株式会社AIRDO

空運業空運

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E04278 Japan GAAP


3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当中間会計期間における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 なお、当中間会計期間より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。

 ①経営状態等の状況の概要

当中間会計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大により依然として厳しい状況にあるなか持ち直しの動きが続いています。航空業界においては、ビジネス・観光両面においてコロナ以前の旅客需要には至っていないものの、ワクチン接種の進捗もあり緩やかな回復傾向となっています。

このような状況のもと当社は、コスト削減の取り組みとして、減便・運航機材の小型化等による変動費の削減、人件費等の固定費の削減、経年化したB767型機の退役前倒し等に取り組んでまいりましたが、航空需要回復の見通しが依然不透明であることから、2021年7月に優先株式を発行し、安定的に事業を継続するための財務基盤強化を図りました。

加えて、新たな事業環境を生き抜き、お客様への一層の付加価値提供及び持続的な成長を果たすため、当社と同じく地域に根差した航空会社である株式会社ソラシドエアと共同持株会社設立に関する「基本合意書」を締結し、2022年10月の会社設立を目指して取り組みを進めています。2021年7月からは、協業の一環として、共同特設サイト「ふたつの翼で全国を旅しよう」を開設し、両社のポイント&マイル相互交換等の各種キャンペーンを開始しました。

 

これらの結果、当中間会計期間における営業収入は、コードシェアによる座席販売分を含め、11,591百万円(前年同期比48.4%増)となりました。

 

事業費は13,166百万円(前年同期比2.0%減)、販売費及び一般管理費は1,492百万円(前年同期比2.5%増)、営業費用は14,658百万円(前年同期比1.5%減)となり、この結果、営業損失は3,067百万円、経常損失は3,033百万円、中間純損失は1,978百万円となりました。

 

 ②キャッシュ・フローの状況の分析

当中間会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ2,167百万円の資金が増加(前年同期は2,173百万円の増加)し、当中間会計期間末には17,976百万円となりました。

当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果減少した資金は1,113百万円(前年同期は7,667百万円の減少)となりました。

これは、税引前中間純損失3,033百万円、減価償却費2,082百万円、営業債務の増加額1,675百万円、航空機材整備引当金の減少額792百万円、前受金の減少額1,288百万円、未払金の減少額589百万円等を反映したものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果減少した資金は1,910百万円(前年同期は789百万円の増加)となりました。

これは、定期預金の払戻による収入780百万円、定期預金の預入による支出769百万円、長期前払費用の取得による支出1,844百万円等を反映したものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果増加した資金は5,182百万円(前年同期は9,076百万円の増加)となりました。

これは、優先株式発行による収入7,000百万円、短期借入金の返済による支出500百万円、長期借入金の返済による支出362百万円、リース債務の返済による支出954百万円を反映したものであります。

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

 ①営業実績

 当中間会計期間の営業実績を収入項目別に示すと、次のとおりであります。

項目

当中間会計期間

  (自 2021年4月1日

至 2021年9月30日)

前年同期比 (%)

旅客収入

11,167百万円

150.7

貨物収入

207百万円

134.1

その他

215百万円

86.5

営業収入合計

11,591百万円

148.4

  (注) 1 旅客収入には、全日本空輸株式会社への座席販売分を含めております。

2  前中間会計期間及び当中間会計期間における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の営業収入合計に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前中間会計期間

  (自 2020年4月1日

至 2020年9月30日)

当中間会計期間

  (自 2021年4月1日

至 2021年9月30日)

金額 (百万円)

割合 (%)

金額 (百万円)

割合 (%)

全日本空輸株式会社

4,153

53.2

5,577

48.1

 

 ②運航実績

 当中間会計期間の運航実績は、次のとおりであります。

項目

当中間会計期間

  (自 2021年4月1日

至 2021年9月30日)

前年同期比 (%)

運航便数

8,848便

129.1

飛行距離

8,537,552km

128.9

飛行時間

13,961時間

129.4

 

 ③輸送実績

 当中間会計期間の輸送実績は、次のとおりであります。

項目

当中間会計期間

  (自 2021年4月1日

至 2021年9月30日)

前年同期比 (%)

旅客数

443,780人

199.9

旅客キロ

418,713千人キロ

200.2

座席キロ

1,054,620千席キロ

145.3

座席利用率

39.7%

10.9ポイント増

    (注)  上記輸送実績には、全日本空輸株式会社への座席販売分を含めておりません。

 

 なお、路線別の座席利用率は、次のとおりです。

 

前中間会計期間

当中間会計期間

前事業年度

備考

「札 幌-東 京」線

28.3%

42.1%

34.3%

 

「旭 川-東 京」線

35.4%

33.3%

43.1%

 

「女満別-東 京」線

29.2%

37.9%

40.2%

 

「釧 路-東 京」線

31.8%

44.9%

42.2%

 

「帯 広-東 京」線

27.7%

47.1%

42.2%

 

「函 館-東 京」線

31.4%

39.7%

40.3%

 

「札 幌-仙 台」線

33.5%

25.1%

35.1%

 

「札 幌-名古屋」線

27.6%

51.5%

43.9%

 

「札 幌-神 戸」線

11.0%

28.2%

22.7%

 

「函 館-名古屋」線

17.3%

32.3%

30.2%

 

路線の平均

28.8%

39.7%

37.4%

 

(注)座席利用率は当社販売分を表記しております。

 

 

(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

 ①重要な会計方針及び見積り

当社の中間財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この中間財務諸表の作成にあたって、経営者は、当中間会計期間末における資産・負債及び当中間会計期間における収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績、現在の状況に応じ合理的に判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社の中間財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 中間財務諸表等」の「重要な会計方針」に記載しております。

