前年同期比2.3%増)となり、依然として厳しい経営状況が続いております。
今後も、地域人口の減少や関連設備の老朽化対策など厳しい経営環境が続くと予想され、引き続き、増収施策や経費の削減に取り組むなど、経営の安定化に努めてまいります。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社のキャッシュ・フローの状況は、基幹事業である鉄道事業において、継続的に多額の営業損失を計上し、営業キャッシュ・フローはマイナスの状況が続いており、日々の売上のほか、関係自治体からの補助金等による支援により資金繰りが成り立っている状況であります。当中間会計期間においては、244,270千円を財務活動によるキャッシュ・フローとして計上しております。
また、事業活動における運転資金需要の主なものは、鉄道事業に係る動力費や修繕費等、その他事業における商品仕入れ、共通するものとして販売費及び一般管理費等の営業費があります。また、設備資金需要としては主に鉄道事業における列車運行の安全確保を目的とした鉄道施設への設備投資であります。