中部国際空港株式会社

倉庫・運輸関連空運

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E04362 Japan GAAP


3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当中間連結会計期間における当連結グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要、及び経営者の視点による分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中における将来に関する事項は、当中間連結会計期間末現在において判断したものです。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社の中間連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しています。この中間連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、当中間連結会計期間末における資産・負債及び当中間連結会計期間における収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績、現在の状況に応じ合理的に判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

また、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1.中間連結財務諸表等 (1) 中間連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりです。

 

(2)財政状態及び経営成績の状況及び経営者の視点による分析・検討内容

当中間連結会計期間における我が国の経済は、資源価格の高止まりや物価上昇の影響に加え、中国経済の先行き懸念等、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっているものの、雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続いています。そのなかで、新型コロナウイルス感染症の法的な位置付けが変更されたことに伴い、国内での行動制限はなくなり、日本国内における人の往来は、コロナ禍前に近い水準まで回復しています。国際的な人の往来についても、水際措置の終了により、アジア諸国からの訪日客を中心に活性化しました。

このような情勢のなか、当連結グループは、中期経営戦略(2023~2025年度)において「回復・基盤作り期」と位置付けたその初年度として、早期黒字化と2025 年度までの新型コロナウイルス感染症発生前の旅客数水準への回復、そして今後の航空需要の更なる成長を取り込むための基盤づくりに向けて各種施策に取り組みました。

2023年4月には、英国SKYTRAX社による空港品質格付「World Airport Star Rating」を3年6か月ぶりに受審し、コロナ禍にあっても空港全体が一体となり改善を続けたことが高く評価され、世界最高水準である5スター評価を4回連続で獲得することができました。また、更なる顧客体験の価値向上に資するべく、空港内において無料でご利用いただける公衆無線LAN(Free Wi-Fi)の全面リニューアルやターミナル間連絡バスを運行する等、その取り組みを進めました。

また、持続可能な社会の実現や未来への更なる成長に向け、様々な施策を実施しました。

当空港における滑走路増設につきましては、2023年6月に環境影響評価法に基づく環境影響評価方法書の手続きについて、愛知県知事から意見の通知を受け、その手続きを完了しました。2023年8月には、国土交通省で開催された第6回交通政策審議会航空分科会事業評価小委員会において、中部国際空港滑走路増設事業の新規事業採択時評価について議論され、適当との結論をいただく等、その取り組みを着実に進めてまいりました。

そのほかにも、国際空港評議会により創設された空港カーボン認証(ACA)レベル4を取得したことに加え、国際空港評議会のアジア太平洋地域の「Green Airports Recognition」において、お客様と共に取り組んでいるペットボトルの水平リサイクルの取り組みが、最高位のプラチナを取得しました。また、環境負荷の低減を目指し、空港内のエネルギー消費特性に合った発電効率の高いコージェネレーションシステムを更新する等、様々な施策を実施しました。

更に、当連結会計年度末までに政府保証債等による資金調達を最大278億円まで実施できるよう国からの事業計画認可をいただく等、手元流動性の確保に努めました。

 

以上の結果、当中間連結会計期間の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

① 財政状態

当中間連結会計期間末における資産の合計は437,449百万円、負債合計は361,807百万円、純資産合計は75,642百万円となりました。

流動資産は、現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末に比べ3,273百万円増加し、34,352百万円となりました。固定資産は、主として減価償却が進んだこと等により、前連結会計年度末に比べ2,017百万円減少し、402,755百万円となりました。その結果、資産の部は、前連結会計年度末に比べ1,216百万円増加し、437,449百万円となりました。

負債の部は、借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べ1,171百万円増加し、361,807百万円となりました。

純資産の部は、非支配株主持分が47百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ45百万円増加し、75,642百万円となりました。

 

② 経営成績

当中間連結会計期間における当連結グループの売上高は前年同期比63.1%増の18,011百万円、営業利益は286百万円(前年同期は3,415百万円の営業損失)、経常損失は41百万円(前年同期は3,558百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する中間純利益は0百万円(前年同期は3,668百万円の親会社株主に帰属する中間純損失)となり、経常損失を計上したものの、業績の回復を踏まえ繰延税金資産を計上したことにより、親会社株主に帰属する中間純利益を計上しました。

セグメントの経営成績は次のとおりです。なお、セグメント間の取引については、相殺消去しています。

 

(空港事業)