 

 ②当中間会計期間の経営成績の分析

a. 営業収入、事業費及び営業総利益

 総座席キロは、運航便数が1,996便増加したこと等により、コードシェアによる座席販売分を含め、1,616,081千席キロ(前年同期比41.7%増)となりました。

営業収入は、旅客数が増加したこと等により、11,591百万円(前年同期比48.4%増)となりました。

事業費は、コロナ禍に伴う減免措置により空港使用料が減少したこと等により、13,166百万円(前年同期比2.0%減)となりました。

 この結果、営業総損失は1,575百万円となりました。

b. 販売費及び一般管理費、営業損益

 販売費及び一般管理費は、旅客数に連動した販売手数料が増加したこと等により、1,492百万円(前年同期比2.5%増)となり、営業損失は3,067百万円となりました。

c. 営業外損益、経常損益

 営業外収益として受取助成金214百万円、為替差益24百万円、営業外費用として支払利息208百万円を計上したこと等により、経常損失は3,033百万円となりました。

d. 中間純損益

法人税、住民税及び事業税8百万円及び法人税等調整額△1,063百万円を計上したことにより、中間純損失は1,978百万円となりました。

 

 

 ③財政状態の分析

    資産、負債及び純資産の状況

資産の部

資産については、現金及び預金が2,169百万円増加したことに加え、原油ヘッジ取引に伴う預け金や未収入金等を含むその他流動資産が119百万円増加したこと等により、前事業年度末と比較して、流動資産が2,262百万円増加しました。

また、長期前払費用が512百万円減少した一方、リース資産が3,312百万円、繰延税金資産が829百万円それぞれ増加したこと等により、前事業年度末と比較して、固定資産が3,307百万円増加しました。

この結果、資産総額は47,309百万円となりました。

負債の部

負債については、短期借入金が返済により500百万円、座席販売に係る前受金を含むその他流動負債が1,038百万円それぞれ減少したこと等により、前事業年度末と比較して、流動負債が1,778百万円減少しました。

また、航空機材整備引当金が792百万円、長期借入金が475百万円それぞれ減少した一方、B737型航空機のリース期間の延長によりリース債務が3,533百万円増加したこと等により、前事業年度末と比較して、固定負債が2,020百万円増加しました。

この結果、負債総額は39,776百万円となりました。

純資産の部

株主資本合計は、優先株式発行による増資を実行したこと等により、前事業年度末と比較して、4,877百万円増加しました。

評価・換算差額等は、原油スワップ及び金利スワップを活用したヘッジ取引に係るものであり、前事業年度末と比較して、449百万円増加しました。

この結果、純資産総額は7,533百万円となりました。

 

 ④資本の財源及び資金の流動性

 当社の財源及び資金の流動性につきましては次のとおりです。

 当社の運転資金需要のうち主なものは、日々の運航に必要な航空燃油費や、空港使用料などの運航経費をはじめ、整備費や運送部門における業務委託費等の事業費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は航空機や航空機のエンジン等への設備投資によるものであります。

 当社は、事業運営上必要な流動性と、資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は、航空運送事業を中心とした収入金等の他、金融機関からの借入により調達を行っております。設備投資資金につきましてはキャッシュ・フローで賄いきれない分の調達を主とし、その調達手段は金融機関からの長期借入金やファイナンス・リースなど、市場動向や金利動向等を総合的に勘案しながら決定しております。

 なお、当中間会計期間末におけるリース債務を含む有利子負債残高は、27,716百万円となっております。

 また、当中間会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、17,976百万円となっております。

 

⑤経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社は、事業等のリスクにおいて、為替レートや原油価格の変動による航行費の増加、航空法及び関連諸法令による規制、自然災害、人材確保等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 そのため当社は、コストを安定させることを目的として、ヘッジ取引の実施、社内管理体制の確立、人材養成体制の見直しや採用の強化等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応してまいる所存であります。

 

⑥経営者の問題意識と今後の方針について

 当社の経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき、迅速かつ最善の経営戦略の立案及び施策の実施に努めております。

 また、当社を取り巻く環境は、コロナ禍に端を発した景気の後退や、競合他社との激しい競争に加え、消費者ニーズの多様化や燃油市況等の外部環境が大きく変化する可能性もあることから、幅広い視点で俯瞰した経営戦略の重要性、必要性を認識しております。

 加えて、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、新型コロナウイルス感染症が依然収束に至らず、旅客数及び営業収入の低迷が継続しております。航空需要は感染者数の増減や政府による各種政策の影響を受けながら一進一退を繰り返しておりますが、ワクチン接種の進展に加え経口治療薬の開発が進められていること等により、2022年度には新型コロナウイルス感染症影響前の水準に回復するものと想定しております。

 このような状況に対応すべく、運航規模の調整による運航関連費用の抑制及び従業員の一時帰休の活用による人件費の抑制等を継続して実施しており、更なるコスト削減にも全社一丸となって取り組んでおります。また、安定的な事業継続のため、2021年7月には優先株式の発行により手元流動性の確保と自己資本の回復を図りました。

 さらに、新たな事業環境を生き抜きお客様への一層の付加価値提供及び持続的な成長を果たすべく、2022年10月を目途として株式会社ソラシドエアとの共同持株会社を設立し、可能な限りの業務共通化や知見共有等によるさらなる費用削減と、新たな価値を共創することによる収益拡大に向けた取り組みを推進してまいります。

 以上のような前例にとらわれることのない様々な施策を迅速かつ確実に遂行することにより、従業員の雇用を守るとともに着実に事業を継続し、ポストコロナの局面における飛躍へ向けた構造改革を進めてまいります。