空港事業につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、2020年3月から第2ターミナルでの国際線の供用を見合わせ、その後2022年10月から出発動線のみを再開していましたが、2023年5月から国際線の到着運用が始まり、約3年ぶりに全面的な供用を再開しました。このようにコロナ禍からの正常化が進むなかで、国際線においては、水際措置の終了により旅客便の復便が相次ぎ、発着回数及び旅客数ともに前年同期から大きく伸長しています。国内線におきましても、コロナ禍前に近い水準で旅客数が推移する等、需要の力強い回復が見られ、前年同期を上回る発着回数及び旅客数となりました。国際貨物取扱量におきましては、世界的に航空貨物需要が鈍化していることもあり、日本全体が落ち込むなかではありましたが、旅客便の復便や貨物便の増便により輸送スペースが増えたこと等により、前年同期を上回る結果となりました。

運用面につきましては、コロナ禍以降、オンライン開催や参加人数に制限を設けたうえでの開催としてきた防災訓練を約4年ぶりに人数制限のない集合形式で開催する等、2020年に制定した大規模災害発生時の基本行動計画である「中部国際空港A2–BCP」に基づき、関係事業者と連携して訓練を実施しました。また、引き続き、空港島内事業者を対象とした安全教育を実施することにより、事業者全体の知識向上を図る等、安全体制の維持に努めました。

これにより、当中間連結会計期間の国際線旅客数は約128万人(前年同期比688%)、国内線旅客数は約306万人(同129%)、国際貨物取扱量は約5.6万トン(同103%)、航空機の発着回数は国際線が約1.1万回(同259%)、国内線が約2.9万回(同102%)となりました。

以上の結果、空港事業の売上高は10,430百万円(前年同期比136.9%)、営業利益は227百万円(前年同期は営業損失1,812百万円)となりました。

 

(商業事業)

商業事業につきましては、国際線旅客数の回復により免税店が大きく売上を伸ばしました。また免税店以外の商業店舗につきましても、飲食店3店舗、物販店1店舗が新規開業・リニューアルオープンしました。更に、小さなお子様連れのお客様にもご利用いただきやすいよう、フライト・オブ・ドリームズ施設内に小上がり席を新設する等、お客様の利便性向上に資する取り組みも進めてまいりました。

また、コロナ禍においては大規模なイベントの開催を見合わせていましたが、2023年7月には、スカイデッキで飛行機を眺めながら踊ることができる「セントレア盆踊り」、8月には、セントレア最大規模の北海道物産展「大雪おみやげ博」をいずれも約4年ぶりに開催する等、お客様に一層セントレアを楽しんでいただく取り組みも進めてまいりました。

以上の結果、商業事業の売上高は6,338百万円(前年同期比249.3%)、営業利益は2百万円(前年同期は営業損失1,359百万円)となりました。

 

(交通アクセス施設事業)

交通アクセス施設事業につきましては、航空旅客の増加を受けて、駐車場の利用台数が約672千台(前年同期比139%)と大きく増加しました。

以上の結果、交通アクセス施設事業の売上高は1,242百万円(前年同期比140.7%)、営業利益は20百万円(前年同期は営業損失278百万円)となりました。

 

以上を総括しますと、当連結グループは、未だコロナ禍前の経営状況には回復していませんが、4期ぶりに親会社株主に帰属する中間純利益を計上しました。引き続き多くのお客様にご利用いただけるよう、セントレアのありたい姿を思い描きつつ事業運営に取り組んでまいります。

 

当連結グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、以下の「(3) キャッシュ・フローの状況」のとおりです。なお、当連結会計年度末までに既往の社債の償還資金等の一部に充当する目的で社債の発行により資金調達を行います。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,311百万円増加し、30,054百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、4,559百万円の収入(前中間連結会計期間は1,905百万円の収入)となりました。これは、主に、税金等調整前中間純損失から減価償却費4,919百万を除いたこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、3,430百万円の支出(前中間連結会計期間は812百万円の支出)となりました。これは、主に、有形固定資産の取得に3,337百万円を支出したこと等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、1,194百万円の収入(前中間連結会計期間は177百万円の支出)となりました。これは、主に、長期借入金により資金を調達したこと等によるものです。

 

(4)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

該当事項はありません。

② 受注実績

該当事項はありません。

 

③ 販売実績

当中間連結会計期間における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。

セグメントの名称

当中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年9月30日)

前年同期比(%)

空港(百万円)

10,430

136.9

商業(百万円)

6,338

249.3

交通アクセス施設(百万円)

1,242

140.7

合計(百万円)

18,011

163.1

(注)セグメント間の取引については相殺消去しています。